呑み込む魔女のガラス玉
囲われた街のまんなか とあるおんなは
十字架にかけられ見世物になる
ほんの三日も前までは
おんなじまちの 若く美しく
姦しい、わたしの苦手だったひと
「ねえ魔女は、」
街のまんなか 見上げた先にあのひとがいる
言いたいことがあったはず
口を開いてなのになのにな わたしのとなり
きみの瞳をみて いえなくなった
『あなたもぼくとおんなじだろう? 反論なんてあるわけないさ!』
きみが甘やかにそう醸すから
わたしはなんにもいえなくなって
呑み込んだんだ 胃酸に溶けないガラス玉
おなかにころがり……気持ちがわるい
おかしいよ!
とおもう、わたしが可笑しいのかな
雲ひとつない 青空みたいな
きみの瞳がくるしくて
ただのひとことをわたしはいえない
「断頭台の魔女はなんの罪を犯したの?」
もし指摘したなら、
きみはわたしを嗤うのだろか 気狂い扱いするのか それとも、
なぜ異物がここにいるのかと
不思議そうに 首を傾げて
わたしを可燃ゴミに捨てるだろうか……
おかしいよ、きっとこんなのおかしいよ
おなかに解けないガラス玉が
ごろごろわたしを狂わせるけれど
異物扱いはされたくなくて
隠したの おなかにひそめたわたしのひみつ
ごめんなさい 若く美しい魔女をわたしは救えない
街のまんなか見上げたさきの 魔女の首から瞳をそらす
不思議な顔したとなりのきみに なんでもないよとほほえみかけた
以前の書き直し。