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Classic Machine Re:Makers  作者: 桜葱詩生
CMR #02 ジャガー Eタイプ シリーズ3

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26/34

CMR #02 ジャガー Eタイプ #15


---??3?---------------


「ちっ、ちんけなところだぜ」


そういって、でっかい男がのっそりという感じにそこから立ち上がった。半円と立体をあわせたような小さなマシン。円形部分にはなにやら可愛らしい耳がついている。男が入っているには狭すぎる居住空間には、余分なものばかりが浮かぶ。なにかの袋や食べ屑、串、ゴミ、丸められて異臭のするティッシュ? そんなものが自由にふわふわと浮かび、開けられたハッチから外に出た途端、地面に引き寄せられるように落ちた。マシンは見た目よりも高性能らしい。マシンに似つかわしくない耳も、見るものが見たらそれが高出力の移相装置であることがわかる。ただ、取り付け位置が悪いのか、マシンはどう見ても猫か何かの可愛らしい小動物にしか見えない


辺りを見回し、操縦席から機敏に飛び降りた男は、見た目ほど鈍重ではないようだ。大男の後ろで自動的に閉まるハッチ…は、途中で何かが引っかかって開き、また開いて……を繰り返す。それを無視して大男は地面に向かって悪態をついた


「ぺっ」


唾を吐き出す…ような動きをしたのになぜかそれは出ない。それが気に入らなかったのか、なにが気に食わないのか、男は顔を(しか)めてすぐそこにいる奴らを、見下すように睨み付けた


「お前ら、本当にこんなとこにお宝があるんだろうな? ああ?」


眼光鋭く威嚇をする、が、そんなことにお構いなくアニキと呼ばれたほうは言い返した


「何だよ、来たのはお前だけかよ…まぁた、お使いに出されたな? ったく、ぜってー金になるっていったってのにアホなやつらだぜ」


「なんだと?」


大男の目が怪しく光る…キュピーン、とかいう音まで聞こえる。大男がそういっているからだ


「うっせーよ、一番下。お前はドジを踏むからなあ…ホント、鼻が利かないやつらだぜ」


大男とアニキとは倍近く背丈が違う。スキンヘッド(つるっぱげ)、筋骨隆々、胸板の厚さや肩幅、二の腕の筋肉の盛り上がりは比較するまでもない。それなのにアニキといわれた男は気にした様子もない。大男が腕を一振りさえすればその頭などは簡単に吹き飛ぶだろう。そうならないのは大男の良心か? それとも余裕か?


大男は奇妙なバランスで、胸脇に手を当てて不機嫌に鼻を鳴らす。大男の身体の大半を占めるのは上半身だ。腰までが長く、どっしり、がっしりしている。手を脇に当てて不満の態度…が、胸までにしか腕が行かない。手が腰にまで届かないのだ。それはマッスルボディを自己表現とする者たちの決めポーズに似る。上半身に対して足が極端に短い。知っているものが見たら、フ○ンキーじゃねえか、と突っ込むレベルだ。スパイのほうではなくパイレーツのほうの。海賊…男の職業的に見たらそれはさほど変わらないが


男の名はゴahズ。ハンターといわれる職業の中でも特に異生人だけを扱う。そのやり方は荒っぽい。問答無用、犯罪上等、強引豪胆、暴飲暴食、金になるのなら何でもやる。ただし、それは異性体に限る。見た目通り、ゴahズは女好きだ。異性体専門異星人ハンター。それが生き方。同性は珍しい類種であってもまったく興味を持たず、反対に異性であるのならどんな星人、生態、食性、類種であっても狩る。オレの通った後には女はひとりたりとも残らねえ。それが自分を集る(たかる)ときに用いる文句だ。けっして、語る、ではないところに知性の低さが伺える


「おいっ、お前ら」


「ああ?」


そう声をかけられても彼は態度を変えず、反対に彼らは及び腰になった。近寄ってきたのは、これまた大きな大男。肩にスレッジハンマーを担ぎ、いかにも、な風体。シャテーといわれる方の男はアニキの背中に咄嗟に隠れた。つい今朝方、どっかのダイナーで粗相をした時に摘み出されたのは、きちんと覚えていたらしい


男の背丈はゴahズとほぼ一緒。胸板、二の腕の筋肉、そんなのもほぼ同じ。そんなのがふたりもいたら、ただ見つめ…もとい、睨みあって立っていただけでも邪魔だというのに、そんなこと気にもせずに、ド真ん中で威嚇し合う。両者の違いは下半身ぐらいしかない。膝から下がなぜかすんなりと細いゴahズに対して、男のものは、きっちり地面を踏み込むようにできている。特注の安全ブーツは高くつくから、普通のもので済ませるに限る。こんなところにまで気配りできるオレってすげえぜ…そんな考え方でゴahズ本人は納得しているのだが、用はただの経費削減(ケチ)なだけだ


両者ともに全身、筋肉の固まり。そこを通りかかったものたちが、周りのガレージや店舗の従業員たちが興味津々に伺いだす。両方が同時にぶん殴ってみたところで、どっちが立ち続けるのか、わからない。ただ、男が担いでいるハンマーはそこにある可愛らしいマシンさえ、軽くぶっ潰すだろう。どっちに賭ける? そりゃあもちろん…そんなことをする間もなく


「なんだてめえ、気安く話しかけんじゃねえよ。ぶっ殺すぞ」


ゴahズが喧嘩っ早く、そう答えた。男を良く見ていなかったともいう。あ、これはあっちはダメだな。そんな声


「うるせえ、ゴミ屑。おれんとこの前にこんなチンケなもん、止めんじゃねえよ。出入りできねえだろうが、ああ? てめえ、他所(よそ)もんだな? 荷物を降ろすんなら許してやる。売るもんがねえんなら、とっととけえんな。買う物があるんなら、あっちの有料所に止めやがれ」


「う、がっ、ぶあっ、うっ…すまねえな、すぐやるよ」


「おんなじこと、いわれてらあ」



ゴキブリとハンターはどこにでも沸く。そして、その行動はどれも似かよる



そそくさと、どう見ても大男が乗り込むには狭すぎる操縦所に入り込むと、マシンが軽い感じに浮き上がり、移動していく。満足そうにそれを見て踵を返すヤード主。儲けそこなったものたちの落胆のため息。こんな工場はどこも、いつも変わらずに逞しく営業している


有料所はがらがらだ。停まっているのは2台だけ。入り口から真反対の角に置いてある、円筒形の真っ黒なマシンのその隣にマシンを止めると、ゴアhズはのっそりとそのマシンへと入っていった



その正面にワゴンタイプの如何(いか)にも如何(いかが)わしいマシンが停まっていたのだが、そっちには一切、目もくれずに、気もつかずに



自分の名前をつけたのはゴアhズ自身である。本人は気に入っている。このなんともいえない強者風な響きがいい。これで誰もがビビッて、道を空ける。そうでなければいけない、と本人は思っている



もっとも、たいていの最初のこういった障害的な存在には『ゴahズ』という名前が付くのが一般的(デフォ)であることをこのハンターは知らない




---??4?---------------


「いまのは?」


そう声をかける。その室内には同じような、光を一切反射しないスーツに身を包んだ人物が6体。マシンの外見を知っているものから見たら、どのように入り込んでいるのか、不思議に思うところだ


「照合…ファキー・ゴauズ・pガhワー。異星人ハンターです」


「異星人ハンター?」


その言葉に一瞬にして室内に緊張が走る。まさかそんなことまで洩れている? ありえない。これでは城内から、誰かが意図的に情報を流している、と考えなければいけない。だが、それを判断するのはここではない


「本星に。いくつかの迂回路を使え。絶対に感づかれるな」


(オー)


イゼ(01)


「?」


イゼ、といわれた痩身の、整いすぎている顔の人物が振り返る。アイドルやモデルもかくや? というほど美しい人物はそれに似合わない冷たい目つきでそこにいる部下を見る。そういった職業(クラス)も連邦内には存在している


「パラスターーでは不十分だと具申します。ブラスターの使用許可を」


「却下だ」


「ぶう」


頬を膨らませる


イrファ(02)、どのような状況であろうとも殿下の身の安全を第一に考えろ。掃射を行いたいのなら前線を志願しろ。止めはしない」


02(イrファ)、と呼ばれた女性体はそんな頬をしたまま、そっぽを向いた。何かいいたげではあったが口をつぐむ。それを見て、周りの部下にも自然と笑みがこぼれた


緊張をほぐしたのか?


そう感じ取ったイゼ(01)は感嘆する。こういったことは自分では十分ではない。なるほど、性別が分かれるというのはこういうことか…感心するのと同時に、それは他者に任せるほうがいいとも納得する


彼らに下された指示は排除ではない。それはあくまで行程でのことだ。なにごとも起こらないのであれば、それに越したことはない


そんなことはもう無理だとも感じている、感情らしきものは無視をして……



---インターミッション----------


「へんな二人組?」


「そう…ハンターだっていってた」


シnシahが働くダイナーはこの辺りでは人気店だ。看板娘…などというものはとっくの昔に廃れたが、それに近かしい存在としての彼女たちがいる。若い娘というものはどこへ行っても人気である。それは本人たちにも、店舗にも、周りにも既知の事実として周知されてはいるが、実際には、娘さんたちの見た目とは異なる、その情報収集能力の高さのほうに由来する。一部、そんなことはまったく気にもせずに、愛想よく笑って、うまく乗り切ろうとする娘さんもいるが。あと、娘というには……ゲフンゲフン


ダイナーにはいろんな客が訪れる。一見(いちげん)もいれば常連もいる。会話する言語も様々で、そんな奴らと単純な会話をするだけで、相手の好みやどこの出なのか、なにをしに来たのか、それからどれぐらい金を落としていきそうなのか、そんなものを察知する能力が養われていくから、おおよそウェイトレス(接客)という職業(クラス)の中では、最上級クラス()の働きであるといえよう。特にこのあたりの治安やその辺のことなんかに関して、彼女はとくに耳聡い。どちらかというと自分の支払いと給料(ペイ)と、安全に関してはさらに耳に入れようとする(たち)


「アネキ、なんか変なことに巻き込まれてない? わたし、いやよ、またアネキを(かくま)って暮らすのなんて」


「なんであたしが原因だっていうのよ」


カウンターに座って、信じらんない、というような顔をしてそんなことをいわれたkリアラは、そう反論する。姉貴といわれても実妹でもなんでもない。ただ一時期、世話をして世話になっただけ。それなのにこんなに懐かれるとはkリアラ自身も思ってなかった。ただ、彼女と知り合ったものはたいてい、こんなんなる。それに、そんな話しを盗み聞きしている周りのものからしたも、それは当然、彼女が原因である。そうに違いない、それしかない


「で? そのふたりは何を調べまわっていたの?」


「ん」


無遠慮に、屈託なく、シnシahは手のひらを差し出す。重要な情報には対価をよこせっていうのだ。その辺は抜け目がない。この子もずいぶんと図太くなったなあ、そう感心しつつ、kリアラはポケットから、上等な天然紙を取り出してその手に握らせる。「まいど、って何よこれ? 金じゃないじゃない」


ぴらぴらぴらぴら、指先だけで粗末に振る。そのへんの紙幣より、実際にはより高い価値があるものなのだが、そんなことはこの辺りでは、彼女には関係がない。それの表面には特殊な文字で何かが書かれている。もちろん、シnシには読めない。無学ではない。それではこの辺りではうまくやっていけない。だけど、直接自分に利益のないことにまで関心を払っている暇はない。結果的にこの紙っ切れはいまのシnシahにとってそんなにいるものじゃない


「金よりいいものよ、あんたが持ってて、で? なんだって?」


「もう…わかったわよ。アネキにはかなわないなあ…あのね……」


そういってシンシアは今朝、シャテー(バカ)が話していった内容を語る。はじめはなにか、あるんじゃないかと思って聞いていたkリアラであったが、途中からの話は、耳から入って反対の耳から抜けさせる、ということにすることにした。どうでもいい…どうしようもない払い損である


「どうもね…凄腕のハンターがここに来るらしくってね……そいつっていうのが異性体…つまり女だけを掻っ攫うっていうとんでもない奴らしいの。で、わたしが危ないから一緒に逃げようって……金ならアテがあるって……なんでもすごい船を追いかけてきて、それを売っぱらえばどっかの星で店、開けるぐらいになるからって……」


「へえ…」


適当に相づちを打って、なんでこう、モテる女っていうのは自慢話をしたがるのか…おなじ同姓体なのにその点だけはわからない、共感できないと、話しを流しに流しまくる。あと自分のことを、アネキ、って呼ぶ理由にも思い当たる節がなくて、それでも彼女は話を聞いてあげる。こんなところが彼女が気に入られるところでもあるのだけど、本人はあまり気がついてない


「あ」


帰ってから、いいそびれたことがあったことに気づいて、でももうそれがなんだったか思い出せない事にも気づく。そんなに大切なことでもなかったような気もするし、聞いておかなければならかったような気もする


「まあ…いいか」


何事にもそんなにこだわらないのが彼女の長所のひとつである。聞いた話はもう、どこかへと消えているし、覚えているのは…以外にも楽しそうだった、という印象だけ。それもこれもおしゃべりな友人を持っているものの宿命である



本年度はこのエピソードで終了です

続きは年明け 2025コミケ明けです

早いですが 良いお年を です

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