病弱なまおうのむすめつかまえたけど、俺の手には負えないので、誰かどうにかしてください。23
昔一度通った道のりが、どうも長く辛いものに感じられるのは、歳を重ねたからか。
体力も落ちているらしく、やはり前のようには進まない。
しかしながら、年の功というのがあるのだろうか。
前よりはスムーズに戦闘を終わらせている。
時に仲間になった獣の背中に乗せてもらい進んだ。
レジーナはどうも嫌らしいが。
獣臭いのは確かだが、忌避するほどでもなかろうに。
女はどうも感覚が鋭いらしい。
それはそうと
体は感覚を取り戻し、戦うのも楽にはなってきたが。
それよりも上手くなったことがある。
それが、
食料調達である。
だてに三年間、山の中でほぼ自給自足をしてきただけあって、食べられる植物、動物の習性、等々狩りに役立つ知識はたっぷりと身につけた。
今は秋口、食べるものには困らない。
後一ヶ月もしたら、大変だろうが。
そんなこんなで、今日も魔物退治の傍ら、食料集めにいそしんでいた。
「レジーナ、そっちはどうだ。」
「キノコが沢山あるから、群生地みたい。でも、毒あるのばっかり。」
「そうか。」
杖で地面を突きながら、レジーナは呆れたようにため息を漏らす。
「なーんか、いつの間にか毒キノコと食べられるキノコの判別ができるようになっているし、恐ろしいわ。」
「生き抜くためには必要だな。」
「マルケレ、私達は食材はお店で買っていたのよ?少なくとも三年間は。」
「初めて店に行ったときは、驚いたな。」
それほど、彼等からしてみれば、その日食べるものを探さなくて良い日々は楽だった。
「良いからさっさとさが……」
探せと、言うつもりだった言葉は唇の間で凍り付いた。
驚いたから。
見たのだ、
目の前に倒れていた少女を。
一瞬、ミミィかと思った。
体の大きさが同じだったから、
ただ、彼女とは違う髪色と、その背中に生えた大きな透明な羽で、違うと分かった。
それで、良かったという想いと、
また会えなかったという落胆。
兎に角、
「レジーナ、マルケレ、こっちに来てくれ。」
「なに?食べられるキノコでもっわぁーお……、」
「………?妖精か?」
「シー!」
レジーナが口を押さえる。
一言でも喋るなということだろう。
アイコンタクトで、下がれと言われる。
言われたとおりにそっと後ろに下がり、妖精から離れた。
森を抜けた頃に、ようやくレジーナが口を開いた。
「ここまで来れば良いでしょう。」
「なんだったんだ、あれは。」
「マルケレが言ったとおり、妖精よ。」
「寝ている妖精なんて初めて見たぞ。」
「普通は寝ないわよ。妖精は、たとえば、木の中とか、妖精の世界で寝るって言われているわ。詳しくは分かってないけど。」
はぁ~、とため息をつくと、レジーナは帽子を脱ぐ、
抱えた籠を置き、座り込んだ。
「最悪、」
「そんなにか?」
「綺麗だったと思うが。」
「あのねえ、妖精の呪いについて習わなかったの?」
「習ったもなにも、俺は学校に行ってない。勇者学校とかなかったからな。」
「俺は道場に通い詰めて、学校は退学だ。」
「…………。うん。教えてあげるから知らないってことは、危ないことなのよ。でもその前に……」
肩にかけた鞄を下ろす。
「たき火をたいて、ご飯にしましょう。次期日が落ちるわ。」
「あ、ああ。」
今夜は、干し肉が主菜になりそうだ。
食後に三人でたき火を囲んだ。
いつもなら順々に睡眠をとるのだが、二十分で終わるからとお話しの時間が始まった。
「今から3000年くらい前、この世に妖精が今より多くいて、人間が少なかった頃のお話しよ。」
一人の男の人間が、森に住んでいたの。
人間は、ある日あまりの寂しさに、妖精を一匹捕まえて、一緒に暮らしてくれるよう頼み込んだ。
起きているときだと逃げられてしまうと思ったから、寝ているときにこっそり家に運び込んだ。
この頃、まだ妖精は人前でも寝ていたのよ。と言うか、この世がまだ妖精の世界だったから。
さて、連れ込まれた妖精は、承諾した。
妖精からしてみれば、人間なんて明日には死んでいる生き物だったし、悠久の命のほんの暇つぶしだった。
ただ、一つ。
人間は、寝ているときに危害を与えると分かったから、寝ているところだけは見ないでくれと、約束させたの。
長らく、そうした生活が続き、人間は案の定妖精に恋をした。
人間よりも色素の薄い肌も、向こうが透けて見えるくらい薄く、美しい色に輝く羽も、すみれ色の髪も、彼は愛おしくてたまらなくなった。
そこで、人間は、寝ている妖精の羽をむしり取り、髪を切っの。
勿論、妖精は激高したわ。
羽がなくなったら妖精の国には帰れないから。
妖精はその人間の首を切り取り、頭から被って人間として行き始める。
そして今でもどこかの森で人間に扮した妖精は暮らし、妖精に人間の恐ろしさを教えているのよ。
「って、話よ。」
「なんというか………」
「ほんっと、人間の男ってクズよね。」
「……それを言うために話したのか?」
「違うわよ。もう寝るわ。」
レジーナはは無し疲れたのか、自分のローブを片まで引き上げ、地面に寝転んだ。
二、三回寝返りを打つと、暫くして寝息が聞こえてきた。
マルケレも足を抱えて寝ている。
器用なもんだと感心した。
ぱきぱきと薪の弾ける音がする。
風も無く、静かな夜だった。
森の中の動物たちも息を殺しているかのように静寂が夜を支配していた。
どうも居心地御悪くて、剣を取り出すと、意味もなくカチカチと
爪で音をたてた。
***
こんにちは。まりりあです。
23話。まさかこんなに続くとは。
これは、三兄妹の~。のおまけでやるつもりで、さっさと切り上げるつもりだったのですが、
三兄妹~。より、多くの方に読んでもらえると言うね。
ありがたい限りです。
しかし、一抹の悲しさはなんでしょう。
とにかく、また次回!




