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第三話 ヘタレなんです。

電車を降りた珠生はちゃんと誰もいないのを確認すると、声出してしゃべってます。念力を使うより、ちゃんとしゃべるほうが楽だという設定です。

「・・・・・・俺も大概大変な目にあったと思ってたけど、お前も大概だな。」


斎藤がしみじみとつぶやく。


<まぁ最初は苦労したわ。怖かったし、へんなんいっぱい付いてくるしで。でも今は対処できるから大丈夫やけどな。それより!さっきも言ったと思うけど、体に戻るために戻りたい強い理由とかモノとか考えて。意志ってのも大切なんやからな!あっ、次の駅で降りんで。>


「へいへい、わかってますよー。一応、戻りたいって思ってるつもりなんだけどなぁ。ん?そういやこの時間帯ってこんな混んでたっけ?」


<あんた何言うてんの。まだわかってへんみたいやな。ここに乗ってるほとんどが、あんたと同種のもんやで。>


「ハハハハハハハ・・・相沢、もうちょっとひっついていい??」


珠生との距離をかなりつめながら斎藤が言う。


<返事聞く前に動きなや。・・・ケッ、イケメンことイケてるメンズな斎藤君はビビリやのぅ。体にもどった時皆にばらしてやろー。斎藤君はデカイ図体して幽霊怖いねんてーって。>


ニヤニヤする珠生に、斎藤はムスッとしながらすかさず反論する。

といっても照れているような切れ方だったのでまったく怖くなく、むしろギャップ萌えというやつでなんだか可愛かったので、不覚にもキュンキュンしてしまった珠生だった。


「べ、別に怖いとかじゃねーよ。俺はただ、お前が怖いんじゃねーかと思って近づいてやったんだよ!!!」


(無駄に容姿がええだけに、ちょっとしたことでドキドキするな。流石モテ男。しかもこいつちょっとツンデレ入ってね?)











コツ コツ コツ コツ


電車を降りてしばらく歩き住宅街に入る。周りには誰もいない。

隣では斎藤が「初めての無賃乗車」という歌を即興で作り、ルンルンしながら歌っている。



「なぁ相沢、言いたかないんだがさっきからずっとアイツついてきてないか?いや、俺の勘違いなんだろうけどさ。ハハハハハ・・・なんか雰囲気おかしくない?」


顔を引きつらせながら斎藤が視線を少し後ろにやる。


「なんや、気ついとったん。天然科ニブニブ属かと思っとったけど、負のものには感が冴えるみたいやな。」


「やっぱり!?なんかおかしいと思ってたんだよ!アイツなんでついてくんだよ!!」


「・・・たぶんやけど、うちよりあんたの方をねらってるんやと思うわ。」


「はぁ!?狙う?なんで俺なんだよ!!」


「病院でも言うたやろ。強い霊体が、弱い霊体を取り込もうとしとんのや。そのターゲットがアイツにとって斎藤なんやろう。」


電車を降りた時から、ずっと二人についてくる人影がいたのだ。まじめなサラリーマンのように見えるが、気味の悪い雰囲気を醸し出している男だった。

珠生はすぐに気がついたが、あえて斎藤を怖がらせないために黙っていたのだ。




「・・・・・・・オネガイデス。タスケテクダサイ、アイザワサマ。」




「チッ、ビビりが。あんな低レベルな奴くらいのせな、これからやっていかれへんで。ほんまにヤバなったら助けちゃるから自分でどうにかしてみ!」


情けは無用とばかりに、珠生はスタスタと歩き続ける。

なんせ早く家に帰ってゆっくりしたいのだ。後ろで斎藤がギャアギャア騒いでるが関係ない。いや、実際は「体に戻してやる」という約束をしているから守る必要があるが、ほんとにあれくらいどうにかできないと話にならないのは事実だ。

あの程度の霊はその辺にごろごろいるので何回祓ってもきりなくでてくる。その度に、珠生が斎藤を守ってやるのはかなり骨が折れるのだ。


「斎藤!!!とにかく早よこっち来い!うちの家には結界張っとるから中に入ったら安全や!」


「そーれーをーはーやーくーいーえー!!!」


斎藤がダッシュで追いかけてくる。


「おまえんち何処だ!!」


「もうそこや。一瞬だけ結界の一部なくすから、そっから入りや。」


「いえっさー!」



珠生の家は大きめの一軒家で、珠生オリジナルの結界が張られている。そのため霊体である斎藤は入ることが出来ない。だから玄関の<守り>の気の集まりである結界と正反対の<壊す>を意識して集めた気を、ちょうど結界と同じ量の気で中和させ、その間に斎藤を家に入れてやるつもりなのである。

因みに、まったく同じ気の波動でしかこんなことはできない。自分の放った気を中和させて効果を無くさせる技術は、同じ波動を持つ自分自身にしかできず、しかも高等技術中の高等技術だ。

難しい技だが、これなら壊すのではなくただ無効化にしているだけなので、結界を張りなおす必要もない。


(うちの結界やぶれる奴は、そうそうおらんと思うしね。)


右手に壊すことを意識した気を集めつつ、玄関の結界の量をはかる。


「相沢いそげ!!奴がこっちに来る!!」


「斎藤!ウルサイ。そして黙れ。」


ピッタリ同じ量を作り出して、結界に腕をつっこむ。


「ハイ!でけた!はよ入り!」


「はい!はいった!」


斎藤が入ったのを確認すると腕を抜き、気をおさめる。そしてさっさと玄関の扉をあけ、家にはいる。


「はぁ~まじビビったし!」


珠生に続いて家に入った斎藤は、玄関で脱力したようにしゃがみこむ。


「ただいま~。」


「おかえり~。」


そんな斎藤をほったらかして珠生はさっさと自分の部屋に向かいつつ考える。


(これから家出入りするたんびにこんなことやらなあかんの?面倒見なあかんことは確かやけど、これはほんまにめんどいな。なんか対処法考えよ。)


「うわっ、置いてくなよ。」


「一応言うとくけど、あいつ斎藤の方が強いって思うまでずっと張り付くタイプやで。いかにもねちっこい顔しとったやん、あのリーマンの幽霊。・・・うっわ!あいつうちの部屋の窓から中覗いとるわ。」


珠生が部屋に入ると、斎藤を取り込もうとする霊体が結界が張られて入ることができないので、恨めしそうに窓に張り付いて部屋の中を覗き込んでいた。


「いやぁーーーーーーー!!!!!相沢ぁー!なにこいつ!!!マジで気持ち悪いよ、怖いよぉ!!」


斎藤は甲高い叫び声をあげながら、珠生の後ろに隠れる。ブルブルガクガクしつつも、怖いもの見たさのためか、時々ビクビク怯えながら、珠生の顔と肩の隙間からチラッと見ては小さな声で「無理だよぉ。こんなのおっぱらえねーよ。」などとほざいている。

珠生はそんな斎藤をあきれたように見やるとため息をついた。


「オカマみたいな声だしなや。ええ男のイメージ総崩れや。でも確かにこれは気分悪いな。・・・しゃ~ないな、今回だけうちが追っ払ちゃるわ。」


「えっ!まじで!?」


「まじで。」


「え~か、こーするんやで。ス~ハァ~・・・」


珠生は大きく深呼吸をすると、目をカッと見開いてリーマンの霊に言い放つ。



「おどれいつまでそうしとるつもりじゃボケぇ!!!誰の部屋覗いとるかわかっとんのけぇ?いつまでもそうしとるんやったら大阪湾に沈めて魚の餌にしてその魚うちが食ったんで!!わかったらさっさとねや!!!」


するとあっというまに霊体が消えてしまう。

斎藤は一瞬あっけにとられたその後、騒ぎ出した。


「えっ?えっえ?何?今ので消えるのかよ!!」


「言霊っていうんかな。怒りの気を言葉っていう媒介を使って、あいつに向けて放ったんや。あいつよりうちの方が強い気出したから消えたんよ。こういうのはイメージすることが大切やから、言葉ってのは便利なんよ。特に悪い霊は、体が弱ってたり気持ちが落ち込んだりするようなマイナスな時にあつまってくるからな。でも普通は、死んだ人間より生きてる人間の方が強い気だしてるから大丈夫やねんけどな。覚えときや。」


「俺にできるかな・・・・・・・」


シュンとしながら俯く斎藤はかなり不安なようだ。


「その弱気があかんねん!俺にかかってこい!ってぐらいの気持ちを持たな。」


「人間相手ならともかく幽霊だしよ・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・もう、あんたこれ以上口開かんといて。」




学校一の男前は、とんだヘタレ野郎でした。



大阪弁文章化の難しさに気がつきましたorz

斎藤君ごめんね。あとでほんとはかっこいいんだとわかってもらえる場面も書くつもりだから・・・。


補足説明しときます。この話の中の「気の波動」は一人一人違う設定です。

だから珠生は自分の結界を無効化にできました。他の人は波動が違うので、他の人がだした気を無効化できません。

でも、珠生の結界より強い気をだして結界を壊すのは可能なんです。

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