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病弱なまおうのむすめつかまえたけど、俺の手には負えないので、誰かどうにかしてください。 10

頬に飛んだ血を拭った。

魔族の血は赤、緑、青と様々だが、此奴らガーゴイルの血の色は美しい灰色だった。

好きだなぁ~と思い、ペロッとなめる。

味は、そんなに美味しくなかった。

「う~ん。あんまり美味しくないかもぉ。」

「当たり前だ。上手かったらお前は吸血鬼だと言うことだ。」

アルマデスさんが此方を睨んでくる。

はいはい、と適当な相づちを打ちながら私はまた一体向かってくる敵の首を引き裂いた。

輝く光が飛んで裂いて戻ってくる。

灰色の血では汚し尽くせないほどの輝きが私には寄り添ってくれている。

この子達も、死体が積まれれば自然の取り分が増える。

人間も化け物も増えすぎているため、これらが生き物に牙を剥くのは自然の摂理であった。

「アルジェ、ピクシーは今日も軽快だな。」

「うん、そうだねぇ。皆喜んでるよぉ。」

チカチカと点滅するそれらは、摂理の均等が保たれるまで止まることはない。

自然がために溜めている鬱憤を晴らす者達なのだ。

これでも、自然の鬱憤がたまり、大災害が起きることを防ぐなど、まあ、良い点はある。

それは私にとっての良い点であって、今目の前で倒されている彼等にとっては違うだろうが。

「アルマデスさん。此奴ら倒してどうするの?」

「此奴らは今魔王の座を狙って起きている戦いの一画を統べる者達だ。三年の間、何十もの族達が戦っては破れ、潰れ、勝ち残った五つの組が勢力を伸ばしている。そのうち二つ、こことレイスはもう直ぐ消える。残るはバンパイヤ、グール、そして、オオカミたちだ。」

「ふ~ん。私があんなところに居る間に、そんなことになっていようとはぁ。」

「まあな。さて、おしゃべりはそろそろ終わりだ。」

「おお……。援軍キターー!」

勿論、相手方のである。

なのにもかかわらず、アルジェは大きな歓声を上げた。

「敵が増えた……と言うことだが?」

「違うぅ~。たっくさん美味しい子達が来てくれたってことぉ!ガーゴイルは土に帰りやすいからねぇ。」

「そんなもんか?」

「うん!美味しいらしいよ?彼等からしたら。」

翼の先に浮く光が震える。

いや、楽しそうに身を震わせていると言った方が良いか。

「分からんな。しかし、俺がおうになるため、君たちのような馬鹿な種族はいらないのだよ?」

目の前にまで迫ったガーゴイルの群れを一瞥すると、アルマデスはにやりと笑った。

「屋根の上の鳥は、静かにしておかないと、スープにして食べてしまうぞ?」

「チキンスープ?大好き!カブとヤモリは入ってる?」

「ああ、特別だ、入れてやろう。」

「んん~!いっただきまぁ~す!」

アルジェは身を低くすると、軽くトンと地を蹴った。

その蹴りは大きな力を生み出し、ガーゴイルの群れに向かって一直線に飛んでいく。


「きゃはははははぁ!!おもしろぉ~い!!」

両手を振り回し、光の粒を飛ばす。

その一つが轟、切り裂き、消していく。

雷のように、鎌鼬のように。

笑い狂いながら翔少女をアルマデスは呆れたように見た。

「全く、こんな娘をよく前王は、閉じ込められた。」

「あの時は、騙されたの!美味しい料理……食べたかった…、無念だったぁ…。でも、あなたが魔王になったら、美味しいもの沢山くれるんでしょ?」

「まあな。」

「じゃあやるよ!この手が動かなくなるまで!血を啜ってあげるぅ!」

「それは、吸血鬼だ。」



一口に戦上手と言っても、様々ある。

力が強いもの、戦略がよいもの、実行力、決断力など、戦いにおいて様々な力が試される。

そして、また、逃げることも戦上手と言えよう。


「あっりゃ~。逃げてっちゃったぁ。」

「そうだな。ガーゴイルの長は聡明な方だ。」

「馬鹿とか言ってたくせにぃ~。」

「ふん。それでも俺からしてみれば、だ。」

ふ~ん、と言い。アルジェは羽を一つ羽ばたかせた。

「でもいいの?多分、あいつら他の奴らと一緒になってやってくるんじゃない?」

「………。」

驚いたようにアルジェを見るアルマデス。

その視線に気付き、不機嫌そうに顔を歪め、アルジェは吠えた。

「何よ?」

「いや、お前もたまには頭が働くのだと思って。」

「ばぁ~かにしてくれちゃてぇ!!確かに馬鹿だけどそこまでじゃないもん!」

「そうか。」

そうそう。と、言って立ち上がる。

土埃と灰色の血で汚れたドレスを一瞥すると、その場を立ち去るように振り返って歩き出す。

「どこへ?」

「さぁて、どこかなぁ~。とりあえず、水浴びできるところぉ!」




***

こんにちは。まりりあです。

ガーゴイルって魔族?

知らないですけど、まあ、同じようなものですよね?

幻獣ではあったはず。

とにかく、そこら辺はあんまり気にしないでくださいね。

んでは、次の機会に。

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