大人になって見た現実
今を生きる人々へ。
私は…私は、空虚だ。
書き出しを考え、指が止まった。キーボードを叩く指が止まり、自身の心境を訥々と語ることでしか指が動かないのだ。
私はそう、空虚なのだ。何もない、空っぽな人間だ。周りの、数多の人間を見ていて思う。自分のような紛い物が生きている意味はあるのか、生きていいのか、そんなことばかりを思う。
私は今、職に就いていない。ただの無職だ。実家に寄生しているだけの無職だ。
どうして無職になったのか。そんなものはどうでもいいだろう。
ただ、ただ単に人と上手くやっていけなかった。それだけのことだ。失敗して失敗して。体も心も壊してこの有様さ。ついさっきも、苦しくて虚しくて、腹切りをしてしまった。
腹切りなんて、本当に馬鹿なんだろうなとは思う。
自傷行為、よく言われるのはリストカットだろうが、私は違った。いや、違くはないか。実際に腕は一度二度、三度は切った。手首ではないが、それでもよく目立つ位置だ。深く切ってしまったときに傷跡が残り、腕はよくないと思った。だから腹だ。腹なら目立たない。そうだろう?
私は馬鹿だ。愚かだ。勝手に傷ついて勝手に自分を貶めて、すべて自分自身の中で起きていることだから馬鹿としか言いようがない。
苦しいから、息苦しいから。気持ち悪さを誤魔化すために自分の体を傷つけた。傷つけ続けている。
毎日ではないことだけが救いかもしれない。まあ、昨日今日と続けているわけだが。その前は二、三週間は空いているからいいだろう。何が良いのかは知らない。
それより、そう。私のことだ。
私は――なんと名乗ろうか。インターネット上で使っている名前はいくつかある。それらの名前をここで使うわけにはいかない。私の作品が穢れるから、それはできない。
こんな失敗作な私でも、こんな失敗作な私だからこそ、それだけは嫌なんだ。
生まれてここまで二十余年。できたと、作ったと、何年もかけて作り上げた作品があるんだ。それ以外に何もない私の作ったものだ。私自身が汚すわけにはいかない。せめてそれだけはと、そんな思いがある。創作活動万歳!
少し、そう。少し自分のことを吐露していこうと思う。
私は、普通の人間だ。五体満足であり、五感もしっかりしている。持病はあるが、生き死に関係はない。そんな私は今、無職だ。
社会人になって早速仕事を辞めて心療内科通いなんて笑えない。だが現実だ。
つい最近、発達障害の検査を受けた。
結論から言うと、何の問題もない健常者だった。ただ、コミュニケーションや社会性に難ありとのことだ。その部分は自閉症スペクトラムレベルらしいが、それ以外はいたって普通。何の問題もない。
つまり、私はただの重度なコミュ障なだけ。
簡単なことだが、これがひどく社会では影響する。
そもそもの話をしよう。
私は対人関係の経験値が薄い。これはどこか――少し腹が痛んだ。
腹を確認すると切った腹から血が出ていた。ティッシュペーパーが血を吸って点々と赤く染まっていた。もう慣れたものだが、腹切り直後は血の量が少なくても時間経過でそこそこ出たりする。未経験者は驚くかもしれない。
話が逸れたな。戻そう。
対人関係の経験が少ないという話だった。
私が小中学生の頃から若干のいじめを受けたことは言っただろうか。言っていないか。ともかくいじめられたのだ。なぜそんなことになったのかは、ここでは書かないことにする。
身バレするからな。まあバレるものもほとんどないが。そもそも無職だしな。
そう、それでだ。そんなゴミのような幼少期を過ごした私は、人に怯えるようになった。人間と一定の距離を持つようになった。人との距離の測り方もわからない。
おそらく、無意識下で人に近づかれないようにしていたのだろう。
私の友達について説明すればわかるだろう。
高校や大学では、ごく当たり前に話す相手はいた。しかし、放課後や休日に誰かと遊んだ記憶がほとんどない。人の家に行った経験など一桁。家に人を呼んだ経験も一桁。
高校大学合わせて七年だ。七年だぞ?それで一桁だぞ。お前正気かよ。
私の交友関係の薄さは伝わっただろうか。
私と同じ程度の人間がいて、もし今も学生なら、社会人になった時人生を転げ落ちて自殺したくなることを考えてほしい。可能性の話だから重くは受け止めなくてもいいぞ。だがまあ、そんな未来もあるかもしれないなという話なだけだ。バイトでもサークルに入るでも、人生を変えようと動いてみるべきだろう。
なんだったか。もう何を言いたかったのか忘れた。
腹がちくちくと痛むからかストレスからは解放されている気がする。気が楽だ。これだよこれ。このせいで自傷行為が止まらないのだ。
薬に手を出す人の気持ちがなんとなくわかった。私は手を出さないが、安易に自傷行為はしない方がいい。これは麻薬だ。辞め時が見つからない。日常的になる。どうしようもないよ。
さて、友達がいない私が薄い交友関係を続けて大人になり、仕事を辞めたところで話が止まっていたか。
だいたい、私がどうしてこんなものを書いているかという話になるな。
最初は、遺書でも作ろうかと思った。というか少し前に書いたことはある。笑えないだろ。本物だよ。破棄したが。
つい昨日か、心療内科を受診して死にたくなったんだ。本末転倒とはこのことを言うのかもしれないが、事実そうなったのだから仕方ない。
なんだろうな。私は健常者ですけど、うつ病とかなんとかで障害者認定されるんですか?と聞いたんだよ。簡単に言うとね。
そうしたら、そういうのは行政が判断するからこっちに聞かれても、みたいなね。感じでね。どうにも言い方がきつくてな。そう、言い方がきつかったんだよなぁ。よくわからないから聞いてみて、強く返されて死にたくなった。現実に直面したのかな。わからない。
なんにしても、きつくて辛くて、歩きながらたくさん泣いた。泣いて泣いて、死に方を考えたりした。ほら、信号のない横断歩道ってあるだろ?あれ、車が止まらないこと多いじゃないか。というよりほとんど止まらないよな。そこで、ふ、っと足を踏み出したら死ぬのかなとか考えてな。泣きながら考えて、死にたいなぁって考えて、でも踏み出せないんだよ。
どうしてかって。聞くよな。今の私と同じように思ったことがある人は、そう思うよな。
母親に言われたんだよ。私より先に死なないでって。
どうしても、どうしてもそれがフラッシュバックするんだ。脳裏によぎるんだよ。母親の顔が、言葉がさ。
私は母さんが好きだよ。だからなんだろうな。こんなくだらない私でも、育ててくれたから。だから最後の最後で裏切れないと思うんだ。
母さんが今の私の楔だ。
結局の話、自殺したいけどやりきれない意気地なしっていうのが今の私だ。
そもそも、働かないで生きていけるなら死にたくなんかないが。
だいたいなんで死にたいかって話だよ。
単純にはそう、今が苦しく、ずっと苦しかった人生なんだしこれからも苦しむだろう。現に今がそうだからな。ならさっさと死んで楽になりたい。これが本質だ。
仕事一つ上手くやれない出来損ない。当たり前ができない自分。上手くいかない苛立ち。これからへの絶望感。そういったものすべて含めての自殺衝動なんだろうと思う。
我ながら、自分の客観視はよくできている。
どうでもいいことだが、血を舐めるとぞくりと背筋が震えて気がまぎれることに気づいた。
今し方、私の腹に一本の線が増えたことをここに述べておこう。
今日はなかなかひどいな。自分でも思う。精神の不安定さが尋常じゃない。こうして、過去を振り返って自分を見つめ直すとこうなるんだよな。そもそも現実を見ようとするとすぐ腹切り衝動に襲われたりするから笑えないわ。
それでも、今日は一つ進歩があった。昨日医者から聞いた話で、市の方に電話したんだ。それで、精神障害者保健福祉手帳、の申請について聞いたんだよ。そしたら、朝から夕方までの間に来てくれとのことで来週にでも行こうと思う。
ふと、視線を下げたら自分の腹が傷だらけで一瞬びびった。
軽く見ても二十本以上の赤線がある。痛いけど少し気が楽になる。気がまぎれるんだよ。これは本当にね。
手帳の申請は市でもらった紙を医師に渡して書いてもらう必要があるらしいんだが、次に医者と会うのは来月の末だ。そう予約したからな。
どうするか少し考えた。一か月は長い。もっと早めてもいいんじゃないかって。そもそも申請が通るかすらわからないし、通らなかったらどうするんだって話だよな。でも、今はその点は考えないことにした。そこまで考えたら鬱になるから。というか今も鬱だったな。ははは。
というわけで。
ひとまず来週は手帳申請の説明や書類入手に行く。
一か月後までの間に、普通に転職活動してみる。これが一般人としての最後の活動だ。これで就職すrかどうかはわからないが、まあ活動はする。今もちょっと調べたり受けたりはしているからな。
手帳が手に入ったら、障害者として仕事探しだ。
手に入らなかったら…死ぬか?冗談だよ。まあ本当に死ぬかもしれんが。母さんが突然死とかしたら本当に後追いするかもしれんなぁ。
ともかく、手に入らないときのことは考えないようにしておこう。ただでさえ自傷行為祭りなのに、これ以上ひどくなるのはよくない。さすがの私でも、腹にナイフ刺したりとかでぽっくり死んだりとかはしたくないからな。切る程度でストレス解消になっている今がぎりぎりだよ。
おおよそ言いたいことは言えたか。
これを読んだ人に言いたいことは、まず私のようにならないこと。
学生諸君は、特に幼少期にいじめなんて受けた人たちは気を付けること。対人能力が低いとこうなる、というものの一例が私だからな。まあ、職場のパワハラや人間関係もあるから、仕事ガチャで変わるかもしれないが。
私は仕事ガチャで失敗したから。就職活動を真面目にやったつもりだが、他より劣っている分そのあたりの理解が薄かったんだろうというのはある。噓をつくこともできないからなぁ、私は。嘘つきたくないだろ?だって。
読み手がいるかどうかは知らないが、ちゃんと働いて生きている人は、私のような人間も世の中にいると思って嘲笑ってくれ。
くだらねえと思ってくれていい。もしくは、自分の職場にもこんな切羽詰まったやつがいるかもと思ってくれてもいい。そういないとは思うがな。
精神科医とかいたら、私の現状にアドバイスでもください。医者変えろとか、病院行けとか、そういうのでもいいので。
この独り言染みた語りは、次があるかどうか私にもわからない。
ひとまず連載にしておこう。ただ、次があるか知らないから完結にしておくよ。
切った腹が痛むぜ。だがこれがストレス解消だ。
ま、世の中私みたいにもがいて生きているやつもいるってことを伝えたかったんだよ、きっと。私にもわからないけどさ。
精一杯生きるとか、そんなことは言わないよ。死にたいからね。でも死ぬ、とも言わない。死ねないからね。
むしろ生きたいからなぁ、たぶん本当は。理由はないけど。苦しくないならそりゃ生きたいよ。矛盾してるのかしてないのか。よくわからない。
そろそろ文章が雑になってきたし、ここらで終わりにしておこう。
次があるかもわからないエッセイのような私の話。終わりです。
いつの日か、私も生きることに苦しみを覚えなくて済むようになれたらいいな。