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【正月特別番外編】暴走王太子妃ロザリア〜Sideレイモンド〜

あけましておめでとうございます!!

ということで、お正月番外編!!

時系列としては、即位1ヶ月前です。

楽しんでいただけると嬉しいです!!


今年はたくさんありがとうございました!!

皆様、今後ともよろしくお願いいたします。  景華

 俺が即位する聖星の日1ヶ月前の大事な国事を終えた夜、俺とロザリアは部屋に戻ると、2人だけの新年会を開いていた。


 丸いテーブルの上に並べられたつまみ。

 そして軽めの果実酒。

 夜の少量の晩酌はいつもしていることだが、酒を飲むのはいつも俺だけで、普段ロザリアは全くと言っていいほど酒を飲まない。

 この国では18歳から飲酒を許可されているのでもう飲んでも良い歳であるにも関わらず、勧められても「私は飲めないの」と困ったように笑ってやんわりと断っている。


「レイモンド、私、やっぱり……」

「全く強くない酒だから、ジュースみたいなものだよ。せっかくの新年の祝いだし、少しだけ付き合ってくれ」

 そう言って俺は、軽い気持ちでロザリアのグラスに少量の果実酒を注いでいく。

 ピンク色の透明な液体がゆらゆらと揺れるのを見て「綺麗ね……」と薄く笑ったロザリオに心臓を鷲掴みにされる俺。

 今日もロザリアが可愛い……!!


「そうね。ジュースだと思うくらい強くないお酒なら、たまにはいいかもしれないわね」

 そう言ってグラスを持って俺に笑いかけてくれる妻は、実は女神なんじゃないかと思う。


 結婚して約8ヶ月。

 あの事件から俺たちは本当の夫婦になった。

 俺はロザリアに素直に想いを伝える努力をしてきたし、ロザリアも俺に対してこうして欲しい、あぁしてほしい、という要望を口にしてくれるようになった。

 即位の準備で忙しい中でも、お互いの心を労ることだけは忘れない夫婦でいられるのは、きっと色々あったからこそなのだろう。


「ロザリア、こんな俺のそばにいてくれてありがとう。新しい年もよろしく頼む」

「ふふっ。えぇ。こちらこそ、いつも大切にしてくれてありがとう。新しい年でも、一緒に頑張っていきましょう」


 俺たちは互いに笑みを交わし合って、グラスを高く掲げた。


 ごくごくと喉を鳴らしながら、俺は一気に果実酒を流し込んでいく。

 強い酒も嫌いではないが、可愛らしい色をした甘く飲みやすいジュースのようなそれが、今の俺には心地良い。


「うん、やっぱりジュースだな。ロザリア、もう一杯どう──……ロザリア?」


 俺がロザリアに二杯目をすすめ彼女に視線を移せば、目の前で笑っていたはずのロザリアが静かに俯いていた。


「ど、どうした、ロザリア? 何かあったか!?」

 そのさっきとは正反対の様子に、すぐさま向かいの彼女へと駆け寄るが、返事もなく俯いたまま。


 俺は気づかないうちに何かしてしまったか!?

 それともあまり好みの味ではなかったとか!?


 そっと隣から彼女の顔を覗き込んだ刹那──「うっ!?」


 剣だこのできた愛しい手が俺の胸ぐらを勢いよく掴み上げる……!!

 さすが剣豪王太子妃……すごい力だ……!!

 ってそうじゃない!! 一体何が……!?


「れーもんろ……」


 ──()()()()()


「きしゅしてくだしゃい」

「はいぃぃ!?」


 呂律が回ってないが多分……『キスしてください』、だよな?

 言ってることは可愛いが、おおよそキスをねだる態度じゃない……!!

 この図は脅迫される俺の図だろう……!?


「れーもんろ!! きょーは、あさのきしゅがなかったでそ!!」

「あ、朝のキス? ……あぁ」

 今朝は起きてすぐ式典のことで頭がいっぱいだったし、お互い忙しくしてたからな。


「じゅっとしたかったんだから」

「っ……」

 俺の妻が究極に可愛すぎる!!

 何だこの下舌ったらずで甘えてくる感じ!!

 胸ぐらさえ掴み上げられてなかったらパーフェクトだろ!!


「れーもんろ? きしゅは?」

「〜〜〜〜〜っ!!」

 もう一度キスを強請られた俺は、胸ぐらを掴み上げられた状態で目の前の最高に可愛い妻の唇に自分のそれを落とした。


「んっ」

 しばらく角度を変えながら堪能していれば、俺の胸ぐらを掴んでいた手も緩み、そうなれば俺も止められなくなるわけで……。

「ロザリア……好きだ」

 そう言って熱を孕んだ瞳でロザリアを見る──が……。


「すぴー。すぴー……」


「──は?」


 寝てる……!?

 この状況で!?

 いい雰囲気だったぞ!? 今の!!


 爆睡状態になったロザリアが俺の方へともたれかかってくるのを抱きとめながら、呆然と腕の中で気持ち良さげに眠る妻を見下ろす。


 くそう。可愛いな。


「はぁ……、まったく……。仕方ないな」

 呆れたように笑いながら、俺はデロデロに酔いつぶれて眠る妻を抱き上げると、奥のベッドへと運び下ろした。


「新しい年も、その先の年もずっと、俺のそばにいてくれ。俺の最愛──……」


 そう言って俺は愛しい人の額にキスをひとつ落とす。


 未来への願いと誓いを込めて──。





【お正月番外編END】


楽しんでいただけましたでしょうか?

今年もまた番外編追加したいなと思いますので、よろしくお願いします❀(*´▽`*)❀


別連載「氷の騎士団長の飼い慣らし方〜呪いの首輪で繋がる鎖ライフ。そんな美声で【ご主人様】だなんて言わないでぇぇ!!〜」https://ncode.syosetu.com/n6379hy/もよろしくお願いします(*´꒳`*)

ひたすら堅物ヒーローに愛される、鎖と首輪で繋がれた両片思いの同居物語です( ´ ▽ ` )


それでは、皆様の1年が素敵なものになりますように!!

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