CMR #02 ジャガー Eタイプ #11
このジャガーを見た時の私の最初の感想は一言、がっかりです。肝心のフロントボディがなく、残念というより、喪失感の方が優っていました。マシンの現存はこの上ない喜びです。しかし、当時、世界で最も美しいマシン、といわれていたものがこのような状態にある、というのを、どう処理していいのかわからなかった、というのも事実です。そして、それと同じに、ここ…このフロントパネル、ダッシュボードの調和がとれた美しさ、が害されているのもいただけません。ここも素晴らしいものだったのはずです。ところが…これです。ここが破損しています。これは絶対に修繕しなければいけません。かといってどのようにしたらよいのでしょう? 張り付ける? くっつける? もっといい方法があります
-ここは素材修正を専門に行っている企業です
ハイ、レrmァリュさんですか? CMRのイマークです
やあこんにちわ、レアーMュアrーギュのピルrーワです
じつはこのパネルの修繕をお願いしたく持参したんですが…行えますか?
ええ…できますよ、拝見しても?
ええ、お願いします。どうですか? ここにこのような欠けがあり、後ろからこんなふうにヒビが入っています。これは…昔の古生燃料から作成されたポリカーボネイトという加工品なので…再創生はできないんですよね?
そうですね…これを溶かして元に戻す、ということはできません。ですが…この程度の修繕ならそんなことしなくてもできますよ
本当ですか? ではお願いします。修繕にどれくらいかかるでしょう? 値段は? いくらぐらいになるでしょうか?
時間はそれほどかかりません…価格は350です
350? 桁は? 位は億とかいいませんか?
いいえ…350キャッシュです
ワオ、ものすごい格安です。ではお願いします
ええ…ではお待ちください。まず、成分の分析を行います
見学しても?
どうぞ、構いませんよ
では…行ってみましょう
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全体の形状データと分析を行いましたが…何か問題でも?
いいえ…形状的にこんなふうにひびが入るのが珍しいので……どのような衝撃があったらこんなふうになるのか、計測してみたんです
計測? それで? どんな結果になりましたか?
ここのヒビは左右から力が加わったことによって起こっています。ただ…こちらの欠け、ここはこう…何かが上か前から当たって欠けたみたいですね? ヒビの衝撃より、より強く瞬間的でないとこうはなりません
そうなんですか? これはかなり昔のテラン産のマシンのダッシュボードといわれる部分で、マシンは衝突し壊れているんです。そんなことまでわかるんですね?
そうですね…そういった部分の修繕を専門に行っているところなので……原因まで一応、推定調査をしてから行います。同じ状況になったとき、ここだけがまた壊れた…では困りますからね。どのように修繕したら二度と同じ状態にならないか、考慮します
なるほど、素晴らしいです。では、どう補修するのでしょう? このヒビを直すのは大変ですよね? ここの間を開けて補修剤を入れ込む…では足りないように感じます
ええ、ここはこの周りを一定範囲、削り落としてから補強材を入れ、同じ材質で結有結合させます。欠けも同じですが、こちらはこの形状に成型して行います
削り落とす? そんなことして大丈夫なんですか? 大切な部品なんですが……
わかっています。しかし、このヒビを直すためにはこの周りに材質を付加するだけでは修繕跡が目立ってしまうので、そうならないように加工する必要があるんです
そうなんですか…わかりました。お願いします
ええ…では先にこの欠けを修繕してしまいましょう。こちらに…先ほどの分析から、この材質と同じ配合になるように調合した補修材を作ってあります。これを使ってこの欠けを直します
でも…そのまま補修剤をそこに盛って直しても欠けの跡が残りませんか? 周りと違ってしまいませんか? それが心配なんですが……
そうですね…それは補修する際に修正剤とこの間に空気…気体が入り込んでしまって、修繕跡を作ってしまっているからです
というと?
気体が周囲にある状況で、修繕を行うと、どうしてもこの隙間に気体が入り込みます。気体は物体同士の接着、融合の邪魔をします。さらにこの気体はここに入る光の反射屈折率を変更します。この間に気体が入り込むと、その密着結合の間に微妙なずれが生じ、そのズレは光の反射性によって、大きく見えるようになるんです。それで目立つんですね。補修線、修繕した時に見える線状の痕が気になるのはそのせいです
なるほど……
それを避けるために…パーツをこちらの装置に入れて修繕します
これは?
こちらの装置は中が空洞です。ここにパーツを入れて、真空にします。真空に成ったら修理する箇所に補修剤を盛りつけて、成型します。ある程度、形を整えたら空間制御を使って補修剤が部位に密着、結合するように圧力をかけます。圧縮するのと同時に赤外線光をそこに当てます。これで成線結合という合成が行われます。部位の分子同士が結合して、充分に密着、結合したら…取り出して細かく成型します。これで完成です
これで終わりですか? 入れてまだ…ほんの少ししか経っていません。それに…この補修した部分が丸わかりですが?
ええ、ですからこちらの装置で…ここの形状を元に戻すように修正します。これはAUIによって行われるので、わたしたちは見ているだけです
光切断するんですね? 確かに…見る見るうちにどこが欠けていたのか分からないぐらいになりました
そうですね。できましたよ、ご確認ください
ええ、ありがとうございます。見てください、周りと全く同じにできています。こんなに早く? しかもこんなにきれいに?
そうですね、金属の修繕結合と同じ理論で行っていますから。違うのは使用するエネルギー線と真空で行う、というぐらいです。ではこちらのヒビの修繕を行います
ええ、お願します
-ヒビの周りを特殊な工具で切り落とし、その下に補強用の板を張り付けます。それができたら、装置に入れ、補修剤を盛りつけ、圧縮。光を当てていきます
欠けと同じぐらいのスピードで出てきました。これから形状修正して終わりですか?
ええ、そうです。少しお待ちください。この板は取り外しても取り外さなくてもどちらでもかまいません。強度は同じ成分のものが結合されたので以前と同じです。見た目も同じです。これで完了です
驚きです。見てください、周りと全く同じです。どこにヒビがあったのか…まったくわかりません。完成です
いいえ、少しお待ちください。修繕した箇所にコーティングを行って、表面加工をしなければいけません。トップコートは…この表面に塗布されているものと同じです
なにからなにまで…素晴らしいです!
ええ、こういった配慮まで行うのがわが社のモットーです。ご満足いただけたようでなによりです
大満足です。これでマシンの完成にまた一歩、近づきました。さっそく持って帰って自慢してやります。ありがとうございました、ピルルーワムさん。素晴らしい修繕でした
いいえ、こちらこそありがとうございます。修繕が無事、終わることを祈ってます
---インターミッション----------
お声をおかけしなくてもおよろしいので?
かまわん、それよりも…これを持て、我れではできん
どちらに?
ここだ…よし、確かこれを……こうやって、ん? なぜ動かん?
…どうも……セキュリティが働いているようでございます。やはり、エードム様の認可がございませんと動作いたさないようでございます
そうか…いや、ここは我れがやる。どうにかせい、ゼイvlrス
かしこまりました…少しお待ちください……、………、どうぞ、お試しください
……よし、よくやった。ではここを……
お待ちを、手袋をお忘れになっております
おおそうだった…忘れてはいけないものだったな
左様で
ここは…こうか……ん? これはどうなっているのだ?
不肖ながら……
よい、手伝うでない。我れ一人でやることに意味がある。ゼイvlrスは見ておるだけでよい
ご威光のままに
ん? こうか…なんだ簡単ではないか……、………、ゼイvlrス、それをこっちまでもってこい
こちらは固定されております
そうか…では……ん? なんだ? これでこっちにこん……
殿下!
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アラート? ワルグ、どこからだい?
-サブフレームのテストを行っている最中、警報が鳴りました。通常、このガレージでアラートが鳴ることはありません
ガレージ?
行ってみよう
-嫌な予感がします。私の予感はあまり当たらないので大丈夫だと思いますが……
ゼイvlrスさん、どうし……!
ゼイvlrス「ああ、エードン様、申し訳ございません。お手伝いいただけますか?」
聖勇者「それには及ばぬ…こんなのは……つっ」
ええ、ワルグ、kリアラを呼んできてもらえるかい? 応急キットを持ってくるようにって
わかった
-まずいです、聖勇者様が怪我をしています
聖勇者様? いったい何をして?
聖勇者「すまぬ、皆が忙しそうだったのでな…我れが先に進めようと思って…それに引っ掛けてしまった」
それでこっちも倒してしまったと……
ゼイvlrス「その通りでございます」
-リアボディを落っことしています
ゼイvlrス「わたくしがついていながら申し訳ございません」
いえ……
聖勇者「ゼイvlrスが謝ることはない。我れの注意が至らなかっただけだ」
ゼイvlrス「殿下……」
聖勇者「殿下ではない」
誰が怪我したって? って聖勇者さまかい、あたしらにメーワクかけんなよ
聖勇者「すまない」
いやいいって…じゃおでこ見せて……あちゃー、これは痛ーな、まってなすぐ治してやっから
聖勇者「すまぬ」
wrg、そっちを片付けておいてくれるかい?
わかった……
じゃ少しだけ痛むぞ? ガマンしろよ
聖勇者「もちろ…!」
-機械が動いています
ゼイvlrスさん、どうやって装置を? ここは止めておいたはずなんですが……
ゼイvlrス「申し訳ございません、エイドム様。セキュリティを解除させていただきました」
解除?
-知的補助助言AIのを?
ゼイvlrス「些少でございますが…AIに負荷がかかっておいででしたので、取り除き、バイパスを設定しておきました。ご確認ください」
はあ……
-それはkリアラの専門です
できたぜ、そのシールは外すなよ、せっかくきれーな顔なんだから、きれいに直さねーとな
聖勇者「そうなのか…すまぬな」
あやまんなって…こーゆーときはありがとう、kリアラ様、助かった、ぜひ特別貴族に、だ
聖勇者「ああ、そうか、kリアラ、助かった」
おうよ、じゃ腕、見せてみ
聖勇者「ああ……」
-ぱっと見、リアボディはサイドが凹んでいるだけです。ほか…ルキセノンのマーキングがしてあります。それ以外の被害はないようです
ゼイvlrス「申し訳ございません。わたくしたちは殿下の傷口や体液に接触することは許させておらぬゆえ、このような手段を取らせていただきました」
そうなんですか?
ここぞというときに役にたたねーやつだな
ゼイvlrス「弁解の余地もございません」
kリア……
本当のことだろうがよ
-まあそうなんだけど……
聖勇者「よい、許す。そんなふうにいわないでやってくれ、kリアラ。ゼイvlrスはよくやってくれている」
ゼイvlrス「もったいないお言葉にてございます」
あんま甘やかすんなよ、きちっというときにはきちっといったほうが相手のためなんだぜ
聖勇者「そうか…そう覚えておく」
おう
………
………
-あまりkリアラの格言は聞き入れて欲しくはないんですが……
こっちのほうは打ってるから少し腫れるかもしんねえ。一応、反制剤、貼っとくぜ?
ゼイvlrス「ご配慮、感謝いたします、kリアラ様。そちらの血液が付いたものは焼却いたしますのでどうぞ、わたくしめに」
お? おお……。あんたさあ…もう少し砕けたほうがいいぜ? それじゃあ、何か裏があってこっちにいえないことがあるっていってるようなもんだぜ?
ゼイvlrス「それは…申し訳ございません。このように対処するように成立しておりますれば、自らで改善することはできませんゆえ」
そうなのかい…まいいや、ほれ、こいでいーぜ、それは邪魔になっても剥がすなよ
聖勇者「ありがとう、kリアラ」
へへ…へんにかしこまんなって。男の子はこれぐらいの怪我をするぐらい、動き回っていた方がいいってばあちゃんもいってたしな、勲章だ
-細胞甦成生で傷痕も何も残りませんが……
聖勇者「そうなのか…面白いおばあさまだな」
よせやい、お婆様だなんて…本人が聞いたら顔を白く塗ったくって、ほほほ、って笑い出しそうだ。そんなのうちのばあちゃんじゃねえ
聖勇者「そうか…仲がよくて何よりだ」
そうか? いつも口ウルセーだけだけどな…痛みがひどくなったらいえよ? お前、そーゆーのガマンしそうだからな
聖勇者「わかった」




