CMR #02 ジャガー Eタイプ #20
----------------------
痛むところを押える。滑っとした感触に急に頭が冴えてくる。途端に自分のからだが異常に、冷たい、ということに気づいた
冷静さが戻ってくる。それとともに冷や汗が出る
「ワルグ、ゼイvlrスさんを」
「わたくしは大丈夫でございます」
すぐ後ろでそんな声がした…「ゼ……」その姿に…なんて声を変えていいのか迷う。これでよく……
「それよりもEoDMさまの治療を…」
それより? いや僕より絶対、ゼイvlrスさんの方が重症だ。そう考えて、彼がボットだったということを思い出した
「僕も大丈夫です。これぐらいならなんともないですから」
痛いだけ、すぐ塞がる。で、
「あれは?」
「殿下のお迎えと…ハンターでございます」
「ハンター?」
なんでこんな……
パパパパパ
また、発射音が続く。ガレージ前で大立ち回りが繰り広げられている。片方の真っ黒は主に接近戦。もう一方はライフルを使っての…だけど、大男はまったく気にしていないように腕を振るう。赤い尾を引く光が大男の体に触れるけど、それは火花を飛ばすだけ。ライフルから発射される光弾は大男に当たるけど、あらぬ方向へと無秩序に弾き飛ばされていく。さっき、左手を出していたのを見たような気がしたんだけど…大男は腕を振り回すだけだ。というより片方を捕まえようと腕を伸ばしている。本当に腕が伸びている。なんだいあれ? あんな人間、いるのかい?
「なっんてっ、硬いのよっ」
「へへ、オレのは硬くてデカくてスゴイのさっ。可愛がってやるぜぇ」
二対一、それでもでかいからか大男のほうが優勢のようだ
「どっちが? どっちだい?」
それになにを狙って? こんなガレージに? なんでこんなにした?
「マシンを…どうやらはじめはジャガーを狙っていたようでございますが…彼女が飛んでいった後は、対象が切り替わったようです」
切り替わった? 「なんでです?」
「さあ…わかりかねま……対象は、ゴアhズ、異性体専門の異星人ハンターということでございます」
「異性体?」
ということは…
「あちらの女性体に対象を切り替えたようでございます」
なんてはた迷惑……「wrg!」
「わかって、いる」
壁を突き破ってどっちかがぶっ飛んできた。やや背丈が大きい…男性体のような体格。それをワルグが途中で止めた。危ない
あのまま進んでいたらジャガーにぶつかっていたところだった…まるで狙ったように感じられるのは僕の気のせいかな?
「すまない、ボーパリアント」
「ワルグ、だ」
「助かった、ワルグ」
なんともないようであん…でもない。よくよく見たらマシンの表面に傷が付いている。ええ? アレは穴かな? ゲルを付けているから大丈夫だと思うんだけど…
スゥー
なにかが、どこかで、さらに、落ちていく
思考がクリアになる
「くっ、外せえっ、このっ、このおっ」
「外れねえよ、それ専用のもんだ。へへ、もうおめえはオレのもんだあ」
女性体の体に光る縄? バンドのようなものが絡みついて締め付けている。拘束されたみたいだ。大男が左手を上に持ち上げると、女性体も一緒にあがる…アレはどういう原理になっているんだろう? どう見ても柔らかそうなバンドなのにきちんと質量体を持ち上げている。大男の手首から伸びた、それから、逃れようと女性体が身体をねじるけど、そうすればするほど体にバンドが締まっていっているように見える
パリン
バンドの締まりで、体を覆っていた黒い…プロテクタ? が軽い音を立てて割れた音がした。光をまったく反射しないプロテクタ…それなのに体の動きを邪魔しない。こっちもなんでできてるんだろう? 見ているうちに黒い破片が落ちて白い…肌が徐々に現れてきた。剥がしていく。あのバンドは何でできてるんだろう? そんなに強力なようには見えないんだけど……
「イルファ!」
誰かが飛び出していく。それとほぼ同時に
「ぎゃー、なんだいこれ? なんでこんなんなってんだよ」
どこからkリアラの声がした…後ろからだ。なんだってこんなタイミングに……
「kリアラ、下がってろ、レストルームにイマークがいる、そっちへ行ってるんだ」
「お、おう」
女性体…kリアラでも対象なんだろうか? そんなもの好き、どこにいるんだろう? たぶんどこかにはいるか
崩れかかったシャッターの向こうでまた光の筋が尾を引いた。でもそれは大男の体に当たっても弾けるだけで、彼女を助けることはできてない。左で女性体を抱えて、右手だけでさっきワルグが助けた男性体のような黒いのを寄せ付けないように捌いている。気がつかなかったけど、大男の脇や腰、肩から何か? 刃物かそんなものが飛び出て、男性を牽制しているのが見えた
「ワルグ」
声をかける、もうわかっている、っていうように頷く
「殺すなよ」
「ああ、大丈夫、だ」
そういうとワルグは正面を見て止まった。タイミングを計っているように見据える。左手首から肘までの外骨格が回転するように4つに外れて、先端にそれぞれ、ふたつずつの鉤爪が開く。その先に光が楕円形に回って、鉤爪の先端に集縮していく。二の腕から肩にある筋から赤い光が漏れ出して、その縮集に混じっていく
この姿を見るのは二回目だな…そんなことを考えてたら、ワルグが消えた
「ヘブゥウッ」
ゴツッ
「いった~いっ」
ガレージの向こう側でそんな音が響いて、大男が真後ろに倒れていた。ワルグが居なくなったところは埃が渦を巻いている
大男の腹の位置には穴が開いていて、そこから真横に完全に真っ二つに割れている。上半身がその勢いに後方へ倒れて、下半身だけがそこに残っていた。ワルグがその腰を軽く蹴飛ばす。鈍い音を立てて、下半身の一部が蒸発するようになくなり、足先だけが転がっていった
ワルグが腹を殴ったんだな、また見えなかった。ガレージの記録、記憶装置に映像が残ってるといいんだけど…あんなのが普通の交渉可能体に見えるわけがない
女性体ごと上半身が後ろへとズレ落ちている大男はまだ腕をばたばた、させている。アレで生きているって…拘束されたままの女性体が、それに巻き込まれて、頭を打ったらしい。バンドは消えていない。落ちるのを助ける…なんて、そういったフォローをワルグに求めるのも無理がある
「なんだてめえー」
それでもそんなふうに悪態をつく大男…半分になっているのに死んでないどころか普通に腕を振り回している。その腹の位置からは、何かの機械か金属のような光が見えた
大男がワルグの足を掴もうと右腕を伸ばす…のを素早く足で軽く蹴っただけで吹き飛ばした。そのまま、左腕の方もこれまた軽く踏んずけて踏みつぶす。バンドが消えたと同時に、女性体が回転しながら横に逃れた。何の破壊音も、はじけ飛ぶ光さえ発生させない…質量子崩壊。胸だけになった大男の、その頭さえもワルグは踏みつぶした
プシュウ
そんな音を出して、そいつはやっと止まった…それはやりすぎなんじゃないかな? さすがに……
パワードスーツ
確か昔、そう呼ばれていたような気がするそれは、今ではただの適用環境外用、個人向け移動補助装置で普通に一般量販店でも購入できる。ジャガーに使うには…大きいようだけど
ただこんなに物騒なものを積んでいるタイプは見たことも聞いたこともない
----------------------
クラシックマシーンリメイカーズへようこそ。私はディーラーのヴァlハイマーク、そして……
メカニックのエイドMです
今回のCMRは困難の連続、それも仕方ありません。今回のマシンは伝説とまでいわれた幻の一品……
----------------------
ジャガー Eタイプ シリーズ3
世界最高に美しい車 誰もが一度は見るべきであるといわれ、見なければいけないといわれたマシン それがこのジャガー Eタイプです
その外見に負けず劣らずパワフルなエンジン ありえないほどスムーズに加速する燃焼機関は5.3L V型12気筒 当時の重力下での最高時速は200km/h^2、その加速は7秒で時速100Km/h^2を超えます これほど驚異的なパフォーマンスを発揮するのに、マシンは信じられない美しさを誇るロードスターです オープンシーターといわれるマシンにはルーフがなく、開放感は他の追従を許しません 疾走する風と感覚、優美さと優雅さを十二分に味わうことができる最高の一台です
----------------------
素晴らしい。レジェンドマシンのなかでも最高の一台。最最最最高だよ。このマシンを修繕できるのは光栄を通り越して、なんていえばいいんだろうね? ともかく最高、としか言い表せないよ
確かにね、でも修繕は大変だったんだ
ああ、そうさ。でも大変じゃない修繕なんてどこにもない。そうだろう?
そうだね
ではこちらを所有するオーナーさんをご紹介…したいのはやまやまなんですが、残念ながらそれはおできできません。なぜなら、こちらのマシンのオーナーさんは前面に出ることを好まないお方なんです。この点に関してはご了承いただきましょう。では! わたしたちがどのようにこのマシンを修繕したのか、ご紹介しましょう。大変でしたよ
主に僕がね
僕だって大変だったさ、さ、マシンがどんな状態でこのガレージに来て、どんな状態にまで修繕されたか、特とご覧いただきましょう
………




