CMR #02 ジャガー Eタイプ #05
-聖勇者さまが休憩したいというので、いまオフィスの方で休んでもらっています。その間に取るものもとりあえず、取ってしまいます
-シート、フロントパネル、ダッシュボード、操縦座席の後ろにはソフトトップといわれる雨天時に使用するカバーが入っています。経年劣化と長い間の密着のため、表面にこのように白い何かが浮かび、ボロボロです
-エンジンを下ろす時の為に、周りにあるウォッシャーやバッテリー、後部のテールライト、リアウィンカーなどを取り外します。再利用を考える必要はありません。接続用のワイヤーハーネスも切断、取り除きます
サブフレーム内部を確認しておきます
右側からぶつかったため、ここでサブフレームが曲がっています。そしてこちらのフレームがエンジンにやや食い込んでいます。本当にどのようにフロントボディを取ったのか……。このサブフレームは複雑な構造をしており、衝撃を吸収するようにできています。搭乗者を守るために行われる措置ですが、そのためにエンジンやその周りにかかる被害が大きくなったようです。サブフレームの間は狭く、よくここにエンジンが収まったものだ、と感心します。サブフレームの末端は操縦席のモノコックへと接続され固定されています
-フレームは曲がっていますが、操縦席部分のモノコックは大丈夫なような感じです。そんな気がします。そう信じましょう
ボルトを含むこの部分が極端に曲がっています。仕方ありません。ここの部分でフレームを切り離します。フレームの構造と素材データがきちんと残っているために行える作業です。でなければなんとしてもこのシャシは残さなければいけません
-エンジンは…確認するまでもありません
見てください、マシンに比べやや小さいと感じるエンジンです。これでも…5.3リッターV12気筒……ここに十二ものシリンダーとピストンが入っています。そんな強力なエンジンが、このように狭いフレームの間にぴったり収まっています。操縦席のモノコックとフレームの接続が曲がり、内側に凹んでいます。サスペンション、ステアリングなどが再創生しないといけない品です。エアマニ、エキマニあたりは大丈夫そうですが…それよりも、エンジン内部がどうなっているかのほうが気になります。エンジンは元の状態にまで戻さないので心配することはありません。開けてみて中の惨状を見て、眩暈で倒れることはなさそうです
-ダメになっている部分を上げていくのはやめましょう
-エンジン周りは全て、取り除きます。ここに航行用のジェネレーターを設置し、置き換えます。このサイズならクラスAが入ります。聖勇者さまの要求は飛行と街宣なので能力的にはこれで充分です。以前の修繕データから、リアクターをこのエンジンと同じ形に加工してもらいます。惑星環境内での航行、移動、飛行だけを優先しますが、本当に脱出ポッドとみなされそうです
これで……
聖勇者「ごちゃごちゃしたものがなくなったのだな。エートムがやるなら、なんでも早く終わってしまうな」
休憩はもういいのですか?
聖勇者「もうよい…コーヒーというものは口に合わん。あれが美味いと感じるには…もう少し待たねばならん」
-待たねばならん? 不思議な言い回しです
そうですね、牛乳? やミルク? 砂糖? といったマイルドにするようなものまでは用意していませんでしたね。次までに用意しておきましょう…では聖勇者様、ご依頼があります、お仕事をしてもらいたいのですが、よろしいですか?
聖勇者「ほんとうか? やっても良いのか? もちろん、我が手で我が国のマシンを直してみせようぞ」
ありがとうございます。では…後ろのトランク内にシートが敷かれているのでそれを取って、保存してもらえますか? ワルグ、手伝ってあげて
………わかった
聖勇者「我れはエーデンとの方が良い」
………わかった
仕方ないですね…では、シートを僕たちが、ダッシュボード周りをワルグ、やっておいてくれるかい?
わかった
-作業を分担することはよくあります
では…
聖勇者「どうするのだ?」
難しくはありません。このシートを取り除いて、保護、保管するようにこちらに収納しておきます。トランク内を確認して、汚れや塵などを取り除き、腐食や穴などがあったら、その周りをこれでマークします。できますか?
聖勇者「もちろんだ」
-やや背丈が足りなさそうなので台が必需品です
聖勇者「うわっ、なんだこれは? なんで…ハックシュ こんな…ハックシュ ほこりが、でる…ハークシュ のだ」
-マスクも必需品だったようです
そうですね、長い間置きっぱなしになっているものというのはどこからか、こんなふうに汚れや埃が入り込んでしまって付着するんです。このシートは……
聖勇者「地球さんの貴重なものなのだろう? だから…大事に扱え、だ」
そうです。では内部はどうですか?
聖勇者「きたない」
-ひとことです。さすがにゴミ取りをさせるわけにはいきません
この周りを取るので…少し待っててもらえますか?
聖勇者「やらせてもらえないのか?」
ええ…ここは大事な箇所なので自分で確認しておきたいのです。少しだけ待っててもらえますか?
聖勇者「わかった」
-だからといってそのへんの道具や装置をいじらないでください。集中できません
-ブーツ内部の腐食、痛み、事故の痕はあまりないようです。スペアタイヤもありません
ワルグ、こっちの明かりを少し落とすよ? では聖勇者さま、このライトで内部を照らして見てください。この光は直に見ないように、相手に向けないように。このゴーグルをつけてください。それで色が周りと違うところを見つけたのなら、こちらのマーカーでそこを丸く囲ってください
聖勇者「わかったぞ? これがあの…難しい発音の……ルルキセnニョノmhyノニョン? だな?」
正解です。できますか?
聖勇者「もちろんだ、任せるがよい」
-以外でもなんでもなく、理解するのが早く、動きが気分です。作業に無駄がありません
聖勇者「どうだ? できたであろう?」
-ただ…少し聞き訳がよさそうな気がしないでもありません……
ええ…では……トランクドアもやってみますか?
聖勇者「任せるがよい」
-一人でやらせるわけにはいきません。怪我などをさせたら大変です。ガレージの危機になるので気は抜けません
聖勇者「これは楽しいな。城内では…いたずら描き? といったことができなかったからな? ここではし放題だ」
さすがにここでそれをしたら怒ります。違うところにはマーキングしないでください
聖勇者「そうか? これなんか星みたいだろう? こっちは…なにかの果物みたいな形だ。そうは見えないか?」
そうですね
-以外にマシンのリメイクは情操教育にいいのかもしれません。修繕は進んでいませんが……
聖勇者「つぎは何をするのだ?」
この後ろのボディを取ります。それと…下のパーツをいくつか、取っていきます
こっち、が、まだだ
聖勇者「そうか…お前はおそいのう、我れなどもうできておるぞ?」
聖勇者さま、そういう言い方はいけません。こちらは二人、あちらは一人、スピードに違いが出るのは当然です。それに行っている内容にも違いがあります。どちらも同じでないといけない、というふうに決め付けるのはよくありません
聖勇者「そうか…そうなのだな、すまぬ、謝罪をする」
いい
では…私もワルグを手伝いますので…少し待っていてくれますか?
聖勇者「見ていてもよいか?」
どうぞ…あまり面白いものではありませんよ?
-なんといってもパネルやメーター以外は再利用しません。雑に扱うからです
聖勇者「よい、どうやるのか、見てみたい」
どうぞ
-とはいえ、クライアントが見ている前で放り投げるわけには行きません。なにやら丁寧になってしまいます
聖勇者「なるほど、取るときにも確認しつつなのだな? 時間がかかるわけだ」
いいえ、普通はもっと早く終わります……
-とはいえません




