二小節目:意図
二小節目
午前の授業が終わり、昼休みに入っていた。
俺は秋霖と共に弁当を食べていた。
「なあ梅霖、俺の路上ライブに小雨さんが来てくれるとかって咲愛が言ってたが、本当か?」
秋霖が聞いてきた。そりゃびっくりするよな。話したことないやつがいきなり行きたいとか言い始めるんだもんな。
「ああ本当だ」
でもやっぱり今まで話しかけてきたこと、一度もなかったのに、今日いきなり話しかけてくるなんて、何か裏がありそうだ。それか、俺が考えすぎなだけか?ただ行きたかっただけなのか?
うーん。
読めん。
「梅霖、そんなに考え込まなくてもいい。ただ単純に行きたかっただけなんじゃないのか?俺、人が1人でも多く来てくれた方が嬉しいし、小雨さんも行きたいって言ってることなんだし、連れて行こうぜ?」
「それもそうか」
「ねえあなたたち、私がどうかした?」
キャーーーーーーーーーーーーーー!まさかの小雨本人登場!どんなホラゲーよりも怖かったぞ今。
「べべべべべ、別にどうもしてねぇよ。安心しろ小雨。な、秋霖?」
「おう!ただ小雨さんが来てくれるなんて嬉しいなって話していたんだ」
おお、秋霖!ナイスフォロー!
「そう。ならよかったわ。楽しみにしてるわね、秋霖君?梅霖君は覚悟しておいて♡」
きゃあああああああああああああ怖ああああああああああい!
言葉の原爆を俺たちに投下して、小雨はその場を去った。
「なあ梅霖、お前いつから小雨さんに気に入られたんだ?しかもお前、小雨さんのこと呼び捨てで呼んでたし、お前やるなぁ」
ねぇねぇ秋霖君、怖いこと言わないで?あの人に気に入られたら俺の勘だが、とってもやばい気がするから。
「別に。気に入られてるわけではない……と思いたい。呼び捨てに関しては、俺、同級生にはみんなに呼び捨てで呼んでるし」
「はっはっは。気に入られてるわけではないと思いたいって。いいじゃないか。小雨さん、見た目は清楚系で黒髪ロング、お前そういうの好きじゃなかったか?」
まあ確かに、清楚系黒髪ロングは大好きではあるが…
「小雨さん、いい匂いもするじゃないか」
おい、秋霖も判断基準匂いかよ!俺と同じやん!
さすが生まれた頃からずっと一緒なだけあるわ。
「まあいいや。あのさ梅霖、俺このあと学校帰りに立川駅北口のデッキで今週末新宿でやるやつのリハーサルがてらライブするんだが、来てくれるか?」
「おお!俺、秋霖のライブに行きたいと思ってたんだ!行く行く!」
「じゃあ付き添いよろしくな!」
「おう!」
こうして昼休みが終わり、午後の授業も終えて、立川駅へと向かった。