交渉
チュンチュン・・・
小鳥が朝だよーって鳴いている。
・・・やっぱり、朝になると実感するんだね。
この世界に来てるんだな〜って。
とりあえず、着替えて・・・って、あ。
私、昨日着替えてないんじゃ・・・。
いや、そもそも何を着ていたんだろう・・・。
ビクビクしながら、私の部屋にあった姿見で私の服装を見る。
・・・。
良かったー・・・。
いやね、服は着ている感じがしたから着てるんだな〜とは思ってたけど・・・。
私っぽくてよかった・・・。
普通に、オレンジのTシャツと短パン。
超元気な私にはピッタリだし、現実でもよく着てるけど・・・。
ゲームなんだから、もうちょっと可愛いのを着たかったかな〜なんて・・・。
あ、でもでも!ちゃんと洋服は作れるようになるんだよ!
・・・それまで、待つしかないね。
うーん・・・やっぱり、変な感じがするけど・・・。
どうする事も出来ないので、私は外に出ることにした。
「あれ?ルルちゃん?」
私が外に出ると、ルルちゃんが私の家の前で立っていた。
「おはようございます。今日は、村長の家で前の村長のことをお話したいのですが・・・。」
「うん、確か、前の村長さんはすごいお金が欲しい人・・・だったんだよね?」
なんか、とてつもなくお金が欲しい人だったんだとか・・・。
・・・かなり、貧乏だったのかな。前の暮らしが。
「そうですね。」
ちょっと申し訳そうな顔をしながら、ルルちゃんは、こう言った。
「ベッドがないというのは、皆の家にないという事なのですが、宿屋にはあったんです。なので、そこで泊まれ〜って言っていたんです。」
あー・・・。うん、なんとなく分かった気がする。
「それで、皆お金が取られてたって事?」
「まあ、そういう事ですね。」
「ルルちゃんの家は?何であったの?」
ルルちゃんは少し考えてから「ああ」と言った。
「言ってませんでしたっけ?私のベッドがあるのは皆がやられてから自分で調達しました。」
「言ってないよ!」
もう・・・なんかさあ、たまに抜けてるとこがあるよね、ルルちゃんって。
でも、自分で調達って何気に凄い事だよね。
「・・・今日は、どんな家があるのか見るのと、お昼ぐらいには家に帰って家の中をちゃんと見てみたいかな。」
「はい、分かりました。」
とりあえず、毎日今日何をしたいかを言って、ルルちゃんから色々学ぼうかな〜・・・と思って・・・。
「では、1回この村を一周しましょうか。」
「そうだね、それが一番かも。」
私たちは、お昼までルルちゃんに案内してもらいながら村の中を探索した。
合計で家は10個あった。
「10個なら足りるかな。」
「何がですか?」
ふふふ、よくぞ聞いてくれた!
「実はね、一番最初に私たちが仕事をする場所を作ろうと思うの!でも、その為には材料が必要じゃない?だから、材料を集める人達を集めたらどうかなって思ったの。」
ルルちゃんは少し考えて、
「そうですね、確か、ここの村の近くにもう1つ村があった気がしますが」
「その村の人たちをこっちの村に来させるっていう事は出来る?」
「そうですねぇ・・・交渉をすれば出来るかもしれませんよ。」
交渉かぁ・・・。
私が変な行動をしそうで怖いなぁ・・・。
とりあえずの交渉は、ルルちゃんに任せて・・・私は着いていくだけでいいかなぁ。
「・・・村長はまだ初めてだと思うので、とりあえず、私が行きますね。村長も考えていると思いますが、着いてくるだけでいいですよ。」
さっすがルルちゃん!
私の考えてる事を分かってきてるね!
「よし!それじゃあ行こうか!」
私たちは、隣の村まで来た。
「・・・これ、勝手に入っていいの?」
「いいですよ。」
・・・ルルちゃんが言うなら平気なのかな。
なんかさ、他の村とかに来ると、知らねぇ奴が来たぞー!ってなりそうで怖いよね・・・。
「とりあえず、ここの村長さんに会いに行きましょうか。場所は知っているので大丈夫ですよ。」
ルルちゃんって、何でこんなに村長のする事とかを知ってるんだろう?
・・・まあ、今度聞けばいいかな。
「村長さん、いるでしょうか。」
「はいはい、いますよ。」
「・・・失礼します。」
ルルちゃんがドアを開けると、中にはおばあさんがいた。
かなりのおばあさんだ。
「あなた達は?見ない顔ねぇ。」
「はい。隣の村、レスト村から来た、秘書のルルと村長のファインです。」
「初めてかしらぁ?私は、ナギサよぉ。」
ナギサさんか〜。なんか、凄い和風だな。
「・・・それで、私に何の用かしらねぇ。」
「ああ、ここの村の人たちを私達の村で住むことはできないかと思いまして。」
「ここの村の人達をスカウトしに来たのねぇ?」
「はい。」
ナギサさんは「うーん・・・」と言いながら、考えていた。
まあ、そりゃそうだよね。
自分の村の人達がいなくなっちゃうんだもん。
「・・・そうねぇ、いいわよぉ。」
「えっ、いいんですか?」
ついつい、声が出てしまった。
流石に、ダメかなと思っていたから・・・。
「そうねぇ、私ももう年だしねぇ。私もあなたの村で住むことにするわぁ。ここの村の人数は、私も合わせて9人よぉ。」
9人・・・ギリギリ大丈夫だね。
「分かりました。では、今日はもう遅いので、明日また来ますね。」
私とルルちゃんは、そう言ってこの家から出た。
私たちは、自分たちの村に戻って、それぞれの家に帰った。
こんなに時間がかかると思わなかったな〜。
とりあえず、家の中を簡単に見てみようかな。
ふむふむ・・・。
なんとなく、家の構造は分かったかな。
よし、今日はもう寝よう。
なんだか、すごい疲れた気がする。
現村長のナギサさんが来るのはありがたいな。
ふぅ、明日もどうなる事やら。