2 魔女の村!!
私、セーナは魔女の村へ足を踏み入れた。
その瞬間2体のゴーレムが現れる。
「シンニュウシャ、ハイジョ。」
「え?」
ゴーレムが襲いかかってくるのを私は必死に避けた。
奥には怯えている魔女達がいるから
何かあったのか
単純に外からの侵入者に怯えているかのどちらかだろう。
私は声を張り上げた。
「私は魔女よ!
それも薬に精通している魔女!どんな病も怪我も治せるわ!
貴女達が私には何かあるように見える!
同じ魔女どうしだし私に出来ることなら協力する!」
これが通じるかは賭けだった。
信用してもらえるようにステータスの種族と職業を皆に表示する。
すると信用してもらえたのかゴーレムの動きが止まった。
奥からはカタカタと震えながら一人の魔女が歩いてくる。
事情を話すのだろうか。
私は出来る限り優しい笑顔を浮かべて近寄った。
「···どうしたの?」
「魔女女王様が目を覚まさないの。
外から来た人型モンスターの攻撃を食らってからなの。
それから魔力を吸収して育つ果実も野菜も育たなくなって···
どうしよう···!私達は山奥にいるから食べるものがもうないの。
ねぇ。貴女が本当に薬師で、どんな病も怪我も治せるなら
魔女女王様を助けて···!」
「···!」
これがNPCなのは分かってる。
でも、心から怯えきった、最後の希望に全てをかけているような
目を見ると私はほっとけなんて出来なかった。
助けられないかもしれない。
見殺しにするかもしれない。
でも、
笑え。
安心させるような笑みを浮かべろ。
怯えたなら、怖がったなら誰だって安心して任せられないだろう。
私は自信に溢れた笑みを浮かべた。
「大丈夫よ、私がやるもの。助けられないわけがないわ。」
「!!····お願い。」
「えぇ、安心して。魔女女王は必ず目を覚ます。」
《クエスト 魔女女王の救助 を受けました。》
あぁ、これはクエストなのか。
でもやりとげて見せる。やって見せる。
その為には私はまず魔女女王の場所へ行かないと。
「私を魔女女王の場所へ案内して。」
「えぇ!」
私は魔女の子の箒に乗った。
前にいる魔女はふっと力を込めるとふわりととんで
村の中心にある大きな大木まで飛んだ。
そこからゆっくりと下へ降りて私は地面に足をつけた。
「···この大木の中に魔女女王が眠っているわ。
·······お願い、助けてね。」
「大丈夫、大丈夫よ。私が助ける。」
魔女は泣きそうな顔を堪えてふっとまた飛んでいった。
てか、今思ったけど私めっちゃ恥ずかしい台詞はいたよな!!
なんだよ「私が助ける。」って!?
あーーーー!!!
ヤバイ。キャラがとんでもないことになったぞ。
しょうがない。今から変えてもおかしいし···
偉そうなお嬢様みたいで
サイコパスみたいな、Sみたいな感じにしよう!
良いんじゃない!
アバターが清楚儚げな奴だからギャップある!!
私は投げやりに考えて大木にある大きな扉を開けた。
中には螺旋階段があり、それはとても高いところまで続いていた。
どうすればいいのか考えながら螺旋階段を上る。
木の螺旋階段かギシギシと軋んだ。
大木の中でぐるぐると螺旋階段を上っていくと
さっき大木に入る時の扉なんて比にならないくらい
大きな扉があった。
5mはある大きな大きな扉。
ギィィィィという音と共に扉が開く。
中は暗く、大きな大きな部屋の真ん中に
魔女女王が豪華なベッドの上に眠っていた。
私は部屋の隅でアイテムボックスを開いて
初級ポーションのレシピを取り出す。
これは初級ポーションの作り方を知ることのできるアイテムだ。
初期装備的な感じで材料も一緒に持っていた。
初期ポーションのレシピを使用すると
どうすればいいのかが頭に浮かんでくる。
本当に凄い技術だ。
私は思い付くままに魔法を発動させる。
「ポーション製作台製作。」
MPを1消費して使うことのできるポーション製作台製作。
ポーション製作台は大釜のような形をしていて少し圧倒された。
そこに初期装備として入っていた
初期ポーションの材料···
その辺にある薬草と精霊の水を入れる。
するとゴポゴポと勝手に煮詰められ、初期ポーションが出来た···が、
私の思惑通りならこれは最高級ポーションになっている筈。
インベントリを開いてポーションを調べる。
するとやはり思ったようにただの初期ポーションが
『最高級ポーション』になっていた。
これならば助けることが出来るだろう。
私は魔女女王にポーションをかける。
すると淡い金色の光に魔女女王は包まれ目を覚ました。
「···我を助けたのはお前か。」
「えぇ。おはようございます?魔女女王様?」
「······素性を知らぬが我を目覚めさせ、助けたこと礼を言おう。
我は魔女女王グライ。」
「私は通りすがりの薬師魔女、セーナ。
よろしくしましょう?グライ様?」
「あぁ···」
「とまぁ、私の挨拶は切り上げまして。
貴女が眠ってからどんどん食べ物がなくなっているそうよ。
どうにかできないかしら?」
「造作もない。が、根本的な解決にはならないだろう。」
「根本的な解決にはならない?どういうことかしら?」
···まだ、このクエストは完了になっていない。
きっと何かやることがある。
「我を眠らせた人型モンスターだ。
あれがいる限り平和なぞ来ない。
我では倒すことなど出来なかろう。」
「だから、私に頼みたいと?」
「あぁ。我が敗北した以上魔女の村に勝てるものはいない。
見返りは用意しよう。」
「···いいでしょう。その頼み、受けるわ。」
「···礼を言う。」
私は急いで外へ出た。
森の中で毒ポーションを作って
少しだけ聞いていた位置情報の場所へ走った。
さぁ、戦闘の始まりだ。