CMR #01 トヨタ セリカXX #05
※2025/11/21誤字脱字修正しました
※2025/11/26伏せ字を取りました
タイヤとその駆動に関しての解決はいたってシンプルです。クランクシャフトに取り付けたものと同じ機能を持つ装置を、ハブに組み込むだけです。サスペンションの下…この部分にハブといわれる接続システムがあります。ハブの先にホイールが付けられタイヤが機能します。ハブに新しいものを追加し、変更します。これでタイヤが自動回転してくれるようになります。
それだけでは不十分です。回転だけでは惑星外環境での移動を行うことはできないからです。回転するだけなら…このようなシステムでなくともよいのです。その解決策として…ホイール自体にも装置を組み込み、動いてもらいます
-ホイールはリムともいわれていました
リムの幅はこのように狭く、内側には若干の空間があります。軽量化とブレーキを冷やす目的でこのようになっていました。ここになにか装置を入れ込もう、とする考えはなかったようです。それも仕方ありません
-重力下での使用を目的としていたタイヤとホイールはなるべく、軽くなるように作られています。重量があると余分なp摩擦が発生し、挙動が不安定になるからです。発進時に鈍重で、操縦竿も重く動かすのも一苦労、止まろうとしてもきっちり止まれない。このようなマシンは危なくて誰も乗りたいとは思いません
そのため、少しでも軽くするためにリムとタイヤの間は密閉され、気体…空気が入ります。タイヤの反発力を高め、接地面を減少させ、p摩擦を少しでも低減させるという制御法です。長い間の研究と研鑽の結果がここに現れています
-調べてみたところ、リムには削り出して作られるもののほか、組み合わせて形作るものもありました。加工して組み上げる方式は確立していました。あとは耐久性と対衝撃性能、そして安価に製造できるかどうか? だけです
-せっかくイマークがきれいに修繕してくれてきたホイールですが、少し加工をしました
リムに装置を取り付ける関係で、ホイールの曲円面に、ヘリカル-リーフ平行模様で立体的に空間を設けました。耐久性を少しでも保つためにこのように…内側から外側にかけてやや角度を付けてあります。変形対策と、強度不足にならないように四角形にはしていません。装置はその間に、このようにはめ込み…取り付けます。航行中に装置が緩んだり、外れて制御できなくなったら大変なので…この取り付けは最新のもので行います
-本来ならこんなところの空間を空けるべきではありません。密閉が失われ、タイヤがヘタるからです。反発力が下がると燃費…古生燃料の消費量が上がり、余計な出費を覚悟しなければなりません。タイヤを重くすることは挙動制御もさることながら、そういった意味で控える傾向にあったようです。今はそんなことを重要視する必要はありません
-ただランニングコスト? というものはバカにできません。塵も積もれば山となる? とは素晴らしい格言? です。確かにガレージのあちらこちらに塵が積もると、固まって盛り上がり、簡単に剥ぎ取れなくなって掃除に難儀します。こういったことは事前から避けるように、という教えが昔からあったというのは当然でしょう。格言? とは? ええと? 格式ばった言い回し? ということです。よくわかりませんがいい言葉です
-新しい装置はこのようにリムの曲面比率と厚さ、共にまったく同じものの作成を依頼しました。これを内側からホイール内部に取り付け、固定します
-ホイールはアルミダイキャストの削り出しという方式で作られているため、耐久性に問題はありません。ただ一部に空間を設けてしまうため、衝撃に対する性能が一時的に低下する可能性があります
その間はこちらの…高分子-難繊維性シートと複構膨鋼材による同化結合と衝撃吸収を行います。これで衝撃性能を補います
-アルミとの分子結合はやや難しい種類のものです
アルミは酸素との融和性の高い金属で、表面に保護膜…自由結合節に余分な反応が起こらないように結合子が強制的に二重共有結合されるという効力を持ちます。結合接が半ば強制的に閉じてしまうため、新たな分子結合が起こり難いのです。腐食に強く、テラン産のマシンでは大量に使用されていました。非常に軽く、加工しやすく、生産量も用いるのも容易でした。結合節が閉じるため、新たな不活性化を行う必要がありません。ですがそれは、ほかの強化用のコーティングなどと結合接合を行えない、という短所と同義語です
-このような時、過去の技法として、スポット溶接? というものがありました。高温にしたガスと電子融解を用いた、要所々々をピンポイントで張り付ける接着法です
-これは特に地球においてよく用いられていました
熱によって金属が変形するのを避けるためにそのような接着法を採用したのでしょう。ところどころ、であるためこのやり方では強度不足に陥ります。今回はそのような方法ではなく、最新のもので接続します。ただ…これで挙動や反応、反射性振動が変わってしまう可能性があります。仕方ありません…ここは妥協してことを進めます
-取り付けには時間がかかりました。しかし出来上がりは上々です
見てください…ホイールの極面に違和感なく、装置をはめ込むことができました。前のホイール内部と何ら変わりはありません。この外にはタイヤが嵌め込まれます。装置の外側には安全のため…このような混分子-難維成のシートで覆います。これで衝撃緩和性能も十分です。タイヤトリムの間にも…シールを入れ込み、密着と密閉は完了です。もちろん、タイヤには気体を入れる予定です。低温状態でも凝結しないものにしなければなりませんが…レスポンス、機体の反応はなるべく従来のものに近寄らせます。惑星外環境でその恩恵にあずかれるかどうかは…わかりませんが
-なにしろこのようなリストアは前例がありません。何事も手探りです
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リムに緩衝材を入れ、タイヤを嵌め込み…ます。これを前後すべてのタイヤに施します。大変な作業です
-ホイールに組み込んだ装置は、質量子によって周囲の空間を僅かに収縮させるものです。局所的縮集を発生させることで、マシンはタイヤの方へ落ち込みます。下方の空間はタイヤのほうへと引き付けられます。タイヤと車体は重力下にあるように下方へ抑え込まれますがしかし、それ以上、降下しません。初等教育で習った、空間歪曲保持の法則です。さらにジェネレーターからの移層偏極による空間維持がそれらを補助します。これで無重力下においても接地面があるかのようにタイヤが回転します。足回りはこれで終了です
-これらはきちんと制御し、その回転速度を管理、監視する必要があります
-もし、それを怠って、リアドライブの回転が左右で異なってしまったら大変です。回転数の違いでマシンは高回転しているほうとは逆へと曲がりはじめます。バーンアウトやドリフトをするのならそれでもいいのですが、通常走行時は困ります。前輪と後輪の回転数が異なると、オーバーステア、もしくはアンダーステアという事象の原因にもなります
-前後のタイヤの回転数がそれぞれ異なっていて、そこに操縦操作が加わったのなら、重大事故が起こりかねません。これらを回避するためには、細心の注意を払ってそれぞれを管理する必要があります。プロ並みの運転技術を持つ操縦士だけが乗るわけではありませんからね
-これらのいくつかは重力下環境においてのみ起こる現象です。重力下環境圏外で憂慮する必要はないかもしれません
-装置を取り付けたホイールの重さは変わりません。装置は質量子を使用していますが、タイヤ自体の質量を変化させません。若干、反発性が変わっていますが、マシンは必要以上に鈍重にはならないでしょう。問題はリムに取り付けた装置では出力が高すぎるということです
-ペダルを踏んだとたん、マックスの推力を得るようでは危なすぎて搭乗できません。スリルを味わうにはよいかもしれませんが
発進するために軽く踏んだだけで、瞬きする間もなく音の速度…音速を超えます。これではなにがなんでも危なすぎて使用できません
-あくまで惑星環境下での理論です。惑星環境下では進行方向に何が存在しているか分かりません
安全対策として…その対処のためにハブを交換します。このハブに組み込んだオプティカル・ギアは質量子のものより、弱い制動を提供してくれます
-弱いといっても軽く音速の半分ぐらいは出てしまうのですが……
そしてハブを交換するのと同時に…サスペンションも取り替えます。一新します
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こちらが新しいサスペンションです。以前の…こちらと全く同じように見えます。このように並べても…見分けがつきません……唯一、ウィッシュボーンの形状が少しだけ、異なりますが…それ以外はほぼ一緒です。色合いも…同じ青にして、こだわってみました。スキャンから作成したのですから当然です。ただし、中身は全て異なります
-本来なら従来の、テラン産のサスペンションを修繕し再利用したかったのですが、検討の結果、断念しました。耐久性と衝撃吸収、そして素材的に無理があることが判明したからです
非常に残念です。しかし足回りの心配はもうありません
-サスペンションには圧力がかかります。この圧力が問題です
ダンパーは…このようにゆっくり上下し、衝撃を緩和します。この衝撃吸収はお話しした通り、液圧か気圧を用いています。外のスプリングがマシンにかかる衝撃を緩和し、内部のショックアブソーバーがそのスプリングにかかる衝撃をさらに緩和します。素晴らしい発明です…重力下であったのなら
-ショックアブソーバーの外に圧力、気圧や縮集圧がなく、内部により大きな力が一瞬にしてかかった場合を想定してみましょう。外気温がダンパー内と同じなら、それほど問題はありません。問題はあるのですが、想定範囲に収まります。問題は、外気温が低い場合、惑星環境外の時です
外気温によって冷やされていたダンパー内に一気に圧力が掛かると、圧縮力により局所的膨熱現象というものが発生します。液体が急激に圧縮されることで、熱が生まれます。ところが熱が発生することで液体内部のエネルギーが喪失し、反対に液体は冷却、もしくは過冷却性非凍結状態という厄介な事象に陥ります。熱の発生によって内部が冷え、反発性を失うのです。気体であった場合も同じです。意図しない液状化、または原子間非接性圧力の低下により反発能力が一瞬にして喪失します。一度そのような状態になった内部は、直接補充するか入れ替えるしか回復手段がありません。温めても元の反発性能までには戻りません。サスペンションの反発力は低下したまま、装置に負荷がかかり、最悪、破裂破断を引き起こします。以前のサスペンションはこのままでは使用できません
-素材的にも問題があります
極低温状況では金属に脆弱性が発生し、柔軟性、剛性、耐久性が一時的に失われるという厄介な問題があります。金属脆性といわれる現象で、テラン産の錬成鉄の弱点のひとつです。冷却されることで金属間の結合力が弱まり、簡単に破断、壊れるようになるのです。この金属の綻びを無視することはできません
以前の…こちらのサスペンションは地球で作られた貴重なものです……歴史館で、サスペンションの進化と重要性、という展示に使用できる程のものです。ですが、金属脆性には堪えることはできません。同じようにショックアブソーバーもスプリングも…このブレーキに使われている油圧も同様に無理です。圧力がかかる部分は総取り換えが必要です
-過去にあったような、エアサス、ハイドロサスというものには憧れます。しかしそれをこのマシンに搭載することはできません
カッコいいんですがね…特にシャコタン? という状態のマシンは非常にクール? です。車高が低い単車? 単車とはバイクのことだと思うのですが? 地球の言い回しはいまいち、ピンときません
新しいサスペンションはBe化クロマルミュウムという素材でスプリングを、ショックアブソーバーの中にはアクライト・コアといわれる磁成線を発生させる機器を備え付けています。ハブにはオプチィカロティ・ギアが組み込まれ、もちろん…ブレーキもついています。素材は…以前のものと異なりますが、これで惑星外の厳しい環境でも違和感なく使用できるようになります
-最新のショックアブソーバーが昔のものに適用できることを不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。ショックアブソーバーとはテラン産が起源だからです
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-適度な重力下で衝撃を緩和するためにはこのような多重構造的吸収装置が必要です。極小下では摩擦、空間偏極も極小になるため、このような装置が必要になる発想にいたりません。同様に極大下では物性的限界により使い物になりません。つぶれてしまうからです
新しいショックアブソーバーの中に入っているのは液体でも気体でも、ましてやオイルでもありません。ネオルクMアチタノイド・アクrセント・コア…ハイパー・エクリセオン・ネオ・ジMという名前に心当たりのある方がいらっしゃるかも知れません。磁力の反発力によるショック吸収機構がここに入っています
-アクセクトン・コアは特定方向に対して磁力線を放出しています。これが上下、対になってこの中に組み込まれています。アクセプト・コアの磁力線は強力で、さらに電力-電流が加わるとコアの磁力線が強まる特徴があります
上下対になっているため、コアとコアの間は磁力の反発力によって空間が保たれます。物性的ではないため、装置への負荷は最小で済みます。磁力線は指向性で上下にのみ……
---エイテム、これを---
…ありがとう、…………! スタッフからよい報告がありました。金具が到着したとのことです。それとともに…ボディもコーティングを終えて戻ってきたようです。いいタイミングです。これで全体の作業を進めることができます
-では…ええと、サスペンションのことでしたね?
エンジンに次いでもっとも酷使されるのがこの足回りです。傷つくという点においてはボディのほうが割合が大きいのですが、直接的な自然現象から受ける影響はほかのどの部分よりも大きく、損耗も激しくなります。ここはより頑丈に、そして慎重に仕上げる必要があります
-スプリングも新調しました…伸張するだけに。新しい素材は脆弱性に対して強いものです
ショックアブソーバーのシリンダーは、上下することで電力を生み出します。ゆっくりとなら弱い電圧が、急激に上下するのなら強い電気が発生します。発生した電子エネルギーはアクセプション・コアに供給され、磁力が増幅し、ショックを緩和します
-磁力はスプリングに影響を与えません
新しいスプリングは脆性に対応するのと同時に磁力を帯びないものです
-組み立て自体は実にシンプルです
こちらの…ブレーキキャリパーも新しいものです。この後ろ…ウッシュボーンとハブはオプティカル・ギアと同じものが使われます。ブレーキもスプリングと同じ素材でできています
-タイヤの取り付けは、サスペンションを本体に取り付けたあとです
これで足回りは終了です。後輪の足回りは少し違う構造になっているので、そちらも変更します。ブレーキに必要な油圧はこの…小さなプラグで十分な圧力を生み出すことができます……実際にはこの従来のブレーキは役に立たないのですが…挙動と見た目を再現するために残します。あと…ハブとタイヤを結ぶ、ナットを新しいものにして取り付けるだけです
-そうは行きません。フェンダークリアランスとタイヤ射角という厄介な問題が残っていました
取り付け位置は変わりませんがフェンダー…マシン外側のボディとの隙間に若干の変更があります。本当に微小な違いですが、それがタイヤの射角…左右にステアリングを切ると変化するタイヤの角度に、影響を与えます。どちらかに回してみたら、フェンダーとぶつかり、タイヤが擦れてボディを傷つけてしまった…ではお話しになりません。前輪、後輪とも、ポールジョイント、取り付けアームの長さを変更します。これらはボディをシャーシに取り付けたあと、微調整を行います。ではボディの作業に戻りましょう
---インターミッション----------
やあエーデン、調子はどうだい? 順調かい?
イーマック。すこぶる順調…とはいいがたいけど、順調だね。金具にボディが一緒に届いて、これから組み立てるところさ。手伝ってくれるかい?
そうしたいのはやまやまだけどそうもいかないんだ。色々と立て込んでててね。行かなくちゃいけないところもあるし、ガラスとシートも取りに行かなくちゃいけない。大変だよ
そうか……、ところで結構いいたい放題してしまったけど…こんなんでいいのかな? 説明ばっかりで視聴者が飽きるんじゃないかって心配なんだけど……
それは大丈夫、問題ない。参考にした映像資料だってそうだったじゃないか…上手くやっているから気にしないでくれ。エイドMはいつも通り、真剣に丁寧に仕事をやってくれればいい。絶対上手くいくから心配することはないって
そうか…分かったよ。いつも通りっていうのはいい過ぎだと思うけど
そうかい? いつも説明ばっかりだったじゃ……! ほら…テラン産のマシンはみんなそんなに知らないだろ? 自動車なんて…珍しすぎて博物館じゃなければ見れないほどさ。ほとんどはその実態を知らない。それをこうしてリビルドしているって知っている存在がこの向こうにどれほどいると思う? 興味を持って見ていると思う? 知らない、興味がないっていう知的交渉可能体にも見てもらうためには現在のマシンとの違いを説明して、それをどう仕上げたのか? 楽しくやったか? ってことを知ってもらわなきゃ。そして、テラン産のマシンがどれだけ素晴らしくて、格好良くて、良いものだったかってことを伝えなきゃいけない。これぐらいの言い回しは必要だよ。そうは思わないかい? エイトム
そうか…確かにそうだね
ああ、そうさ…そんな深く考える必要なんてない。気軽に、でも真面目にやってくれればいいんだ、いつもの通りにね? でも…どうしてそんなふうに引っかかったんだい?
え? いや…そんな気がしただけさ。気にしないでくれ
フーン、そうかい…それで……ボディも戻ってきた、エンジンは最高、足回りも完璧、あとは取り付けるだけ…足りないものはもうないね?
いまのところは…あ、内装用の交分子-難繊維ゲルがまだ届いてない。あれがないと操縦空間を維持できないから早めに欲しいかな? あと…配線用のコパイロットもまだ来てない。ライン設置はすぐだから早急に送ってもらうように頼んでおいてくれよ
わかった。そっちは任せてくれ。ところで……
ん? なんだい? そのいい方は? なにかある時のじゃないか……
いやー…あれさ……ほら…これ、ここにサインをしてほしいんだ。書いてくれるかな?
サイン? 僕にもうファンが付いたのかい? うれしいなあ…どんな可愛い子ちゃんだい? 今度連れてきてくれよ……
違うって…そういうサインじゃなくて……。このクリアランスの責任者ってところに名前を書いてほしいんだ
わかってるさ…って責任者? なんだいそれ?
これさ、これ。いるらしいんだよ、レガシーマシンを修繕する時にはさ
? いままでそんなこと一度もなかったじゃないか
そうなんだけどさ…ほら、これって旧世代とかいうシロモノじゃないじゃないか。そんな場合にはそういうのがいるらしいんだ
……なんで今頃?
指摘されるまでわからなかった
………イマークらしいね
そうだろう? じゃお願い
はいはい…これでいいかい?
OK…あ、テクニカルスタッフの分もいるんだよ。みんな書いてくれるかい?
---借金の肩代わりとか?---
いやぜんぜん
---連帯保証人とかはいやだぜ?---
そんなんじゃないって……ほら、書いた書いた
………………
事務スタッフもいるのかな?
知らないよ…一応、書いてもらっておいたら?
そうしよう! 書いてくれよ
---はあい---
よし、これでOKだな
あ、そうだ、イマルク。一つ頼みがあるんだけど
ん? なんだい?
翻訳装置をもう少し良いものにしてくれないかな? どうも誤訳が多くて困ってるんだ
なんだって? ガレージの知能的補助装置に付属させたのに上手くいってないのかい?
うーん…もともとここのシステムはルームの管理と、記憶、記録用にしてあるものだから余分なキャパシティがないんだ。そんなところに、言語訳…それも同時進行のものを無理矢理、取り付けたもんだからオーバーフローを起こして処理落ちしてしまっている。なんとかしないと
そうか…ここのももうポンコツだからなあ。今すぐってのは無理だけど、これがヒットしたらここの装置のバージョンアップをしよう。記録とサブ論理演算、それにもっといい音声発生装置なんかを組み込めば、ばっちりだ
そうなるといいんだけどね?
任せてくれ。絶対上手くいく…いままで上手くいかなかったことなんてなかっただろう? そういうことさ
……上手くいったためしがない、っていうのの間違いじゃないのかい?
違うね、上手くいっていなくても、僕たちはこうしてガレージを続けられてる。クライアントの大半も満足してくれている。それ以上のものがどこにあるっていうんだい?
まあ…そうだね
それだけで充分さ…さ、作業に戻ってくれ。僕はこれを提出しに行ってくる
ああ、分かった。くれぐれも無茶をしないでくれよ?
どうしてだい?
君はいつも無理を通そうとして厄介事に巻き込まれるからさ
………(ぎゃふん)
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取り付け金具の到着とほぼ同時にボディもコーティングから戻ってきました。変色、歪み、塗装、パッチにも問題はありません。素晴らしい出来です。これで肝心な部分はあらかた揃いました。ではそれぞれを組み立てていきます
-エンジンとボディを先に済ませる予定でしたが、変更です。先にボディとシャーシを接続します
シャーシとボディにはこのような…ワイヤーハーネス、配線を這わせます。これはマシンのそこかしこにある部品、装置から信号を得て、フロントパネルへと伝える役割を持っています。それと同時にそれぞれの装置へと信号を送り、正しく動作させる役目も担っています。昔のものをそのまま新しい素材で再創成しているので…このように多くのラインが複雑に絡み合います。どれがどれだか…ここで記録が役に立ちます
-いまのマシンにはここまでのライン数はいりません。この数はテラン産のマシンの特徴です
マシンのそれぞれの装置…ライト、ウィンカー、ガソリンの残量に速度、温度、エンジンの回転数、使用した総距離数、そういったものがこのラインを使って送られ、インナーパネルに表示されます。もちろん、このマシンもそれを再現しなければならないので、このように…ラインをそれぞれの装置に繋げて……電気信号によってその状況を受け取り、同時に伝える必要があります
-問題があることも確かです
ご存知の方もいるとは思いますが…電気信号……電子は光速で移動すると進行方向に対して移動できなくなる、という問題があります。後ろから進行方向である前に向かう電子は、光速度の影響で発生位置で停止、それ以上、前に行けません。有名な光速度移動不変の法則です。初等教育で習うような理論なので忘れた、という方もいるかもしれません。光の速度に近づくにつれ、電子は挙動が不安定になり、電気信号としての能力を失います。光速度ではあらゆる電子での信号伝達が不可能になります。当然、マシンは制御不能となって、永遠に世界の果てを飛んでいきます。光速を達成しようとした数多の知的交渉体に悲劇が起こり、帰らぬ存在となったのは有名な話しです。今でも帝国のほうでは安全な光速度移動を成功させようと無謀な挑戦を続けているようですが…安全を祈るしかありません
-ではなぜこの配線を行うのでしょう?
現在のマシンの各部位の状況を知る手立ては、β域を使用した素粒子縺れです。これは発生したと同時に伝達先に伝わり、光速度より早く行われます。ただ、この伝達方式には弱点があるのがわかっています。特定確率で逆転現象が発生し、縺れが不正確になるのです。比較的発生確率の高い事象のため、これを無視するわけにはいきません。そのための補助ラインが必要になります
補助用のラインは光を利用した伝達です。縺れよりだいぶ遅れて信号が到着しますが、一定範囲内ではもっとも安全に、確実に伝えることができます。ライン数も少なくて済み…装置群を纏めて一本のラインだけで伝達できます。後方にあるライト、ウィンカーなど、全ての装置はこれ一本で充分に操作できます。ただし、受け取り用と送り用の二本の別々のラインが必要で、混線させると情報の確かさが保証されない、という欠点があります。また、光速で移動をすると、電子と同じく、挙動が安定しないという弱点もあります…このマシンは光速度で移動をしないのでその点は心配ありません
最後に残ったこれらの束…これはこのマシンで使用されていた電子信号用のライン、それと同じものです。こちらは各装置ごとにピアーツーピアでつながり、混線しません。光速度で移動すると暴走するので使用できませんが…憂慮する必要すらありません。これは…このような末端装置ごとに、その先の装置から延びる配線で繋げます。ハーネスを分岐、増設させることで、いくつもの配線を加えることができ、その間に他の装置を加えることもできる、高い柔軟性を持ちます。この…配線側のハーネスの先……これです、この後ろに取り付けられた装置から伸びるライン…これが新しく取り付けた光信号ラインです。もしここに新しく装置を取り付けたいのなら、この端末に分岐するラインを設けることで行えます。この組み合わせで配線は行われます
-実際には縺れだけで用は済みます。逆転が起こったのならそれを検知し、伝達を反対にすればいいだけです
これらは就連邦法に則った安全基準です。現在でも電子制御のシステムは一部で用いられ、使用されています。縺れではエネルギーを伝達できませんからね? 光子-電子送通ラインでの電力供給は予備の安全対策として使用が義務付けされています。マシンの整備を行う際、このようなラインがいたるところにあって見苦しい、とクライアントが感想を述べることがありますが…これらのラインにはそういった設置理由があるのです
ジェネレーターからのエクセルギー供給で、これら、マシンに組み込まれた各装置は動作します。この変更に際して、セリカXXの末端の装置…ウィンカー、テールライトなどはすべて、外見だけを残して新調します。本来なら以前に取り付けてあったものを再利用したかったのですが…こればかりは安全基準に満たないため、残念ながら使用を見送るしかありません。しかし、その違いを感じることはできないでしょう。では…コアユニットの接続です




