ギャルズミートの最高の『餌』
夜のネオンが滲む街角。あの夫妻の車は、獲物を求めてゆっくりと路肩を這う。彼らが狙うのは、大きなリュックを背負い、行く宛もなくスマートフォンを眺めている「家のない女子高生」だ。
「……あの子、どうかしら。若くて、柔らかそうよ」
夫人が指差した先には、寒さに肩を震わせる一人の少女がいた。社長は満足げに頷き、窓を開けて極上の笑みを浮かべる。
「お嬢さん、お腹が空いているだろう?温かいものでもご馳走させておくれ」
親も探さず、社会から消えても誰も気づかない――そんな孤独な獲物にとって、夫妻の差し出す手は「救い」にしか見えなかった。
向かった先は、夫妻が行きつけの古びた定食屋だ。店主は夫妻の顔を見るなり、無言で深く頷いた。彼もまた、ギャルズミートの莫大な報酬と「特別な肉」に魅了された共犯者である。
「美味しい……こんなに美味しいご飯、久しぶりです」
少女が頬張る料理には、強力な睡眠薬が練り込まれている。数分後、少女の意識は急速に遠のき、机に突っ伏した。店主が手慣れた手つきでシャッターを下ろすと、夫妻は彼女を「荷物」のように車へ積み込んだ。
地下室へ運び込まれた少女は、麻酔を打たれ、痛覚を奪われる。やがて目を覚ました少女は、立ち上がろうとして激しい違和感に襲われた。うまく力が入らない。いや、それ以前に――。両手は重い鎖に繋がれ、制服は剥ぎ取られて全裸にされていた。そして何より、彼女の両足は、付け根から無惨に切断されていたのだ。
「えぇぇぇ……なっ、なんで……足が、ないの……っ」
混乱と恐怖に叫ぶ少女の前に、暗がりの奥から「あー、うわーあぁ……」と奇妙な声を漏らす影が現れた。
「タケルちゃん。今日も極上の『おもちゃ』が入ってきたわよ……」
夫人の慈愛に満ちた声が響く。影の正体は、夫妻の息子・タケルだった。世間では子宝に恵まれないと言われていた夫婦だが、実際には息子がいたのだ。しかし、重度の障害ゆえに外に出すことができず、地下に幽閉され、獣のように育てられていた。
「うわーぁぁぁ……わー!」
タケルが歓喜の奇声を上げる。夫婦は、タケルへの「慰みもの」として女子高生を与え、その欲求を吐き出させていた。
やがて、タケルに蹂躙され、ボロ雑巾のようにぐったりとした少女を、社長が冷徹に見下ろす。巨大なミンチ機が起動し、重苦しい回転音が地下室に響き渡った。
「若い肉を混ぜると、豚たちの食いつきが違うんだ。結果として、あの『うめぇ豚』の極上の脂に変わる……」
人肉と飼料を絶妙にブレンドした「特製の餌」。翌朝、何も知らない研修生たちが豚房へ運ぶのは、昨夜まで生きていた少女の成れの果てだった。
ギャルズミートの豚肉を食べた人々は、今日も口々にこう言う。
「このお肉、なんだか……愛おしくなるような味がするわね……」
――あなたが今、口にしているその肉。それは、誰が愛した「おもちゃ」だったのだろうか。




