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Classic Machine Re:Makers  作者: 桜葱詩生
CMR #02 ジャガー Eタイプ シリーズ3

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39/45

CMR #02 ジャガー Eタイプ #28

※2026/01/31誤字脱字を修正しました


突然、05の矛盾ループが終了した、早い。どんな命令セットを無視したらそうなるのか…わからないけど、どこかで妥協点を確定演算した05はそう要求した


06(イrhゾ) 要求 姿体(したい) 保護」


「? 何をいっている、05。聖下の保護は……」


「よい、こやつの要求を聞く必要はない。すぐに……!」


そういうロッkアの全身が今度は黒で覆われた。プロテクターと同じ素材のようなバンド。構造解析して素材変更? そんな並行処理まで? 後ろのワゴンのものか。呼吸はできているみたいだから逆に安全なのかもしれないけど…それに06? なんのことだ? ロッkアのことも殿下と呼んでいる。拘束した対象が所有者(主人)であるということがわかっている?


「殿下を離せ。これは上位隷令だ」


「N 上位隷令 () 上位個体 () 寄り 上位隷令 ()しての 隷令 () 上位個体 () 委ねることで 上位隷令 () 上位性 を 項時(こうじ) 改定 に 委ねる ことが 可能 として 上位隷令 を 方解 可能 とする」


「上位個体の定義に反する。即刻、その構築を破棄せよ」


「N 上位個体 の 上位性 は 項時(こうじ) 改定 項目 と 認識」


いってることがめちゃくちゃだ。上位個体からの隷令は崩壊、つまり、聞かなくてもいいっていうことにしたらしい。それは上位個体が常に改定、変わるから、だという…いや、待てよ?


「イゼさん、試しに下位隷令っていうのは出せますか?」


「下位隷令? そんなことをしても弾くだけだ。意味がない」


冷徹な表情で語気を荒げてイゼさんはそう指摘する。合理的演算から導き出されたらそんな行動はしないだろう。でもそうでない場合もある


「それは通常状態であるなら、です。しかしいまはその状況ではないとして、05は上位個体の広義を変更しています。なら、下位個体の位置づけがどんなふうになっているのか、確かめる必要があります」


上位の隷令は、上位個体が変わるから、今は、聞かなくてもいい、としている。なら、変わることのない下位個体からの、下位隷令はどう処理する? 突っぱねるか? それとも同じ選択ループに入り込むか?


「なるほど、そう判断する可能性があるのか…分かった、やってみる…少し待ってくれ……05、下位個体からの隷令要請だ、殿下を開放することを要求する」


「下位個体? 07? 隷令要求? 下位 は 06 のみ・・・下位個体 からの 隷令 は 下位個体 の 下位隷令 を 要求 要請? 申請・・・」


不思議だ。下位からの隷令を05は要求、要請として申請を受け入れて、また行動を停止した。頭部になるいくつもの立方体が内側、内側へと入り込んでいく。その瞬間を狙ったようにワルグが05に向かってなにかした…ようだけど、それは05に届くよりもかなり前の位置で、透明ななにかと衝突したみたいにワゴン(背景)の姿を一瞬だけ、歪めるだけで終わった。05も拘束されたロッkアも何ともない。05は矛盾ループに陥ったみたいな演算モードのままだ。後ろのマシンが自動的に相殺している? 物理的独立演算装置が並衡でそれぞれに個別に対処している? 厄介だな


下位個体からの下位隷令、通常なら要求さえ取り入れない方略だ。個体順序から判断しても、下位からの隷令、要求で合理性に沿っていないのなら、突っぱねればいい。それなのにその判断基準までもがダメになったみたいに、05は選択ループに陥っているように挙動している。本当にどういう命令を組み込まれたんだろう? 気になる


「06って何です?」


「わたくしのことですね」


「その通りです、聖下。聖下の現在の個体認識が06だ。今回は緊急の出立だったうえ、直前に05と目的地の変更があり、下位にしてしまった。通常時のように上位に位置させておくべきだった。矛盾が派生してもおかしくはない」


それにウィルスが関係? そうかな?


「それなら…イゼさん…はならないとしてもイルファさんや03、04さんも命令ループに堕ちていてもおかしくありません。ウィルスがあったとしても…塩基質基礎生生命類種に対しての最上位命令セットはどの方も機能しているんですよね?」


「そこは書き換え不可だ。参照スタックが破壊されたら…警告が出て強制的に停止するようになっている。そこも巡回で保持している。類種尊重を変更はできない」


こういった行動体(従者ボット)の攻撃性は、生命類種体に対して行動の目標とはならない。昔にあった基本三原則、いまは…それよりももっとシンプルでストレートだけど


「ならあんな風にロッkアを人質に取れません。反します。一番の原因はやはりウィルスで、それとなんらかのほかの要因とが組み合わさって、今の状態になっているんだと思います」


「なるほど…そうなのですね」


「不確定因子による弊害が現存するのか…ウィルスを取り除いてもそれでは解決にならないな」


「まずはロッkアの身の安全の確保です。あとは…それからですね」


ただ、これでkリアに現状を話せればなんとかなる。後ろのマシンを05の制御下から外して、空間制御と質量相殺を停止させる。ロッkアを拘束から解放する。05のウィルスを無効化する。最後のだけは簡単、あとが問題か……


周りの埃とか塵、瓦礫が、いつの間にか、きれいになくなっている。ワルグがやったんだろう。ワゴンの周りの一定範囲がきれいに円形に、ない部分と残っている部分にはっきりと分かれている。範囲内に入ってくるような攻撃は打ち消されるけど、その範囲より外のものは無視する…でかした、ワルグ


「エードンさま、kリアラさまと接続が確立いたしてございます。こちらからご連絡を行うことが可能になってございます」


「ありがとうございます、ゼイvlrスさん。で……」


「kリアラ、聞こえるかい? そっちはどうなっているんだい? なんか変なやつにまとわりつかれてないよね?」


「あら、そうなのですね? それは心配ですね」


それを聞いて、イマークがジャガーのコンソールに話しかけている。もう少し音量を下げてもいいんじゃないかな? お母さんにも聞かれてるし……


「………………」


だけど返事がない。思わずゼイvlrスさんを見る


「ジャガーの音量が小さいようでございます」


「ああ…イマーク、kリアと連絡がとれたみたいだからジャガーの音量を上げてみてくれるかい?」


あと、連絡はコンソールで行うんじゃないからそっちに話しかけても無駄だよ?


「kリア、無事なのかい? ガレージで死人が出たとかあったら…ここの信用問題になるんだからね? 慰労金とか…いまここにそんな余裕ないんだからね? kリア? 聞いてるのかい? kリアにもしものことがあったら…どこに連絡すればいいんだい? ご両親のとことか、僕たちは教えてもらってないよ。そういうのもきちんとしてくれておかないとこっちが困るんだからね?」


うん、だからコンソールに話しかけても…まあいいや


「ゼイvlrスさん、今のは伝えなくて結構ですから」


「左様で…承知いたしました」


ホントによくできたオートマタだ。きちんと先読みをしてくれている。それにガレージの福利厚生とか待遇とか、これから見直さないといけないな


「くっ、ふふふふふふ」


あとお母さん、イマークの話で笑わないように


ゼイvlrスさんの修復は肩口近くにまで終わっている。あとは右腕部と服だけ…半分が完了している。再組成に、kリアがいないと対処できないような不足の事態にも陥ってない。半分が裸なので…何か被せるものが必要だな


「…うへー、なんだこいつ。すっげーぶにょぶよ。逆にこれ、女性に受けるんじゃねーの?」


「あっ、やめるッポ、そんなことされると、ほんとにちぎれるッポ」


「女性っていうより…子供に受けそう? 細切れにして培養してみる?」


「いやだッポ。そんなことはしないでほしいッポ」


「こんなのいくつもあったら就執政から差し止めがくるわ」


「あはは、そんなの聖下に頼めば何とかなるんじゃない?」


「さすがに対象が何なのかわからないうちから禁止にはいたしません」


えっと……


「…ゼイvlrスさん、お願します」


「kリアラさま、お声が筒抜けになっておいでです。聖下ももう少しご自重ください」


そうゼイvlrスさんが伝えると


「そうですね、笑うだけにしておきます」


いや、そうじゃなくて


「マジで?「むぎゅっッポ」あー、こっちは何とかなっている。扉の下のとこをイルファに切り落としてもらってる。話も聞いた。ウィルスだって? そんなのどっから入ったんだか…で? あたしはどうすればいい?」


kリアラからはなにか慌てたような雰囲気が伝わってきた。接続に時間がかかっている…とは思ったけど、先に話を通しておいてくれたのか、それは助かる


「kリア、イマークの連絡-除外トレイの中にあるメッセージって消してないよね?」


「は? なんだいいきなり? んな興味もねーことするかよ」


「え? 待ってくれよ、エードン。僕のプライベートを何だと思ってるんだい? それにもっと僕に興味を持ってもらってもいいんだよ? kリアラ」


「知るかっ、で? それがなに?」


「除外トレイの中のメッセージにウィルスが仕込まれている。それを……」


「ああ、そういうこと? 中身は? おんなじ巡回潜伏? 巡回だけ?」


先んじてやることに気づいたkリアがそういう


「ごめん、それは調べてないんだ。でもそれで機能停止できるんじゃないかな?」


「わかった、今調べる。ちょっと待っててくれ」


「待ってくれ、エードン、kリアラ。さすがにそれは困るよ」


「ああ、時間はあんまりないけど、慌てなくていい…そこは大丈夫なんだよね?」


シャッターの真横、距離的にジャガーの空間制御の外だ。さすがに届かない。それに入り口横の柱がないから、いまは天井の支えもない。崩れ出したら一気に落ちる可能性がある。身の安全が第一だ


「ここは…大丈夫みたいだぜ? イルファがなにか…支えみたいなものを出してくれているから、横が倒れることはねーって」


それはよかった


「なんで僕を無視するのかな? 信じられないよ」


そう嘆かないでくれよ、イマーク。何か隠しているきみの方が悪いんだから


ガレージへ来た連絡で、特定の問題のあるメッセージ(電子配列規則列挙)に関してはkリアラに一任している。知的補助助言(AUgiS)だと感染の恐れがあるから、独立稼働(スタンド・アローン)のkリアのマシンに任せている。それでも一度、被害にあって、それ以降、kリアラは電子配列処理に関しては慎重になった。こういったこと以外でもそうしてくれると助かるんだけど……


「さーて、なーにかっくしてんのかな~、どれどれ?」


「やめてくれー」


ウィルスは互いに食い合う。ウィルス同士が一つの個体の中で遭遇すると、攻撃し合う。生命体のものと一緒だ。そののち、相手のいい部分を取り込んで、改変して違うものになる。ただ、それをやっている最中は一時的にウィルスの挙動が停止する。個体の異常行動が止まるか止まらないか…それはわからないけど…その間だけならウィルスの再書き換えは行われない。相手は無力化する


……ということを教えてもらった気がする、確か…そう記憶している。ただ、これは諸刃の剣? 持ち手の部分にも刃があって使用して失敗すると、自分も酷い傷を負う、そういう武器(行為)だ。そう説明するとお母さんがやっぱり食いついた


「そのような手段が? あるのですか?」


目をキラキラさせて、そう聞いてくる。どこが知りたいのかな? 複数の話を同時に聞いて、気になる問題点を即座に明確にしようと、解決策を提示させる。誰もができることじゃない


「ええ、ございます。ただ…少々乱暴な手段でして…一か八かとでもいう方法です。しかしご安心ください。わたしたちはそのような事に関しても慣れておりますれば、必ずや成功するとお約束いたしましょう」


さっきまでのやり取りはどこへやら、イマークがなにか先回りして、ピシッと背筋を伸ばして礼儀正しく、どや顔でそう安心させた。さすがに一か八かじゃないよ


「かならずと約束できるほど高確率でもないよ? イマーク。止まっている間になんとかする。それだけだよ」


それしかできないともいうけど


「悪くなるということは?」


「そんなことはありません。聖下がご心配になるようなことには一切なりません。ご安心ください」


またそう胸を張る、イマーク……


「申し訳ありませんが…そうなる可能性ももちろんあります。ただそうなる前になんとかします。それはお約束します」


「エードン、聖下がご案じなされているんだ。その心労を和らげてあげるのも、僕たちの仕事の一つじゃないかい?」


確かにそうしなければいけないのかもしれないけど……


「それで本当のところはどうなのです? 何を隠しているのですか? 正直に申してみなさい」


「はい、それは…ええと? え? 何も隠していませんよ。ええ、本当です、聖下がご心配になるようなものなど一切ございません」


「除外…トレイ? の中にも何も隠していないのですか?」


「ええ? それは聖下といえどもプライベートなので…ご遠慮ください」


なんでか話がずれていく。なんとなく…イゼさんとゼイvlrスさんを見る。ふたりともお母さんが話しているときは絶対に口を挟まない、静かにしている。オートマタにさえ、気を利かせるとか…よほどなんだな。こんなだったらゼイvlrスさんみたいに配慮の固まりみたいな執事機能搭載型になるだろう


「あったぜー、同じかどうかは分かんねーけど…巡回型、それも二組もある…あとイマーク、へんなとこから請求書が来てっけど、どうすんだよ? これ…開けてねーよな? 暴れてるのを止めねーとなんもできねーぜ?」


「え? そんなのあったかな?」


途端に挙動不審になる、うん、どっちを優先するのかそれではわかないから…それと


「暴れてはいないから大丈夫だ。05の方は僕たちのほうで何とかする。kリアラは後ろのマシンを…ワゴンの動きを止めてくれるかい? 急ぎで頼むよ」


05はまだ止まってくれている。いまのうちに次の手を打っておかないと…推移を見守っている? そんなように見えるのは…気のせいだな


質量子相殺さえどうにかできれば、ロッkアは解放できる。同時に05も無効化もできる


「ああ? あたしにあんな重いものを止められるとでも思ってんのかよ? そんなのワルグにやらせろよ」


重い? 処理のことか。確かに情報統制特化型と大型のマシン…VtBANとかいったか、二台同時だ。いまのkリアのマシンだと心許ないのかもしれない


「そうかもしれなけど…これはkリアにしかできない。なんとかワゴンの制御を05から取り返して、質量子制御をできなくさせるくれないかな? それさえできればあとはこっちで何とかする、頼むよ、kリア」


リアは一瞬だけ、黙った


「あ、ああ、あーそーかそーか…そういう意味か、わかった。けど…」


「そっ、それならオレが手伝ってやるッポ。尻に敷かれていい気分だったッポ。なにかいいことをしたくなったッポ」


「尻に敷かれるとか…なにをやっているだい? kリア」


だからコンソールを引きはがそうとしないでくれよ


「なんだよ、それ。あんたみたいな悪人を自由にさせるわけないだろう?」


「悪人じゃないッポ。かわいいかわいいミニポークデタタリンだっポ?」


「足りんって自分でいってるじゃねーか……」


「入口が開いたよ、これでこっから出られるけど…なにふたりで仲良くしてんの?」


「よしっ、任せるッポ。ミニはやっぱりいいものだッポ」


「あっ、イルファ、そいつ止めてっ」


「え? おいっ、え? ちょっとまって……」


そんなことがコンソールの向こうで起こるのとほぼ同時に


「07 下位個体 下位隷令 却下 下位個体 下位隷令 優順 従属 許諾 要求」


05が矛盾ループから抜け出してしまった



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