材料集め
「おはよ〜」
今日も私は誰かに向かっておはようと言う。
もしかしたら私なのかも?
寝ぼけてるからなのか、元からなのか分からないけど、そんな変な事を考えながら、私は家から出た。
今日はいつもと同じ時間に起きたようで、家の前にはルルちゃんがいた。
「おはようございます、村長。何かいい案は浮かびましたか?」
ルルちゃんにそう聞かれて、私は「うーん」と言った。
一応考えたんだけどさ〜、この案しか浮かばなかったんだよね。
「いやぁ、ここの近くの森の木って切っちゃいけないのかなぁって思って。」
私が言っている意味は、私の世界に着てみないと分からないと思うんだけど、いつも材料班が取りに行ってる所は、森の中にある、柵に囲まれてる所なのね。
で、その周りにも一応木はあるんだけど・・・。
私の村の周りにも木はあるんだよね。
でも、そこの木を取らないのは何でだろう?って思ったわけ。
まあ、切り株だけ貰えればいいし・・・。
「・・・無理だと思います。」
「ええ?!なんで〜?」
私がちょっとうなだれながら聞くと、
「・・・指定の場所以外で木を伐採したり、洞窟探検を勝手に行ったりするのはいけないんです。」
と言った。
ふむ。
「まあ、きちんと言うと、自殺行為ですね。」
ええ?!自殺行為?!
「・・・村長がビックリしている顔をしているので言いますが、私の村が襲われたとおりこの世界にはモンスターがいます。」
そうだね。
私も現実世界でファインクラフトオンラインやってたから、それ位は分かるけど・・・。
「私たちは、戦っても勝てない相手なので自殺行為になりますね。まあ、国に連行されるでしょう。」
そっか〜・・・。
「えっと、じゃあどうすれば村の周りの木を切れるのかな?」
ルルちゃんは少し考えて、
「・・・そうですね。国に申請すればいいと思います。ですが、国に行くまで2日はかかるかと・・・。」
と言った。
国に申請か〜。
ところで、国ってなんだ?
「ええと、国ってなんのこと?」
ルルちゃんにそう聞くと、ルルちゃんはふか〜いため息をついた。
「・・・国は、この地区をまとめている所です。なので、何かを申請する時はその地区の国に行けばいいし、連行されるのもきっと国でしょう。」
うーん・・・。
切り株は必要なんだけどなぁ・・・。
まあ、今回はしょうがないか。
国に申請するだけで、4日以上かかるし・・・。
その間に倉庫が作り終わる気もするんだよね。
「うん、今回はしょうがないね!皆で分担してやるしかない。」
私がそう言うと、ルルちゃんもうなづいた。
「そうですね。それが一番いい案かと。」
私たちがずっと話していると、よほど長かったのか、建設班の皆が私たちを呼びに来た。
「おーい」「村長どうしたの?」「もう、しっかりしてよ」
皆が私に声をかける。
「ごめんごめん!皆、切り株は取れそうにないから、一つだけ使ってやろうと思うの!」
私が考えてる事は、1人が切り株の所にいる。
そして、もう1人が木を切り株の所に持っていく。
残りの2人は、最初は木を持っていくのと、切り株の所にいる1人と交代しながら割ってもらう。
私が皆にその事を説明すると、ダリク君が前に出て、
「俺が切り株の所にいるよ。聞いたところ、1番力を使いそうだしな。」
おお!ありがたい!確かに、残りの2人には木材が集まってきたら建設・・・まあ、木を積み重ねて行くから、途中で抜けてもらうんだよね。
だから、切り株の所にいる人は途中から1人でやる・・・ってわけ。
「うん!ありがとね〜。それじゃあ、残りも決めていこっか〜。」
私がそう言うと、建設班と生活班が早く決まったように、スラスラ〜っと決まった。
私が手伝うのは、木を運ぶ班。
途中から建設に入って指示をする。
こんな感じかな。
「じゃあ初めよっか〜!」
私がそう言うと、皆が一斉に動き出した。
ちょっと小走りで行かないと、木が間に合わないからね。
私たちは、ずっと空き地と切り株の所を往復して木を届けた。
これは・・・。
何十個くらいかな?
なんか、すごいいっぱい出来たんだけど・・・。
確かに、ちょっと予想してたのとは小さい気がするけど・・・。
まだ、もうちょっと必要だけど、この調子なら、すぐに材料が集まりそうだね!
「よし、じゃあ、2人とも来て〜。」
私が呼ぶと、2人はすぐに木を置いてこっちに来た。
「早速、建設に取り掛かろうと思います。」
私がそう言うと、2人はビシッと敬礼をした。
私もつられて敬礼をする。
・・・建設、しようと思ったんだよ?
でもさ、すっかり忘れてたんだよね。
そうじゃん、木を固める材料がいるじゃん。
少し前の私はバカだった・・・。
材料がすぐに集まりそうなんて考えて・・・。
確か・・・小麦粉と水と油で粘土が出来たはず。
・・・買いに、行くしかないかぁ・・・。
近くに街があったはずだから・・・。
そこに買いに行けばなんとかなる・・・はず。
そういえば、私の貯金って何円ぐらいなんだろう。
「ルルちゃんルルちゃん」
私がルルちゃんに自分の貯金っていくらあるかな?と聞こうとしたら、ルルちゃんは私に気付かずに家の中に入ってしまった。
何か考え事かな?
私はそんなことを考えながら、自分の家に入った。
はあ・・・。私の貯金、ゼロだったらどうしよう・・・。
私は、少しの絶望感と少しの希望を感じながら、どうしよう、と思った。