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配信始めました 〜ダンジョン編〜  作者: ばっつ
第二章 配信者になりました
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第56話 東京タワーダンジョン⑥ アキの敗北

本職が忙しくなって来て、定期的な更新が出来なくて、すみません。なるべく早く更新できる様に頑張ります。

「アキくーん、そろそろ時間だよ。起きてー」

「ん・・ああ、もうそんな時間か。ありがとう、ママ・・・智子・・」

《主、どんな夢見てたんだ?》

《智子ちゃんをママって呼んだって事は・・結婚して子供がいる夢か?》

「・・・・・・・・ま、まあ、どんな夢でもいいじゃないですか(/////)」

《顔が赤いぞ。肯定してる様なもんだぞー》

《智子ちゃんとりんちゃんが喜んでるな》


 やってしまった。確かに智子とも結婚してて、りんと双子、智子と女の子の六人家族の夢だった。余りにリアルだったんで、起こされた時、ついママって言ってしまったのだ。ちなみに女の子の名前は『朋香ともか』だった。我ながら単純だなぁと思うと同時に、可愛い名前だなとも思った。しかし、絶対、後で追求される。間違いなくされる。そんで、全部話して、HPがゼロに。去年の再現だ。まあいいや。

 それより、ボス戦の準備だ。ここのボスは蝋人形の様なドッペルゲンガーとの事だ。名前から見るに、俺らに変化してくるのかな? そうなると面倒だな。魔力をみて判別出来るといいんだけど。それと変化した相手の能力はどうなるんだろう。俺に変化したのならまだしも、覚醒した智子や、三姉妹、特にトウカに変化されたら厳しいなんてもんじゃない。やられる可能性大だ。なので、準備だけでも、きっちりやらないと。


「あ、そうそう。アキくん、織田さん帰るって。それで織田さんからアキくんに伝言あるよ」

「なに?」

「えっとね、『相手の動きをよく見て。そして魔力の流れをよく見て。それじゃ気をつけて頑張ってね』だって」

「うん、分かった。ありがとうって言ってて貰えるかな」

「良いよ。帰ったら伝えるね」


 織田さんの伝言を受け取り、ボス戦の準備を続ける。


「装備よし、アイテムよし、体調よし、全てよし。みんな準備は良い?」

『大丈夫。いつでも行ける』

「よし、じゃあ行くぞ」

『了解』


 亜香里ちゃんが、ボス部屋の入り口から中の様子を伺う。周りを見渡した後、こちらに向き返り、首を左右に振った。どうやらボスは出現していないらしい。とは言っても、油断は出来ない。俺達は警戒しながら部屋の入った。

 ボスの部屋は、いつもと同じく、円形のドーム状の部屋で、大きさも同じ位だ。ボス部屋ってどこも同じ作りなのかな。

 部屋の中央に目をやると、歪みが二つ見える。でも魔力は見えない。ただ歪んでるだけだ。初めての現象だな。でも、ボスが二体なのは間違いなさそうだ。


「中央に二つ歪みがあるぞ。多分ボスは二体だ。でもまだ魔力はない。いつ出て来るか分からないから、注意して」

『了解』

《ここのボスが二体って珍しいな》

《いつもは一体だよね。パーティで一番強いやつに変化してな》


 パーティで一番強いやつ・・? ウチで一番強いのはトウカだ。次に強いのがユキだから、この二人が出てくるのか? まずいなんてもんじゃない。下手したら、人間組は全滅だ。この二人が出て来ない事を祈る。


《このパーティで一番強いのって、トウカちゃんか》

《トウカちゃんが出てきたら、ヤバすぎだろ》


 歪みに魔力が集まり出した。誰が出てくる? もしトウカが出てきたら、逃げるしかない。段々と形が出来上がっていく。ん? 刀を持ってるぞ? て事は、俺か。良かった。俺のドッペルゲンガーなら大丈夫だ。みんな対処できるはずだ。そしてもう一体は、智子か。ちょっと厳しいな。もし、能力まで一緒だったら、魔法攻撃が半端ないぞ。魔法を打ち消せるかだが、相当魔力を高めないと打ち消せないだろうな。弱める事は出来るから、それに賭けるしかない。


《主と智子ちゃんか。結構不味く無いか?》

《魔法の天才と、文字通りの一撃必殺か。嫌な組み合わせだな》

「いやいや、俺のドッペルゲンガーなんて大した事無いでしょ」

《そう思ってるのは、主だけだぞ》

「え?」


 視聴者さんに言われて、みんなを見てみた。みんな、すごく嫌そうな顔をしていた。えっと・・どう受け取ると良いのかな?

 そんな事を考えてる間に、ドッペルゲンガーは俺と智子に、完全に再現していた。しかし、これは・・・。


「ユキ! アイツらの頭を読み取ってくれ!」

「う、うん! 分かった!」


 もしかしたら、試練かも知れない。ここのボスはオリジナルより、一〜二割ほど弱いのだが、試練となると話は変わってくる。多分俺たちと同じ強さだ。これは厳しい戦いになるかも知れない。兎に角、ユキの報告待ちだ。


「お兄ちゃん、やっぱり試練だったよ! 二体とも」


 やっぱりか。只でさえ自分自身や恋人とは戦い難いのに、同じ強さだなんて悪夢としか言いようがない。でも、現れてしまったのは仕方がない。


「動き出す前に仕掛けるぞ!」

『了解!』


 先手必勝だ。智子のドッペルゲンガーには攻撃し難いので、セイカと紫乃ちゃんと共に自分に攻撃を仕掛けた。智子のドッペルゲンガーには残りの人員で対処した。出来れば、動き出す前にけりを付けたかったのだ。

 だが、その思いは叶わず、俺の攻撃が弾かれてしまった。偽物が動き出したのだ。俺の偽物は俺に向かってきた。中段の構えから突きを放ってくる。刀と体捌きで躱し、胴斬りを繰り出す。が、バックステップで躱されてしまった。セイカと紫乃ちゃんは攻撃のタイミングが掴めずにいる。見た目がほぼ同じなので、フレンドリーファイアを警戒してるのだ。


「コイツ、俺より強いんじゃないか?」

「兄さん! 見分けが付き難いから、何か目印を!」

「アキくん! 鉢巻とか着けて!」

「分かった!」


 適当な紐を頭に巻き、目印にした。その間、紫乃ちゃんが斬りかかり、セイカが爪で攻撃をしていた。


「フッ!!」


 そして俺は刀を偽物に振り下ろした。真っ向斬りだ。だが偽物は後ろに下り攻撃を躱わし、直ぐに踏み込んで来て、俺に胴斬りをして来た。


「チィッ!」


 それを、左手を峰に当てて刀で受け止める。


「セィヤ!」


 その隙に紫乃ちゃんが上段から斬りかかった。それを右に躱し、追撃して来たセイカを後ろに下がって躱した。そこに俺がもう一度真っ向斬りを仕掛ける。それを偽物が刀で受け止めたので、鍔迫り合いの形になった。


「チッ! よくもまあ、三人相手に立ち回れるもんだな!」


 そのまま押し合いになるも、左足を一歩右後ろに引き、身をかわしながら偽物の力を逸らす。そして、逆袈裟をやるも、右に避けらる。すかさず紫乃ちゃんが一文字斬りを仕掛けるも、刀で受け止められた。

 その後、三人で何度か攻撃を仕掛けるも、偽物は躱すか受け止めるなどで、全ての攻撃を捌いていった。何なんだ? コイツは! 本当に俺のコピーなのか? 躱しすぎだろう!


《ば、化け物かよ・・・》

《逆に考えれば、主ってこんなポテンシャル秘めてたのか・・》

《魔法も躱し、物理も躱わすじゃ、やっぱりこのパーティの最強は主ってことなのか?》


 一旦離れて、三人とドッペルゲンガーは仕切り直す。どうにも決め手に欠ける。偽物は攻撃を躱わすのが上手いのだ。なので、なかなか攻撃が当たらない。


「紫乃ちゃん、セイカ。このままじゃ埒が明かない。接近戦を仕掛けてみるから、援護を頼む」

「「分かった!」」

「行くぞ!」


 素早く踏み込み、袈裟斬りを仕掛ける。偽物は一歩引きつつ右に躱わす。


「ハァ!」


 そこにセイカが爪で攻撃。偽物は刀から右手を離し、セイカの攻撃を右手で捌いた。


「そこだよ!」


 そこに紫乃ちゃんが突きを繰り出すが、刀で弾かれる。直後、偽物が俺に逆袈裟を仕掛けてきた。それを後ろに下り躱わすと、今度は真っ向斬りをしてきた。それを刀で受け止め鍔迫り合いに持ち込んだ。よし、上手く行った。ここで仕掛ける!


「・・ハァ!!」


 偽物を左にいなしつつ、刀から右手を離し発勁を放つ。偽物の脇腹に当たり決まったかに思ったが、自ら後ろに飛び、攻撃を無効化して来た。瞬間、一気に踏み込んで来て下から斬り上げて来た。これは、この位置はヤバい! 当たる!!


「クッ! 間に合え・・・!」


 何とか体を右に持っていき体が斬られるのを回避した。が、完全に回避は出来ず、左腕を斬られてしまった。


「グッ・・クソッ・・左腕が持って行かれた・・!」

「主人殿!!」

「アキくん!!!」

《主の腕が!!!》

《左腕が! 無くなってる!!》

《アキさん!!!!》

《何なんだよ! 今回のボスは! 今までこんなに強くはなかっただろ。何で今回に限って!》

《もしかして、主が前に言ってた試練、ってやつか?》

《試練って確か、いつものボスより、ニ〜三割強いってやつか》

《これ、その程度じゃないだろ。三人を相手取って、悉く攻撃を躱してるんだぞ》


 腕を斬られ、俺たち三人は一瞬動きを止めてしまった。その一瞬の動揺の隙を突かれ、偽物が俺に発勁を放ってくる。後ろに跳ぶものの、それに対応するのが遅れていた為、偽物が放った発勁を喰らってしまった。俺はかなり吹き飛ばされ、地面を転がった。


「ウグッ・・・ガハッ! ゴホッ!・・・あ・・・・」

 

 俺は、床にうつ伏せになったまま血を吐き出し、その場から起き上がれない。直撃こそしなかったが、これは、内臓にダメージを負ってる。ヤバい。早くポーションを飲まないと。でも、体が言うことを聞かない。二人を見ると必死になって、偽物に対応しているのが見えた。これは、もうダメか? 俺は。

 ふと織田さんの伝言が頭によぎる。『相手の動きをよく見て、魔力をよく見て』 そうか・・もしかして偽物は、俺たちの魔力と動きを見て、どこに、いつ、どんな攻撃が来るのかを予測していたのかも知れない。それじゃ、攻撃が通るはずも無いか。でも偽物に出来るんなら、俺にも出来るんじゃ・・・。そうか。もしかして、これが試練の内容だったのか? 何にしても、気付くのが遅すぎた。


《主が・・・やられた・・》

《血が・・! 血を吐き出して動けてない!! ヤバいヤバいヤバい》

《イヤーーーー!! アキ兄ちゃんが・・アキ兄ちゃんが死んじゃう!!!! りん姉ちゃん! アキ兄ちゃんが!!》

《主!!! 意識を保て!! 意識を手放したらヤバいぞ!! 主!!!》


 あ・・ヤバい・・意識が、飛ぶ・・。俺は、そのまま血溜まりに倒れ込んだまま、意識を失った。そして、意識を失う直前に誰かがこっちに駆けて来るのが見えた。


 



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