タブレット
…おっはよ~。
私がベッドから降りて、今日は何をするんだったかな~と思っていると、私の家のドアを「コンコン」と誰かが叩いた。
…誰だろう…?
ルルちゃんはいつも私の家の前で静かに待ってるし…。今までドアを叩かれた事なんて…。
…多分、なかった気がする。
で、誰だろう?
「はーい。」
私がそういってからドアを開けるとそこには緑色の服に緑色の帽子、茶色のブーツに腰に黒いポーチを付けている男の人がいた。
…なんか、見覚えがあるんだよなぁ…。
でも、こんな人に会ったことはないし…。
「えっと…。」
私がちょっと困りながら言うと、「ああ、すみません!」と、男の人が言って、私の前で敬礼のポーズをした。
「草原地区、総管理局郵便課のヘリスです。ただいま、ファイン様のタブレットをお持ちいたしました。中を確認いただけますでしょうか?」
私はヘリスさんにそう言われてタブレットを開いた。
中には、名前:ファイン など、私の個人情報が色々と乗っていた。
それは、今の私にとてもあっている。
「確かに、これは私の個人情報ですね。」
私がそう言うと、ヘリスさんはほっとしたような顔をして、私に注意事項を説明し始めた。
「これは、ファイン様の個人情報、そのままです。なので、ほかの人にあげるなど、無くなるということがないようにしてください。まあ、なくなっても、他の人には開けないようになっていますので、安心してくださいね。」
うん。ルルちゃんが言っていたこととほぼ同じだね。
「はい、分かりました。ところで、少し確認したいことがあるんですけど…。」
私がそう言うと、ヘリスさんは「何でしょう。」と言った。
「あの、タブレットの事は私の秘書から聞いていたんですけど、私のタブレットは、なぜこんなに日数が経ってから来たのでしょうか。」
私がそう聞くと、ヘリスさんは「あ~…。」と言い、「ちょっと失礼しますね。」と言って、私の家の中に入ってきた。
「ちょ…いきなりなんですか?」
私が戸惑っていると、ヘリスさんは、
「周りの人には聞こえてはいけない話なんです。タブレットは個人情報…。その話をするんですから、ほかに人がいない所で話した方がいいでしょう。」
と言った。
う~ん…かと言って、勝手に入ってくるのはどうなんだろう…。
私がそんなことを思っていると、凄い嫌そうな顔をしていたのか、ヘリスさんに、「気を悪くしたのなら、次からは気を付けます。すみません。」と、謝ってきた。
「それで…すぐにファイン様のタブレットが送られなかった理由なんですが…。」
そこで、少しシーンとした空気になる。
「実は、お届をする前に、本当に合っているかとか、確認をしたりするんです。その時、ファイン様のタブレットはとても珍しいこと…いえ、見たこともないような言葉が書いてあったんです。」
見たこともないような言葉…かぁ…。
よく漫画とかゲームとかで見る、異世界からの転生者とかなのかな。
でも、それは違う気もするんだよなぁ…。
だって、転生したんじゃなくて、吸い込まれて(?)この世界に来ちゃったわけだし…。
「その言葉とは?」
私がそう聞くと、ヘリスさんはゆっくりとこう言った。
「ゲームの世界に入られた者…と。」
ゲームの世界に入られた者…か。
確かに、そんな言葉、あり得ないよね。
だってこっちの世界で言うとここが現実なんだもんねぇ…。
「そして、こちらでもいろいろと調べてみたのですが、今までにこんな者はいなかったという事になりました。」
えええ…。
でもさ、それって私以外にこの世界に来た人っていないって事だよね…。
なんだか、いきなり怖くなってきた。
「ただ、ちゃんと調べてみないとわからないので、それはこちらでも確認してみます。で、タブレットのデータはこちら、草原地区総管理局に送られることになっています。でも、他の人に見せるという事はしませんから、安心してくださいね。」
ふむふむ。
だから、私がレベルアップしたら、レベルアップしたよってことがその場所に送られるっとことだよね。
うんうん。でも、それって何か意味あるのかな?
「それって…私のデータが送られることに何か意味はあるんですか?」
私がちょっと難しい顔でそう言うと、ヘリスさんは「えーと。」と言ってからこう言った。
「それはですね、今までのお客様たちは、全部同じようなものだったというか…。まあ、ファイン様が特殊で、今までにないので、何かあったらすぐに対処できるようにデータをこちらに送れるようにしてあります。」
へー。
じゃあ、私が何か危険な目にあったら、すぐにヘリスさんのところに情報が言って、私が助かるってことだよね。
うん。それはいいかもしれない。
もしかしたら、こっちで死んじゃったら現実でも死んじゃうってなっちゃうかもしれないし…。
これは、私にとってもいい条件かもしれない。
…ただ、私の個人情報が男の人にも見られるって言うのがちょっと恥ずかしいけどね。
まあ、それぐらい平気でしょ。
「はい、分かりました。それじゃあ、よろしくお願いします。」
私が少し頭を下げてそういうと、ヘリスさんが
「いえいえ、僕たちも遅れてしまったので…。大変申し訳ございませんでした。」
と言って、深く頭を下げる。
「いや、それはもういいですよ!理由があってなかったんですし…」
私がそういうと、「なんてお優しい方…」と、ヘリスさんがつぶやいた。
もしかして、こんな事だけで怒る人とかいるのかな。
「とりあえず、何かあったらこの相談センターにメールをしてください。総管理局ではファイン様のことは皆知っているので、必ず答えてくれると思いますよ。」
ほ、ほぉ~…。
私の事、皆が知ってるんだ…。
ちょっと恥ずかしいかも…。
「ああ!お話が長くなってしまいました!もう夕方になりますので、そろそろ失礼いたします。それでは、また今度。」
「はい。お仕事、頑張ってくださいね!」
私はそう言ってヘリスさんの背中を見送った。
なんかさ、総管理局ってとっても大変そう…。
まだほかのお仕事もあるんだよね…。
なんか、迷惑をかけちゃった気分だなぁ…。
とりあえず、今日はもう寝よう。
まさか、自分のタブレットをもらうだけで、こんなに時間がかかると思わなかった…。
でも、タブレットが来てよかったかな。
よし、じゃあもう寝よう。
今日は、ヘリスさんに迷惑をかけなかったかな、と思った。




