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配信始めました 〜ダンジョン編〜  作者: ばっつ
第一章 そうだ 探索者になろう
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第8話 真相、そして正体

人によっては胸くそかもしれません。

ご注意ください。

 side -小野寺


 件の事があった夜、私はユウくんこと、坂井悠太と連絡を取った。


プルルルル・・・ピッ


「もしもし、ユウくん?」

「あ、もしもし、りん?やっと繋がったぁ。全然連絡取れないから、心配したんだぞ。どこで何やってるんだ?」


 私の心臓の鼓動が速まる。とても冷静で居られない。不安が心の中に渦巻いている。間違いであって欲しい。でも今までの行動や紫乃からの忠告、そして武内くんの言葉を考えると、疑惑が確信に変わっていくような気持ちに落ちていく。信じたいのに信じきれない。今までの思い出を振り返っても幸せな気持ちには、到底なれない。いや、それどころか、今までの行動全てが疑惑に染まっていく。


「地方のダンジョン学校に通ってるの。それでねユウくん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」


「そんな事より、何黙ってそんな所に行ってんだよ。俺に黙って勝手にどっか行ってんじゃねえよ。お前は黙って俺のいう事聞いてりゃいいんだよ!」


 彼の態度が豹変した。今まで聞いた事も無い様な言葉遣いだった。これが彼の本性だったの・・?


「ったく、せっかく顔も良くて処女だって言うから、俺好みの女に調教してやろうと思ったんだけどよー。正直がっかりだったわ。金も思ったほど渡さねーし、なかなか股開かねーし」


 目の前が暗くなっていく。何も考えられなくなりそうだ。でもダメだ。意識をしっかり持っていないと。


「それじゃ、探索者になるための準備金も嘘で、浮気したのも、私が体を許さなかったからなの・・・?」


「当たり前だろうが。探索者なんてなる訳ねーだろ。ギルドに入ればヤリ放題って聞いたから入っただけだよ。実際、何人かとヤレたしな。俺はな、死にたくねーし自分の命が一番なんだよ。それとよー、お前はただの遊び相手。浮気じゃねーし、ただヤレりゃーいいだけの女だったんだよ。俺の仲間も楽しみにしてたんだぜ。お前を輪姦(まわ)すのをな。まったく全部台無しだぜ」


「な・・・何言ってんのか分かんない・・・仲間って何・・・?まわすって・・・?」

 もう・・ダメ。体から力が抜けていく。とても聞いてられない。意識を保つのも辛い。


(自分の純潔が大切なら、もうちょっと相手を疑え!)

(その気がないなら男と二人っきりになろうとするんじゃ無い!じゃないと別の男からも狙われるぞ!)


 なぜか武内くんの言葉が頭に浮かんで来た。そして手刀を落とされた頭が疼く。そして私は気づいた。紫乃に忠告された時、疑惑の種は植えられていた事を。そして疑惑の種が芽を出していた事を。そして気が付かないフリをしていたけど、以前から疑惑の芽が完全に開花して確信に変わっていた事を。


「あーもういいわ。お前みてーな言うこと聞かねー面倒くせー女、いらねーや。時間の無駄だったし、ほんと最悪だわ」


 通話が切られた。同時に私の体から力が抜けて、ベッドに倒れ込んだ。意識はある。しかし思考能力がなくなっている。遠くで私を呼ぶ声が聞こえる。でも何も考えられない。そして、私は意識を手放す瞬間、あの人の名前を呟いていた。

「武内くん・・・助けて・・・」



 side-紫乃


「りん!しっかりして!りん!!」


 くそっ・・!夕方、りんから相談を受けて今までずっと一緒にいたが、何なんだ!あの男は!電話の内容はスピーカー機能で全部聞いていたが、噂で聞いていた以上じゃないか!あんな悪魔が存在していいのか?

 一緒に来ている智子も亜香里も、困惑や怒りを露わにしている。それはそうだろう。今まで、周りにあんな酷い奴はいた事がなかったのだから。いたとしても、精々一時の浮気程度だ。それでも、大抵は修羅場になる。

 しかし、アレはそんな生易しいものではない。悪魔の所業。法には触れないが、女の、いや人間の尊厳を踏み躙る行為だ。吐き気がする。

 絶対許さない。どんな手を使ってでも、いつか必ず地獄に落としてやる!りんをこんな目に合わせたあいつは!あいつだけは!!絶対に許さない!!!


 ーーーー  1時間後  ーーーー


「紫乃、智子、亜香里、三人共心配かけてごめんね。もう大丈夫だから」

 目を覚ますと、三人が不安そうな目で私を覗き込んでいた。かなり心配をかけていたようだ。智子は私に抱きついて泣いているし、亜香里と紫乃は怒りに拳を震わせている。


「グス・・ほんとに大丈夫?無理してない?」

「本当に大丈夫よ。ごめんね、心配かけて」

「りんが謝る必要はない!悪いのはあいつだ!アタシは絶対あいつを許さない!」

「そうだね。あいつだけは許せないね。アタシが弱みを見付けて来るから、社会的に抹殺しちゃおうか」

「気持ちは嬉しいけど、それやったら亜香里が立場的にヤバくなるから、やめてね」


 みんなの気持ちが、とても心地良い。私は友達に恵まれてるんだなと実感できる。おかげで、少し元気が出てきた。


「それで、りん。明日からの授業はどうする?当分休むか?」

「いや、ちゃんと行くよ。じゃないと武内くんも心配するだろうし。元気で行かないとね・・・?どうしたの?みんな変な顔して」

 

 紫乃が聞いてきたから、元気出して行くと答えたらみんな変な顔になっている。私、何か変なこと言ったかな?


「あのさーりんー。さっきから思ってたんだけどね〜。武内くんってー、誰?」

「あー、それアタシも思った。気を失う直前にも呟いてたし、一体誰?って」

「アタシ調べてこようか?それで悪い虫だったら、叩き潰すし」


 え?え?私、武内くんの名前呟いてたの?今も?全然気が付かなかった。あ、やばい、誤解を解かないと。


「いや、た、武内くんってのはね、今日の講習で私がやらかしちゃった人なの。そ、それでね、休憩時間に説教されてね。それで今日あいつに電話して真相を確かめようって思ったのね。だ、だから、みんなが思ってるような人じゃないよ。誤解しないでね」

「あー、りんの猛攻を必死で避けてた、あの人か」

「あれは凄かったねー。りんって薙刀の有段者でしょ?その猛攻をあんなに避けるんだもん。びっくりだよー」

「うんうん、先生も言ってたけど、即実践レベルだったね。それはそうと、りん、顔真っ赤だよ」

「はぇっ?」


 や、変な声出ちゃった。それより、顔が赤くなってる?ほんとに?何で?いや、それよりまた誤解を解く、いや誤魔化さないと。


「いや、ほんとほんと、武内くんはね、私の話を聞いて叱ってくれて、心配もしてくれたんだよ!だからね、ち、ちゃんと元気になったよってアピールしないと、ね、ね」

「あー、はいはい。そういう事にしといてあげる。それじゃアタシ達も、その元気に乗っかるね。いいよね?二人も」

「「もちろん!」」


 うー、何でこうなるの?

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