CMR #02 ジャガー Eタイプ #17
みなさんご存知だと思いますが、スリットとイオニックの噴出システムは構造と出力が大きく違います。どちらも電荷流導のみで推力を獲得できますが、光射面から直にイオンを放出するイオニックノズルに対し、スリットノズルは、重ね合わせたスリットの隙間からイオンを放出します。ノズルスラストは設置した放出面の大きさによって出力が変わり、ジャガー Eタイプのリアライトはこれにします。この大きさでは、マシンは900~1200程度の出力があります。古い移動基準で900kc/ds/dt^59.069iH、時間速度単位で時速900km/sクラスです。限られた惑星環境下では早いように感じますが惑星環境外では遅く、いつになったら到着するのか心配になるほどです
対して、スリットノズルは設置した溝内部に発生する層磁極場とその位相モーメントによって、イオン粒子が加速放出され、その反作用によって推力を獲得します。スリットの大きさ、設置数によって出力が変わり、高い推進力を得られる反面、非常に高温になります。イオン放出口には制電磁場を形成し、イオンの逆流と帯電を防ぎます。制電磁場に衝突したイオンが発光、発熱し、ジェットエンジンに似た挙動と見た目になります
これらふたつの装置は、機構、構造ともに異なるため、単純に比較をすることはできません。両方のシステムとも、それぞれに利点があり、欠点があります。共通の問題としてはb熱の発生です。テラン産のマシンで使用するには、装置周囲の変形、融解の危険を考慮しなければなりません。冷却装置の設置も考えなければならず…ほかの推力獲得法を使用したほうが安全かつ安心です
原理的にはスリットノズルもイオニックノズルも、ジェットエンジンやロケットエンジンと同じ機構で働きます。反作用で押し出す、です。ただ、別途、推進剤を保持、搭載する必要がない、電荷流導を得られるのならほぼ永久的に使用できる、爆発ではないため、ジェットやロケットに比べ比較的安全、という利点があります。完全に安全であるとは言い切れませんが
では使うのには無理があるのか?
いいえ、無理ではありません。ただ、スリットスラストでは、温度が高くなりすぎるため、テラン産のマシンには不向きだ、というだけです。冷却装置の設置が必須で、変成を避けるために、特定以上の温度にならないようにしなければなりません。この練成鉄は重力下で成製されたものです。少しの温度によって変形し、膨張します。ジャガーのものはコーティングがされているとはいえ、通常の鉄、アイアンです。メタトロNュMやルナ・チタNュウMなら問題ありませんが…この形状を保つためにはこの練成金属では不十分です。そこで、マシンに搭載するスラスターは、スリット数を少なくして、制電磁場を変形形成させるように設定します。これで、推力はそこそこ、その代わり発光と発音を派手にできます
そうなのか…ではそのようにしてくれ
そうなんですが…そのためにはまず、スリットノズルの製作から始めないといけません。ここの形状に合わせるように設計し、外部委託します。ガレージではノズルを制作できないからです。さらにこのスラスターに合わせて冷却システムを構築し、それをこのリアのどこかに入れなければなりません。リアの一部をカットし、装着位置を作ります…それはここ、ナンバープレートとその周辺です。見ての通り、ここには入れ込むような隙間はなく、ラゲッジスペースがここまで来ています。すぐ横はテールランプ、下には排気ノズルです。冷却システムを入れ込むスペースと、きちんと有効に効力を発揮するかどうか…シュミレーションだけでは検証が不十分です。いっそのこと…ナンバープレート裏に冷却システム入れ、スリットはその左右、排気口も冷却に使用する、という使い方の方が良いように感じます
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エードン様、そちらの方が冷却性に優れていると、検証結果が出ております。出力はリア部位の全面変更に劣りますが…速度も充分に補完できるようでございます
なるほど…実際にはマシンの推力は空間制御でも行っているから、スラスターの出力はそれほどでなくても構わない、ということだね。マシンの主機関はジェネレーター、外聞的外見的な演出でノズルを使用する。そうすればバランスも取れるし、余分な工程をいくつか省くことができる。何より、スラストで飛行するよりも安定するし、空中で停止もできる、安全にね。どうかなロッkア?
ふむ、両方を有効に用いて使う…いいのではないか?
左様にてございます。エイドン様の見識にはAUIさまもわたくしも、感服いたします
そこまでのものではないと思うけど…じゃあ、まずはリアボディをいったん取り外して、設計をし直そう。それからテールランプの変更、作成。ウィンカーも同じように交換する。排気口は…リアボディ内部から外にバイパスを作る必要がある。待てよ…下部のトランスミッション部分を変更して、スリットスラスターを入れよう。ギアボックスは使わないから、外してもいいだろう…重量バランスは考えないといけないけど……計算し直してみよう。これで上昇と前後の推力維持もできる。下降は…空間制御だけになるけど、それは問題ない
なにか…エードンは次々にアイディアが浮かんでくるのだな。追いつかん
それは慣れているからです。慣れとは以前に行ったことがある、ということの積み重ねでできています。直感ですべて行えるのならそれに越したことはありませんが…そうでないのなら慣れ、経験、見識というものが必要になります。それが備わってくると、きちんと道筋が見えたり、どこに異常があるのか、どうすればいいのか、自然にわかるようになります。それを獲得するためにも、行動が必要です
わかった、何事もやらなければわからないのだな
そうです。ただし、無理はいけません。それと間違ったことを間違ったまま、学習、積み重ねるのもいけません。そういったことも慣れれば、分かるようになります。反対に、慣れてもそういったことがわからないようであれば、それは間違った学習の仕方をしている、ということにもなってしまいます
難しいのう……
それほど難しく捉える必要はありません。興味の持ったことにはなんにでも挑戦し、行っていく。上手くいかなかったのならどこが、なにが、どうして上手くいかなかったのか? きちんと精査し検証する。難しいですが…そういったことはゼイvlrスさんが助言してくれます。ロッkアは失敗を恐れずに、気にせず、やっていけばいいだけです。自然と自身が成りたい方向へ、慣れるようになります。もし大きな失敗がしそうになったときは、ゼイvlrスさんが止めてくれます。その点も気にしないでいいでしょう。ね?
もったいなきご配慮にございます
…だそうです。では…リアボディを外して、作業に取り掛かりましょう。ホイールも出来てきていますし、取り付けつつ、完成を目指しましょう
わかったぞ、このホイールは我れだけがやる、任せるがよい
ええ、でもゼイvlrスさんの監督の元で、ですよ
そのようなこと…些細な問題でもない
………
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リアボディの端とブーツスペースの端はほぼ、重なっています。この間に冷却システムを入れるのは困難です。折角、きれいなリアボディを切り落とすのも気が引けます…気が引けるとは、怖気づいて行動に支障が出るということです。それではいけません。では、この部分の変更をしていきます
-リアボディの変更は最小にします。ここだけで済ませます
ナンバープレートとその横のこの幅はきちんと設定しなければいけません。余分に切り落としてしまうと台無しです。ここはこのナンバープレートとリアライトまでの幅のみ、空間を設け、加工します
-リアバンパーは内部から外れるようになっています。傷つけないように注意を払います
-トランクスペースのこの後ろの部分にボックスを設定します。冷却装置、スリットスラスターはこの空間に入ります
これでトランクルームの使い勝手が悪くなってしまいます。容量が小さくなり、荷物を詰め込めなくなってしまいました。使用目的的には問題がありませんが…心苦しいかぎりです
-心苦しい、とは無理なことをして、心臓内器に負担がかかり、停止してしまう寸前だ、という危険な状態のことを指します。気をつけましょう
何事も早め早めの対応が必要だということですね。では、ここを変更していきます
-さすがにこの作業は危ないので、ロッkアは見学です。この後、ホイールの装着やいくつかの装置の固定があるので、それまでは休憩をしていてもらいます
-ルーム下に排気口へと続く、スリットを作成します。変換できなかったb熱はこちらから排熱されます
スリットスラスターの冷却は内部に張ったゲルと追加したシステムで行います。スラスト自体にも装着されていますが、そのままだとトランク内に逆流し、熱が混溜滞留するためよくありません。強制的に排熱するシステムの設置は必須です。それをこの狭い隙間に設置し、下の排気ノズルへと接続します。この熱も吸収するように…トランクルームサイドの空間に補助機構を入れます
-これらの設置はスリットスラスターが到着した後です
では先に排気口、トランスミッションの変更を行ってしまいます
-排気口は前のエンジンからこの位置まで伸びてきています
ジェネレーターは排気ガスを排出しません。ここは飾りです、になる予定でしたが、変更し、このように…トランクルームへと一部を接続します。エンジンルームから伸びてきているエキゾーストパイプが、ドライブシャフトを支えるクロスメンバーの位置で急になくなってしまうのは不自然です。違和感があるのでここは通常に接続します
-下から見るとわかるように、エキゾーストパイプは折れ曲がり、途中でギアボックスを隠すようにマシン中央に集約され、後方へと向かいます
こちらがエンジンの下部です。露出しているため…ここはアンダープレートで覆う必要があります。それは最後です。同じように、このトランスミッション部分も外部に露出しているため、本来なら覆う必要がありました。それはここが推進器でない場合に限ります。この変更で加工、設置を省くことができ、いくつかの工程を短縮できました。助かりましたね
-それ以外の場所は特にプレートで覆う必要がありません。シャシがその役目を担ってくれます。ここの強度はきちんと測って補助をしておく必要があるかもしれません
では…スリットブラストが到着するまで、ホイールを取り付けるとともに、ほかの細かいパーツの設置を行っていきましょう




