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第10話 気持ちを伝える手段

「、、、新井くん

本当に大丈夫?」


先輩がのぞきこんでくる


「はい、、だいじょぶです、、」


相当顔色が悪いのだろう

さすがに自覚はある

連日深夜まで動画をみて、昨日にいたっては徹夜してそのまま会社に来ていた


「、、今日ははやく帰りな

そんで、休み明け元気になってなかったら、今の仕事は私が引き継ぐ

いいね?」


「はい、ご迷惑をおかけします、、」


「迷惑なんて思っていない

週末はしっかり身体を休めなさい」


普段飄々としている先輩には珍しい命令口調だ

かなり心配をかけてしまっている


「はい、、ありがとうございます、、

では、、今日はお先に失礼します、、、」


先輩には申し訳ないが、週末は休むことはできない

むしろそこが本番なのである


オレはこの1ヶ月で考えたこと、気づいたこと、ひまちゃんへ伝えたいことを手紙に書くことにした

ファンレターだ


昨晩のひまちゃんのメッセージをみて、ほんとうに些細な足掻きだが、手紙だけでも書こうと思い、今はその文章を考えている

でもその文章がうまく書けない


自分が伝えたいことばかり書いてしまい、これじゃないこれじゃないと書き直すばかりだ

ひまちゃんのため、ひまちゃんだけに届くような文章を作らないといけない


そう思いながら、今日も夜がふけていく

記念ライブ当日(日曜日)


オレは朝一でディメコネの事務所があるDCビルの近くまできていた

ファンレターを渡すためである


結局、手紙が完成したのはついさっき、郵便に出していては今日のライブに間に合わない

ひまちゃんに直接渡すしかないと思ったのだ


DCビルには撮影スペースがあるはずだし、きっとひまちゃんもビルの前を通るはずだ

そのタイミングで直接渡そうという作戦だ


そのために今はDCビルの出入り口が見える位置で待機している

、、、ストーカーのようで気が引けるが今は居ても立ってもいられない

通報されたらそれまでと諦めよう



12:00


ひまちゃんは現れない

スタッフらしき人物は何人も入っていくのだが、ひまちゃんは一向に現れない



16:00


まだひまちゃんを見つけることができていない

さすがにおかしい


焦りが強くなり冷や汗が出てくる

ライブ開始が20:00

さすがにスタジオ入りしてないはずがない

そう思いTwitterを開く


もうすぐで記念ライブだねー!

みんな期待しちゃっていいよー!

最高のステージでみんなをメロメロにしちゃうんだから!


ひまちゃんはそれくらいしかつぶやいていない

なんの情報も得られないことに焦りが募る


18:30


さすがにマナー違反かと躊躇(ちゅうちょ)してしまうが、しょうがない、こと様に電話をかけることにした


トゥルルルル


「はい、なんでしょう、オジサン」


ジトッ

という効果音がつきそうな声色でこと様が電話に出てくれた


「あの!ひまちゃんって今どこにいますか!」


「なんですか?そんなこと教えれるわけないでしょう

ただのファンであるあなたに」


「オレ!ひまちゃんに伝えたいことがあって!

それで朝からディメコネの前にいるんですが、ひまちゃんに会えなくて!」


「、、なんですか?ストーカーですか?

ホントに不審者になったんですね、オジサン」


こと様の対応は変わらない


「オレ!この前からずっと何をやってしまったのか!ずっと考えていて!それで!ひまちゃんにそれを伝えたくて!」


成人男性とは思えない語彙力である


「、、、それで、答えはでたんですか?」


「、、いえ、、わかりません、、

でも!今伝えたいんです!今しかないんです!」


「、、、そうですか、わかりました

少ししたら外に出ます

待っていてください」


言い終わるとプツッと通話が切れる

しばらくして、DCビルからこと様が出てきてくれた


「オジサン、さすがに事務所にくるのは良くないのでは?」


「すみません、でもどうしてもひまちゃんに会いたくて、、」


「あなたも分かってるかと思いますが、今日は記念ライブです

今お会いすることはできません」


「あ!オレは会えなくてもイイです!

これを渡してもらえれば!」


そう言って、こと様に手紙を差し出す


「、、手紙?

ファンレター、、ですか?」


怪訝そうな、こと様


「今さら手紙なんて渡しても、、」


悲しそうな顔をこと様がする


「、、でも、それがオレの気持ちだから、、」


「、、、わかりました

責任を持ってわたしからひま先輩に渡しておきます

でも、ひま先輩がこれを読むかどうかはお約束できません」


「もちろんです!ありがとうございます!」


オレは大きく頭を下げていた

こんなに有難いことはない

本気でそう思っていた


「、、、かわらないですね

わたしみたいな小娘にそんな態度で、、、

そんなあなただからもしかしてって、、

いえ

わかりました

手紙はお預かりします

とにかく、あなたはココから離れてください

警備員が長い時間不審な男が事務所を見ていると話していました

通報されたらオジサンも困りますよね?」


「は、はい!わかりました!

なにからなにまでありがとうございます!」


「では」


オレは、手紙を持ったこと様が建物の中に消えて行くのを見届けて、その場を離れることにした


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