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思い写しは非可逆性  作者: 希志加丕芽
第一章 思い写し
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2、昼食は不思議な話と共に

「いらっしゃい、2名?空いてるとこにどうぞ!」

声に従いテーブル席に座る。昼食を取りに入ったラーメン屋は活気に満ちており、所々でざわざわとしている。ここなら多少変なことを話しても誰も気に留めないだろう、実治は話を切り出す。

「涼、君は今日、どうやって僕のノートに昼食を誘うという内容を書いたんだ?」

メニューを見ていた涼はまるで意味がわからない、とでもいうように実治の方を見返す。

「俺が世一を昼飯に誘う事がノートに書いた?しかも世一のノートに?世一、お前何言ってんだ?」


なんとなく予想はしていたが、メモは涼が書いたものではないらしい。


涼の「この優等生、ついに頭がおかしくなったか?」という言葉を無視してメモの書いてあるノートを取り出す。

「このメモはさっきの講義中に見つけたものだ。このメモには僕を昼食に誘う事が書いてある。そして今日僕を昼食に誘ったのは涼、君しかいない。」

そのメモをじっくり見た涼はまるで鳩が豆鉄砲を食ったような表情になった。

「本当だ、書いてある。不思議なこともあるもんだなぁ…。」

このメモを見るのは涼も初めてなようだ。反応からそれを察することができる。メモをどう書いたのか知りたかったのに、振り出しに戻ってしまった。

「君が書いたんじゃないのか…。」

落胆からつい言葉が漏れてしまう。それを向かいの席で聞いていた涼は励ますように声をかけた。

「何があったのかはわかんないけどさ、とりあえず飯食おうぜ!なんかあるんなら、俺も相談に乗るからさ。」

こちらのことを考えず店員を呼ぶ涼の声を聞き、焦ってメニューを開く。だが心の中ではメモのことが引っかかったままだった。



「そういえば世一知ってるか?最近この辺りで誘拐事件が連続してるらしいぜ。」

取り留めのない話をしていた涼が急に真顔になって話し始めた。

「誘拐…それはまた物騒な。」

急な話題転換をものともせず話についていく。


それにしても誘拐事件が連続しているとなると警察が動かないはずないだろう。それでも解決しないとは…。


実治が考えていると、話をしている涼が周りを見渡す。こちらをみている人がいないことを確認すると声を小さくして話を続けた。

「これは噂なんだけどな、誘拐された人たちはみんな死体になって発見されてるらしいんだよ…。」

ただでさえ物騒だった話が更に物騒になった。噂というものは尾鰭がつくものだ。だがいくらなんでも噂が一人歩きしすぎではないだろうか。

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