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「まあ、こんくらいでいいだろ」


なんとか水が汚くならない位には綺麗になった女を見る。


駄目イドの服を慎重に合うまで切って着せてみた。うーん、髪がまだボサボサで変に長いし顔も荒れてるからお世辞にも可愛いとは言えない。


しっかし目を覚まさない。


まあ体洗ってる最中に目を覚まされても困るが。


「なんか変だな……《サーチ》」


無属性の《サーチ》をつかてみると、彼女には少し特殊な魔法がかかっていることがわかる。


「んだこれ?……基本の形は睡眠だな、で?これがあるから制約がある。繋がってんのは……あ?こりゃ衰弱……ああ、そういう事か。これ衰弱すればするほど意識失う魔法なのか」


って事はこいつこのままだとこのまま死ぬな。


流石にここまでして死なれるのは勘弁だ。


適当に解除しよう。


まあ並クラスの魔法使いが掛けたんだろうが、この程じゃまだまだだな。


魔法を繋げるって技術はあるが、それはあくまで繋げるだけだ。俺のフュージョンマジックには到底及ばない。


「ま、これでいいか」


パキンと、魔法が割れる軽快な音と共に。


「ん、んん……ここ、は?」


少女は目を覚ます。


最初はキョロキョロしていたが、俺を見ると肩をビクッと震わせて距離を取る。


「おいコラガキ、助けてもらったお礼も無しにいきなり引くとは大層なご身分だな?」


「助けて……?こ、ここは?」


どうやら記憶が曖昧らしい。


まあ、外を見りゃあ思い出すだろう。


「ほら、ここは俺の家だ。お前が扉の前で倒れてたんだよ」


ガチャっと扉を開けると、少女は目を見開く。


「ここは、そうですか……私はここまで来ていたのですね……って、え?」


いきなり俺に振り返って凝視して来やがる。


この失礼な所とか銀髪とか駄目イドに似てんな。


「あ、貴方が悪魔ですか?」


そんな失礼なことを考えていたからか知らんが、向こうも失礼な事を言いやがる。


「悪魔だあ?俺の何処が悪魔か問い詰めてえなあ……」


「す、すみません!ここには悪魔が500年前から住んでいると言われていて……」


「ああ、それは俺だな」


成る程な、あいつらここが潰せないと分かるとここに近寄らないようにしたのか、クソ野郎どもめ。


「あ、あの!お願いがあります!」


思いつめた表情でこっちに迫る少女、この歳……まあ見た目8歳でこの表情出来るとか、こいつの人生やばそうだな。


「私の呪いを解いてくれませんか!」


ずっと俺の事を見つめる少女、だがまあ、その……


「それっぽいのならもう解いた。それよりも飯にすっぞ。お前これ以上喋ったら死ぬぞ」


「ふぇ?」


と、一瞬キョトンとするが、腹のかなりデカイ音が鳴ると、一瞬で顔を真っ赤に染めてこっちにくる。




冷蔵庫には非常食用のパンと粉スープがあった。



「いやー、非常食すげえな、500年前のでも食えんのか」


「か、硬かったですね……」


飯を食い終わると各々に感想を言う。


硬かった。その言葉には頷くしかない。石とあのパンどっちが食べやすい?って聞かれたら石って言うくらいには硬かった。


スープは普通だったので、スープでふやかして食べると言う感じで食った。


「で?呪いってのはなんだ?」


「そうですね……わたしにはその、偉い人がかけた呪いがあります。その呪いは衰弱すればするほど深い眠りに陥ってしまうと言う物で、私は呪いをかけられた後にこの、悪魔様が住む土地に投げ出されました」


「ああ、やっぱそれか。それならもう解いた」


すると彼女は本気で安堵したらしくふぅ吐息を吐く。


「ここじゃロクな飯はねえからなあ、本気で殺すつもりだったんだろうな」


「はい、ここに来るまで私は砂を食べたりたまたま近くにいた虫を食べたりして難を凌いでいましたが、私の力ではここから出た後にいる魔物を倒す事は不可能で、仕方なく彷徨っていたところに家が見えてきて……」


「で、俺ならその呪いが解けるんじゃねえかと踏んだわけか」


「はい……」


……話から察するに、こいつは望まれない生まれだったんだろうな。しかし公に殺すのは駄目だったから仕方なしにここに放り込んだんだろう。


呪いが弱かったのは可哀想だったからか?


しかしわからんな。


「なんでお前はそんなことになったんだ?」


すると、今度は泣きそうな顔になって……泣きながら話をした。


「私は、お母様とお父様に優しく育てられました。ヒック、けど、ック、6歳になって、ヒク、わた、私の紋様が虹色だったから、お父さんとお母さんは、冷たくなっていって、妹が生まれたら、ヒック私はもう用済みだって言われて……」


……成る程な。


「それは虹紋様は魔法が使えないからか?」


「……グス、ハイ……」


まったくもって忌々しい。どうやら虹紋様が魔法を使えないと思っているのは共通らしい。


あの『スペリオル・ウィザード』達め……自分の仕事をやっていないな?


クズだクズだと思ってたが、まさかこれ程とは思わなかった。


「お前、名前は」


「……シャルルです。シャルル……ノセア」


ノセア、聞いたことないが、まあ案の定貴族かよ。


「シャルル、お前に聞きたいことがある。魔法を使ったことはあるか?」


首を振りながらシャルルは答える。


「魔法が使えるようになったらお父様もお母様も優しくなってくれるって思って、いっぱい本とか読んで頑張ったけど……スン、出来なかった……」


……出来なかった?魔力の操作は難しいが、一年あれば魔法くらいは使えるだろう?







まさか。



「おい、答えろ。魔法の基本属性は?」


「ふぇ?火水風土聖闇……です」


「紋様の色の特徴は?」


「ええと、赤色が火属性をうまく扱えて、風属性がうまく操れない。青色が水属性をうまく操れて、火属性をうまく操れない。黄色は土属性をうまく操れて、火属性をうまく操れない。緑色は風属性がうまく操れて、土属性をうまく操れない。白色は聖属性をうまく操れて、闇属性をうまく操れない。黒色は闇属性をうまく操れて、聖属性をうまく操れない。に、虹色は……魔法を使えない」


「お前は魔法をどうやって練習した?」


「本に書いてある通りに……『呪文』を使いましたが……ヒッ!?」


どうやら俺はシャルルを睨んでいたんだろう。彼女が怯えた目で俺を見て来る。


『呪文』だぁ?『呪文』だと?


面白いくらいに怒りが湧いて来るが、全く面白くない。


呪文なんて前世でも使わなかったものだ。なんでか?喋ってたら気が散るだろうが。


最初は目をつぶって魔力を感じて魔力を練ることが重要だ。


そうすれば自分の魔力を感じることが出来るし、精密に魔力を操れる。


「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」


黙ったままの俺が怖かったのか一心不乱に謝るシャルル。よく見れば漏らしてる。


「いや、お前に怒ってるわけじゃねえ。後漏らしてる」


「……きゃあああああ!!!」


「風呂あっちな」


風呂にシャルルが行ったのでちょっと考える。


『呪文』、たしかに面倒だし、そんな事を教えてるあいつらをぶっ飛ばしたいが、それよりもなんで『呪文』ですら魔法が出ないかだ。


『呪文』ってのは所謂、いらない保護だ。


だが、確実に魔法を成功させたいなら威力が低くても構わんのなら使う人間もいるだろう。


『呪文』は確実に成功できる。それは魔力の操作が難しい虹でも威力は落ちるが、絶対に使える筈なのだ。






もしかして『呪文』をワザと改変したものを出している?

………………いやまさかな。

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