諸法無我
................
「あんた??」
思わず声が漏れてしまう
ゆっくりと過ぎる気候の変化で時の流れを知らせてくれる。
繰り返すだけの日々へ”そうではない”と訴えているようにも感じる。
”寝ちゃってた”とため息を漏らし授業へと視線を戻す。
教師の背中に手足長く巻き付いている、紫色のモノは、必死にしがみ付いているようにも見えるし、楽しんでいる様にも見える。僕だけが聞こえているんだろう”声”が笑っている様にも、すすり泣いている様にも聞こえる。
”見えないんだよなぁ黒板”と再び視線を外へ移す。といっても、空を見ればひょろ長いものが飛んでいるし、遠くを見れば黒い靄のようなものが数体ほど並んでこちらを見ている。
電柱から視線を感じ移すと、烏の擬人化のようなものが一瞬遅れて飛び去って行く。
しかし、これも誰も視えていないのだ。本当に厄介だ。目を閉じると寝落ちする。ため息しかでない。
「ここテスト範囲でーすよぅ」
教師の指示に一斉にスマホを取り出し写真を撮る生徒
「この時だけはぅハリウット女優になった気分ですねぇ」
楽しそうに話しているが誰も聞いていない
「先生は目上なのですから忖度されるべき立場で然も担任ですよぅ?私に気に入られるメリットは計り知れませんよぅ?」
先生の発言は本気なのかウソなのかいつも発言の真意はわからない。どんな表情なのか?どんな体系なのか?紫の奴に包まれていて姿はみえないのだから...僕から見えるのは紫男の姿だけだ。
授業終了の号令で放課後へと教室の雰囲気も姿を変える。
”さて、帰るか”
淡々と荷物をまとめ教室を出てゆく”今日は何もないといいけど”
「米藤ぃ‼‼‼‼‼」
名前を呼ばれゆっくり振り返る”だる”
「米藤よ!どこへ行く?」
「家に帰る。」
「俺と部活作らない??」
「......?なんで??」
「だーからぶーかーつ作んない?」
「ん?なんで?なんの?」
「フリーランス部!!」
「ふりーらんす?どんな内容??」
「おーやる寄り?」
「ネームは成功してると思うけど何の部活かわかんない」
「一流を目指して趣味を生きる強みにする部活」
「あー木与...頑張って」トントンと肩を叩き帰路へ着く。