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第9話 まだ出来ること

カチカチカチ


「、、なるほど、、こんなことが、、

ふむふむ、、たしかにこれは、、」


深夜3:00


オレはひとりごとを呟きながらYouTubeで動画を見ていた

あの日以来、ひまちゃんから連絡は来ていない


こと様に


上手く励ませなかったです


とだけ報告し


そうですか、、


という返信があってから、こと様ともやり取りはしていなかった


そんなオレは晴れて自由の身

難しいことに関わらなくてもいいのだ

ハッピーハッピー


、、、とはいかない


ひまちゃんの悲しそうな顔をずっと思い出している


なにをやってしまったのか


必死に思い出して


まだなにかやれないのか


必死に考えるのだ


少なくともそれぐらいは出来るはずだ

翌朝


ピピピピピッ


何度目かのアラームを聞いてスマホを手に取る


「や、やべぇ、、そろそろ起きないと会社遅れる、、」


深夜まで動画を見ていたツケがまわっていた

重い身体を持ち上げてなんとか会社に行く準備をする

こんな生活もそろそろ1週間だ


仕事に影響が出るかもしれない

わかっているけど、やめることはできなかった


「おはよう新井くん

ねむそーだねー

寝不足かい?」


「おはようございます、、

ちょっとこの前の企画のことで考えごとをしていて、、」


ウソである

ウソでないのだが、ここ1週間に限っていえばウソである


2週間前、うちの会社のお菓子とVTuberのコラボ企画を提案したのだが、見事に玉砕

でも諦めてはいなかった

どうすればコラボが成立するか頭を悩ませつづけている


ひまちゃんとの一件がある前までは


「おーそうかい

そりゃ熱心なことだね

まぁでもムリは禁物だよ

企画なんて気長にやるもんだよ、気長にね」


「はい、ありがとうございます、、」


後ろめたい気持ちを隠しつつ、オレは今日の仕事に手をつけた


ひまちゃんのチャンネルの勢いは止まらず、グングンと登録者数を伸ばしていた

現時点で98万人

月末までには100万人をこえるペースだ


そのあと1週間ほどで記念ライブが開催されるとすると、引退宣言までの猶予は3週間くらいしかない


ここが正念場である


そう逆算して

今晩もオレは動画を漁りつづけている

2週間後


「、、おいおい、新井くん、、

さすがに顔色わるすぎだろ、、

どうかしたのかい?」


「い、いえ、、大丈夫です

元気バリバリです、、」


「いや、どこがだよ

、、仕事つらいなら、考えようか?」


「いえ!仕事は問題ありません!

やりがいあります!」


唐突にハキハキ話すオレを怪訝そうに見ながら先輩は


「う〜む?」


と呟く


「じゃあプライベートのことってことでイイかい?」


「はい、、その通りです

すみません、、」


流石に職場で迷惑をかけてまでウソをつくわけにいかなかった

実際、いつもはやらない小さなミスが増えてきている


「そうかい、なら深くは聞かないけど

その問題は解決する目処はあるのかい?」


「おそらく、、あと1週間後には、、なにかしらの結論が出ます、、」


そう、昨日ひまちゃんは登録者100万人を達成

記念ライブの日取りが1週間後と発表されたのだ


だから、良くも悪くもそのときに決着はつく


「、、、わかった、じゃあ今週は様子を見よう

来週もそんな顔してたら、もう一度話そう

こっちは上司なんだ、頼ってくれて構わない」


「はい、、ありがとう、、ございます」


とても申し訳ない気持ちでいっぱいである

今の職場には上司にも恵まれ、ほとんど不満がない

迷惑をかけたくない気持ちは強いが、それ以上に強い気持ちが優ってしまっているのが現状だ


先輩のいう顔色が悪いらしいオレは1週間以内に自分に何ができるのか考えながら、今日の仕事をやりはじめた

3日後


ひまちゃんの記念ライブは日曜日、3日後に迫っていた


今晩もオレは動画を見漁っている


「、、いや、、そうじゃない、、

でも、、」


かなり焦りのある中ブツブツと独り言を呟く

ひまちゃんはこの4年間ずっと頑張っていた

弱音を吐かずにずっとだ


でも裏ではスタッフや同僚にやめたいかも、と相談をしていた

その度、辞めないでほしい、がんばろう、と支えてもらって、今も続けている

ホントにリスナーには弱音を吐かなかったのか?


そう思い、ずっと過去の動画を見続けていた

そうすると、ひまちゃんが大変なとき、ある一言を言ってることに気づく

あのとき、観覧車でも言っていた言葉


「これだよな、、」


ひまちゃんからのSOS

そこまでは結構前に気付けていた

でも、だからといって、ひまちゃんになんて言えばイイのかは分からない


どうすれば、辞めないでもらえるのか

思考がループする

そもそもひまちゃんはなんのために動画配信をはじめたのか


デビュー当初から、自分が楽しいところを見てみんなも楽しんでほしい

元気になってほしい

と言い続けている


それが行動原理なのだろう


「ん?だとしたら、、?

、、、そうか!」


もしかしたら、すごく単純なことだったのかもしれない

そう思い、あわててスマホを手に取る

ひまちゃんにメッセージを送ろうとするが、その指がとまってしまう


数日前に送ったメッセージに今しがた返信があったからだ



土曜日に少しでも良いので、会ってもらえませんか?

30分とかでもいいので


ん〜ちょっといまは忙しいかなっ

ごめんね



いつものひまちゃんとは違う

シンプルな文体であった


オレは嫌われたのだ

そう確信し落ち込んでしまう


いやいや!そうじゃない!


スマホを放り投げる


カチカチカチ


会ってもらえなくても何かできるはずだ

ひまちゃんのチャンネルをひらいて、概要タブを確認する


ファンレターはココまで

 東京都台東区上野5丁目DCビル5階ディメコネ事業部


「ここだ、、」


なにをやるか決心してオレはペンを取った

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