NO.040 ザ・ダイ・イズ・キャスト
数分かからずに、研究所の外へと辿りついた。移動しながらもできうる限りの治療を施しつつ、二人も動けない人間を背負っていたにしてはかなり短時間での脱出だった。時間は十分に確保できている、真に重要なのはこれからの数分間だ。
「――止血、まずは止血しないと……」
「…………落ち着きなさい、ハンナ。私たちに手伝えることはない?」
「あ、ありません、大丈夫です、大丈夫……」
横たえられた彼女の傍らに、ハンナ・ソレンソンは祈るように膝を突いていた。小鹿のように震える手を必死で動かしながら、大丈夫大丈夫と聖句のように呟き続ける。その祈りは自らのためであり、そして、なによりも目の前で命を散らそうとしている戦友のためだった。
どうしてもどうしようもなく手が震える。初めてでも、方法は骨の髄まで染み付いている、知識は思い出すまでもなく引き出せる。訓練は何度もつんできた、敵を殺す訓練の数倍の時間と労力をこうやって人を救う訓練に費やしてきた。それが目標で、それが夢だった、ただ敵を殺すのではなく、人の命を救うそのために彼女は長い訓練に青春を費やしてH.E.R.Oとなった。機械化装甲服への適合訓練と衛生兵としての技能習得の両立は簡単なことではなかった、浮かべた笑顔の裏に努力を積み重ね、ソレンソンはその夢へと辿り着いた。
それでも手が震える。目の前で彼女の施術を待っているのは見ず知らずの誰かではなく見知った戦友だ、その事実がどうしようもなく彼女の手を震えさせる。衛生兵として、誰かの命を預かるということは、命を救うということだけを意味しない。一寸の指先の乱れが、ほんの一瞬の油断が、救える命を取りこぼす、救えるはずの命を奪う、その最悪の未来さえも含んでいた。
「まずは、スーツの生命維持に関わる部分以外を解除して、傷口を止血しないと」
ミスは許されない。手順を呪文のように繰り返しながら、迅速かつ確実に作業を進めていく。装甲の解除は完了した、後は傷口の具合を見て、どの施術を行うか決めなければならない。
「傷口は……綺麗だから、あとは……」
スーツの外部コンソールと手元のバイタルサインを見比べる。幸いにも傷は灰には達していない。脈拍と呼吸は弱まっているが安定はしている、じわじわ弱っているが十分に対応できるレベルだ。問題は出血量、傷口が大きいせいでかなりの量の血を流している。止血しても、手早く輸血しなければそのまま失血死しては何の意味もない、とにかく迅速な輸血が必要だった。
傷口全体を覆うように緊急用止血ジェルを吹き付ける。数秒で硬化する有機ジェルは傷口を塞いで血を止めてくれる、後は輸血だ。パッケージから人工血液のパックと増血剤を取り出し、手早く準備を整える。量は十分に足りている、輸血が終われば必要な措置は全て完了する。それ以上の処置は今の装備ではできない。だが、この処置で十分に命を繋げるはず、十分もしないうちに滝原が手配しておいた医療ヘリと迎えがこの場所に到着する、それまでの間の応急処置さえできていれば、ヒカリは助かる。そのはずだった。
「これで大丈夫なはず、後はバイタルさえ安定すれば、ERに運び込むまでの時間稼ぎとしてはこれで――え?」
「お、おい、どうしたんだ? なにが――」
「なんで……どうして安定しないの!? 一体何が――」
処置が完了し、必要な薬物と血液は全て投与した、ただの切創なら程度の差はあれ、先程の処置で十分なはずだった。だというのに、バイタルが安定しない。脈拍も呼吸も静かに低下を続け、このままでは後数分で命を落とすところまで状態が悪化している。理由が分からない、何かがスーツの生命維持機能を阻害して、なおかつ処置の効果すらも完全に無意味なものにしている、その正体が全くもって摑めない。
「……エネルギー汚染? 違う、それなら最初に反応が出るはず。なら、毒素? 検出できてないのに? どうすればどうすれば、どうすればいいの、こんなの――」
思い当たる限りのスキャナーに掛けても一向に反応は検知されない。考えうる限りの処置を施したところで一向に状態は改善しない、刻一刻と死に近づいている戦友を目の前にして手を拱いていることしかできないでいた。取り乱し絶望と失望に倒れこみたくなる心を必死で押さえ込んで、震える指先に力を込め、思いつく限りの治療法を施していく。それでも、時間は過ぎていく、一秒ごとに何もかもが水泡に帰していく中、彼女はただ只管蜘蛛の糸に縋り続けた。
だが、それでも救えない。できうる全てを為しても、どれだけの祈りを積み重ねても、失われておく命を繋ぎとめることはできない。無力感に思考が途切れる、周囲で見守っていた仲間たちの胸中にも、失望と絶望が湧き起こる。今まで遠ざけてきた諦めが全てを塗りつぶしていく。コンソールが最大警告を鳴らす、死を知らせるその音が鳴り響くその直前、糸が途切れようとしたその直前、救いの手は、思いもよらぬところから差し伸べられた。
「――へえ、随分面白いことになってるみたいだね」
「――!?」
あまりに場違いな鈴の音のような声がその場に響いた。楽しげに、涼やかに、彼女の声は彼らの耳を打った。降って沸いたように現れた、絶世の魔女を前にして万物が停止した。
「――っサーペント!」
「はいはい、銃はなしだ。今は敵じゃないって、一体何回言えば君たちは理解できるのかな?」
咄嗟に反応した三つの銃口をサーペントは視線をくれることもなく顕現させた二本の鞭で叩き落とす。人間態の美しい姿でありながらも、彼女はそれだけの力をもっている。憔悴しきった彼らなど、人間態のままで簡単に皆殺しにできるほどに絶望的な力の差がサーペントと彼らの間には広がっていた。
「彼は、そうか、戦ってるのか、相手は……あーそういうことね、単なる気まぐれだったけど、僕にも運が回ってきたかな」
「……アンタ、何しにきたのよ。邪魔しに来たなら消えて」
「やめてくれよ、そう邪険にされると手が滑るかもしれないだろう? それに君らに興味はないし、用もない、と、思ってたけど、そこの彼女の傷には興味があるね」
向けられた敵意を意に介することもなく、サーペントは横たわるヒカリを覗き込む。興味津々といった有様で、ソレンソンを押しのけ、まじまじと傷口を観察しては、一人で頷いてる。
「そうだ、この子が死んだら死体を譲ってもらおう。解剖すればそれなりに――またか、しつこいね君も」
「――岩倉から離れなさい。 アンタなんかにその子は渡さない」
心底うっとおしそうにサーペンとは自分に向けられた銃口に振り返る。拳銃を拾った滝原がその銃口を彼女に向けている。並みのサイボーグとサーペントでは比べ物にならない、この特殊拳銃程度ではサーペントに傷一つ付けられないのはわかっている。それでも、銃を向けないわけにはいかなかった。目の前で死に掛けているのは彼女の部下だ、それを見捨てることだけは例え自分の命を失うとしても決してできない選択肢だった。
「それ、僕に命令してるのかい? 自殺ならもう少しやり方があると思うんだがね」
「ッ司令!!」
サーペントから零れた殺気に全員が反応した。指揮官を守ろうと、動ける全員がサーペントの眼前に立ち塞がる。彼らとて、戦ったところで勝てはしないことは理解している。それでも、ここで立ち塞がらなければ、今も死の淵をさ迷う彼女に申し訳が立たない。湧き上がる使命感となけなしの意地が、彼らの足を支えていた。
「――白けるね、君等。分かったよ、解剖はなし。ここで君らを殺したら彼が怒る、それもそれで面白そうだけど…………今はなしだ、命拾いしたね」
わざとらしく溜息を付きながら、サーペントは顕現していた鞭を再び霧散させる。あまりにもあっさりとして行動に、滝原を除いた全員に動揺が走った。
大した理由もなく人を殺すことは彼女の性癖の一つだが、それと同じかそれ以上に彼女は気まぐれでによって行動している。目的がないわけではないのに、彼女はその過程に関心を払わない、最終的に自分の欲求が満たされていればそれで構いはしない。この前と同じくここで彼らを殺すことにサーペントは必要以上の欲求を感じてはいない。
向けられた銃口よりも彼女の興味を引くものが今目の前にある、ただそれだけことだった。
「でも、本当に良いのかい? そこの彼女、このままじゃ死ぬよ」
「……どういう意味よ、それ」
「分かってるだろう? 君らにはできなくても、僕にはできる、それだけの話さ」
美しい蛇はまるでなんでもないように、そう言ってのける。お前たちがどれほど望んでもできないことも、自分には可能だと自慢げにそういったのだ。それは即ち、悪魔の誘惑に他ならない。
「…………」
「――理解が早いね、いつもそれならいいんだけど。それでどうする、時間がないよ、何か言葉はないのかな?」
酷く楽しげにサーペントは一菜の顔を覗き込む。彼女が望むのは一つの言葉、いままで散々自分を追い回してきた宿敵の一人を鼠のように追い立てて、望むように操る、最大最高に加虐心を刺激される場面だった。楽しくて、楽しくて、楽しくて仕方がないとばかりにサーペントは嘲笑を深めていく。自らの美しさの全てを、拷問具として際立たせながら、サーペントはその言葉を一菜に求める。
「…………ッ」
「おやおや、プライドが邪魔して言えないのかな? ああ、可哀想な子だ、君が逡巡してる間もこの哀れな彼女は苦しんでいるというのに、君はたった一言が言えずに彼女の苦しみを長引かせている。どんな気分だろうね、自分の指揮官に見捨てられる気分っていうのは、彼女が気絶しててホントに残念だよ」
横たわるヒカリの状況を愉快げに実況しながら、サーペントは一菜の表情を楽しむ。今まで自分の邪魔をしてきた泥棒猫の悔しげな表情、彼女にとってはまさしく痛快そのものだ。周囲から向けられる敵意と殺意も実に心地いい、久方ぶりの悦楽のときだった。
「…………彼女を助けてください、お願いします」
静かにだが確かに口にされたその言葉に、サーペントは満面に喜悦の笑みを浮かべる。その言葉と、屈辱と葛藤に歪められた顔を見られてただけでここに来た価値は十分すぎるほどあった。
「――いいね、実に、実にいい気分だ。丁寧に頼んでもらったわけだし、早速始めようか。ただし。やり方は僕流だけどね」
抑えきれない喜びを湛えたまま、サーペントはその機能の一部を解放する。十分なほど趣味は楽しんだ、今からは目的のための時間だ。ここに目的のものが在って、ここに彼もいる、まさしく行幸だった。目の前の人間の命を蝕んでいるのは彼女でも生成できないモノの一つ、細胞異常を引き起こす世界で最も希少な汚染物だ。それがサーペントには必要だ、彼女が彼女としてあるために、あの女を排除するためにはこの希少な物体のサンプルが必要だった。
この人間の命を救うのは、そのサンプル回収のついででしかない。さらに言えば、生かしてサンプルを回収するのは、単にそのほうが01の好意を得られるという下心からの行動だ。一石二鳥ならぬ、一石三鳥、幸運と言うにはあまりにも都合良くことが進んでいる。
彼女は笑う、喜びと欲望のままに。01、イレギュラー、組織の裏切り者、必要な駒は揃い、賽は投げられている、あとは全てが思惑のままに進むよう何もかもを手繰り、導き、支配するだけだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
施設の壁をぶち破りながら奴を追う。四肢に溜め込んだ出力の全てを攻撃に回し、瓦礫と粉塵を引き連れて、執念深く奴を追う。感じている違和感は一秒ごとに強まっていくが、考えている時間はない。
「――ッ」
「――ちょこまかと!」
天井を蹴って、頭上から強襲を仕掛ける。限界まで充填した右脚を刃のように振り下ろす、タイミングとしては絶妙だったその一撃も、紙一重でかわされては無意味な破壊を施設内部に振りまくだけだ。
逃げ回る敵を追うのは久しぶりの事だ、それもこのレベルの敵が逃げ回るなんてのは今までで経験したことがなかった。戦闘が始まってから数分間、死神は全くといっていいほどに抵抗をしない。手に持った蒼い刃を振るうこともなければ、反撃をしようとする素振りすら見えない。それどころか、この死神はひたすら逃げ回るだけだ。おかげで、俺は周囲の壁をぶち壊しながら追っかけなければならず、できるだけ施設を壊さないという努力目標は完全に達成不可能なものになっている。
「……っ待ってくれ、私は貴方と戦うつもりは――――」
「喧しい! 今更、そんな言い分が通じるか!!」
さっきからこれだ、正気ではないと薄々感じてはいたが、ここまで狂った言い分を聞くのは俺でも初めてだ。あれだけ殺して、俺の部下に手を掛けておいて、今更戦う気がないなどと笑い話にもならない。そっちがその気がなくても、こっちには戦う理由もその士気も十分すぎるほど揃っている。無抵抗だからといって手加減するほど俺は温くない。
周囲の機材を巻き込みながら範囲攻撃を仕掛ける。一秒でも動きを止めれば、先程から喧しいこの口も塞いでやれるのだが、そうもうまくはいってくれない。拡散させたエネルギー波では、奴の防護壁を貫けない。奴の身に纏った黒いマントは多少の攻撃なら簡単に叩き落としてしまう。見た目は薄い布一枚のように見えるが、実際は堅固な城壁と同じ、ぶち破ろうと思ったのなら破城槌が必要だ。それを当てるにしても、奴の動きを止めなければならない。
範囲攻撃では動きを止められない、小細工を弄しても動きを捉え切れない、それはわかった。かといってこのまま益体のない狐狩りを続けるのは全くもって性に合わない。ならば手は一つ、いつも通りに派手にいくとしよう。丁度この場所はおあつらえ向きの広さだ、おまけに周囲にあるのは重要な設備などではなく資材の山、吹き飛ばしたところで何も困ることなどありはすまい。
追う足を止め、姿勢を落とす。狙うはこの部屋全体、隙を晒さないのなら、こっちで隙を作らせるまでの話だ。
「―――――!!」
床に着いた右手から、フルスロットルで最大出力のエネルギーを流し込む。一瞬、床全体に光が満ちる、続いて束の間の静寂の後、空間そのものが震え、光が炸裂した。流し込まれたエネルギーの塊が溶岩の噴流のように狭い室内を蹂躙しつくす。当然、この噴流に事態に碌なダメージなど期待はしていない。
必要なのは一瞬だ、ほんの一瞬奴の動きが鈍ればそれでよかった。どれだけの使い手であれ、足場が崩れたその一瞬だけは、動きが硬直する。その一瞬さえあれば俺には全て事足りる。
視界を埋め尽くす白い破砕流の中を全速力で駆けた。多少のダメージは覚悟の上、生体装甲を焼く熱の痛みなど、胸の中で渦巻く怒りに比べれば痛みのうちにも入りはしない。
「――ッ!?」
噴流の中を駆け抜け、一瞬で懐のうちへ。さしもの奴も刹那の間、反応が遅れた。限界点まで充填した出力を全て構えた右腕に、至近距離かわしようのない間合いで居合いのように拳を抜き放つ。
引き伸ばされた感覚の中で、今度は俺が驚愕する番だった。このタイミングで奴は反応した、俺の拳が届くまでの刹那に奴は防御の姿勢をとった。黒色のマントが俺の前に立ちはだかる、奴が取り得る選択肢としては限りなく正解に近い。だが、それはこっちとしても計算の範囲内だ。
今度の拳は今までのそれとはワケが違う。城壁など物ともしない、俺の持ちうる最強の槍だ。ほんの少しの抵抗の後、拳がマントをぶち抜く。マントの下の左腕ごとフルパワーで殴りぬける、殺すわけにはいかないが、それでも得物を振るう腕は封じさせてもらう。
腕を砕く確かな感触の後、右手の光をすべて解放する。指向性を持たない破壊の光が周囲の空間を蹂躙し、視界のすべてを白で埋め尽くした。
「…………頑丈さは中々だな」
一秒の合間もなく光が晴れて、音と視界が戻ってくる。部屋の中は見る影もないほどに蹂躙され、俺の目の前の壁には巨大な壁が穿たれていた。その穴の向こうには黒い影が未だに健在だ、確かに手加減はしたがそれでも左半身を丸ごと吹き飛ばす気だったのだが、予想以上に奴は頑丈だった。
だらりと垂れた左腕からは赤い色の血が流れ、床を汚している。どれほどらしく取り繕っても、奴は本物の死神などではない。傷つけば血を流すし、今のように怪我を負わせることもできる。つまりは殺せる、重要なのはそれだけだ。
「…………ッ」
「次は足だ、動けなくなるまで続けさせてもらうぞ」
片腕を引きずりながらも、奴は立ち上がる。その執念は認めるが、もう決着はついている。奴の得物は長刀だ、片手では振るうには無理がある。片腕が使えない以上、奴の戦力は半分以下だ。後は詰め将棋の要領で追い詰めていくだけでいい。
油断はしない。獣が本当に恐ろしいのは傷を負ってからだ、手負いの獣が見せる反撃がまさしく致命の一撃となりうるのは、痛いほど知っている。
「…………できない、私は彼とは戦えない、その理由がない」
ぶつぶつと呟く独り言にわざわざ取り合いはしない。誰と話してるかは知ったこっちゃないが、俺は仕事をするまでだ。
「入ってくるな! あの時取り決めたはず、お前の感傷に私を巻き込むな!」
ゆっくりと間合いを詰める。彼我の距離は十メートルと少し、一息で詰められるが、確実な距離ではない。踏み込みで右脚を潰せる距離には少しばかり遠い、十メートル以内なら一息で一気に勝負を掛けられる。
「――これ以上私に干渉するな!! 私に必要なのはお前ではない、お前の感情など―――ッ!!」
奴の言葉に今までにないほどに熱が篭る、頭を抱え蹲りながらも悲鳴のような怒鳴り声を上げている。それにあわせて、背筋を氷のような悪寒が駆け上がった。肌に感じる殺気がこれ以上ないまでに膨れ上がり、今まで感じていた違和感がこの瞬間に、現実となって結実した。理由は見当が付かないが、何か面倒なことが起きるのには違いがない。
生け捕りはなしだ、思考を完全に切り替える。殺さなければ、殺される。確信にも似た予感が、最大最高の警鐘を鳴らす。こいつは危険だ、生かしていおいては必ずろくなことにならない。間合いは絶好、十分仕留められる。こういうときの対処法はいつも決まっている、先手必勝だ、何かされる前にケリを付けるのが得策だ。
「――やめろ! お前の感情を、私に押し付けるなァ!!」
全力の踏み込み、床を踏み抜いて、刹那で最高速へ。目の前で何が起こっていようとも今は関係ない。全身全霊を攻撃へと振り込む、この身体を一本の槍として、一直線に突き進む。この一撃なら間違いなく、奴の外套を抜ける。今度ばかりは手加減抜き、完全に殺す気でいく。
引鉄を引いたその瞬間、刹那よりも短い一瞬の隙間、光の向こうで、深淵のよりも深い闇が俺を待ち受けていた。
どうも、みなさん、big bearです。ちなみにサーペントの出番が多いのは仕様です(人事)
では、こんなだめ作者と拙い文章ですが、どうかこれからも暖かい目でよろしくお願いします。
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