第一話 記憶
「やなぎ……!」
そう言って目が覚めた。
わたしの名前は、すぴか。
やなぎ(男の子)は、私が作り出した想像の中の友達。
といっても小さい頃に想像していただけで……
最近はもう思い出す事もほとんどなかった。
「懐かしい夢を見たな…」
私、すぴかは中学1年生。
朝起きて、学校に行き、友達とはしゃぎ、部活に行って、宿題をして、寝る。
そんな何の変化もない生活を送っていた。
[土曜日]
「またねー……」
部活が終わった午後3時。
無性に図書館に行きたくなって、自転車で家を飛び出した。
少し学校区域から離れている図書館。
知っている人と会わないから、私のお気に入りの場所。
図書館に着くと、多少荒く自転車を止めた。
推理小説が置いてある棚に向かう。
「すぴかちゃん!!!!!」
「!?」
急に声をかけられて驚く。
こんな離れている所に、知っている人が!?
振り向くと、同い年くらいの三つ編みの女の子がいた。
でも…私、こんな子知らない…
私は口を開いた。
「すみません…私は確かにすぴかだけど…
ごめん、あなたの事は知らない……」
「そう…ですか……すみません〜っ!」
そう言って三つ編みの子は去って行った。