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第106話 退院日と最高の上司

退院当日


午前中にのんちゃんに手伝ってもらって荷物をまとめ、お昼には手続きをすませて病院を出る


「退院おめでとう」


「あれ?課長?なんでここに?」


病院の建物を出たところで、結木課長に遭遇した


「そりゃかわいい部下の退院だからね

車回してきたから家まで送るよ」


「ありがとうございます

助かります」


「タクシー使おうと思ってたから節約になるわぁ」


「あはは、節約って、、

Kanonちゃんは遠慮がないなぁ

まぁいいけどね

じゃ、いこうか

あ、荷物もらうよ」


「ありがとうございます

お願いします」


課長に荷物を渡すと、ロータリーに停まっている近未来的なコンパクトカーの方に向かう

そして、トランクを開けて荷物を積み込んだ


「これ課長の車ですか?」


「そうだよー」


「これって、ちょっと前にホンダから出たEVの車ですよね?」


「そうそう」


「へー、乗るの初めてです

それに、やっぱりデザインかわいいですね」


「だよね、私も見た目重視で買ったんだよ

すごく気に入ってる」


「課長ってセンスはわりとあるんよねぇ」


「Kanonちゃん?」


「なんでもありませーん」


「ま、まぁいいけど、、

じゃあ、いこうか

住所教えてもらえるかい?」


「はい」


オレとのんちゃんは後部座席に座ったので、口頭で住所を伝える

課長は聞きながらナビに住所を入力した


車の中は内装も近未来的で、なんだか新鮮な気持ちになった

オレも車欲しいなー、とふと思う


「それじゃいこー」


「お願いします」


車が自宅に向かって出発する


「今日って仕事は大丈夫だったんですか?

コラボの承認手続きとか」


「うん、それなら昨日の夜、社長の印鑑をもらったよ」


「それじゃ!これで名実ともに!」


「うん!コラボ実現だ!」


「やりましたね!」


「だね!新井くんのおかげだよ!」


「いやいや!課長あってこそですよ!」


「いやいや!そうかなそうかな!?そんなそんな!」


「結木課長は最高の上司です!」


「いやー!照れちゃうなー!

あとはディメコネへのメールだけどさ、やっぱり新井くんが送りたいよね?」


「はい!ぜひ!」


「なら、メールの文面だけでも教えてもらえるかな?

代わりに送っておくからさ」


「え?明日、自分で送りますよ?」


「ん?明日、出社する気なのかい?」


「はい、そのつもりですけど?」


「おぉー、仕事熱心だねぇ」


「?なんでです?」


「はぁ、、退院したばっかなんやから、明日も休んどきー」


「あぁ、そういうことか

いや、別にもう平気だから行くよ

家にいても暇だし

早くコラボ進めたいし!」


「あはは、すごいなぁ、社長も言ってたけど、やる気のある若者は素晴らしいね」


「、、ところで、あの人どうなったんですか?」


のんちゃんが聞きづらそうに話を振る

パワハラさんのことだ


「今は謹慎処分で出勤停止中、会社には来てないよ

だから、遭遇することはないから安心して」


「そうですか、早くクビになればいいのに」


「んー、、クビにするかは、人事と社長次第かな、、

降格はさせたいけど、、」


「うち、それじゃあ納得できません」


「のんちゃん、オレはもう平気だよ

もうあんなやつほっとこうよ」


「でも、、あっくんがそういうなら、、ううん、なんかイヤや、、」


「のんちゃん、、ありがとね、怒ってくれて嬉しいよ」


本気で嫌そうにするのんちゃんを見て、嬉しくなる


「新井くんは器が広いなー

海のような男だね」


課長がテキトーに褒めだしたので


「まぁ、人事の考えはちゃんと聞きますし、録音データは編集して全部送りつけますけどね」


と補足しておく


「うん、もちろんそれはやるべきだよ」


オレが人事に渡した録音データは、まだ一部だけだ

小指を折られたとき以外のデータも編集して随時送っていくつもりだった


「クビになればええんや」


「はは、そうだね、それならそれでいいかな

まぁ、もうどっちでもいいけど」


オレ自身はほんとにどうでもよかったけど、オレみたいな犠牲者がまた生まれないためにも、あの人が問題ある人物だということを人事にはしっかり把握しておいてもらいたかった


会社の話をしていたら、自宅に到着する


「ありがとうございました」


「うん、全然いいよ

Kanonちゃんはこのあとどうするの?」


「あっくんの家に荷物置いたら帰ろうと思います」


「なら、ついでに送ってくよ」


「いいんですか?」


「もちろん」


「ほなら、少し待っててください」


「りょーかい」


のんちゃんが付き添って自宅まで荷物を運んでくれる

数日分の服が入ったカバンだ


「ありがとね、3日間も、ほんとに」


「ううん、ええんや

また困ったことあったらなんでも言ってな?」


「うん、ありがと」


「じゃ、また明日ぁ」


「うん!じゃあね!また明日!」


のんちゃんを玄関で見送って、数日ぶりの我が家に踏み入れる


帰ってきたなー、あたりまえだがそんな気分だ

色々あったけど、全部結果オーライだったな、改めて振り返ってもそう思った


肉体的には怪我を負ったけど、

それ以上に精神的なトラウマが克服できたのが大きい


そして、コラボもできるし

みんなにも優しく看病してもらったし

結果オーライだ


よーし、明日からまた頑張るぞー

そう思いながら、連休最終日を楽しむことにした

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