壊れかけの洗濯機
洗濯機の調子が悪くなった。
スタートボタンを押した後、何時までたっても給水が止まらず、洗濯が始まらないのだ。
不思議なことにキチンと動くときもある。
気まぐれな洗濯機だが、そんな暢気なことも言ってられない。
水道代が普段の数倍になったのだ。
同居している親父のカミナリが落ちた。
戦前生まれの親父はこういうことに締まり屋なんだ。
電気代なんかも敏感で、少し部屋を留守にすると、すぐに電灯を消されてしまう。
冬場にエアコンで部屋を事前に暖めておくと、いつの間にか消されてしまったりもする。
洗濯機の相場を調べると国産で5万程度、海外製で3,4万程度のようだ。
だが、この金額が今はつらい。
『貧すれば鈍する』
嫌なフレーズが頭に浮かぶ。
最近では100円ショップで買い物に失敗した時でさえ、1日悩んだりしてしまう。
マイナスに陥っているのは、自分でもわかっているんだが・・・
ネットで調べると、このメーカーの洗濯機は水位センサーの故障が多いようだ。
よし、ケーズデンキで部品ゲットだ。
僕は30数年前にビデオデッキを買ったときから、ケーズデンキが大好きだ。
その大好きなケーズデンキで後日、とんでもない目に合うのだが、その話は別途・・・
ケーズデンキの修理受付カウンターで、部品を注文する。
こういうとき大型電器店は便利だ。
1週間後、部品が届き、早速修理にとりかかる。
部品の交換は簡単だった。
まるで子供の頃夢中になったプラモデルのようだ、いやそれよりもはるかに簡単な構造だ。
スグにたまっていた洗濯物を放り込む。
よし、上手くいった・・・イヤ駄目だ。
また調子よく洗濯が始まったり、水道が出しっぱなしになったりする。
再度ネットで原因を調べる。
水位センサーに接続されているチューブが怪しい。
これに亀裂が入ったり破れたるすると、水位センサーに水圧がかからず、水道が出しっぱなしになるらしい。
この修理はかなり難かしそうだ。
上部パネルを全て外し、回転ドラムの底近くにあるチューブの接続先を外す必要があるのだ。
僕は酒をあおった。
ええい、やってやる。
僕は意を決して上部パネルを全て外した。
回転ドラムと外壁の間の狭い隙間に手を突っ込んで、チューブの接続先を手探りで探す。
あった!
だが、外れない。
ええいヤケだ。
僕は力ずくでチューブを引っぱる。
バチン!
なにか部品がはじけ飛んだようだ。
構わん、そのまま引っ張れ。
なんとか修理は完了した。
弾けとんだのはチューブを固定していた金属製のクリップだったが、チューブを接着して固定してしまえば不要だろう。
貧すれば鈍する・・・イヤ、貧すれば、知恵を絞ればいいんだ。
微かな光明が見えたような気がした。