表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Classic Machine Re:Makers  作者: 桜葱詩生
CMR #01 トヨタ セリカXX

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/35

CMR #01 トヨタ セリカXX #02

※2025/11/21誤字脱字修正しました

※2025/11/26伏せ字を取りました

テラン産の製品のうち、もっとも魅力的なのがこの外観…ボディにあるといっても過言ではないでしょう。この独自の優美で直線性を多様した形状は、他の惑星文明にはほとんど見られない特徴です。これは地球人の精神性と情緒性を非常によく表現している、と思われています。その特異性と独特の構造を持つマシンに魅力を感じる、という方は数多くいらっしゃるでしょう。何を隠そう、わたしもそのひとりです


-しかしこのボディにはさまざまな問題がある、というのもまた紛れもない事実です


それというのもテラン産で作られているマシンのほとんどが鉄…練成鉄で構築されているからです。鉄はこの総時空間上のいたるところに存在しているありふれた物質ですが、その性質上、さまざまな原子と融和、結合し易いという欠点も持ち合わせています


-もしこれが無重力下での精製であったのなら、問題は少なかったかもしれません。この時代の地球文明にその技術を求めるのは無理、というものです


セリカXXのボディも練成鉄でできてます。しかも…このマシンはこのように……うすい金属板をふたつ、こう並べて…内部に小さな空間を作っておくという、不可思議な作り方をしている箇所がいくつかあります。衝撃対策の一環です。ただ…これではこの内部で腐食が進んでいた場合、確認が困難です


-それにはいい方法があります


そのために使用するのがこれ…ルキセオニトロEシューM・アーク・ポポジトRン・トレーサーです


-これは原子に付着している電子が素粒子光に反応し、微弱な光を発するという、ルキセキニニョニョン? といわれる現象を観察するための装置です。ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが…原子に付帯している電子は、物質を構成している分子の総陽子数に比例して、その挙動と存在位置が変更、確定します。この検査装置は、電子がどの位置に存在し挙動しているかでその原子、分子がなんであるか? を判明させ、分布状況が分かるという、優れものです


-説明を行うより、実践するほうが簡単でしょう


まず…メンテナンス・ルームの明かりをこのように…除粒光に変更します。つまり暗くします。これは微弱な電子光を確認するためと、精製的な光源に含まれる光子が余計な反応をしないようにする、という意味があります。そしてこの装置で…このようにボディを照らしていきます。この時、可視光領域で視覚を得ている方は、この光を決して直視しないでください。わたしも…直接は見ないように……このようなゴーグルをつけています。あとは…ボディの隅々までこうやって……装置の光を当てていきます。するとどうでしょう? このように…この部分、こちらもそうですね? 微細なリング状に光る光の集合が、やや黄色方向に集約しています。これが腐食の見られる部分です


-原理も簡単です


この装置から放出される素粒子光は、電子の周期波動に反応します。いまは…鉄分子とその付帯変性に集約するように調整しています。ボディの表面には鉄以外のもの…プライマーやサーフェイサーといわれる、錆び止め剤が散布されています。ほかにここには塗装…ボディの印象を決定付ける、塗料が塗られています。判明させたい原子が分からない場合など、全領域反応にして使用することもありますが、今回の対象は鉄とその変性物性です。全部を判断する必要はありません


素子光は鉄分子の周りに存在する電子と反応し、ルキセノノョン? という偏光現象を引き起こします。この発光は、原子特有の色合いを持ちます…正確には、原子の周りに存在する電子の挙動と角運動量、周期存在位置によって引き起こす偏光反応が異なります。セリカXXのボディは精製鉄でできているために、鉄原子…鉄分子と結接水素がその対象です。この場合…見えますか? このような鮮やかな緑磁色に光が集約されます。対して、腐食を起こしているこの位置…ここ周辺ですね? ここに当ててみると…このように色合いが黄朱色に収束します。これは鉄分子が、ほかの原子…この場合、酸素です、と結合していることによって、発光集約現象が変性したために起こります。ここのボディは電子の数と挙動構造が酸素によって、位相変位している、ということになります


黄色の発光の内側にぽつぽつと…ここにあります、このように淡いピンク色に光る部分があります。この成分を調べると…出ました、ナトRウMです。屋根といわれる上のこの部分にはこのように…数多く付着しています。こちらには…鈍い暗紫青色のものが見えます。こちらはメタNYュウMです。このようにボディにはさまざまな不純物が付着し、変性を引き起こしています。これらはすべて取り除かなければなりません


-装置の利点はほかにもあります。亀裂やひび、後から溶接した箇所なども判明させることができます


幸いなことに…セリカXXにそのような箇所は一切、見られません。シャーシといわれる基礎にもそのようなところはありません。ただ…ここ、ボディの下部、サイドシルといわれる部分に少しだけ補修した箇所があります。これは補修剤そのものを取り除きます


-腐食分布が明白になりました。一回一回、光を当てながら修繕していくのは面倒なので本体に影響のないマーカーでマーキングを施しておきます


腐食の定位が低い場合…このように光がほとんど見えない場合があります。そのような時にはわたしがつけている…このようなゴーグルを使用することをお勧めします。これで見れば…ほら、この通り、装置の情報が内面に映し出されることで、簡単に状況を確認できるようになります。装置のほうにも…ここの電子素成が変位している、と警告が出ています。観測しにくいようなら、装置の素成表示を確かめましょう。領域指定、というモードにすると、その範囲だけを囲って明るくしてくれたり、逆に暗く表示させてくれたりもできます。状況に応じて使い分けましょう。これで直接、確認できないような内部の腐食も容易に探し出すことができるようになります。簡単ですね?


-幸いなことに、奥の見えない部分にも大きな腐食の跡は見られません。しかしやはり、鋼板が組み合わされた角の部分に腐食があることが確認できます


テラン産のマシンが薄い、鉄の板を組み合わせた構造が幸いしました。もしこれが、他の惑星文明のような分厚く複雑な分子構造を持つもので作られていたのなら、この装置だけで全部の腐食を探し出すことは不可能だったでしょう


-ところがこの時、ひとつの問題が判明しました


ここに…このフロントウィンカーの裏側のサイド、あとこちら…テールランプの内側のここ、ここにまったく反応しない不可思議な事象が確認できます。これはなんでしょう? わたしが記憶している限り、テラン産の製品でこのように反応をしないという現象は見たことがありません。これは…きちんと精査する必要があります


-いくつかの波動周期と装置で検査したところ、これはβ域で跳躍する粒子のなんらかのパッチ? のようです


分かりました。確認したところ、これは資料館で付けられた量子縺れを利用した盗難防止と追跡装置ということでした。安心しました。これはこのまま残しておくことにします。ではこれらの腐食を修繕していきましょう


----------------------


-幸いなことにセリカXXの腐食に大規模なものは見受けられません。通常、テラン産のマシンは残念なことに、大きな腐食孔や欠損、崩れて無くなってしまっていたりする部位があるものがほとんどです。保存と保管がしっかりしている博物館からやってきたこのマシンは、その限りにありません。これは何事にも変えがたい、素晴らしいことです。この程度の腐食であるのなら、同じパーツを作り直したり、大規模に再創製する必要はなく、簡単に補修ができます


-ここでわたしが愛用している修繕道具をご紹介しましょう


それがこれ、この ?クロムジェン? ?グロムイコルジョン? 製成反応剤です


▽▲ ?~? は適切な翻訳語庫が存在しません。早急に167-ArJ8-8~ のインストールを行って補完してください ▲▽


-これで簡単に補修を行えます。一般量販店でも買える、優れた一品です


地球では腐食を補修する際、錆転換スプレー? という素晴らしい製品を使っていました。スプレー? は、腐食と反応し物性的に浮き上がらせ、その下に新たな鉄配合と腐食剤を忍びこませることで、表面を修繕補強する、という働きをしていました。この ?クロムエマルジョン? も使用方法は同じですが、より強固に鉄分子の腐食を補修できます


▽▲ 繰り返します ?~? は適切な翻訳が存在しません。早急にインストールを行って語庫を補完してください ▲▽


そもそも、地球で精製された錬成鉄は、重力下での製造のため、原子的に積層構造になっています。本来、異四角三角錐構造に生成されるはずの鉄分子が、体錐鉛直構造化していました。この結合状態では、腐食が起こると、積層構造の平面…上下への結合力が弱くなり剥がれ、剥がれた鉄分子が、平衡に対して垂直に立盛するという現象が起こります。腐食が起こっている箇所で、表面が盛り上がってしまうのは、この立瘤現象が原因です


-地球ではこの浮いた腐食を物理的に削り落としていました。有効な手段ですが、下の鉄分子までをも傷つけてしまう可能性があります


もし、このマシンの腐食がそのように大きく、盛り上がっていたのなら、それ以上に広げないためにも、その部分は物理的に削り落とさなければならなかったでしょう…これはテラン産の鉄製品では行わなければならない手順のひとつです。しかしこのマシンのように…腐食の程度が低く、大きくなっていないのなら、この製品で十分に修繕ができます


-使い方も簡単です


?クロムエマールジェン? は…このような半透明なシートと、散霧装置、α- ?グロムオキシジェーションイコールヨニョン? とからなる、結合性反応成製剤です。 ?クロームエマルジェン? は、鉄原子を陽子偏位相状態にしたものに荷重充填状態にした電子を含ませて重偏位イオン化という特殊状態にしたものでできています。腐食とは、鉄分子に余分な分子がくっついたものでしたね? その鉄分子から、余分な成分を取り除き、それと引き換えに、新たな鉄分子をΦ結合させれば、元の状態に戻ります。この反応生成薬はそれを簡単に行います


▽▲ 繰り返します ?~? は適… ▲▽


-もう少し詳しく説明しましょう。錬成鉄にはフリーになっている結合子が存在します。表面や断面、傷がついた個所の鉄分子がそのようになります。ここに水分、水素に酸素が付着すると、鉄原子の自由結合接に水素が結合します。フリーな結合接に水素がτ結合すると、そのもっとも近くにある酸素が結合します。酸素は、自由結合節が多い原子であることがわかっています。結合していない余分な自由結合節は、近くにある水素と電子を取り込もうと働きます。もっとも手短にある電子は鉄分子内にあるものです。酸素原子は、製成鉄内部から電子と水素を奪い去り、鉄分子間の結合力を減少させます。すると、その部分の原子結合が弱まり、剥がれが生じます。酸素の自由結合接が埋まりきるまで、この結合は行われます。酸素が水素や電子を奪い去る現象を、極性偏向成といい、鉄原子は極性と結合が、鉄原子同士だけでない、余分なものへと変位します。分子構造が位相変化します。これが腐食というわけです。酸素以外にもさまざまな分子、原子が結合しやすいことが判明しています


-それなら、その結合接から余分な原子を取り除き、本来の鉄分子に戻してあげればいいだけです


-製薬には色々な種類があります。今回使用するのは特に鉄に強く反応するものです。ほかの金属分子にはそれ専用のものを用意しましょう。分からないことは店員さんに聞けば説明してくれます


補修を行う前に、いくつか…やっておくことがあります。いま、マーキングした部分の外にはマスキングが施されています。これは腐食していない部分の練成鉄を傷つけないようにするためです。このマシンの塗装やプライマーは地球で施されたもので、非常に希少です。少しでも残しておく必要があります。また、ところどころの…この辺りやこちらの、表面を触ると、ざらざら、した感触が確認できます。ここには余分な物質が表面に張り付いています。これはきれいに取っておきます。こればかりは古来からの従来手段…つまり、ふき取るか、洗い流す、をします。洗い流す場合は良く乾かしましょう。このマシンは古く、新しいやり方でそれらを取り除いてしまうと、塗装のほか、下の状態までも壊してしまう可能性があるので注意しましょう。特に粒子除去を行った場合、すべて破損、変容させてしまい修繕工程が増えてしまうので気を付けましょう


-通常、テラン産のマシンの表面にはいくつかの素料が塗られています。外見を印象付ける塗装、その下に盛られるプライマー、サーフェイサーといわれる、腐食を食い止めるための硬化剤です


これらはこの表面に薄い層を作っています。腐食によって鉄がむき出しになってしまっているのであるのなら、この ?クロムジェン? で補修を行うことができますが、そうでないのなら、この層を一時的にしろ無効化しなければなりません。腐食のタイプによっては、この塗料層の下で起こっているような、やっかいなものがあります。それは気をつけなければなりません


-またいくつかの準備も必要です


それは…このように塗装、プライマー、サーフェイサーといわれる欠片を、このような…成分分析器にそれぞれ、取り込んでおくことです。修繕した後に取り込んでしまうと、以前の状態と違った成分になってしまい、よくありません。塗装はこのあと、剥がれた部分を再現する際に必要です。プライマー、サーフェイサー…これらを新しい現行のものにしてしまうと、その境界線上で歪みや色剥がれ、変色が起こりよくありません


-事前の準備はできました。では補修していきます


----------------------


修繕に使うこの薬剤の使い方はいたって簡単です。 ?クロムジェン? を腐食している部分にこのように…なるべくはみ出さないように、まんべんなく散霧塗布します。少しのはみ出しは気にしなくていいですが、広範囲になるようなら注意しましょう。分性変移という厄介な状況を発生させてしまう可能性があります。盛り上がって、変形しているような部分があるなら、原始的な手段で取り除いておきます。ここから落ちる錆粉も無駄にはしません。残しておきましょう。これには訳があります


ある程度の小さい穴などは…このように、付属しているシートを裏側に貼り付けて……そこに腐食から出た錆を付け、塞ぎます。製成反応剤は基礎となる鉄分子に新たな鉄分子が再結合するだけです。元のものと同じ成分があるのなら存分に再利用しましょう。同じ錬成鉄で…分析から創成したものがあるのなら、使用しても構いません。もとの状態と同じように均したのなら、それほど大きく形状が変化することはありません。これは…形状を大きく変形させることもできる、という意味でもあります。今回は行う必要がありませんが、修繕状況によってはそのように行う時もあります。臨機応変? に行います…猪突猛進? と同じ意味だそうです。よくわかりませんが…そうしましょう


大きな凹みや穴に使うには注意しなければなりません。凹んだ部分に使用すると凹んだ状態のまま、再創生が起こります。鉄分子が存在していない空洞では、穴の周辺が元に戻りますが、塞いでいないのなら、開いたままです。またこれは…非常に珍しい事象ですが……元と異なる成分の分子を含んでしまうと変性創製という、周囲と異なるものになってしまうことあります。素晴らしいマシンを修繕するのなら、なるべく、元と同じ状態に戻したいですよね? 気を配っておいて損はありません


-注意する点はまだあります


マシンが物理的に変形している…どこかにぶつかり形状そのものが変形しているような場合には、その変形状態のまま、再生成されます。腐食を直し、強度を元に戻してから、形状を修繕するということもできます。小さい変形なら、シートとスキャンから形状をトレースし直し、修繕した方が速い場合があります。 ?クロムジェン? を盛りすぎて溜まっていすぎていると、元と異なる厚さになってしまう可能性があります。気を付けつつ、使い分けます


-セリカXXにそのような凹みや変形は見られません。これは幸いです


このシートは…このように、修繕する表面に張って使用することもできます。シートには…このように表面(おもてめん)裏面(うらめん)があり、使用するには必ず、表…こちら側を手前にします。シートには目に見えない、微細な穴が開いています。この穴が非常に有効な効果をもたらします。薬剤が漏れる心配はありません


-実際にはこのシートは使用しなくても創製はできます


シートは…このように ?クロムゲェン? を塗った部分で、形状を整えたい場合にも用いることができます。ただし、拠れているような場合、補修度合いが低くなる可能性があるので気をつけましょう。今回は…ボディにガラスを嵌めるシールの部分のこの腐食に……このように貼って使用してみます。ボディの形状に沿って、均しておくのが重要です。これで余分な反応で形状が変形することを防げます


そうしたら…この…α- ?グロムオキシエマルジョン? 硬化製成剤を…このように、?クロムジェン・パーティオン? を吹き付けた部分に軽く吹き付けます。このα- ?グロームイーコイルジョノニョン? はなるべくはみ出さないようにしましょう。シートとテープで周囲をマスキングしておいたのはこのためです。これで安心して行えます。また、心肺機能を有し気体分子を呼吸している方は、この成分を大量に吸い込むのは危険なので注意してください…わたしもこのようにマスク? をしています。これは念のためです。最後に…この高波動 ?プロセキジション? 光発生装置でその部分に波動光を当てます。これで再変成結合が開始されます


-手間はかかりますが、その効果は保証します


見てください。表面に…このように、不純物が含まれた凝固水が出てきました。これは腐食した成分が分離し含まれたものが浮き出てきたために起こる現象です。全体的に満遍なく浮き出てきて、それ以上出てこなく無くなってきたら、修繕は完了です。凝固水はきれいに除去しましょう


-今回の補修では、?プロセキシジョン? 発光装置を強発光で使用していません。一瞬で強い光を当てると、テラン産のマシンでは、錬成鉄に異常が起こり、変成を加速させる可能性があります。気をつけましょう


腐食していた部分がどうなったのか? 見てましょう…どうでしょう? ほら、見てください。シートをはがすと、練成鉄本来の鈍色の光沢になっているのが見て取れます。腐食の後は一切見られません。もし、何らかの原因で高さが異なっていた場合、少しだけ昔ながらの方法で削り落としてください。凹んだままでも何度でもこの修繕は行うことができ、鉄創成を行うことができます


-これを補修したい箇所、すべてに行っていきます。昔ながらの根気のいる作業です


天板やボンネットにある、ナトRニュウMやメタNュウムMなどは…昔ながらの流し落とすという方法で取り除きます……ここは無理をする必要はありません、ある状態になっていなければ。もしそれで取り除けないようなら…分析器で除去液を作成し、表面のこれらだけを拭い去ります


-塗装が剥げてしまうほど、力を込めて拭くのは厳禁です。錬成鉄は思っているよりデリケート? です


塗装にまで影響が出たのならその都度、塗装だけを少しずつ修復します。通常の原子付着は拭くだけで十分です


-デリケート? とは傷つきやすい、という意味です。たしかに自動車の表面は少しの粒子でも傷つきます。気をつけましょう


マシン内部にも…同じように修繕しなければいけない箇所があります。幸運なことに外と比べて、大きな腐食はありません。居住空間であった内側は気を付けて使用していたのでしょう。掃除も行き届いています。この大きな染みといつくかのものを除いては…これらは腐食になる前の状態で留まっているため……表面をいったん、軽く均しそこに ?クロムジェン? を散霧して直します


-内部にはこのようなある程度の幅のある空間…穴が設けられています


-この穴は見過ごせません


これはこの向こう側にある装置と繋げるために、わざと空けられていたものです。いくつかの装置は、このように空間を設け、外にある装置と物理的に繋げ、操作していました。テラン産のマシンの特徴です。接続方法が独特で、旧式…アナログチックです。ライン、配線もこのような…隙間を通って内部へと引き込まれます。これらはいくつかを残してすべて塞ぎます


-ボディのコーティングに出す前に修繕を終わらせます。施工してからでは不具合が出てしまいます


大きな穴ですので…散霧式 ?クロームジェティオン? での修繕では不十分です。周りとの整合性を整えるため…ここはスキャンしていたデータからここのものと同じ錬成鉄を創成し、形状を整え、その間をクリームタイプの ?クロムゲン・パーティクル? で埋めていきます


-?クロムジェン? は散霧タイプだけではなく、このような粘性(クリーム)タイプのものもあります。用途によって使い分けましょう


-クリームタイプの場合、このような…裏技? があります


分析データからこの部分の錬成鉄を導き出しました。この空いている箇所に当てはめると…ぴったり一致します。クリームタイプのものに、零れ落ちた腐食を混ぜてこの…脇の間を埋めるように塞いでいきます。裏にはシートで補強しておきます…板が外れることはありません。あとは…同じ作業を行うだけで穴が塞がります


-大きな腐食や欠落がないためにこの程度で修繕が行えています。本来ならもっと作業は大変です


----------------------


-地球環境がそうであったがために、腐食、すなわち錆は、地球人とは切っても切れない関係にありました。そしてそれを取り除く手段として用いられていた方法は、とても粗雑で原始的で、今では到底、考えもつかないような方針でした。すなわち、削り落とす、です


-信じられないことに、古来の地球環境で取られていた手段はそのようなものでした


-そしてそれを行っていたのがグラインダーという装置です


-グラインダーとは、装置の中心に回転するパッドが付いており、腐食部分に押し付けることで、物理的に脆弱になった錬成鉄を、摩擦と研磨でこそぎ落とす、というものでした。さらに地球人はこのほかにカネダワシ? というものまでをも使って、腐食を力任せに削り落としていました。文明的、発展的に仕方がないとはいえ、ほかに手段がなかったのでしょうか? 今では考えられないことです


-これでは鉄分子がなくなり、さらに強度、厚さがなくなっていってしまいます


-そして、そのような状況に対応するために、修理には粘着性のあるパテ? というものまでもを併せて使用していました。このパテ? は塗ったあと固まる性質の ?クロムジェン? で、凹んでいたり、削って少なくなった部分を埋め合わせていました。不可思議なことに、このパテ? には鉄分子が含まれていません。これでは修繕するために脆弱にし、その脆弱性を補強するためにさらに異なるものを使用して、変性混合を推進させる、ということになってしまいます。残念ながら、リビルダーとして、その場当たり的な精神性にだけは賞賛することができません


見てください、このボディには、隆立し薄い二枚の板で狭い空間を形作るように作成されている箇所があります。内側の…このサイドにです。この奥…見えますか? 手の届かないような狭い奥に軽い腐食が見られます。この箇所の表面は…外側と色が違います。プライマー、サーフェイサーとは異なり、鉄板そのものに防腐剤が使用され、それが不十分であったために、腐食が起こっています。周りの表面にはまだその色が残っていますね? 防腐剤が残っていて、このまま補修をしたのなら、再生成に余分な成分が入り込んでしまい、よくありません。ここの部分の防腐剤、腐食は除去しなければなりません


-このような場合には先ほど取り込んだ成分分析が役に立ちます


この素料は地球でよく用いられたコーティング剤です。コーティングと行ってもわれわれがよく知っているものとはまったく異なるもので、物性的にこの表面に塗布されているだけです。それがなんらかの原因で剥がれて、腐食が進んだのでしょう…このようにテラン産の防腐剤は、表面に塗られているだけで、原子的に結合しているわけではありません。これなら簡単に取り除くことができ、また再度塗りなおすことも可能です


-成分分析からこのコーティングの原子構造は判明しています。原子結合を融和する成分を抽出するだけで事は済みます。棒などの先に取り付けて、その部分だけに押し付けます。散霧器を使用してしまうとほかの余分なところまでも融解させてしまう可能性あるので、注意します。融和剤は、この成分にのみ反応します。多めに使用しても、ほかの分子には影響はありません


見てください、融和剤が反応して、先の色が変わりました。それと同じように防腐剤の色も抜け落ちています。腐食とその周りのコーティングがきれいに落ちたら、次の工程です。まずは…解け落ちたものをきれいに取り除きましょう。ボディは大きいので…こんな時、無重力状態であるなら簡単だったでしょうが……こればかりは仕方がありません。これは…このように、人的に…取り除きます。すべて取り除いたら修繕です


-腐食している部分に ?クロムゲン? を塗りこみます。今回、シートは使いません。ある程度、行き渡らせたら…α- ?グロムイコルジョン? を散布します。あとはこの外から ?プロセキシジョン? 粒子光を当てるだけです。内部に直接当てるようにしなくても、この反応光は物質内部を通過し、 ?クロムゲェン? と反応してくれます。あとは凝固水を、なんとか、きれいに拭うだけです


腐食部分の補修はこれで終了しました。しかしひとつ気になる箇所を見つけました。これを見落とすと大変な事態になるところでした


見てください。ボディの下…ドアと接触するようなこの部分に…このようにボツボツした浮きが出ているところがあります。これが有名なブリスターという現象で、腐食のひとつです。ふう、危ない


-ブリスターは見落としがちな腐食の一部です。特に注意する必要があります


ブリスターは、ボディと塗装、プライマーとの間に水分が入り込み、腐食を引き起こし、表面が浮くようになった状態のことです。テラン産のマシンの…ほかのパーツとの境目や、ボディの下、タイヤの回転により泥成分が入り込んだ水分が付くようなところには、顕著にこの現象が見られます。この水膨れの下には小さな確認できないような傷があることがほとんどです。また、裏側の傷がこのように作用することもあります。これらは忘れることなく、修繕しておきます


-ブリスターは表面の塗装やプライマーといった部分を剥ぎ取って、修繕しない限り、何度でも引き起こされます。先ほど分析していたものが役に立ちます


この…ブリスターができている部分から……このようにプライマー、塗装だけを…成分分析から得た情報を使って、このような…中和除去装置で拭い取ります。この装置は探せばレンタルしているところもあります。ではどうなっているでしょうか? 剥がれたこの下…きれいなものですね? 一見、傷などがあるようには見えません。触ってもまったくわかりませんが、この表面を補修します


-紫外線や高温、直射日光というものが地球環境には豊富でした


-特に紫外線は殺菌効果の高い周波数帯の光です。その強力性は、対象から可視光を反射する成分までをも殺菌、中和してしまうほどです。このおかげで、地球環境は感染症、飛来微小性閉塵症(へいじんしょう)などから守られていましたが、塗装灼け、色落ちという、厄介な原因にもなっていました。高温や直射日光も塗装、プライマーを歪ませます。それらの要因でブリスターという事象が発生していました。環境による寒暖差も原因です。扉の下の部分で起きたのは…泥やドアの開閉によってなにか小さな衝撃が起き、引き起こされたのでしょう。きれいに補修できたのはなによりです



----------------------


-本来ならマシンの表面から、塗布されているプライマー、塗装までを全部、取り除き、新たなきちんとしたものを塗りなおしたいところです。しかし、この塗装は地球で施された貴重なものです。これはきちんと残していかなければなりません


-先ほど、事前にこれらを分析しておきました。まったく同じ成分でこれらの補修を行うことができます


注意しなければいけないのは、今現在のコーティングに使われているものは、このころのものとはまったく異なる、という点です。この両者を同時につぎはぎにして併用させることはできません。もししてしまうと、変容、変質、色が変化したり、波打ったり、最悪の場合、融解変異という症状が現れ、ボディが溶ける可能性があります。気を付けましょう


テラン産のプライマー、サーフェイサーは、この表面に物性的に粘着し硬質化しています。これはボディの表面に薄くついているだけの簡素なものです。問題はその薄さにあります。ここでいい方法をお教えしましょう。スプレーで塗布したこれらを再現するには、現在の散霧装置での、粒子(パーティクル)ではなく、物性(マテリアル)、もしくは装置によっては流動(サーフェイス)を選択しましょう。粒子を選択してしまうと、素粒子散布という方法になってしまい、定着に違いがでます。また、行う時には他の余分な部分に塗布しないようにマスキングをかならず行いましょう。先に目立たない部分で試しておくのも効果的です。これらは古典的ですが確実な方法です


-使用する装置によっては全自動で、塗装する範囲以外にはまったく影響の出ないようにできるものもあります。残念ながら、ここのメンテナンス・ルームにあるものはそういった機械ではないので、自らの手で直していきます


では下の層からの修繕していきます


-元の順番と間違えないようにしなければいけません。それは初歩的なミスです


そういったことも装置に任せればいいのです…が、自分の手で修繕した、という実感を得たい方はこちらの方が性に合ってる? でしょう。もちろん、わたしも実感したいほうなので…このように自分でプライマー、サーフェイサー、塗装を選択して行います。性に合ってます、いい言葉です…意味は分かりませんが……


-心肺機能で呼吸をしている方は、呼吸口など保護しておいた方がいいでしょう。何事も注意しておくことに越したことはありません


-あとはマスキングを取ればボディの修繕は終了です


----------------------


-せっかくきれいにしたボディですがここに加工を行います


就連邦規定により、惑星外環境で移動するマシンにはそれぞれの方向に向かってセンサーを取り付けなければなりません。正面、後面、それからサイドなど、シミュレーションで確定した箇所にこのスポットくり抜き器でこれぐらいの穴を空け、その後ろにセンサーを取り付けるための補強をします


-この取り付けでボディ全体の強度不足にならないようにします


穴は外から目立たないようにしなければいけません。こんな穴を作って…とクライアントに抗議されるのはいただけません


-もっともこのようにするということは許可をもらっています。安全な作業です


-シャーシにも少しの加工を行います


シャーシの補修はあっけないぐらい簡単でした。センサーを取り付けるために行う加工の方が気を使ったぐらいです。シャーシは地面と接しやすく、オイル漏れや淀む関係で、ひどく汚れる部分です。以前修繕したマシンは酷く傷み腐食していましたが…このセリカXXは、下と後方に少しの傷があっただけで、ほとんど、直す必要もないぐらい素晴らしい状態でした。用心のため確認をしましたが…事故や何かで歪んだ後も一切ありません。腐食がないのはよいことです。ここはマシンの基礎を成す部位です。シャーシが傷んでいると強度的不足が起こる可能性があり、工程が増えます。同時に費用が嵩みます。それではハイマールクが頭を抱えます。こんなふうにね


-シャーシは角材? を使用した溶接? という技法で作られています。この鋼角鉄材? の真ん中は軽量化のため、空いています。ここにコーティングを施すには技術がいります


そのため、ボディとシャーシは専門の業者にコーティングを手配しました。コーティングには時間がかかります。ボディが返ってくるまでにほかの部分の作業を同時進行で行います。筐体の修繕できる範囲のものは、手直しをしておきました。これでコーティングにかかる費用も低く抑えることができるでしょう。やっておくことはやっておくに限ります。ではみなさんお待ちかね。セリカXXの心臓部に取り掛かることにしましょう…もちろん、一番、これを待っていたのはわたしです



毎日投稿とか 尊敬します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
飛ばし読みでもツライ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ