永遠の愛を〜Sideレイモンド〜
最終話!!!!
皆様ありがとうございました!!
7日間。
俺はやり切った。
毎晩自分の言ってきたことと向き合い、後悔と懺悔のうちに死んだように眠りにつき、朝は仕事と【ある計画】のために、毎日忙しく時は過ぎていった。
そして今日は二人揃って、ロザリアの長兄ミハイルの結婚式に参列した。
ラング伯爵令嬢の幸せそうな姿を見るロザリアの目に涙が浮かぶのを見て、なんともいえない気持ちになった俺。
予定通りラング伯爵令嬢、いや、夫人がロザリアにブーケを手渡して、彼女は何も不思議に思うことなくそれを嬉しそうに眺めながら帰城した。
帰ってすぐに、事前に事情を説明していたゼルとサリーにロザリアを頼んで、俺も着替えて敷地内の礼拝堂へ向かう。
けじめをつけるために。
あの日、できなかったこと。
あの日、言えなかった言葉。
もう一度、彼女とここから始めたくて、俺はここ数日バタバタと忙しく走り回っていた。
保管していたドレスや装飾品の確保。
彼女の両親や兄たちへ、あらためて謝罪をしに公爵家へも出向いた。
そしてゼルやランガル、サリーへも事情を説明してこの計画に協力を仰いだ。
ランガルにはロザリアからのお仕置きの件を話すと大爆笑されたが、ゼルは少しだけ表情を緩めてから俺の耳元でこう言った。
「次にグダグダとやらかしたら、今度は本当に私が攫っていきますので、そのつもりで」
その言葉を心に刻んで、俺は一人、彼女の訪れを待つ。
そして、ギィッと古びた扉が鳴って、彼女が俺の前までやってきた。
見た瞬間、息が止まるかと思った。
ロザリアが──あまりにも綺麗過ぎて……。
「──レイモンド?」
俺の名がその愛らしい唇から飛び出し、我にかえった俺はすぐに意識をしっかりと戻す。
「ろ、ロザリア。……来てくれて、ありがとう」
「え、えぇ」
「その姿──すごく……すごく綺麗だ……」
「あ……ありがとう……」
「……」
「……」
言えた……!!
言えたけどやっぱりまだ照れくさくて、俺は一度大きく深呼吸をした。
「……あの日……。結婚式の日も、本当はずっと言いたかった。でもお前が綺麗すぎて、好きすぎて、言葉が出ないままになってしまった」
彼女の滑らかな頬に手を寄せ、親指で形のいい唇をなぞる。
それだけで不思議と満たされていくのだから、恋とは恐ろしいものだと思う。
「誓いのキスも。目の前で震えるお前を見てると、お前に嫌われている俺がこれを塞いではいけないって、我慢した」
「!? ち、ちがっ!! 私、まさかあのまま結婚するなんて思ってなくて──」
慌てて弁解し始めるロザリアが可愛くて、思わず苦笑いが浮かぶ。
「あぁ。今はわかるよ、お前に嫌われてたわけではないって。でも俺は、この間気持ちを聞くまで、ずっとお前に嫌われてると思ってた。お前を前にしたら素直な気持ちを伝えられなくなってた俺の、自業自得だけどな。たとえ嫌われていても、お前と結婚したいって俺のわがままで結婚させてしまった。だから、キスや初夜は、絶対にしないって、我慢し続けてみせるって、あの日決意したんだ」
何度も後悔したあの日の決意。
それでもそれは間違ってなかったと思う。
無理矢理抱いてしまえば、きっと俺はもっと後悔していただろうから。
「この間、お前と気持ちは同じだってわかってから、ずっとやらなければと思っていたんだ。結婚式のやり直し」
こんなことが計画されているなんて微塵も思っていなかったであろうロザリアの右手を攫い、俺は彼女を真っ直ぐに見つめ、大切に言葉を紡ぐ。
「あらためて──。俺、レイモンド・フォン・セントグリアは、ロザリア・フォン・セントグリアただ一人を、命終わるその時まで愛し続けると誓います」
そう言って彼女の指先に口付けると、ぴくりと震え、彼女も目に涙を浮かべて応えてくれた。
「……私も。ロザリア・フォン・セントグリアは、レイモンド・フォン・セントグリアただ一人を、命終わるその時まで愛し続けると誓います」
どちらからともなく重なった唇に、ほんの少ししょっぱいものが流れ込んで、彼女の想いが溢れたことを知った。
あぁ……幸せすぎる。
もっとしていたい。
これを、手放したくない。
名残惜しくも唇を離すと、俺の顔を見たロザリアは一瞬だけ目を丸くしてから、声を上げて笑い出した。
わかってる。
これ以上ないほど赤くなっているだろうことは俺が1番よくわかってる。
「む、笑うな、馬鹿」
「ふふ、ごめんなさい。でもあなたが可愛らしくてっ……ふふふっ」
「お前なぁ……そんなに笑ってる奴には──」
「へ? ひゃぁっ!?」
なおも笑い続ける可愛い妻を、俺は軽々と横抱きにして抱きあげた。
「部屋行くぞ」
「え!? このまま!?」
「結婚式の後は──」
「まさかこのままあっちもやり直すの!?」
逆にやらん気だったのか!?
「当たり前だ。こっちはもう何年もずっと我慢してたんだ。……もう、待ってはやれん」
余裕がなくてカッコ悪いけど、許して欲しい。
俺のその言葉に、今度はロザリアが顔を真っ赤に染め上げる番で、無言で俺の胸元に顔を埋めてきた。
可愛過ぎか。
俺、部屋まで保つんだろうか……。
俺たちの幸せな結婚生活は、これから始まる。
もう絶対に、離しはしない。
この胸に抱いた宝物を、俺は生涯大切にして生きていく──。
〜Fin〜
このお話で最終話となります。
皆様、最後までありがとうございました。
短編よりも掘り下げ、少し違った形のハッピーエンド。
どうしてもロザリアにお仕置きして欲しかったのと、幸せな結婚式をさせてあげたかったのです。
二人が作り出したハッピーエンド、これからも二人は、時に喧嘩もしながらも、お互いを思い合いながら、レイモンドは尻に敷かれながら、幸せに暮らしていくことでしょう。
レイモンドやロザリアのことが好きだと言ってくださった方々のおかげで、最後まで投稿し続けることができました。
心より、御礼申し上げます。
いつかまた、後日談書きたいなぁ……。
もしよろしければ、最後に下のお星様で評価などしていただけると嬉しいです( ´ ▽ ` )
新連載「氷の騎士団長の飼い慣らし方〜呪いの首輪で繋がる鎖ライフ。そんな美声で【ご主人様】だなんて言わないでぇぇ!!〜」https://ncode.syosetu.com/n6379hy/も始まりました!!
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それでは皆様、本当に本当に、ありがとうございました!!!
◆景華◆