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Classic Machine Re:Makers  作者: 桜葱詩生
CMR #02 ジャガー Eタイプ シリーズ3

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34/35

CMR #02 ジャガー Eタイプ #23


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同じ光を反射しない黒のプロテクター、腰から下へ裾の部分が広がっている形相。頭…というか顔は黒い薄い遮蔽膜で隠されていて、どう見ても他の面々より、装備が重厚で重装。そのスタイルは趣味と出力を兼ねているのかな? なにかの増幅装置なんだろうけど、動きにくそう…ああ、制御がされてる。邪魔にはなっていないのか


「聖下-ラー・プリエンプレーテテス」


オフィスの扉から現れた…その女性体に四人が咄嗟に頭を下げた。ゼイvlrスさんは軽くだけだけど、男性体は完全に平伏の姿勢をとる。kリアラと一緒に作業していた女性体が咄嗟に片膝をついたのに釣られて、kリアラも頭を下げて縮こまった。平然としているのは僕とワルグだけ


ラー(聖下)・プリエンプレーティテス? なんだっけ?


ワルグも首をかしげるだけ…ああ、それをこっちへ


「よい…ここにはそのようなものはおらん。よいか、その構えで」


それをここへ取り付けて…どこかで聞いたことがある、どこだっけ?


「ご威光のままに」


揃ってそんな風にいう。これって……


「母上?」


ロッkァがそう扱われていた、了解の意だ。畏まった目上の人に対するゼイvlrスさんの言い回し。母上…ロッカaのお母さんか、ならそんなふうになるのも当然か。心配になって迎えに来たのかな? なのになんでそんな不思議そうな、相手がわかっていないような感じの返事の仕方になるんだろう…なにか隠し事があって、ここへ来るとは思ってなかった? ああそうか、マシンの修繕を秘密にして驚かしたい、っていっていたっけ


「ロッカah、あなたにはあとで聞きたいことがあります。それよりも…ゼイルァ(11)、直りなさい。このまま失うことは許しません…ああ、わたくしはここにはいないことになっているんでしたね。では、命令ではなく、仲間としてそうしてください。これでいいですか?」


優しいお母さんじゃないか…ただ、こういった静かな人の方が怒ったときは怖い。それはどこも一緒だ。心配だったんだろうな、あとでなんとかフォローしておかないと


「もったいなきお言葉にてございます」


「では…頼みました」


周りを見回して、最後に僕に目をやって、そういう。きちんと説明すればこういう人はきちんとわかってくれる


「もちろん、頼まれなくても直してみせます」


「ええ、ありがとう」


どういたしまして。じゃあ


「我れも手伝うぞ」


「ロッkア、あなたはここになさい。邪魔になってはいけません」


邪魔にはならないとは思うけど…ただ、その言い方ではだめだ。ロッカaのやる気を削ぐことになる


「いいえ、もちろん手伝ってもらいます。ロックa、ゼイvlrスさんに寄り添って声をかけてあげて。それだけでも心強いはずだから」


「わかった」


ボットに心があるかどうかはわからないけど、しないよりした方がいいことがある。ゼイvlrスさんに近寄ったロッkアに、もう一人の方の男性体がまた平伏した。それを制して、ロッカaはきちんとふたりの側で邪魔にならないように声をかける


「わたくしなどに…もったいなきことにてございます」


「そういうな、我れが失敗しそうなときはそちに止めてもらわねば困る。であるなら直ってもらわなければならぬのだ」


「ご威光のままに」


ずいぶん…「なんですか?」


お母さんがそれを驚いたように見守って、それから興味津々といった感じに僕に視線をよこした。黒い遮蔽越しだけど…ロッkアと同じ好奇心一杯の目をしている。こんなとこはやっぱり母子(おやこ)、そっくりだ


「いえ…ロッkアがずいぶんと世話になったようですね。感謝します」


「いいえ、こちらも…こんな素晴らしいマシンの修繕に携われましたから……お相子です」


「そうですか」


ええ…「では…よろしいですか?」少し急ぎますんで「イマーク、マシンはどうだい? 大丈夫そうかい?」


入り込んだのに、なんだか呆気にとられてぼうっとしているイマークに声をかける。なんだってこんな時にのんきにできるんだい?


「あ…ああ、大丈夫だ。ボディにいくつか傷があるけど、内部は無事、貫通はしてない。ジェネレーターも無傷でどこも壊れてない、って出てる」


「OK、ではゼイvlrスさんを運びますんで手伝ってください。ワルグ、そのキャリーを持ってきてくれるかい?」


「わかった」


イヴァノ(04)、お手伝いなさい」


「賜りました」


消火を終わらせたふたりのうち、大きい男性体が軽々とゼイvlrスさんを持ち上げる。これなら重さに煩わされることもない。崩壊はゆっくりだけど、止まってはいない。無理に動かすのはそれを早める可能性があるけど、いまはどっちもどっち、なら、少しでも確率が高い方を選ぶ


「ゆっくりと、ゼイvlrスさんは無理をしないで」


「ロッカa、マシンはゼイルァに教えてもらったのですね?」


「はい、母上。このマシンこそ姉上が騎乗するにふさわしいと思いませんか?」


「そうですね…これほど美しいものだとはわたくしも知りませんでした」


気づいたけど、ジャガーまでの道筋のいくつかに瓦礫が落ちている。ワルグに目配せすると先回りして壊していってくれる。足先で、チョン、ってだけで、塵になって消えていくそれを、ロッkアのお母さんがまた、驚いたように興味津々に見ている


「あれが…バグズ」


「? ワルグです、母上」


「ええ…そうですね。名、があるのですね」


「イマーク、このプラグを助手席の下にある接続に繋げてくれるかい? そしたらそのワイヤーハーネスは彼に渡して。いま、ジェネレーターの出力スプラインを繋げるから…ゼイvlrスさん、ユニバーサルコネクトは生きてますよね?」


でなければエクセルギー供給が機能しているわけがない


「ええ、大丈夫でございます」


「そこにこちらのスプラインを接続してください。あなたは……」


スプラインとは一方通行の接続ライン、逆流がしないわけじゃないけど、限りなく発生確率は少ない。ただ、これだと供給力が途切れないから、この方に制御してもらわないといけない


「イゼだ」


「じゃあ、イゼさん、あなたはゼイvlrスさんと同じタイプのオートマタと考えていいですか?」


「ええ、その通りです」


答えたのはお母さんの方、やっぱり気になるらしい


「何か問題でも?」


「いいえ、身体形状は同じですか?」


「ええ、そうですね?」


「だいぶ変わってしまいましたが…元は同一でございました」


どう変わったかはこの際どうでもよくて


「では、このイーゼルで形状を走査しても大丈夫ですか?」


「外部に漏らさない、という条件でしたら」


「ええ、約束しましょう。こちらの情報は修繕の後、消去しゼロスタックで上書きさせます。それでいいね? エードン」ビッ キラン


なんでかイマークが答える。まあ本来、交渉事はイマークの専門、やりたかったんだろう


「ええ、そのように」


「よろしい、では許可します」


「ありがとうございます。では、AUgiS、形状走査を。投影装置は? 生きてるかい?」


▽▲ O、ただし、一部のみからです。立体投影は行えません ▲▽


そうか、装置がダメになったってさっきいってたっけ


「内部リンクで視野投影ができますれば、AUgiSさまと共有が可能でございます」


そんなことが?


「できるのかい? アウギス」


▽▲ O ▲▽


ホントにそれが気に入ったんだね


「ではその方法でお願いします。元のゼイvlrスさんの姿から逸脱しないように、供給量と形相を調整してください。リンクしたデータですが、現在、ガレージがこの状況なので…遅延以外に何かがあるかもしれません。その場合はその都度、調整量を制御してください。ふたりとも無茶はしないように。アウギスはほかの制御もあるんだし、何かある場合は前もって提示を」


▽▲ Oー ▲▽


だんだん、返事が前のものと違ってきている。横柄? 楽しんでる? 自分なりの個性を出しはじめている。学習スピードが上がっているのは良いことだけど…このタイミングなのは困る


「ではこちらのラインを接続してください。くれぐれも無理はしないで」


「わかった」


イゼさんはスプラインを首筋の後ろへと接続した。ゼイvlrスさんもだ。随分と古い設置個所だ。いま、この個所にプラグインは設置されていない。制御装置へダイレクトに接続させるのはいろいろと危険があるので、必ずフィルターを通すように義務付けられている。通常は二の腕や肩甲骨の裏、腰回り、そういったところに設置されていて接続する。プラグインもその周辺に位置している。もしかして首横に物理フィルターがあるのかもしれない。確かにそれならそこにプラグインがあってもおかしくないし、その方が合理的で設置位置としても良い。とにかく、これで供給量と形状の制御は大丈夫、あとは、マシンの…


「こちらの機械は何をさせるものですか?」


「え?」


だからって興味深そうに覗かないでください。確かに表示しかない、なんの変哲もないただの箱ですが、圧力がかかります


「ジャガーのジェネレーターを使って、ゼイvlrスさんへ材量資と足りないエクセルギーを供給します。その材量資とエクセルギーを対象から吸い上げて提供するのがこれです。ただ、そのままだと供給力が大きすぎて、無制限に際限なく供給されるので、その制御をイゼさんにしてもらいます。供給するバランスが崩れると、崩壊が早まる危険性があるので、それを回避するのと…元の身体の形を維持するためにもこうしています」


ゼイvlrスさんたちの主人(所有者)はロッkアたち。かなり高価なオートマタだから、壊されでもしたら大損害だ。なにをしているか確認したくなるのも当然、説明していないこちらが悪い


「なるほど…こちらの装置は?」


「それは液化素子から情報子を除去するために使用します」


「除去?」


「ええ、液化素子は情報子と電荷流導、エネルギーを与えることでいくつかの装置や機器を構築できます。素子が情報子を元に、変位成構築という…金属原子やその他の分子になって、その場で組み合わされて機器化、使用できる優れもの…なんですが、何になるかは組み込まれた情報子で変わり、その情報子の内容がわかってないと、何になるか分からなくて、意図しない危険が発生する可能性があるんです」


「危険? ですか?」


「ええ、液化素子をどんなものにするのか、情報子の中に入っています。何がどんな順序で入っているか、わからない場合、ええと…この液化素子でペンを作ることができるとします。ただ、そのペンを作る情報がどこに入っているかわからない、そんなときに勝手に決めつけてデータを読み出すと、ペンではなくて他のものになってしまいます。それを回避するために、いくつか情報子を取り除く必要があるんです」


さっき見た時はただ、刃が出ていたように見えたけど、あれが実際には何であるかはわからない。材質は? 形状は? 切断面があるのかただ、先端が尖っていただけか…データはすべて、情報子に書き込まれている。ただ、どこを参照にしているのかわからない。何になるかも、何かもわからない、だと危な過ぎて使えない


「その危険性とゼイvlrスさんが制御できるように入り込んでいる情報子を取り除くためにこの装置を経由します」


それがラインコンバーター、コンバーターで圧縮除去して、それをこっちへ迂回させる


「除去できなかったら?」


「情報子がなにか特定できたのなら、ゼイvlrスさんに制御してもらえるように制御アルゴリズムを組み込みます。特定できなかった場合には…大規模な再創生と再構築が必要になりますが、そんなことにはなりません」


させません


「一番厄介なのは入れ込んだとともに起動して制御できずに暴走することです。それは何としても避けます」


「なるほど…ウィr(ウィル)シリーズに武装を内包できる可能性がある、ということですか……」


えええ? そっち?


「いえ、わかりました、わたくしの方が邪魔になってしまいましたね、続けてください」


「いいえ、事前に説明しなかったこちらの不手際です。申し訳ありません」


こういったことはクライアントに十二分に納得してもらってからでないと本当はいけない。気が逸ってしまった、気を付けないと


「謝るのは直せなかった後にしてくださいな」


「大丈夫だ、エードンに直せないマシンはない」


「ゼイvlrスさんはマシンじゃないけどね」


さて、結構時間を食ってしまった。kリアラが上手く、プログラムを組み立ててくれているといいんだけど……



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