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そして翌日、飯とかになんか仕掛けてくるかとも考えたが何もなく現在午後1:00。
あと1時間後に決闘になる俺がとった行動は……
「お兄様、見てください!お花の冠ですよ!」
リアスと遊ぶことだった。
「リアスは器用だな。俺はそういうのは出来ないからな……」
「えへへ、ありがとうございます」
全く、なんて可愛いんだ。反則級の可愛さだろう。
「お兄様は何をしているんですか?」
「ん?俺は四葉のクローバーを探しているんだ」
「四葉のクローバー?」
プチっとそこら辺にあるクローバーを抜いてリアスに見せる。
「これは普通のクローバー。3枚の葉があるだろう?で、こっちが珍しいって言われてる葉が4枚あるクローバー」
「凄いですね!何で四つ葉になるんですか?」
目をキラキラ輝かせながらリアスが聞いてくる。
……ここはどうするべきなんだろうか?本当の事を話すのかそれとも架空の事を話すのか……
「それはね、奇跡なんだよ」
「奇跡ですか?」
「ああ。クローバーが奇跡を受けるとこうやって四つの葉になるんだ」
まあ、事実を話す必要はないからな。
「お兄様は博識ですね」
関心した様だが済まない、適当に言っただけなんだ。
「アリ様、そろそろお時間です」
「ん、わかった。じゃあなリアスちょっと俺は用があるから」
するとリアスは頰を膨らませて拗ねたように言う。
「最近はお兄様シャルルに構ってばっかりで私に構ってくれません!」
「あはは、ごめんごめん。明日いっぱい遊ぼうな?」
「む〜、それでしたら良いですけど……」
どうやらこの答えは正解だったようだ。
直ぐに怒りを鎮めてくれた。
兄さんから言われた場所に着くと、そこには兄さんがいた。
いや早いな。まだ10分時間あるぞ。
「ふふふ、どうやら逃げずに来たみたいだな」
不敵に笑う兄さんを前に少しは強いのか?
と悩む俺。
「お前にはあえて言わなかったが、俺は貴族院の成績が10位なんだよ。10位の俺と魔法を使えないお前、どっちが勝つなんて目に見えてるよな?おおっと、リタイアは無しだぜ?ここまで来たんだからせっかく出し俺にぶっ倒されろよ」
貴族院で10位か……どれくらい強いのかが分からんが、まあその年齢で10番目に強いって所か?
……ふむ、まあ兄さんもポテンシャルは中々あるな。だが並より少し上くらいだぞ?それで同年代で10位か……なんか裏がありそうだが……
「それでは、もう始めますか?」
「ふん、なんだまだ勝つ気でいんのか?いいぜ、やってやろうじゃねえか。じゃあ、スタートだ!『我が風の本流の眠りしところよグギャァ』」
なんか悠長に目の前で詠唱し始めたから殴って見たけど避ける事なく吹っ飛んでった……
そして『呪文』が変な風に発動して兄さんは更に吹っ飛んだ。
「ええ……」
これには俺でもドン引きするしかねえなおい……
これはスペリオル野郎に問い詰める事はできねえな……
兄さんの方へ歩くと、目を回しながら気を失っている兄さんがいた。
「……なあシャルル、普通魔法って『呪文』完成するまでに攻撃しちゃいけないのか?」
「い、いえ。寧ろ『呪文』が完成するまでに倒せと言われていますが……」
10位って下から数えてじゃねえよな?
仕方無しに母さんを呼んでくる。
「あらあら……エアルはやんちゃねえ……」
「っは!?く、アリ!お前魔法が使えないからって殴って来たな!この卑怯者!」
「ええ……」
いや、お前俺が殴ってこないと思ってたのかよ。びっくりだわ。
「貴族院でもこんな卑怯な奴はいなかった!『呪文』を詠唱してる時に攻撃するなんて、お前はとことんクレス家の恥だな!」
いやまじか。貴族院大丈夫かよ。
「……エアル、『呪文』の最中に攻撃をするのは当たり前のことよ?」
「母さんまでそんな事を言うのですか!アリ!貴様、母さんに何をした!」
「いや、どうすれば良かったんですか?」
「もちろん、俺の魔法が完成するまで待ってそれからお前が魔法を打てば良かったんだ!相手が魔法が打てないのならば俺が打つ!そう言うルールだった!」
なるほど?
俺は魔法が打てないから自分が一方的にやれると思ってたのか。
「はぁ、それでいいですから。じゃあもう一度やりますか?」
その言葉が欲しかったのか、ニヤリと兄さんは笑う。
「じゃあ行くぞ?『我が風の本流の眠りし所よ!我が声を聞け!我が思いを見よ!我の力に応えよ!《エア・インパクト》』!」
すると、兄さんの肩から緑色の光が漏れる。
そして空気が発射される。
エア・インパクト……風属性の下級魔法だな。まあ使い手次第で中級クラスの魔法にはなるが……下級の勢いしかねえな……『呪文』挟んでるからそうもなるか。
エア・インパクトの特性は何と言っても見えないところだろう。
サーチで余裕で見えるが。
で?これ受けるしかないのか?避けるんだが……まあ受けても問題ないか。
「フン」
受けてみると、ちょっと風に押されたくらいの反発があった。
だがまあ、この程度だ。ちゃんと体を鍛えていたら吹っ飛ぶことはない。
「な!?風属性の中級魔法だぞ!?」
いや、下級だろこれ……
「じゃあ次は俺の番ですね?《エア・ボム》」
同じく下級の風魔法エア・インパクトよりも威力は高いが、範囲がいかんせん短い。まあ、あんまり使われなかった魔法だ。
「ははは、虹紋様が魔法を使えるわけギャギュプ!?」
兄さんがまたまた吹っ飛んだ。
いや、あれもちゃんと鍛えてれば吹き飛びはしない筈なんだが……
兄さんもうちょい体鍛えようぜ?前世でも体あんまし鍛えてねえ奴らいたが、それでも今のくらいは平気に耐えるぞ?
「え、嘘!?」
母さんが驚いてこっちを見てくる。
ああ、やっぱ美人だなあ……
「アリ!」
「はい?」
「あ、貴方、今魔法を!?」
「え、まあはい。使いましたけど」
「それにあの威力、上級魔法に匹敵する!それに『呪文』なしなんて……」
母さんが目ん玉出るほど驚いてるが、俺もそれどころではない。
あれが上級に匹敵?
いや、確かに俺が打つ《エア・ボム》は中級でも中クラスの威力はある。だが、上級なんかには遠く及ばない。
それなのに匹敵する?
これはまたスペリオル案件だな……
「アリ、疑いたくないのですが、魔法具などを使いましたが?」
魔法具……あー、そんなのもあったな。魔法を使ってくれるっつうアイテムだ。
持ち歩くの面倒だからんなもん使った事なんて一回もないが。
「いや、そんな物持っていませんよ。他の魔法も見せましょうか?」
「他の魔法も使えるの!?そ、そうね。ちょっとガニスを呼んでくるから待ってくれないかしら?」
ガニスとは俺の父さんの事だ。
『ガニス・クレス』少し茶色がかった金髪でなかなか男前な顔立ちをしている。兄さんは父さんに顔が似て、俺は母さんに顔が似た。それのお怪我で俺の今の顔は女っぽい。
たまに外に出るとお嬢ちゃんって言われる……はぁ、まあ前世では普通に顔だったしな、それを考えたら今の顔は文句のつけようがないから良いがな。
さて、なんて考えていると母さんが父さんを引き連れてくる。
「アリ、魔法が使えると言うのは本当か?」
「ええ、使いましょうか?」
「ああ、お願いする」
「《スプラッシュ》」
分かりやすいように水属性の中級魔法、《スプラッシュ》を打ってみる。
すると母さんも父さんもたいそう驚いたようで。
「バカな……上級魔法が使えると言うのか……」
「いえ、それよりも何故アリは魔法が使えるの……」
「父さん、母さん。これ中級魔法ですよ?」
「そんなわけであるか!(ありません!)」
お、おう……それほどまでに衰退してるのか……
結局、シャルルが魔法を見せたらまたまたびっくりして話があると言われた……
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