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配信始めました 〜ダンジョン編〜  作者: ばっつ
第二章 配信者になりました
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第77話 東京タワーダンジョン㉗ 打ち上げ飲み会二次会

「それにしても、よく超級なんて持ってたね、桃花ちゃん。しかも二つも」

「た、偶々よ・・・!」

「聖夏ちゃん。桃花さん照れてるよ。(ヒソヒソ)」

「全く、素直じゃ無いですよね、桃花さんは。兄さんの為に準備したって言えば良いのに。(ヒソヒソ)」

「雪ちゃん、聖夏ちゃん! 聞こえてるからね!」


 二次会に入り、みんな自然と三グループに分かれて飲んでいた。三姉妹と覚狸姉妹のグループに、紫乃ちゃんと亜香里ちゃんと神鳥と裕人くんと香織ちゃんのグループ、そして俺と姉ちゃんとりんと智子のグループだ。意識した訳じゃ無いけど、自然とそんな形に落ち着いた。と言っても席がが離れてる訳じゃなく、隣同士なのだけど。


「ホント、最悪な会社だったな・・。ウチにも襲撃者来たんだべ?」

「うん、来たよ。でも、最初に俊希くんが来てね、私達を守ってる間に、今度は桜ちゃんが来て、俊希くんと一緒に戦ってくれたんだよ」

「神鳥と桜には感謝してもしきれないなぁ」


 俺の実家は、桜と神鳥が頑張ってくれたお陰で怪我人も無く、物的損傷も殆ど無かった。

 しかし、そうか。神取が先に来て襲撃者と戦っていたのか。さすが情報を扱う家業だ。予測からの行動が早い。桜もチェスク商会を潰してから、直ぐにウチに行ってくれて、さらに直ぐに俺の所に来てくれたんだよな。疲れてるだろうに、申し訳ないな。言ってしまえば俺のいざこざに巻き込んでしまった形だし。そんな事を考えてると、りんと智子が、姉ちゃんに謝罪していた。


「ごめんなさい、夏菜さん。私達のいざこざに巻き込んでしまって」

「本当にすみませんでした。幸い誰も怪我は無かったけど、何かあったら、みなさんに顔向け出来なかったです」

「あなた達の所為じゃ無いんだから、気にしなくて良いよ。それに、あなた達に手を出したらタダじゃ済まないって、配信に流れてるから、もう襲われることはないじゃ無いかな」

『でも・・・』


 責任感が強い二人だからな。どうやっても気になるんだろう。場がちょっと重くなってきたし、このままだと姉ちゃんもりんの智子も心から楽しめないな。ここは軽口を叩いて、俺が悪者になればいいか。


「彼氏にも逃げられたりしてな」

「うっさい、秋次! だったら逃げねぇ男を紹介しろ!」

「あれ? 夏菜さん、彼氏いませんでしたっけ?」

「二ヶ月前に別がれだ・・・。別の相手に子供出来だがら別がれでって・・。ふざげんなー!」

「何それ! ひっどーい!」

「許せないよ! その男!」


 ヤ、ヤバい。場を軽くするつもりだったのに、思いっきり地雷を踏んでしまった! 別れたなんて聞いてなかったよ。どうしよう!? 何か別の話題にしないと。でも、話題がない。女性陣はその男の悪口で盛り上がってるし。


「友達にギルド員いるがら、聞いてみるが? ギルドって横の繋がりが広いし」

「やんだー。ギルド員からは『ヤバい奴の姉』認定されてるんだよ。それに、ギルドの人って遊び人多いべ。だから無理。すみませーん。ハイボール下さ〜い」


 うむむむ、確かに出会いの場と化してる現状だし、真面目な奴も多いんだけど、なんか否定出来ない。りんの件もあるし、やっぱダメか。神鳥の所はどうだろう。真面目な人は多そうだし。


「神鳥さ言って、情報局の誰かを紹介してもらうが?」

「うーん、あんた達の前で言うのもアレだけど、二股はなー。私はやんだなー」

「やってね人の方が多いらしいよ。お互いが納得すねどダメだし。すみませーん、焼き鳥盛り合わせと、モツ煮込みと、だし奴こ下さい。あと熱燗一つ」

「あ、熱燗二つでお願いします。あと冷酒一つ」

「ありがと、智子。ところで、私思ったんだけどね、山形弁覚えようかなぁって」

「あー、わたしも思った。なんか距離感が全然違うなって」

「じゃあさ、今度、お母さんに家で山形弁講座を開いてもらおうか」

「良いねそれ。絶対参加するよ、わたしは」


 りんと智子が山形弁を覚えようとしている。地元民としては、嬉しい事ではある。高校生くらいから下の世代は、訛りや方言が少ないからなぁ。東京だと、方言なんて、逆に喜ばれるんだけどね。今時、方言を聞いて『田舎者』なんて馬鹿にする人は殆どいない。いっそ、標準語と山形弁を喋れるから、バイリンガルだ、なんて言ってた時もあったな。


「別に喋らなくても、意味さえ分かれば良いんじゃないの?」

「夏菜さん。それは違います! やっぱり自然に喋れてこそ、距離感が近くなるんですよ!」

「いずれこっちでアキくん達と住むんだし、喋れる様にならないとねー!」

「結婚する気満々だねぇ。りんちゃんと智子ちゃんは」

『もちろん! これからも宜しくお願いしますね!』

「こちらこそなー。 お母さんも喜ぶねー」


 二人の言葉が、嬉しい様な恥ずかしい様な、でもやっぱり嬉しい。二人とはずっと一緒に居たいからね。なんか、自分の気持ちを再確認できた感じだ。お酒を飲みながらも、自然と笑みが溢れる。だが、それもそうだけど、うまい具合に会話が着地してホッとした。危うく爆死する所だったからな。りんに智子、ありがとう。今度お礼するね。

 そんな事を思ってると、向こうから裕人くんと香織ちゃんがこっちに来た。なんか、真剣な顔をしてる。姉ちゃん達に交際の報告かな。


「アキさん、相談があるんですが・・」

「え? 俺? あ、いや、なんでもないよ。で、相談って何? 俺に答えられる事なら、なんでも良いよ」

「実は、俺たち探索者になろうと思うんです」

「うん、良いんじゃないかな」

「それでですね。探索者になれたら、アキさんのパーティに入れて欲しいんです」


 そう来たかー。まあ、探索者になるのは本人次第だし、俺がとやかく言うのは違うからな。そこは家族会議だとして。それよりも俺のパーティねぇ・・・。


「なんか、勘違いがあるみたいだから言っておくけど、俺、パーティ組んでないよ」

「え!? だって、姉ちゃん達は・・」

「裕人、わたし達はね、パーティを組んでるんじゃ無くて、アキくんのCHに出てるってだけなんだよ」

「うんうん。言うなれば、私達はレギュラーメンバーってだけだね。と言ってもサブメンバーも居ないけどね。強いて言うなら、トシくんがメイン寄りのサブメンバーって感じかな」

「神鳥は距離の問題で、毎回出れないもんな」

「じゃあ、私達が探索者になって、出たいって言えば出れるの?」

「実力次第だけど、そうだよ。まあそう言う俺も、そんなに強いって訳じゃないけどね。あははははは」

『そ、そうだったんだ』


 実はそうなんだよね。便宜上パーティって言ってるけど、別に組んでるわけじゃない。智子も言ってるけど、単なるCHのレギュラーメンバーってだけなのだ。だから俺以外は、出たり出なかったりしてるのだ。CHの登録者数が少ないから、まだ無いけど、コラボのオファーが来たら受けるしね。

 でも、そうか。パーティ組んでると思われてたのか。まあ、別に訂正するつもりはないけど。


「で、相談ってCHに出たいって事かな?」

「いや、それじゃ無くてですね、誰か遠距離職がいないかなぁって思って」

「なるほどー。ところで、二人とも得物は何?」

「俺は剣と盾ですね。紫乃さんと同じです」

「わたしは、棒です」

「近距離と中距離か。確かに遠距離が欲しいね。でも、それこそダンジョン学校で探したら良いんじゃないかな。俺も今のメンバーは、ダンジョン学校で知り合ったんだよ。神鳥は高校からだけど」


 メンバーなんて、今焦って探さなくても、必要な時は自然と見つかるものだ。だから、じっくり探せば良いと思うんだけど、高校生くらいの時って、急ぎがちなんだよな。卒業すれば、結構落ち着くんだけど、体力が余ってるからな。仕方ないか。


「そう言えば、どこの学校に行きたいの? 近くの学校かな」

「山形です。アキさんと一緒のとこ」

「今、すごく人気なんですよ!」

「へぇ。俺が行ってた時は、知る人ぞ知るって感じだったけど。方針が変わったのかな?」

「違いますよ。アキさんの今回に配信で人気になったんですよ。アキさんがどこの学校に行ってたか、調べたんでしょうね」

「俺のCH、そんなに登録者は多くないし、どこの学校に行ったかなんて、言った記憶がないんだけど・・・個人情報ダダ漏れ・・」


 なんか、怖いんだけど。なんでそんな情報流れてんの?もしかして、高校とか大学もバレてるの?

 ・・・アパートがバレてなきゃ良いや・・。しかし、どこから流れてるんだろうな。おんなじ学校だった奴か?『あいつ知ってる! おんなじ学校だった奴だ!』とかって。それなら仕方ないけど。いずれ、俺が何をやってきたかもバレるのかなぁ。まあ、バレたとしても気にしないけど。ただのゴミ掃除だし。


「卒検でダンジョンに潜ったら、白狼を四頭連れて戻って来たって話は有名だよ。アキ兄ちゃん」

「雪を仲間にした時の話ね。アレ、そんなに有名なんだ!?」

「だって、卒検って事は仮免じゃないですか! それで白狼を四頭使役してきたなんて、普通じゃないよ!」

「実際は、雪は銀狼だったけど」

『余計に、普通じゃないです!』


 二人同時にツッコまれてしまった。でも、あの時は雪も生まれたばかりで、戦いの経験が無かったし、俺も今思えば真眼が発現して、魔力が視えたから勝てたけど、そうじゃ無かったら、間違いなく負けてたね。


「俺の友達も、『あそこの学校に行けば、雪さんみたいな魔獣を使役出来るかも』とか言ってるし」

「・・・裕人くん。その友達に言っといて。召喚される眷属を相手にしつつ、雷の魔法を躱せる様になってからにしろって」

「雪ちゃんの攻撃って、そんなに激しかったんですか!?」

「雷が連続して落ちてきてたなー。そして、眷属を仲間の足止めに使って、援護されない状況で一騎打ちだったよ」

「無理! 絶対勝てない! 裕人くん、挑んじゃダメだからね。じゃないと、裕人くんが死んじゃう。私、耐えられない」

「挑まないよ!? 今の話聞いただけでも、間違いなく死ぬ。香織ちゃんを悲しませたくないし、もう逃げの一択だよ」

「隙あらばイチャつくのは、折井家と小野寺家の血筋なのかな?」

『そんな訳で無いでしょが!』


 またもや二人同時ツッコミだ。しかも、脳天チョップのおまけ付きで。

 それにしても、香織ちゃんと裕人くんは今回が初顔合わせの筈だけど、もう付き合ってるのか? 今時の高校生ってこんな感じなの? 三歳しか違わないけど、よく分からん。

 それはそれとして、


「二人とも、ダンジョン学校に通うまで、自分の武器をちゃんと扱える様に練習しておいた方がいいぞ。幸い近くに教えてくれそうな人がいるし」

「はい。今度の夏休みに通う予定なので、それまで練習しておきます」


 ん? 今なんて言った? 今度の夏休み? あれ? 十八歳からじゃ無かったっけ? 聞き間違い? 

 頭にはてなマークを浮かべてると、香織ちゃんが補足した。ダンジョン法が改正されて、今年の四月から施行されるらしい。細かい変更点は多々あるけど、一番の変更点は、探索者免許の取得年齢が、十八歳から十六歳に引き下げられた事だった。

 理由は色々ある様だけど、一番は探索者の数を増やしたいかららしい。なぜ増やしたいかと言うと、ダンジョン産の素材の確保だ。素材はいくらあっても良いが、中々思う様には集まらない素材もある。なので、探査機者を増やせば集まりやすいのでは、との事だ。

 そして、これが多分一番の理由だと思うのが、探索者の割合が外国と比べて少ないらしいのだ。それで数合わせの為に引き下げたと言うのだが、もっと早くに下げるべきだったと思う。今の日本は高レベル探索者は外国と比べても遜色無いくらい居る。少数精鋭なのだ。でもその人達が居なくなったら、日本の探索者界は一気に衰退しかねない。なので数を増やして、才能がある人を発掘しておきたいんだと思う。


「まあ、頑張ってね」

「はい」


 そろそろ良い時間だな。締めに入るか。


「そろそろ時間なんで締めまーす。未成年組は帰宅ね。あとは解散なんで、帰る人は帰る、三次会する人は場所移動お願いね。ではお疲れ様でした〜」

『お疲れ〜』


 裕人くんと香織ちゃんには、魔獣の護衛をつけて帰ってもらい、神鳥達三人は一緒に帰って、どこかで飲むらしい。三姉妹と覚狸姉妹はそれぞれ自分に部屋に帰って行った。


「秋次、部屋に泊めてな」

「良いよ。飲み直す?」

『私たちも行く!』

「アパートなんだから、騒がない様にな」

『おっけー』


 俺に部屋で三次会が決定した。りんと智子は泊まる気だ。そこまで狭い部屋じゃ無いから四人寝ても大丈夫だろう。お酒とおつまみを買って帰るかー。

 そろそろ夏休みだなー。地元で配信かな、今度は。

この話で、二章は終了です。

次回から三章に入ります。

四神集めや、夏休みの事を書こうと思いますので、お付き合いよろしくお願いします。

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