表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Classic Machine Re:Makers  作者: 桜葱詩生
CMR #01 トヨタ セリカXX

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/35

CMR #01 トヨタ セリカXX #09

※2025/11/21誤字脱字修正しました

※2025/11/23RemakeSuspend をTotalSpentに TotalRoat〜をAllRoat〜に修正しました 細かい

※2025/11/26伏せ字を取りました

よっこいしょっと…さ、これで全部だな? あとは…ってなに寛いでいるんだよ! 僕がどんな大変な思いをしてジェネレーター(これ)を運んできたと思ってるんだい?


やあ、イマーク、交渉が無事終わったようでなにより。そこにコーヒーを入れてあるから飲んでくれよ。呑み慣れるとこれがなかなか……


ああ、ありがとう。ちょうど喉が渇いてたんだ、いただこう…ってそんなことじゃない! マシンはどうなってるんだい?


どうもこうも…見てごらんよ? あとは君待ちだったのさ


ほんとだ! 素晴らしい! こんなきれいなマシン見たことないよ!


そりゃあね? ふつうと違っていろんなコーティングしたから…それで? どんなジェネレーターなんだい?


それだ! 見てくれ! どうだい? クラスDのジェネレーターだ! こんなの積んだら隣の周惑星群征までひとっ飛びだ。ワクワクするだろう?


クラスD? 予定ではBかCだっていっていたじゃないか? なんだってそんな高性能なものを…どんな交渉をしたんだい? 変な脅しとかしたんじゃないだろうね?


れっきとした交渉だったさ! ただ…僕の倍はあろうかっていう大きな方と一対一で対面っていう……本当に大変なやり取りだった。圧迫感が半端なくてね? 僕じゃなかったらこんないい取引はできなかっただろうね?


さすがうちの敏腕ディーラー。ジェネレーターサイズは…合っているようだね?


ああ、その点は問題ない。渡したデータ通り、スモールブロックにしてもらった…シートとガラスもこうして持ってきた。こっちもいい出来だ、絶対このリファインは成功する、保証する…あれはどういうことなんだい? 僕に内緒でレプリカのレンタルを決めるなんて…仲間外れとか淋しいじゃないか


レンタル? 僕はただ、今回のリビルドではレプリカを作れる約束になっている。でも…ここのガレージにそれを置いておけるスペースはない。展示室とかないしね? 作らずに放っておくのももったいない。いくつかの規制で売り買いもできない。なら、できるところに置いてもらって、見てもらった方が、マシンも、見に来た人も、貸してもらった方も、もちろん僕たちも喜ぶ。そう思っただけだよ


うん、たしかにそれは良い考えだ…こっちにも利がある。売買じゃあ駄目だけど、貸し出しならぎりぎりセーフ…博物館に連絡しなきゃいけないけど……よく気がついたね?


収蔵品を貸し出して、ほかの博物館で展示とか、よくあったじゃないか


そうかな? あの遺物営星内でそんな手間暇、かけるようなことはしないと思うけど…まあいいや。ただ、そんなふうにするんだったら先に教えておいてくれよ。取引中いきなりいわれたんで、取り繕うのにどれだけ苦労したか…連絡ぐらいできただろう?


連絡はしたよ? ははあ? もしかしてまた見てないな?


………、そんなことより、だ! これで作業を進められる。楽しみにしている視聴者やファンがわんさかいるんだから、早くマシンを完成させよう!


そうだね…そうしよう


あ、そうだエードン。セリカXXのお披露目には君のファンだっていう美人さんが来るから、目一杯、オシャレして決めてくれ。絶対気が合うから


…まさか本当のことだったのかい? あれは…ちなみにどんな人だい? 君の趣味は少し変わっているから…心配だよ


変わってるなんてとんでもない! 容姿端麗、頭脳明晰、おまけに愛嬌まである素晴らしい人だよ。ゼラさんっていう…君と同じ……いや君より自動車を愛している、とても素敵な人だ


本当かい? その言い回しはよくわからないけど…それじゃあ張り切ってリメイク終わらせなきゃな


その通りさ


でも、僕は当分の間、そういうのはいいかな? リメイクしたマシンが恋人ってことにしておくよ


なにいってんだい! どんなマシンも返事もわがままも愛してるってのもいってくれないんだぞ? 抱き合うことだって、愛し合うことだってできない。リビルドが終わったら悲しいことに離れ離れだ! そんなのに恋をしてどうするっていうんだい?


シートに寝転がれば、マシンに抱きしめられて、守られてる気分は味わえるよ


…やっぱり君の方が大分変わってるって僕は思うよ


………



----------------------


こちらがマシンに搭載するジェネレーターです…最新式のクラスD、安定性も安全性もランク内では上位で保証付き、交換もしてくれるんだそうです…素晴らしいです。いったいどんな取引をしたらそんな特典が付いてくるのやら…そういった心配はさておいて、こちらはこちらでやることをやります。当面の間はリアクターの調整と搭載、そしていくつかの装置との接続です


-ジェネレーターは想定位置に取り付けるだけです


小さなマシンに取り付ける関係上、ジェネレーターはそれなりに小型でなければなりません。そのためのスモールブロックです。これら動力源は通常、隠された位置に取り付けられるので…実物を見たことがある、という方の方が珍しいかも知れません。小型サイズでこれぐらいです…脱出ポッドに使用されているものと同じでは? と感じる方もいるでしょう。その通りです…しかしクラスランクとして考えると性能は上位です。重さを考慮しなければ…片手で持ち運べそうです。さすがに破損するのが怖いのでそんなことはしませんが……


-もっと大きいものを想像していた方もいらっしゃるかもしれません。大型の周惑星群間航行に搭載されるジェネレーターは、これより大きく大出力、大容量です。複数、搭載することで故障や事故に対処しています


最近では大型サイズを搭載するのではなく、ミドルブロックとスモールブロックをそれぞれ交互に設置し出力を維持、さらにその干渉波をも再利用して、ひとつの統合構造装置として使用する、という使われた方もしています。エネルギー消費はこちらの方がはるかによく、推力もほとんど変わりません…効率的ですね? よく間違われる方がいますが…ジェネレーターはAから始まりB、Cと性能が上がります。クラスDは当初予定していたBと四倍程度の性能差があります…現行の最高出力を誇るのはクラスPです。どんなマシンに使われるのでしょうか? 想像もできません。まさか時間旅行を目的にしているとか? 夢物語です


-現在の状況などはさておいて、ここで問題が発生しました。このクラスでは出力が高すぎます。せっかくイマークが苦労して手に入れてきてくれたものですが、これで少々、いくつかの装置の手直しが必要になってしまいました


重力圏内から飛び出して、衛星軌道上を一周、心地よく観光し、また惑星環境内に安全に戻ってくる…というのを想定していたのですが……このジェネレータでは、ちょっとお隣の銀河までお買い物に…なんていう使い方までできてしまいます。そんなふうに運転するとは思いませんが…これでいくつかの設置品の品質を改善させなければいけなくなりました


-高品質のものを使っていない、という訳ではありません。ただ、想定範囲を大幅に超える場合には不具合の発生に対応しておく必要があります


よく間違える方がいらっしゃいますが…ジェネレーターのクラス差は(べき)二乗です。クラスBで2^2乗、クラスCで3^2乗です…クラスDでは4^2乗になり、クラスAの16倍相当です。もちろん、この計算通りに出力が上昇するのではなく、偏りがありますが…それでも想定よりはるかに高い出力です


-ちなみにクラスAで光がΔvCs単位で10~20s内進む距離を2s以下にまで縮めることができます。クラスDでもたった160単位しかありません。距離として考えると途方もない間ですが……


その計算は各自で行ってみてください。惑星外航行機に乗ってひとっ飛び…という意味がよくわかると思います


----------------------


このセリカXXの内壁にはゲルシートとレスポンスシートの両方が貼られています。これらシートでもって内部の居住空間は維持され、外部と隔離されます。内部とマシン周囲、そしてそれよりさらに外側の空間は、それぞれ個別に空間維持が行われます。このジェネレーター出力では、レスポンデントシートへ供給されるエネルギーが想定よりも高くなってしまい、負荷がかかります。加熱するぐらいならいいのですが、それ以外の何かしらの不具合が発生する可能性があります…大抵は空間軸の捩れか、局所的部分破断です……大惨事です。これを回避するためにこのラインには、逓減措置を施す必要があります。同じようにフロントに内蔵した空間維持装置への出力も調整しなければいけません。そして…もっとも考え直さなければいけないのが……この、ラジエーターです


-冷却装置をなんで考慮し直さなければならないのか? 不思議に思う方もいらっしゃるでしょう


マシンに搭載されていたラジエーターは重力子制御を行う装置に変更しました。ラジエーターはそれを行うのにちょうどいい位置にあります。この装置がマシンの移動を行う上で重要なパーツの一つです


ラジエーターはマシンの前部のここ…この位置に取り付けられます。見て分かる通り、前方へのエネルギー出力を行うにはもってこいの場所にあります。その装置をラジエーターにしました。これでほぼすべての再創生が完了…のはずでしたが、作り直しです


-現行でも使用はできます。しかし出力を最大にすると負荷が大きくなり、先にラジエーターの方が参ってしまいます。屈間移動をしている最中に故障でもしたら目も当てられません


適正範囲内で使用してもらえればよいのですが…何事も想定しておいて間違いはありません。できることが判明した時、どこまでできるか? と試したくなるのが人情? です。その挑戦に果てはありません


-実際の総時空区間には果てがありますが、思考にはないのが実情です


本当に挑戦には果てがありません。新しいラジエーターを作り直した際、いくつかの改善と見直しを行いました…大半は知的補助助言装置がやってくれましたが。この…冷却液を入れる蓋はもう必要ありません。同じに作られたので…このように空きます。少しのこだわりですが…ここが開くことを知った方が興味本位に何か入れ込まないか……逆に心配です


-ラジエーターの取り付けは簡単です。エンジンルームの所定の位置に上から入れて込んでロックし、ボルトで止めるだけです


-入れる時、エンジンファンに接触、破損させてはいけません。ファンは元のままの貴重品です。挙動は確認してありますが、プラスチック製なので耐久性、強度がありません。惑星環境外での移動の際には凍結しませんが、惑星環境外でどこかに止めおき、エンジンを動かしていないのなら、当然のように凍り付きます。テラン産の古生燃料から作られたこのような素材はおおよそ、惑星外環境には適していません。この点は改善の余地があったかもしれません。ラジエーターから出ているラインはそれぞれ間違えないように接続します。特に、コパイロットとジェネレーターへと向かうケーブルは決して間違ってはいけません。ショートしてまた作り直しになります


ラジエーター回りが終わったので…いよいよ、ジェネレーターに取り掛かります。ガラス窓、シートなどもまだありますが…それは最後の楽しみに取っておくことにします。同時にライトなども装着し直しです。出力の変化に対応するためですが…最終段階(ここ)にきて細かい作業が増えるのは、修繕ではよくあることです



----------------------


-就連邦航行法により、惑星環境外、環境内の如何を問わず、光速度で航行、移動を行うことは禁止されています。当機体は、光速度で発生するいくつかの懸念事項に対処し、また航行法を遵守するため、光速度での航行、移動は行わず、かつ、行いません


以前に説明したとおり、光速で移動を行うと電子の挙動が不安定になり、マシンの制御が不能になります。光速度移動不変の法則です。それと同時にもう一つ、明確ではっきりした、光速で移動してはいけない理由があります。光速で移動すると、質量のある物質から質量子が抜け落ち、あらゆる物質は光子と素粒子に分解されます。有名で難儀な光子-素粒子崩壊です。この崩壊を回避するための方法は唯一、光速で航行しないことです…いまのところの対処法はこれだけです。就連邦内で光速移動が禁止されている本当の理由がこれです


-初等教育以降なんども教わる理論です


かつては質量のある物体を光速で移動させるためには無限のエネルギーが必要…とされていました。空間-重力制御はその制限を取り除きました。しかし実際に光速度にまで物体を加速すると、物質から質量子が抜け落ち粒子結合力が失われ、分解、消滅しました。この現象は一定以上の質量を持った物質だけに起こり、特定閾値(しきいち)以下…極微小以下の質量では起こらない、と実験で証明されています。詳しい原理をお知りになりたい方は就連邦統合府が公開している資料を参照して見てください


-資格を取るための講義で実際に実験をしたことがあります。適度な大きさの金属塊を空間-重力制御装置内で加速し、光速度に到達させます。塊は閃光と共にものの見事に消え去りました。面白かったのは、装置内には甘いラベンダー? のような香りがしたことです。装置の中からは粒子の一切を取り除いていたため、そんな芳香粒子が残存しているわけがありません。さらに周囲の隔壁には細かい素粒子|アトミクロイドスコープグラフ《顕微鏡》でなければ確認できないような貫通孔が、無数にできていました。崩壊した際のエネルギーがどこに消えたのか? 認定試験にでます。技術職(メカニック)に就きたい方は先に勉強しておくといいでしょう。就連邦の試験に毎年、設問が載るほど重要な難問です


質量子も単独では光速で移動することができる、とされています。ですがなぜか? 他の素粒子と結合し、特定質量以上になった質量子は光速で移動ができず、その速度に対応できなくなります。質量…体重が重くなるとこのような弊害を招くので気を付けるように、という良い教訓です


-過去、光速に挑戦した知的交渉可能体は数多くいました。実際に光速度に到達した知的体もいました。しかし、光速に到達したと同時にどこかへと消え去りました。時間と空間を飛び越え、違う次元へと移行したのだ、と唱える学者もいます。それなら帰還することも可能なのでしょうが、いまだにその事例は発見されていません。まるで昔の、幽霊の存在にまつわる逸話のようです。こちらの証明もまだ行われていません


もちろん、このマシンに搭乗する方はそんな心配をする必要はありません。マシンは光速で移動しないからです。光速より、より早く移動しますが…崩壊はしません。理屈は単純です。空間-重力制御でもって空間を集縮して距離を稼ぐからです。安全安心の航行をお約束します


-なぜこんな内容を九度くど九度くど、説明したのか? というと、光速度移動とその安全性に対する|ガバナンス・アカウンタリティ《説明責任》があるからです。みなさんも遠距離の周衝星群間航行を行うマシンに搭乗する際に、必ずこのような説明があるのを聞いたことがあると思います。同じようにマシンを作成、修繕する際にもこの説明はしなければなりません。その他、パンフレットやマニュアルにも記載する義務があります。興味本位で光速度へ挑戦するのを避けるためです。挑戦に果てはありません


さてこれで心置きなくジェネレーターを取り付けることができます。リメイクも今や大詰め? です


-大きな箱いっぱいにものを詰め込んだが、最後に残った一番大きなものまでを、箱に入れて仕舞うことができて、なんだかおさまりが良くていい、という古い格言です。その通りです。きちんと痕片付けまで行ってこその修繕です


----------------------


惑星環境外航行を行うことを想定した場合、以前のエンジンではなにもできません。どうしても異なる装置の新たな設置が必要になります。このマシンに…新しい装置を搭載するスペースは…もうなさそうです。ただ一か所だけ、加工も何もせずにそのまま取り置いてあるところがあります。そう…ガソリンタンクです


-タンクには液体古生燃料が蓄えられ、内部燃焼機関へ供給されていました。就連邦規定によりガソリンやその他、古代燃料の使用運用はできません。エネルギーの喪失と環境への負荷が大きすぎるからです


セリカXXのガソリンタンクは後部トランクの下…この位置にあります。タンクはこのような…頑丈なベルトとボルトで固定されます。ここにガソリンを入れるのは大変だったようです…後ろのハッチバックを開け、トランクルームに敷かれたカバーを開き、吸入口を露出させ、そこから液体を補充するという、死地メンドクサイやり方がとられていました……セリカXXの唯一の欠点です。雨…自然降水などの時はどうしていたのでしょう? トランクルームが腐食することが多かったのも納得です。余分な液体燃料を周囲に漏れこぼしたり、蓋がきっちり閉められていなかったりしたのなら、操縦空間内に異臭が立ち込めて、気分が悪くなったことでしょう。古来の液化ガソリンはそのような、臭いがするように細工が施されていたから堪りません


-この部分はもう使用しません


タンクとジェネレーターを比べてみます…ほぼ同じ大きさです。ややジェネレーターの方が大きいぐらいでしょうか? これをこの位置に取り付けます


-取り付けそのものは簡単です。ただし、外見的に全く一緒にすることはやはりできません。固定するのにもひと工夫が必要です。ジェネレーターはやや重量があります。持ち上げ機器を使用しましょう。本当にサイキック能力のある助手か装置が欲しくなります


-タンクの脇にはエキゾーストパイプの噴出口が設置されています。リアクターサイズが変更になったため、パイプの形状に加え、素材も新しいものに変更し、さらに取り付け位置を修正します。取り付け位置はやや外側になりますが、排出口の位置が変わらないように工夫しました


この排出口から排気ガスは出ません。こちらも飾りですが…格好いいので取り付けます。見た目的にもあった方がいいでしょう…ここから身体に有害でない気体を放出する……という案も考えましたがさすがにそこまでは行いません。博物館からクレームか要請が来たら…対応しましょう


-固定ベルトもロック式の新しいものに交換します。実際にはここは目立たない箇所になりますが、落下、破損、衝突防止の予防策はいくつか施しておかなければなりません


ジェネレーターはこのように奇麗に収まりました。ではケーブルハーネスを接続していきます。それぞれの接続先は決して間違えてはいけません。常にダブルチェックを心がけ、知的補助装置にも頑張ってもらいます


-リアクターの重量はガソリンが満杯になった状態より、多少重いぐらいです。同じ比重量率になる液体で計測したので間違いありません


-テールランプ、ウィンカーなどをボディに取り付けます。これら装置にはある機能を追加していたのですがジェネレーターの変更により作り直しています


テールランプ、ウィンカーにはマシンの姿勢制御、推進器としての機能を合わせ持たせてあります。実際の姿勢制御はジェネレーターと空間制御が担います。予備の安全対策です。それぞれに負電荷プラズマインパルス推進機能を追加してあります。見た目、動作、役割も元と一緒です…ライトをつけるとライトが点き、ウィンカーレバーを操作するとウィンカーも光ります。これでどちらに曲がるのかきちんと伝えることができ、事故を防げます


-正面のリトラクタブル・ライトの機能は多少異なります。正面から来る障害物を破壊、除去するためのイオニックランサーにしています。指向性インパクトイオン荷重子砲という呼び名の方が馴染みがあるかもしれません


-リトラクタブル・ライトは緊急停止に使用することもできます。出力は高くないので制動距離があり、実際には空間-重力制御でもって停止する方がより安全です。テールランプの補助推力も同じように出力は高くありません。実際のこの装置の推力は僅か光速度の5%未満です。速度もそれなりです


-計算上ではΔvCs/周回単位で最高単位速度、1465kc/ds/dt^59.069iHです。移動が非常に遅い、と不満に感じる方が出るかもしません


これらの動作の調整は慎重の上に慎重を重ねて行います。もし、それぞれのライトの正面に知的交渉体が立ち、万が一にも、ライトやウィンカーが動作した場合、重大な事故が起こります。これらの放出は距離を調整し、すべてセンサーで感知、一定距離以内に知的体が位置した場合、ただの光を発するようにしておきます…通常の操作でも発光するだけなのでこれは簡単です。対象が機械行動可能体…ロボットやアンドロイドなどでも同様の処理を行わせますが……障害物として認識された場合、この限りにありません


-そのような機体をわざとマシンの周囲に置き破損させ、賠償請求を行う輩がいます。気を付けるに越したことはありません


-これらは高温になります。長時間、推進噴射をするとボディの方に顕熱影響が発生し、損傷、変形します。この周りの遮熱処理は厳重に行います


-推進装置は本来なら前後のバンパーに内蔵するのが効果的でかつ効率的です。放出立面積も確保できます。しかしセリカXXのバンパーはボディと一体構造を成しているので、変成、変形などを考慮し、変更しません。速度より外見を優先します


これで移動周りの設置は終了です。ジェネレーターの出力、エクセルギー調整はプログラミングの領域になるため、内部が完成した後に行います。では…シートを備え付けていきます


-シートは弾力が充分に戻ってきており、非常にいい出来です。少し良すぎる気もします。あまりの心地良さにここに着席したらたちまち眠ってしまいそうです


-装着は後方シートからです


後方シート回りにはエアファンシュラウドが設置されています。シートを取り付けることでこれらと干渉しないか? 心配だったのですが…杞憂のようです。安心しました


-操作席、助手席を取り付けます。こちらも同じようにボルトでスライド装置を固定し、その上にシート構造を設置するだけです


シートのヘッドマウントには緊急措置用のエアカバーが内蔵されています。衝突や故障、事故などで気体供給ができなくなった時に使用するものです。緊急時に使用するので…試すことはできません。どんなものなのか…映像で確認はしましたが上手く作動するのか心配です


忘れない内に洗浄してきれいにしたカーペットを敷いておきます。なかなかの触り心地です…ペダルを絡ませないように気を付けて……動かないように密着させます


-ステアリング、取り置いていたカバーなど、いくつかの内装を取り付けて、内部は完了です


では…ガラス窓をはめ込んでいきます。これは非常に神経を使う作業です


まずそれぞれに密閉用のウィザースリップを付けます。ガラスと本体の隙間は閉じなければなりません。そして…はめ込んでいきます


-左右のドアガラスはドアの内装を外して入れ込むようになっています。ここにもドアスリップを忘れないようにします


-ガラス窓の強度を上げているとはいえ、ガラスを曲げたり撓らせ(しならせ)たりしてはいけません


ここは昔ながらの…糸を使ったやり方でスリップを入れ込んでいきます。不思議なことにこのやり方の他に良いやり方は登録されていません。もう行わないやり方だからかもしれませんが…もっと他にいい方法を考えつかないものでしょうか? いくつか…知的補助装置の提案を試してみましたが……もっとも簡単だったのは古来よりのこの方式でした。何か良い案があったら教えてください。みなさんも考えてみてはいかがですか? 初期登録料と閲覧、使用料で褒賞が貰えますよ?


-ガラス窓にはこのような端子を取り付けてあります。それをその場にある端子と接続していき、ゲルと内装で隠します。それぞれの位置にあるハーネス同士を繋げるだけなので間違えることはありません


ガラス窓の内側には、映像を表示するシートを貼っています。マシンのフロントパネルだけでは、惑星環境外に出た後、表示しきれないデータがあるからです。正面の窓ガラスの表示範囲は特に気を使って提示位置を調整します…この調整はセンターコンソールに入れた操作パネルでも行うことができるようになっています。前後左右、すべての窓ガラスに映像を投影できるので…マシンの死角はありません。下も確認できます


-天井に映像表示機能を付属させておくべきだったかもしれません。それなら寝転がったまま映像を再生することができます


この天板には…このようなややふわふわしたシートを取り付けているのでそれはできません。これは以前のセリカXXのものと同じです


では…ウィザースリップがきちんと付いているか? 密閉の確認を行います。やり方は簡単です…このような車体や人体に影響のない気体を放出するものを車内に置き、すべてのドアを閉じるだけです。ではやってみましょう


-気体は水蒸気ではありません。それでは内部の奥に水分が付着し腐食の原因になってしまいます。気を付けましょう


車内に気体が充満してきました…漏れているのならどこからか? この気体が吹き出ているのが見えるはずです。マシン周り全てで確認します…大丈夫なようです……いえ、ここ、ここの隙間から少しだけ気体が漏れています。密着が足りていなかったようです…手で押して再密着して確認します。それでだめなら機械か、新たにゲルを取り付けなければなりませんが…大丈夫なようです。このチェックを何回か、行います。内部に入り、外に気体を充満させて入り込まないかもチェックします。気密チェックは重要なので…見落としは厳禁です


-気密に関しての確認は大丈夫でした。これで検査も通ることでしょう


これでセリカXXのリメイクは完成です…の前にひとつ、重要な加工を行います。これは就連邦航行法の規則に則ってこのようにしなければなりません



----------------------


このようなパネルを作成しました。これをマシンの下、駆動系、動作系を隠すように装着します。機械部分は外部、外側に露出していて、このままでは運用、移動、航行ができません。就連統合府、周惑星群征間航行法で、動作部が露出したままでの航行は禁止されています。ジェネレーターや動力伝達部位がむき出しのままの機体は運用できません。なので、マシンの下、アンダーパネルを作成して取り付けます。このパネルでもって、マシンの下に装着されている装置を隠し、接触、脱落、衝突などの被害を防ぎます


-マシン底面の見た目が変更されてしまいますが、必要な措置です。博物館からの許可もとってあります


-ついでにこのパネルにはスポイラーと各種抵抗軽減の措置も付け足しておきました。重力下での駆動と、地面や石、バンプ、障害物との衝突、接触による損傷もこれで回避できます


取り付けるものは全て取り付けました…これでセリカXXのリメイクは完了です。後はシステムエンド、コパイロット、サブシステムへのプログラムの入力と調整、実際に起動してみてからの調整がありますが…就連邦統合府の認可を受けるための検査に比べればなんということはありません。セリカXXはもうこのガレージを離れます。長い間携わっていたマシンなので…寂しくなりますがそれも仕方ないことです。マシンは移動してこそ、動かしてこそ、その真価を発揮するものです。後は…許可が下りることを祈るだけです…下りなければリビルドが失敗したということなので……それはそれで困りますが。これはわたしだけでは行えないので審査官に委ねます


-おっと、ひとつ忘れていました。重要なパーツを付け忘れていました


最期に…このフェンダーミラーを取り付けます。ここにもセンサーを内蔵させています。ガラスも交換しておくべきでした…以前のものでは気圧と温度差で割れてしまう可能性があります。一応、この後ろのスペースに装置を入れ込み、ガラスの表面には自分でシートを張りましたが…以前のものは脆いので何ともいえません


-これで完璧です。では、検査に向かいましょう



----------------------


-彼が検査を担当してくれるンバlンbwリガーさんです。わたしも検査官としての資格を持っていますが、自分で作成したマシンの検査をわたしだけで行い、許可を出すことはできません


どうですか? 特に問題となる箇所はないと思いますが?


………


-ここは無口な彼に任せて許可が下りるのを待ちましょう


-実際に行うテストは多岐にわたります。ここで手直しや再修繕を指示される可能性もあります。それなりに時間をつぶす必要があります。不認定にならないように祈ります


…………クイ


-検査が終わったようです


……こんな高価なゴミ除去マシン…脱出ポッド? は見たことがない…合格です


やりました。これで晴れてセリカXXで惑星環境外移動を行えます…ゴミ除去装置はいい過ぎだと思いますが…これで堂々とセリカXXに乗って運転することができます。やっほう…もちろん航行規則を守って、安全運転を心がけましょう。大事なマシンを傷つけることはできませんからね?



----------------------


--セリカXXの修繕にいくら係ったでしょう?


total Spent


Machine 0

BodyMaintenance 1200

Engine 845

Gear 1540

Seat Glass Wheel 1435

Coating 6500

Suspension 1850

AirFunshroud 3540

Light TurnSignal 980

GelSheet 1700

Generator 0

Inner 650

Steering 320

Etc. 542


Total 21202


AllRoationTime 16R185461ΔvCs/s



----------------------


出来上がったって? エードン? ってワァオ! なんて素晴らしいんだ! こんなすごいマシンは見たことない!


そりゃそうさ…テラン産の自動車を惑星環境外航行機…つまり宇宙船にしようってんだから……そんなリメイク、前代未聞? だよ


前の時代から今の時代まで、見たり聞いたりしたこともない素晴らしい出来事…ほんとにその通りだ! エイトムも随分、地球ナイズドされてきたじゃないか?


そうだね? 地球の諺? はいい慣れると使い勝手がいいからね


そうだろう? でだ? これはもう乗ってもいいんだね?


もちろん、就連邦統合府の認可も貰った。Voucal(ボーカル)ナンバーもきちんとこの通りある。もうこのマシンでどこへ行こうと問題はない


そうか…それじゃあ早速行こう


もうクライアントのところへ持っていくのかい? それは何が何でも早すぎやしないかい?


違うって…試運転に行くのさ! このマシンをお披露目する前に自分たちで試してみなくちゃいけないだろう?


そうだね? 実は僕はもう乗ってここまで帰ってきたんだけど……


なんだって? それはズルいぞ? エードン…君には失望した。僕に黙って楽しむなんて…あんまりだ


そんなこといわないでくれよ…君の好きなところで運転していいからさ?


そうかい? そういってくれると思ってた! じゃあ素晴らしいところでこのマシンを存分に堪能しようじゃないか!


はいはい…くれぐれも壊さないでくれよ?


もちろんさ、僕がいつ、マシンを壊したっていうんだい?


いつも恋人ができると振り回した挙句、連絡もせずにやきもきさせて、関係がこじれるのはどこの誰だい?


それはどこのドイツだ? だ! で、答えはオランダだ…オラだ? 俺だ? なんてこった、これは一杯喰わされた!


………


数字の並びにタブを使ったのですがまさかの機能しない…とは…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ