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配信始めました 〜ダンジョン編〜  作者: ばっつ
第二章 配信者になりました
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第47話 りんの家族

「いらっしゃい、武内くん。ゆっくりしてってね」

「おー、本物のアキさんだ。すごいな。でも、フツメンかな」

「失礼な事言ってんじゃないよ、香織。ごめんね。アキくん」(スパーン!)

「うぅ、痛いって、柚美姉ちゃん」

「あ、いえ、お構いなく。自覚してるし、ネタにもなるんで、気にして無いですよ」

「アキさんっていい人だねー。アキ兄ちゃんって呼んで良い?」

「ああ、良いよ」


 ここはりんの家だ。こないだ家に泊めて、夕飯もご馳走したってんで、お返しにと招待されたのだ。別に気にしなくても良いんだが、会って分かった。これは、俺を品定めする気だと。当然だわな。親にしてみたら、何処の馬の骨とも分からん奴に、大事な娘を、って感じだしな。良い機会だから、どんな奴か見極めてやろう、て所だろうな。そんな感じの魔力も漏れてるし。

 そして、りんの姉と妹もそんな感じの魔力が漏れてる。でも、こっちは興味本位だな。ちなみに、りんは三姉妹だ。長女の柚美さんで大学四年生、三女の香織ちゃんで高校二年生だ。

 しかし、真眼って便利だな。魔力を通じて相手が何を考えてるか、ある程度分かるんだもんな。しかも、これでも発展途上なんだよな。全開になったらどうなるのやら。トウカはチートじゃ無いって言ってたけど、やっぱりチートだわ、コレ。


「あ、そう言えば、贈り物って言うか何と言うか、あげるのがあるんですが。ここで出して大丈夫ですかね」

「武内くん、ちなみに聞くけど、何なの?」

「ペットと言うか、護衛というか・・・。ライオンの魔獣です・・けど」

「「もしかして、セイカちゃんの眷属!?」」

「あ、はい。そう」

「「欲しい!! 」」

「うぉ! 圧が強いな・・。それじゃ改めて。セイカ、おいで」

「初めまして、みなさん。主人殿に従ってる魔獣のセイカと言います。よろしくお願いします」


 俺が呼ぶと、召喚陣が現れて、中からからセイカが現れた。なぜか魔獣の姿でだ。何で魔獣の姿なの? 聞いたら、人間の、しかも女子高生くらいの女の子を従えてるとなると、怪しい人になってしまう。なら最初に魔獣と認識させてから人化の法を使った方がいい、との事だった。色々考えてくれてて、申し訳ないな。


「えっと、皆さんの所に行くのはこの子です。おいで」

「ガウッ」

「雌ライオンです。名前はまだ無いんで、皆さんで付けてください」

「この子、どのくらいのランクなの?」

「ブラックですよ」


 ブラック、ブラックライオン。通称『黒獅子』だ。特別強いわけでも無いが、弱くは無い。中層の浅い所でボスをやっていてもおかしく無いレベルだ。名前を付けたら変異種になるから、更に強くなるだろうな。ちなみにセイカは、出会った頃はレッド、紅獅子だったが、今は銀獅子になってる。変異種だから、更に強い。


「キャー! 可愛い! 名前何にしようかな! 悩むー!」


 気に入ってもらえてよかった。眷属のライオンも喜んでいる。でもこの子って、あの時のボスライオンかな? セイカに聞いたら、そうだった。ますます良かった。何だったら、残りの四匹も里親を見付けたいな。それとも、全員に名前を付けようかな。

(ありがとう、兄さん)

 セイカから念話が来た。気にするな。お礼を言われる程の事じゃないよ。


 「お待たせー。あー、何このライオン。もしかしてこないだ言ってた、セイカちゃんの眷属?」

「うんそう。名前はまだないよ。みんなで決めてね」


 三姉妹が抱き付いている。眷属も嬉しそうだ。セイカが泣いている。本当、涙脆いなこの子は。まあ、眷属達の行く末を気にしてたしね、こうやって決まっていくのが嬉しいんだろうな。大事にされると良いね。


「ただいまー。武内くん来てるの? 一緒に飲もうって言っといてくれるかな」

「はいはい」


 りんのお父さんが帰って来たようだ。一緒に呑むってか。りんは強かったけど、お父さんはどうなのかな? 


 ぎゃーーー!


 あっちで悲鳴が聞こえた。あー、これはアレだ。セイカの眷属を見て驚いたんだな。なんせ、ライオンだからな。帰って来てライオンがいたら、そりゃ驚くわな。りん達が必死に説明している。しかし、危険だ! とか、危ない! とか、保健所に連絡! とか聞こえてくる。すいません、普通はそうなるよね。申し訳ないです。

 でも、りんと香織ちゃんの『じゃあ、お父さんは私達が襲われても良いって言うのね』の一言が決め手になったようだ。おかげで、何とか理解して貰った、と思う。多分。


「武内くん、ちょっと良いかな。このライオンの事なんだけど」

「あ、はいはい。えーとですね・・・」


 俺も説明して、セイカを見せて、やっと完全に理解してもらった。理解してもらうのにこんなに苦労するとは思わなかった。実家じゃ、直ぐに理解してくれたから、それが普通だと思ってたけど、もしかしたら、りんの家の方が普通で、実家が普通じゃないのかもしれない。今度から気を付けなければ。


「すまなかったね、武内くん、取り乱してしまって」

「いえ、大丈夫ですよ。気にしてませんし、それが普通の反応ですから」

「そう言ってもらえると、助かるよ」


 誤解が解けて何より。ついでにとりんのお父さんの足元で、眷属がスリスリ攻撃をしていた。コレにやられたっぽい。さっきまでの危機感はどこへやら。めちゃくちゃ撫でまくって可愛がっている。何なら頬擦りまでしていた。りんの家って、みんな動物好きなの?


「それじゃ、時間も時間だし、ご飯にしましょうか」

「武内くん、呑めるんだろう? 妻の実家からいい日本酒が送られて来てね、一緒に呑もう」

「あ、はい。了解です」


 夕食の準備が出来、各々テーブルに着く。なぜかりんのお父さんの前に座らされた。呑むためだろうな。そして隣にりんと香織ちゃんが座った。なぜに俺は真ん中? 向かいはお父さんを中心にお母さんと柚美さんが座った。


『いただきます』

「田舎料理でごめんね。口に合うかしら」

「全然美味しいですよ。それに懐かしい」

「武内くんは山形に居た事あるのかな」

「お父さん、アキの実家は山形なんだよ。もっと言えば、お母さんの実家と意外と近いの」


 和やかに食事が進んでいく。小野寺家の味付けは俺の地元に近かったので、違和感が全くなく、美味しくもあり、懐かしくもあった。そして、お酒も美味しかった。

 程よく呑んでいた頃、香織ちゃんが動画を写し始めた。写してるのは俺のCHかな。なんか得意げに説明していた。俺、香織ちゃんと会ったの、今日は初めてなんだけど、何でそんなに得意気なの?


「アキ兄ちゃんってね、凄いんだよ。ほらここ、オークを一撃で倒すの。そしてこの亀。今まで攻撃が通らなくてピンチになってたのに、アキ兄ちゃんがキレて、攻撃が通るようになるの。その後は一方的。流石の亀もあっという間に倒されちゃうの。ね? 凄いでしょう」

「確かに凄いね。でもお母さんは、山形弁が懐かしいかな。お母さんの地元とおんなじ訛り」


 りんのお母さんが、目を細めて懐かしがってる。昔を思い出したのかな。年齢的にうちの親と同じくらいか。て事は、昭和の終わり頃かな。聞いただけだけど、その当時は俺が話してるような、ガチの山形弁をみんな話していたそうだ。しかも、地域で微妙に方言が違う。それが面白かったそうだ。多分、りんのお母さんも、そんな感じなんだろう。なんか感傷に浸ってるっぽい。


「何だったら、山形弁で喋りますか?」

「いえ、大丈夫よ。ありがとうね、武内くん」

「聞きたくなったらいつでも言ってくださいね。それより、香織ちゃん」

「なに? アキ兄ちゃん」

「もしかしてだけど、その動画、みんな観てるの?」

 

 恐る恐る聞いてみた。俺にとっては、ちょっとした黒歴史なのだ。正直、コレに関してはバズって欲しくない。

 が・・・、


「当然! 素手で魔獣を倒していくのがかっこいいって、みんな言ってるよ。特に亀退治が評判でね、闇落ち一歩手前で、みんな心配するんだけど、それを無視して敵に向かうのが、ダークヒーローみたいで超カッコいいって」

「・・・・・・・・」

「でね、その後のりん姉ちゃんが、アキ兄ちゃんに抱き付いて闇から救い出すのがね、もう、映画見てるみたいって凄いんだから。この人は私の姉ちゃんで、こっちの人は姉ちゃんの彼氏なんだって言うと、みんな羨ましがるんだよ。私も鼻が高いよ」

「そう言えば、あたしの大学でもそんな話があったな。ギルドの連中が騒いでたよ。ヤバいやつだって」

「「・・・・・・・(////)」」


 言葉が出なかった。多分顔も真っ赤になってると思う。なんせ、俺とりんはテーブルに突っ伏していたから。

 しかし、そんな事になってたんだ。神鳥じゃないのか? バズるのは。あっちの方がイケメンで実力者だし。そう言うと、『確かに凄いイケメンだけど、アキ兄ちゃんの方がカッコいい』との事だった。そんなのバズらなくてもいいんだが・・。りんを見ると、ニヤニヤしながら『良かったねぇ。女子高生にモテモテで。女子高生とも付き合う?』なんて言って来たから、『付き合うかー!』って脳天チョップしそうになった。でも寸止めだ。危ない危ない家族の前でやるツッコミじゃないからな。何で残念そうな顔してんの? りん。でもやっぱり、どこのギルドもヤバいやつ認定なんだな。まあ好都合だがな。


「遅くなるんで、そろそろ帰ります。ご馳走様でした」

「もう帰るのか? 泊まって行ってもいいんだぞ?」

「いえ、明日も学校なんで、今日は帰ります」

「そうか、残念だな。いつでも遊びに来ていいからね」

「ありがとうございます」


 りんの家を出た。家族みんなでの見送りだった。なんか照れるな。そんな大層な人間じゃないんだがな。でも、嬉しいかな。りんの家は駅に近いので直ぐに駅に着く。電車に乗り、アパートのある駅で降り、駅を出ると召喚陣が現れて、紅狼が出て来た。あの時、護衛をしてくれた紅狼だな。頭と背中を撫でると、嬉しそうに尻尾を振る。


「帰るか。護衛、よろしくな」

「ガウッ!(任せてー!)」


 紅狼の言ってる事がわかるような気がした。頭を撫でて帰路に着く。温かい家だったな。実家を思い出してしまった。

ダンジョン編の登場人物の趣味の日常を書いてます。


https://ncode.syosetu.com/n3682jy/


気が向いたら、読んでみてください。

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