第1話 探索者になるには?①
最初の数話は、ほぼほぼこの世界の説明となります。
つまらないかも知れませんが、暫くお付き合い下さい。
大学1年の夏休み、俺「武内秋次」は地元の山の麓にある「Hayamaダンジョン探索学校」と書かれた建物の前に来ていた。
ーーダンジョン探索学校ーー
その名の通り、ダンジョンを探索するための技術やルールなどを勉強するための学校であり、卒業すればダンジョン探索免許証(仮)、通称「ダンジョン免許証(仮)」がもらえる施設である。所謂、自動車学校のダンジョン版なのだ。
このダンジョン免許証は運転免許と同じく、18歳になったら取得できるため、高校生のうちに取得する者も多いが、ダンジョン免許証が交付される施設は運転免許証が交付される所と同じ免許センターだったりするので、高校卒業後に一緒に取りに行くケースも多い。同じ施設でもらえるなら、別々に取りに行くより、一緒に取りに行った方が楽だし、第一面倒臭くなくて済むというのが主な理由だったりする。俺も同時進行して一緒に取りに行くつもりだ。
そして、このダンジョン探索学校は、各都道府県に多数あり、その殆どが民間経営である。なので授業内容は、基本的なことは各学校一緒なのだが、それ以外の、学校オリジナルの部分で差別化を図っている。ある学校はイケメンや美女を揃えたり、またある学校は即戦力育成を謳ったり、またある学校は知識力、所謂鑑定力を謳ったり、各学校さまざまなのである。
そういう学校は授業料も高く通う期間も長いのだが、中には基本的なことだけ教えて終わり、という学校もある。そういう学校は授業料も安く、通う期間も短くて済む。どちらの学校も、一長一短あり、各々の都合で選べるので、意外にも、どちらの学校も賑わっている。
そして、俺が入学しようとしているこのダンジョン学校は、霊峰の麓にあり、基礎から応用まで幅広く教えるが、授業料はリーズナブルで、全国的な知名度はそこまで高く無いものの、合宿免許となると全国から集まってくるといった具合だ。これは、霊峰の麓ならパワースポットだろうと思われているからだ。実際、調べてみると地脈の流れが集まる『泉』だったらしい。
自動ドアが開いて中に入り、目的の入校希望受付カウンターに向かうと、すでに数人が並んでいるので、その後ろに俺も並んだ。夏休み期間だし、行列出来てるかなって思ってたんだけど、思ったより並んでないな。夏休みに入ってすぐ来たからかな。これから徐々に混み始めるのかも?
「次の方、どうぞ」
自分の番が来た。さあ、入校手続きだ。ちょっと緊張するな。
「入校希望の方ですね。希望のコースはございますか?」
「あ、はい。物理と魔法でお願いします」
物理と魔法。物理攻撃と魔法攻撃のことだ。魔法に関しては、攻撃だけじゃなく回復や支援も含まれる。物理攻撃は、武器を使って直接ダメージを与える攻撃なのだが、これには近代兵器は含まれない。理由は、近代兵器は魔獣に通用しないからだ。いや、厳密に言えば通用するのだが、弱い魔獣にしか通用しないのだ。良くてゴブリン。それ以上は通用し難くなり、オークになれば殆どダメージが通らなくなる。
これは、剣や槍などの近接武器および弓などは、身体からの魔力が武器に付与されたり、魔獣を倒し続けることによって身体能力が上昇するので、それによって威力が増す。
しかし、近代兵器の威力は火薬に依るところが大きい。火薬の爆発は「化学反応」であり幾ら魔力を乗せても化学反応が大きくなる訳でも無かった。それに兵器に魔力を付与しても、兵器自体が頑丈になるだけで、殆ど威力が上がらなかったという。軟式ボールを投げるか硬式ボールを投げるか位の違いだったとか。なので近代兵器はダンジョンには不向きと言われている。
ただ、世界的に有名な武器製造会社である「株式会社Magic&Weapon」通称M&W社が、ダンジョン内でも通用する銃火器を開発中らしい。
「物理コースと魔法コースの両方ですね。わかりました。それでは、こちらの用紙に住所、氏名、生年月日、メールアドレスを記入して、希望コースの所の物理と魔法の両方に丸をつけてください。そして、その下の空欄に、使用する武器の種類、希望する魔法の属性を記入して、こちらにお持ちください」
「あ、っと武器と魔法の属性なんですけども、複数書いても大丈夫ですか?」
「はい大丈夫ですよ。武器はともかく、ほとんどの皆さんは魔法は複数属性を記入してますので、問題ありません」
「分かりました」
俺は入校手続き書類を受け取り、受付カウンターを離れて記載台に向かって、必要項目を埋めていった。
えーと・・・住所・・・氏名・・・生年月日・・・メールアドレスっと。そんで使用武器は・・・刀と体術・・・そんで魔法属性は・・・水と火・・・よし!これで良いかな。なんか、厨二まっしぐらって感じがするけど、実際中身は厨二だし、仕方ないよねー。
炎を纏った刀なんて、凄くカッコいいじゃん!そんで、斬った後、刀から水が滴り落ちて血糊を洗い流す、凄く画になるよねー。正に厨二全開。サイコーですな!
後で知ったのだが、結構この組み合わせの人って意外と多いらしい。人類皆厨二かな?
さあ記入も終わったし、受付カウンターに持っていくかな。行列の後ろに、また並んでっと。
「すみません。書き終わったんで、お願いします」
「先ほどの方ですね。確認しますので、少々お待ちください。・・・・・・はい、これで大丈夫です。それでは、こちらの書類を持って、あちらの窓口に向かってください。そこで、選択したコースの受講に必要な教材が渡されます。その後、登録したメールアドレスに授業予定表が送られてくるので、それで受ける授業の確認をお願いします。もし、メールアドレスを登録していなかった場合は、あちらの壁に予定表が貼ってあるので、それを見て自分が受ける授業を確認してください。尚、授業は明日から受けることが可能となります。ここまで何かご質問などございませんか?」
質問かあ。何かあったかな。腕を組んで考えていると、重要なことを思い出したので、聞いてみた。
「あの、授業料はいつ支払うと良いんですか?」
「授業料は、卒業してからお支払いください。仮に卒業検定・・・卒検を1回で合格できなかったり、受講コースを途中で変更したりしますと、授業料が変わってきますので、卒業して料金が確定してからのお支払いになっています。他に何かございますか?」
他に何かあるかな・・・思い浮かばないな。
「・・・今の所大丈夫です」
「そうですか。はい、分かりました。では、これで入校手続きは終了となります。お疲れ様でした。お気をつけてお帰りください」
俺は教材を受け取り、ダンジョン学校の施設を出た。そのまま校庭に目を向けると、様々な武器を持った生徒たちが実習に励んでいた。明日から自分もこれに加わるのかと思えば、自然と気合が入る。
よし!明日から頑張るぞ!
初めての小説ですので、拙い文章ですが温かい目で見守っていただければ幸いです。