病弱なまおうのむすめつかまえたけど、俺の手には負えないので、誰かどうにかしてください。21
嫌な予感は、良く当たる。
良い予感は当たらないのに。
女の勘ってやつは、意外と使えないものらしい。
なんて、思いながら、魔王城に急いでいた。
思ったより、話し合いが長引いた。
うっすら感じる異物感。
誰かの気配。
いや、知っている。
知っている気配だ。一度あったことのある。
「っ……あの子か!!」
少し前、森の中で出会った少女。
あの気配だ。
敵意は感じなかったから、大人しく返した。
でも、どうだろう。
その気配は城の奥深くから感じる。
何かあったのではないかと気が気でなかった。
自分のテリトリーを荒されるのは誰だっていやなものだろう。
「ただいま戻りました!」
勢いよく扉を開けた先には、紅茶の香りが満ち満ちていた。
唖然とした。
「あっ!お帰り~。」
「戻ったか。」
「ええ。長くなりまして申し訳ありません。ですが………何があったのですか?」
思わず聞かずにはいられなかった。
だって、
三人でお茶の時間ですか?
私の秘蔵のクッキーを持ちだして。
血入りじゃなくて、がっかりしてたやつなんで、別にいいのですが。
でも、これは。
暢気にお茶のみしてる場合なのかしら?
「あの……失礼ですが、どのようなご用件で?」
とにかく、少女に話し掛けてみた。
こくんとのどを鳴らして、口の紅茶の呑み込むと、少女は口を開いた。
「ちょっと、魔王になりに来ました。」
「そうですか。」
………。
冷静ですよ。私は。
至って冷静です。
たとえ、この少女が魔王の座をいただきに来たとか意味分からないことを言っていたとしても、
冷静ですよ。
……。
「アルマデス様。少々よろしいですか。どういうことですか?」
「とにかく、敵意は感じなかった。話し合いに来たとのことだったからな。」
「なるほど……。」
納得……納得?
「納得できません!敵意はないって!魔王の座を狙っていることこそ敵意じゃ…」
「チェスタうるさい~。座りなよ。」
「アルジェ!あなたには警備を言い伝えていたはずです。侵入者はきちんと対処しろとあれほど、」
「侵入者じゃなくて、お客さん。だからこうしておもてなししているの。」
「なに言ってるの?」
少女をきっと睨む。
困ったように肩をすくめていた。
「信じてもらえませんか?」
「信じられると思うの?」
「いいえ、思いません。ですから、信じてもらうまで丁寧に話すつもりです。」
「……チェスタ。座りなさい。三人で話を聞こう。」
「アルマデス様…、分かりました。」
諭すように言われては、どうすることも出来ない、
仕方なく開いているアルマデス様の左隣のイスに座る。
「話を聞こうか。」
口を開いた少女の話に唖然となった。
「私は、魔王になりにここに来ました。どうか、私を魔王にしてください。」
「っ……あのねえ…」
「チェスタ。」
「……すみません。」
思わず腰を上げたチェスタを宥める。
ここは、静かに聞くべきだ。
「実権を握りたいといっているわけではありません、お飾りで良い、その座に座らせてくれれば良いのです。」
「其れに、意味があるとは思えないが。」
「此方にも、わけがあるのです、私は魔王になって、それから殺されなくてはいけません。勇者に。」
「へ~!意外!」
「そうですね。そちらとしても、私を矢面に立てて、面倒くさい敵から身を守れると思ってください。」
「ふん。雑魚どもや勇者にアルマデス様が負けると?」
「雑魚は知らないけれど、勇者は強いですよ?三年前、前魔王を倒した者です。」
「そのものが来ると?」
「来るでしょう。人の町に居たとき、面識があります。」
「…………。」
チェスタは考えていた。
これ以上ない誘いだが、彼女が人間の差し向けた罠でないとなぜ言い切れる?
人間は弱いくせに頭が切れる。
面倒くさい生き物だ。
さて、ここで彼女の手を取るべきか、将又こっぴどくたたき落とすべきか。
隣で静かに話を聞く自分の大将に判断を委ねることにした。
静かに口を開く。
息を吐いた。
その小さな動作の一つ一つをここにいる全員が息を殺して見守っていた。
やがて、アルマデスはカップをチェスタに差し出した。
そのカップをじっと見るチェスタ。
「チェスタ。お代わりだ。」
「え……あ、はい。」
一瞬よく分からないような顔をした後、求められた紅茶の代わりをつぐ。
「さて、君の話を飲もう。しかし、君は本当に操り人形でいいのか?」
「かまいませんわ。」
「じゃあ、交渉成立だ。おめでとう、君が今から魔王だ。」
「ありがとうございます。」
机を挟んで笑い合う二人。
チェスタはこの先どうなるのか全く見当もつかなかった。
***
こんにちは。
お昼寝をしすぎて、夜眠れないまりりあです。
なんでですかね?夜寝れないからお昼寝しちゃう、お昼寝するから夜眠れない。最悪の無限ループ。
お昼寝をしなければ良いだけですけど、睡魔には勝てな……い……zzz……。
また次回。




