第二章
学校/学園、ファンタジーとしときながら全然出さなくてすいません、次から出していこうと思います。すいませんでした。
腕が痛い、二の腕のあたりが筋肉痛だ。俺は学校に行く道を歩き歩き、腕をさすった。昨日のあれのせいだな。俺は昨日、夜中まで呪いをかけていいた、自分自身に。
ばあちゃんは俺が夜中に帰ってきたというのに、心配するわけでもなく。さっさと寝ていた。朝起きた時、大爆笑された。あの頭を見たらしい、それで俺はもちろんきれた。
「しかたねーだろ、これは俺の意思じゃねー」
とばあちゃんに言い寄った、そのとき転がっていた何かが俺の脚に当たった。俺は毛を発見した。これは……鬘?そう。それは、ばあちゃんの鬘だった。こりゃあいいや、多少カールがかかっていて、ばあさんくさいが天然パーマということでやっていこう。
「この毛は俺が貰っていく」
俺はそれをつかみ頭にのせた。なんか感激、俺の髪じゃないみたいだ。
「やめてくれー、それがないと鬘がないとあたしは……」肩を落とし、がっくりしている。
そういえばなんで今日は、散歩行ってないんだと疑問になり、
「散歩どうしたんだ?」
「勇気が心配でな、夜遅くに帰ってきただろ?」
ばあちゃん起きてたのか。
「勇気、なんだか昨日より、顔の表情が良くなった。昔みたいに生き生きしているよ」嬉しそうな顔で出かけて行った。かつらないのにな……
そんなわけで、今、俺の頭にはかつらがのっている。前の頭よりはましだ。それより何か大事なことを忘れている気がするんだよな。
「あー勇気、発見!」
聞き覚えのある声が聞こえた。俺は昨日の場所に立っていた。昨日、散々聞いた声。見たくなかったがそっちをみた。まだローブ着てるよ。
「お前、それ熱くないのか?脱いだほうがいいぞ」
俺はそれとなく言った。気味が悪いぞ何て言えない。
「えっ、全然大丈夫だけど?」
あー俺の希望を打ち砕いた。それから俺の体を見回した、なんだかドキドキする。何を思ったのかいきなりそのローブを脱ぎだした。その下から現れたものは……。
「どう?似合ってる?このセーラー服」
そこに現れたのはセーラー服を着たさわやかな女の子だった。髪は短く、寝ぐせらしいものが跳ね上がっている。だけと肌は白く、奇麗だった。ずいぶんとにあってる。
「私、昨日高校の入学式だったんだけど忘れてて」
そうだ、入学式があったんだ。それか大事なことって。
「なあ、入学式に出なかったら。そうなるんだ?」
「知らないよ、私初めてだから」
俺もだよ。普通はやらないからな。そんなことより学校だ。今日は休みのはずなんだが呼び出されて、向かわないといけない。止めていた足を動かした。
後からそいつはついてきた。
「その制服俺と同じ東乃高か?」
東乃高とは俺が通う、東乃丘高等学校の略称だ。入学したのか良く分からないが。
「そうだよ、なんで?」
「じゃあいっしょに行かないか?」
「私はそのつもりだったけど」
だからついてきたわけね。
「だったらなんで俺の後ろなんだ」
「えっ、恋人と勘違いされたらいやだから」
目が本気だった。そんなにいやなのか。やっと学校に着いた。着くまでの間、俺の後ろを重い足取りでついてきた。
その高校は丘の上にあり街を一望できる、街の中心にある。
「やっと着いた、坂が急すぎる。それと、そろそろ離してくれない?」
「あっごめん、途中から疲れてきちゃって」
坂の途中から服をつかんできて、重かった。いやそれほど重くはなかったかもしてない。疲れていてわからなくなっていた。
学校からあわてた足取りで人が出てきた。
「あ、あなた、神田勇気くん?」
「はいそうですが?なんですか?」
聞いてみた、だいたいどんなこと言うのかわかってたけど。
「入学式こなかったでしょ?校長先生が今、入学式をやってくれるそうよ。急いで体育館に来て」
校長に一言、言いたい。サンキュー。
「わかりました。ところでこいつは?」
後ろにいたやつを引っ張り出した。なぜか申し訳なさそうに、顔を俯けた。
「あら、あなたは……」
名簿を見始めた。何かを見つけたように目の動きが止まり、納得したようにうなずいた。
「どうしたんですか?」
「この子ね、入学式で。入学試験トップということであいさつしてもらうはずだったんだけど……」
その人は肩を落とした。わかる俺も同じ状況だったらそうなる。俺はともかく、こいつはダメだろ。
「すいません!忘れてたんです。これから忘れませんから」
どこをどう忘れないようにするんだよ、入学式なんてもんは、もう無いぞ。
「とっ……とにかく!体育館に行ってね」
肩を落としたまま、こちらを数歩ごとに見ながら、戻って行った。それから俺達は体育館のほうに向かった。この学校は高校にしては広い、大学のような広さだ、大学のほうも良く分からないが同じだろう。門の正面に学校の校舎がありさらに後ろに体育館がある。そこに入ったそこには二人分の椅子と校長だけが静かにそこにいた。
「はいりたまえ。入学式にでいなかったのはお前たち二人だけだ」
低く、威厳のある声は俺を畏縮させた。そして、後ろの……ああ、俺と同じか。見るからに体が縮こまっている。
「しつれいします」
体育館の中に入った。俺と校長だけなんていやな気分だな、もう一人いるけど、いないも同然に黙ってるし。
「そこの席に座れ」
「はい」
「結構冷静だね、私は緊張してるよ」
「いや俺だって……」
俺だって緊張はしてるさ。
「なぜ来なかったか理由を話せ、その理由によって私が入学を許可するか決める」
なんだそれ、これは入学式じゃないのか?さっきの俺のサンキューを返せ。
それは置いておいて、いい言葉を考えろ俺。ばあちゃんが倒れて……これはダメだ。早くしろ!じゃないと。
「えっと、私はこの人と釘でわら人形を木に打ちつけてました」
やっぱり……何て余計なことを言うんだ。俺と釘?なんか間違ってないか、俺で釘を打ちつけたみたいになってるじゃねえか。俺と一緒に、じゃないのかよ?それより。
「おまっ、何言ってんだよ」
校長に聞こえない声で言った。
「だってほんとのことでしょ?」
そうなんだが、そうなんだけれども。こいつは純粋というか何というか。
「そうじゃないだろ!もっと言いようがあっただろうが」
「なに、おばあちゃんが倒れました、だからいけませんでした。なんてこと言うつもりだったの!?」
俺も考えた。だが逆だ、うちのばあちゃんは元気ありすぎで困るくらいだ。
「そんなこと誰が言うか、ちなみに俺のばあちゃんは元気ありありだ。これでこの学校に通えるかどうかが決まるんだ。しっかりしろよ!」
昨日はこんなんじゃなかったはず、愛おしいとも感じたのに今のこいつは何だ。
「あっ、なんでそんな急に怒るの!昨日もいきなり」
「昨日は魔女になるためだとわらに釘を打ちつけ、俺の安眠を妨害したからぁ……」
そこまで言ってある目線にきずいた。それは俺の右からくるものだった。興奮していて、その声が体育館中に響いていた。目の前に居るやつは校長ではなく言い合ってたあいつで、校長は俺の右側に位置するステージの上に居た。気持ちが冷えた、マイナスまで下がった。
「お前は魔女になりたいのか?」
食いついてきた!
「ええ、そりゃあもう」
満面の笑顔で答えた。この笑顔は反則だな。
「はははは、それは愉快だね。私もなってみようかねー魔女に」
「男がなれるかー」
しまった……
俺は顔を俯けた。それから汗が出てきた、やばい止まらない。
「やだっ、こっち来ないでよ。汗ばんでるから」
こいつ、俺の心情も知らないで。
「そうか、そうだよな。なれるわけないか。だったら魔法使いにはなれるか?」
「へっ……」
気の抜けた返事をしてしまった。だってそうだろ、意外な答えが返ってきたんだから。
「そう……ですね」
俺は顔をあげた、そこには厳しい顔はなかった。
「私はお前達のことが気にいったよ、特に千里ちゃん。かわいいし、大好きだ!」
「うぇぇー」
いやそうな顔してる。それはいやだろうな。
この人もしかしていい人?俺のサンキュー返さなくていいよ。
「今日からこの学校の生徒だ。痴話げんかも聞けたし、私が出てきて正解だった。楽しかったよ」
『あれは、痴話げんかなんかじゃないです』
その時、俺達の初ユニゾンが成功した。
帰り道は楽だ坂を下りていけばいい。
「学校の中で、あの人に会ったよな?」
学校で一番最初に会った人で俺達の担任だそうだ。
「そうだねー。大丈夫だった?校長に何かされなかった?って言ってた」
なんだか嬉しそうだった。俺も入れてうれしい、この学校に。
校長は、校内で面白いことが大好きなエロ魔人で有名らしい。
「そうだ、俺が家まで送ってやろうか?」
あの後、校長自ら校内を案内してくれた。なぜが飯をおごってもらった。お前らが気に入ったと言って。部活に来ていた男子生徒、数名に話しかける。校長、胴上げされ、俺、巻き込まれて。それを抜けだすのに一苦労した。あのときは何事かと思った。
男からは自分から声をかけずとも、「校長!あんたは神様だ」神と呼ぶやつ、「エロ魔人様ー」とあがめるやつがぞろぞろ集まってきた。しまいには「勇者様」と刻み込まれた銅像を発見した。女には「エロ魔人!」「変態!」「昨日、私のお尻触ったでしょー!」「私は胸……もうやだ」と泣き出すなど、うらやまし……、いやひどかった。
俺達が来る前に何をやらかしたんだ校長は……
そんなこんなで、夕暮れになっていた。こいつ一人で帰らすも危ないから、最近夜な夜な痴漢がでてるらしいし、まさか校長……いやまさかな。
「んん、いいよ。一人で帰れる」
首を振ったあとそんなことを言った。
「どうして?最近物騒みだいだし」
「だって……」
少し考えた後、こっちを見て笑った。
「じゃあ、途中まで送ってもらおうかな?」
「わかった」
朝がそうだったように公園まで一緒の帰り道なのだろう。夕日が西の空を赤く染め、空に浮かぶ白い雲に太陽の色が半分塗られていて、東の空から迫ってくる闇もまた一つのキャンバスに描かれた絵のように奇麗だった。
それはそれでいいんだけど、
「なんで俺から離れて歩く!」
「せっかく送ってくれるって言ってくれたし」
理由になっていない。
「だったらもうちょっと近くでも」
何かある。
朝のそれとは違う気がした。朝は横ではなく後ろだった、しかもすぐ後ろ。なぜ今は、前に……あんな前に居るんだ?
「私はこれでいいの、これで」
良く分からないが、うれしそうだ。歩き方でわかる。軽くステップを踏みながら進んだ、時々その場で一回転してみたりしていた。そのたびにスカートがふわっとなる、そうなったら男の見るところはただ一つ。だが残念な結果に終わった。
公園にやっと着いたが、あたりは暗くなっていた。
「ここでいいよ、ありがとう」
朝もここで会ったな、なんか引っかかる。
あいつは今朝、脱ぎ捨てていたローブを着た。やっぱり着るんだ。
「今日は、ほんとありがとうね」
元気が足りないように感じた。あいつはあの笑顔で言ったのか、それとも……
フードを深くかぶってしまったため、俺にはその顔を確認することはできない。
「ああ、じゃあな、また明日学校で」
帰ろうと公園に背を向けた――
そのとき、服に違和感を感じた。服を引っ張られてる?後ろを向くと、あいつが服を軽くつまんでいた。
「おい、どうした?」
「えっ、何でもないよ、なんでもない」
「だったら離せよ」
離さなかった、それからでこを背中に押し当ててきた。泣いているのか?だかこんな真上からじゃ顔なんて見えるわけない、首も回らん。
「ごめん」
「離してくれないなら仕方ないよな」
そこの一番近いベンチに座った。あいつも座ってきた。
「どうしたんだ?」
こいつの考えていることが分からない。本当にどうしたんだ?
「なんでもない、気にしないで」
気になるんだが、まだつままれてるし。それから時間がたった。何分。何時間。どれだけ経ったのかはわからない。腹が減ったので持ってきていた昼用のパンを出して、半分あげた。その間も、ずっとつままれたままだった。
そして、
「よぅし、元気になったー!ありがとー」
「腹が減ってた、だけなのか?」
「そう、腹が減ってただけなんだー」
となりで笑ってる声がした。心配して損した。だったら素直に……あっ女だから言えなかったのか。やっとフードを取った。
そいつは笑顔で泣いていた。勢いよく立ちあがった。何ができるかわからなかったけど、何かしないといけない気がした。その時。
「あははははは、ちょっまって……あははは」
勢いよく笑いだした、なんだなんだ。顔の前に鏡を出してきた。
「見てみてよ、あはははは」
あ……鬘がなくなっていて、下に落っこちていた。気持ち悪い頭があらわになっていた。
「ははは……はあ、忘れてた、髪無いの……」
あまりにもフィットしてたからわからなかった。
「面白かったー、ナイスギャグ!」
手を丸めて親指を立てていた。
「原因はお前だろうが!」
「そうだっけ?覚えてないなー」
「おい、にやけてやがるぞ」
「うそっ!」
顔をペタペタ触っている、だがまだにやけてる。
それで少ししてから帰った、明日の頭どうしようと考えながら。それにしてもあの涙はなんだったんだ?まあ、いいか。眠い今日は疲れた。
明日、やっぱ鬘、駄目だな学校から帰ったら育毛剤買おう。そんなことを思いながら睡眠をすることにした。