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スイーツな王様  作者: 月帆
本編
71/114

でてきたスイーツは?

王子がにこやかな笑顔で乾杯をすませる。

リュミエールも落ち着いた態度で、王子の乾杯に応じ、二人に注目が王子に集まっている間に、マシはエリザを会場から連れて行く。


乾杯が終わった後、リュミエールは王子は親しげに言葉を交わし、控えていた音楽隊に目配せする。

周囲の空気は、まだ緊張し、貴族達が小さな声で話を交わしていた。


「姉上。」

王子がロザリアの傍に寄る。

「舞踏会のはじまりです。」

ロザリアの記憶よりも背の高くなった王子はロザリアの手をとった。

「本来ならあいつが姉上と踊り、舞踏会の幕開けを告げるつもりだったのでしょうが…あれではね。」

そう言って、王子はリュミエールの右腕に目をやる。

「さっさと出て行けばいいのに…。」

忌々しそうに王子が言う。

「王が主催した舞踏会が、王不在ではじまるなんて騒ぎが大きくなだけだってわかっているのでしょう。」

王子の後ろで扇子で口元を隠しながらメマリーが言った。

「あいつを助けるためかと思うと、嫌だけど。」

メマリーが目を細めた。

「あいかわらずお子様ね。」

メマリーの言葉に王子は顔をしかめた。

「それより貸しができてよかったじゃない。それに大好きな姉様と踊れるなんて…ステップを踏み間違えないことね。」

王子の表情を気にした様子もなくメマリーが小さく笑った。


美しいピアノの音色とともに管弦楽団の調が加わる。

「そうね、誰かが踊らないと始まらないものね。」

ロザリアは機械的に王子の顔を見ながら笑顔を向ける。

王子はロザリアを舞踏会の中心へと連れて行き、柔らかな旋律に合わせて繊細なステップを二人で踊る。

美しい姉弟のダンスに招待された貴族達も徐々に落ち着きを取り戻していく。

悲鳴の上がったざわめきは、王子が言ったように、まるで『余興』のように扱われ、なにごともなかったかのように舞踏会は始まった。


一曲終わり、王子は宰相のもとへロザリアを連れて行く。

「陛下は治療に席をはずされました。御配慮ありがとうございます。」

そう言って王子に頭を下げる。

「傷の具合はどうですか?」

心配している様子もなく王子は尋ねる。

「まだ治療中ですので、ですが手はしっかりと動いていましたし…出血量自体も少なかったですしね。」

暗に大したことはないだろうということを宰相が匂わせる。

「姉上、大丈夫ですか?」

王子がロザリアに尋ねた。

「大丈夫よ。」

何に対して大丈夫なのか…わからなかったが、ロザリアも答える。

「陛下のところへ行かれますか?」

宰相が尋ねた。

「治療中なのでしょ、私が今行ってもすることはないわ。」

ロザリアは王子の手をとった。

「私が席をはずして要らぬ心配をかけるよりも、この国の人たちに弟を紹介したいわ。」

そう言ってロザリアは会場を見渡す。

「でも…私は、紹介するほど人を知らないから、ご一緒していただけますか。」

宰相は軽くうなづいた。


宰相は美しい二人を幾人かの貴族達に二人を紹介する。

「非公式の舞踏会なのに、意外に人を呼ばれていますね。」

王子が宰相に尋ねる。

「国賓ですから。」

宰相が答える。

「そうですか。…私以外にも国賓もいますしね。私はいい目隠しに使われたかな?」

王子が意地悪く言った。

「貴方意外に国賓?」

ロザリアが不思議そうに首を傾けた。

「姉上、顔はそのままに。斜め前の男が見えますか?」

小さな声で王子がロザリアに言う。

「あいつマスキンの外交官です。うちにも顔を見せていました。」

「よくご存知ですね。」

宰相がロザリアのほうを見ながら言う。

「人を覚えるのも仕事のうちですから。」

「なるほど。」

こちらの視線に気が付いているのか分からないが、マスキンの外交官も親しげに数人の貴族達と話しをしていた。

「あ…」

ロザリアは小さく息を呑んだ。

「どうされましたか?」

宰相が尋ねる。

「見知った顔がいたので。」

マスキンの外交官が話をしているのはカエ伯爵だった。

「ああ、彼はマスキンとの国境に領地を持っていますからね。姫様は伯爵をご存知で?」

ロザリアは苦笑した。

「存じるというよりはバミュー公爵夫人の火遊びのお相手として一方的に知っているだけです。」

ロザリアは苦笑する。

謹慎蟄居を命じられているバミュー公爵を思い出しながらロザリアは言った。

「火遊びの相手?」

「あれだけ夫人は熱心でしたのに、宰相はご存知ありませんの?」

宰相のものいいに逆にロザリアが驚いた。

「私とて万能ではありませんよ。それに、あの方以外にも遊び相手は事欠かなかったようですから。」

宰相が答えた。


「それにしても和平の噂は嘘ではなかったようですね。」

王子が内政について探りを入れる。

「いえ、あの方は和平には反対派のようですが。それより姫様のために珍しいお菓子を手に入れましたよ。」

宰相が答え、話題を変える。

宰相が近くの侍女に目配せをした。

侍女が銀の皿に綺麗に並べられたお菓子を持ってきた。

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