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12.5

私は『ルージュ・ペトラ』

4大公爵家の内の一つ、ペトラ家の長女だ。


そんな私が貴族院の3年生で同じ4大公爵家の一つ、リルト家の長女『リド・リルト』様に呼ばれた。


いつものお茶会だろうが……あの人と話すのは疲れる。


いつも通り部屋で何をする事もなく居たいのだが、それも叶わないのだろう。


そしてリド様に呼ばれた場所に来る。


ドアを4回ノックすると。


「どうぞ」


やんわりとした声が聞こえる。


「失礼します」


断りを入れて中に入ると、青い髪に青い目をした美女がいた。


周りにメイドもいないし、二人だけの会話という事だろうか?


おや、サンドウィッチがある。


「久しぶりですね。私は長期休暇の時にしかルージュに会いに行けないから」


「いいえ、私などに気を遣わなくても」


「ふふ、相変わらずですね。ご飯は済ませましたか?」


「いえ、まだですけど」


「ではこのサンドウィッチを頂きましょう」


そう言ってサンドウィッチを手に伸ばすリド様。


私も食べてみるが……!!お、美味しい!


「凄いですね、これほどの物は食べたことがありません。素晴らしいシェフをお持ちのようで」


「ふふふ、ルージュもそう思うのね?私って自分で作っているイメージが無いのかしら?」


「もしかしてリド様が作ったのですか!?……ルージュ“も”?」


これほどの物を作れるリド様に驚愕し、そしてリド様の手料理を食べた物がいることに驚く。


誰だろうか?


公爵家であるリド様の物を食べるとか、まあ考えられるのは侯爵の人間だろうか?


「ええ、面白い子だったわよ。私が声をかけても道端の石ころみたいに話しかけて来るものですから」


「いえ、それは無いでしょう。公爵家である貴方をその様に扱う人間なんておりませんよ」


いるとしたらただの馬鹿だ。


「そうですか?私が話しかけた時とか『ああ、なんか来たな。話すの面倒いしさっさとどっか行こ』という雰囲気だったんですよ」


「それって、多分リド様が公爵家だと知りませんよね?」


「ええ、それで私少しムキになって食べませんか?と誘った訳ですよ」


成る程、存外負けず嫌いのこの人だしあり得ない話ではない。


「そしたらその人はかなり驚いたでしょうね!このような美味しいサンドウィッチが有ったのかと!」


「いえ、一言『あ、美味い』と言っただけでした。その後『これどこで買ったんですか?』と言われました。まるで、このくらいの味なら毎日食べているような感じでしたね……自信作だったのですが」


……その男実は味覚がおかしいのでは無いだろうか?


いや、リド様を見ても何も思わなかったそうだし頭がおかしいのか。


「そうですか、名前は分かるのですか?」


「はい、もう調べましたから。とっても簡単に発見できましたよ」


?そんなに簡単だったのか。


「その人は虹紋様だそうです」


ああ、それは簡単だ。

この学校に虹紋様の生徒など一人しかいない。


「『アリ・クレス』ですね」


第一印象は不思議な人間だろうか。

決して背伸びをせずに身の丈にあった服を着てテストでは私と同じく満点。

虹紋様なのにそれを臆する事なく宣言している。


まあ、授業態度は良く無いが、あのテストで満点なら今の授業でやることは無いだろうな。


「ええ、それでお願いなのだけれど……その子とまた会いたいのだけれど、なんとかしてくれるかしら?」


……リド様はいつも無茶を仰る……



翌日、彼は変な間違い方をした。

テストでも出なかったくらい簡単な問題を間違えたのだ。


魔法は下から順に下級、中級、上級、超上級、スペリオル級と分かれている。


まあ、大した間違いでは無いので良いのだろうが。




そして私は彼に驚愕した。


模擬戦、彼は対戦相手の……確か伯爵家の人間を思いっきり吹き飛ばした。


卑怯だと言われてもまるで臆せずに。


あの目を知っている。お父様がたまになる目だ。


完全な強者の目。


お父様はこれは長い年月をかけて磨かれるものだと言っていた。


それを目の前の私と同じ年の子供がしていた。


その後呪文が暴発したことにより伯爵家の男の子はリタイアして、誰も彼に戦いを挑まなくなった。


「さあ!他に誰か俺とやらない?確か俺とやりたいって言ってた人まだいたよね?」


ワザとらしく言ってくる。が、勿論誰も行かない。


……感じてみたくなった。強者と戦うとはどういう事かを。


そう思い私は対戦を申し込んだ。


結果は惨敗だった。


私の曲がる技もまるで知っていたかのようにか躱されいつのまにか後ろにいた彼に組み伏せられた。


一度彼の蹴りを躱せたが、それだけだ。


そして避けた時、彼の目を見た。


目を見た瞬間に私は死ぬと思った。


彼の目には重い何かがあった。


そして惨敗。


しかも彼は私の名前すら知らなかったという。


そして私は、彼に気に入られたようだった。




さて、彼の実力はわかったが、それとリド様の依頼は別だ。


どうやって誘おうかと考えていると……


「おい、そこのストーカー」


完璧に尾行をしていたはずなのにバレた!?


慌てて茂みに隠れるが。


「いや、バレてんに決まってんだろ。ルージュ」


っく、指名されては逃れることは不可能だ。


「っく、その……良い天気だな!」


何故これが出たんだ私!?

いや、奇跡的にバカで騙されてくれる可能性も!


「そうだな。で?なんかようか?」


だろうな!

いや、これは正直に言った方がいいんじゃ無いか?しかし、リド様の名前を勝手に使うと何をされるかわからないし……!


「い、いや。用というか……い、一緒にご飯を食べないかと誘いにきたんだが……」


これなら嘘を言っていない!さあどうだ!


「別に良いが、俺はまだどこで食うか考えてねえぞ?」


よし!引っかかった!


「そうか……そうだ。先輩から聞いてる良いところがあるんだ。そこにいかないか?」


「あん?別に良いけど、近いのか?」


よし、これで大丈夫だろう。……でだ。気になっているんだが……


「近いが……きみ、どうしてそんな口調なんだ?もっと普段は普通だろう?」


そう、彼は普段はもっと貴族のような口調だ。決してこの様なゴロツキのような喋り方では無い。


「これが自でね。一回この喋り方見せたしな。もうお前には偽る必要ねえだろ?」


そういうものなのか?よくわからないが……


「そうか?まあいい。ついて来てくれ」






よし!これで連れてこられた!私の任務も達成だ!


「こうも当たるとはな」


流石にどこへ行っているか分かってはいたようだな。


「どうした?」


無論私はとぼける。


「あら?久しぶりですね」


そしてリド様が来る!ふふふ、完璧だ!これで私はリド様から解放される!

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