初めての依頼は
初めての長編でございます。
何度も見直して手直ししてを繰り返していたらあっという間に4時間経っておりました。(笑)
少し不思議な要素やら超能力的な要素やらがございます。はい。
決してまじめなミステリではございませんのであしからず。。。
季節は夏。汗がだらだらと体を這いずり回っている。なんとも言いがたい嫌悪感である。
そんな始まったばかりの夏休みの暑さの中でも梓中学の探偵部は日々細々と活動をしている。うるさいぐらいに8月の太陽は僕たちの制服を突き抜ける。セミすらも鳴かない暑さ。本当ならもう部室に着いている頃だったのになぁ。
「あーーー早く和弥ん家でアイス食いたいなー。アイスが溶ける前に僕が溶けちゃう。」
「もー誰のせいでこうなったと思ってんのバカ!バカバカ!バカ啓太!バカ部長!あんたがちゃんと鍵を借りてたらこんな事しなくても良かったのに!これが中学2年生の中だるみってやつかしらね!?」
「あっうんごめんってば。言っておくがお前だって中2だろうが。僕たちは幼稚園からずーっと同期なんだよ?」
「知ってるわよバカ!」
「はーいごめーん」
「だいたいあんたがこの部活作ったんでしょうが!もっと責任感持ちなさいよ!」
「えーだって思いつきだしー。しかも作ったの4ヶ月前だからまだ何も仕事ないしー。ていうか夏休みに部活してないとか青春じゃない!と思ったから作りました程度の……」
「それでも作ったんだから責任持ちなさい!」
「はーい。」
僕が何をしでかしたかと言うと、寝坊である。部室の鍵を持っている先生が今日から2週間の旅行に行くそうなので、行く前に鍵だけ借りておこうと提案したのは僕だったんだが……
目が覚めると先生の乗っている飛行機はもう飛び立っていた、とまぁそんか感じだったのだ。おかげさまで副部長の雅にはさっきからバカ呼ばわりされ続けている。そして今は図書館で必要だった部室にある本と同じ本を借り、部員である同期の小嶋 和弥の家にお邪魔させてもらおうと向かっているところである。
雅は幼なじみで幼稚園からずーっと一緒なので、もう完全に尻に敷かれている。なんとも情けない。
黒くて長いなんとも暑苦しい綺麗なロングヘアをポニーテールにし、薄い黄色のワンピースにこれまたかわいらしい水色のサンダルを履いたチビ……おっと、「小さくて可愛い」太田 雅さんはさっきからスタスタと早足である。もちろん本人は超絶早歩きなう(笑)なのであろう。まぁちょっと大股で歩けば普通に追いつけるんだけどね。僕、身長178cmあるからな。あいつ何cmだっけ。
「おい雅。お前って身長何cmだっけ?」
「何よ急に!152cmよ悪い!?」
おーこわ。これはさっさと和弥ん家に行って冷房の効いた部屋でアイス食いながら今後の方針についてゲームしながら議論しなくてはな。
「ちゃんと和弥くんにメールした?」
「あっしてない。いやあいつの事だし起きてるだろ。」
図書館から10分ほど歩いてやっと和弥の家に到着した。新築の一軒屋の壁は白く、太陽の光を反射してとても眩しい。
和弥は俺たちが中学2年に進級した春に引っ越して来たのである。転校してきて初日に僕が一番乗りでこの探偵部に勧誘したところ、なんと即決で入部してくれたのだ!いい奴だよ和弥くんはほんっとに。
"ピンポーン、ピンポーン”
『はい、どなた?』
「こんにちは。啓太……いや蔵本 啓太と太田 雅です!和弥くんいますか?」
『あぁ蔵本くんか!ちょっと待ったってな。あの子まだ寝てるさかい起こしてくるわね!玄関入って待っときー!』
「ありがとうございます!」
「ほらあんたがメールしとかないからよ。」
「うーんごめん」
和弥の両親は大阪の出身である。少々聞き慣れない関西弁を和弥もまた話す。
和弥がモテる理由はあの優しげな関西弁と声色のせいかもしれない。あー関西人はずるい。
クーラーが効いて涼しい玄関に上がってしばらく待っていると、階段の上からトタトタと和弥が降りて来た。寝癖もそのままでいつも通りの和弥である。
和弥は色素が少し薄いようで、髪も瞳も茶色っぽい。肌も白く、全く日焼けしている気配がない。そのせいか和弥は少し病気がちで、よく熱を出して寝込んでいる。最近は以前と違いとても活発になったらしいが、少し前までは引きこもりがちだったらしい。今では全くそんな風には見えないけど。
「ごめんなぁー寝とったわー。とりあえず僕の部屋おいで。」
「こっちこそ急でごめんね?このバカ部長のせいでね。」
「何やまた啓太がなんかしたんか?(笑)とりあえず上がろう!あっ何それ。」
「これ?啓太がアイス買ってきたの!」
「そうなんや!ありがとう啓太!でもこの暑さやったら溶けてるんちゃう?いっぺん冷やしといた方がええね!後でまた食べよか!」
「ありがとう!そうさせてもらうね!」
「さすが和弥だねぇ。ありがとな!」
和弥の部屋はいつも整っていてとても綺麗である。これを自分でしているというのだから余計にかっこいい。僕の部屋はというと……言えない。
「いつ来てもお前の部屋は本当に綺麗だなぁ。」
「え?そうかな?そんな事あらへんわ(笑)そう見えてるだけやと思うで(笑)そのうちまっくろくろすけがぎょーさん出てきよるわ」
「いや僕の部屋の方がやばいよ」
「そうね。啓太の部屋は果てしないわ。」
「雅ちゃんの部屋はどうなん?」
「和弥それ聞いちゃだめ!!!」
「はぁぁぁぁあああーーー?啓太それどういう意味よ!!!!!」
「あっ聞いたらあかんかった?ごめんな雅ちゃん(笑)」
「和弥お前絶対わざとだろ!!」
「あははごめんごめん(笑)で、啓太は朝から何をやらかしたんや?」
「実は啓太ったらね……」
和弥はいつもこうである。大阪の人だと聞いていたのでもっとドギツイのを最初は想像していたのだが、全くそんな風ではない。
優しいし全然厚かましくないし静かだし。そしてイケメン。高身長(たしか175cm)。頭もいい。スポーツもできる。歌も上手い。
そう。和弥は本当に完璧なのだ。とてもモテる。
僕はと言うとモテない。つらい。色素も素晴らしく濃いらしく、髪も瞳も真っ黒だ。
事実、雅も和弥の事を好きらしい……というかクラスの大半の女子が和弥の事を「かず様」などとうっとりした目で眺める程だ。
僕もそんな人生送りたかったなぁ、と雅と笑い合う和弥を見て心底恨めしい。
しかしひとつだけ和弥には弱点がある。それは「おばけ」。和弥は霊感が強いらしい。昔からとっても恐がりらしい。いつかやってやると思っている(何を)
「それはそうと。今日はどないしたん?なんかあったから僕ん家来たんやろ?」
「そうなの。実は匿名で依頼があってね。」
「へぇ。探偵部宛なん?」
「そうなんだけど…...この間twitterの探偵部公式アカウントにダイレクトメッセージが来てたの。フォローしまくった甲斐があったわ!」
「そうなんだ。でもなんでよりによってこんな中学生がやってるような部活に依頼なんかしたんだろうなぁ。」
「啓太もそんな事言わないの!でも本当になんでうちに送ってきたのかもわからない内容なのよね。」
「どんなんなん?」
「それがね……いたずらかもしれないんだけどね……」
雅がスマートフォンを取り出した。その時雅が露骨に嫌そうな顔をしたのを今でも覚えている。そしてそのメッセージの受信フォームを開いた時、横にいた和弥が「これあかんやつやで……」と呟いていた。
そのダイレクトメッセージにはこんな事が書かれていた。
「タスケテ海が命を吸い取る夢を見せる村の人は皆、潮だ」
「私は次に潮になる嫌だ」
「月を夜中に見上げたら うしろで目が光る
目をはなしたらいけないよ いけなくなる」
「十五夜の前に助けて」
「人魚の里」
これが何を意味するのかを、この時の僕らは想像する事もできなかった。
ただなぜか少し高揚してしまった僕がいた。
いかがでしたでしょうか。
書き終わった後の「できた」感がいつもよりありましたね。疲れました(笑)
長編という事でこれからも連載する感じにはなりますが緩んでしまわないよう頑張ります…!!
でもやっぱりもう少し上手く書きたいと思いますね。
他の人の作品を見れば見るほど痛感します。
こんな文章を最後まで読んでくださって本当にありがとうございます。。。
最後まで読んでくださって本当にありがとうございました!
次回もお楽しみに!