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クレンヒルド公爵家へ

皆様いつも応援ありがとうございます(^ ^)

着々と、ラストに向かっております♪

最後まで応援いただけると嬉しいです!!


「じゃぁゼル、お願いね。明日の午後には帰るから」

「はい。いってらっしゃいませ」


 私はこれから実家であるクレンヒルド公爵家へと帰省する。

 療養のため、ということで王妃様には伝えると「しっかり休んでらっしゃい」と快く送り出してくれた。

 昨夜唐突(とうとつ)に決め連絡をしたにもかかわらず迎えに来てくれた兄二人が、馬車から降りて、厳しい表情でこっちを見ている。


「……あまり行きたくはないわね」

 オーラが禍々しいわ。

「やはり私も──」

「いいえ。ずっと私についてくれていたんだし、少しゆっくりなさい。公爵家は近いし、なんだか無双状態の兄たちもいるし、私もほら、強いから。大丈夫よ。家から出ないし、それに、サリーもいるもの」


 ゼルにもきっと心労をかけているでしょうし、少しの間でもしっかりと休んで欲しい。

「……わかりました。本当に、お気をつけて」

「えぇ」

 私は後続の馬車へと最後の荷物を積んでいるサリーに合図すると、兄たちの待つクレンヒルドの馬車へと乗り込んだ。


 私たちが揃うと、馬車はゆっくりと滑車(かっしゃ)を回し始める。

 窓からもう一度ゼルに手を振ると、ゼルの姿はあっという間に小さくなっていった。


「ロザリア、あいつは?」

「あいつ?」

「殿下だよ殿下」


 あぁ、レイモンド。

 仮にも王太子をあいつって……ライン兄様……。


「レイモンドには言っていません」

「「──は──?」」


 窓の外の景色を窓脇に肘をついて見つめながら私が言うと、ミハイル兄様とライン兄様の声が重なった。

 目をギョッとさせながら固まる美形2人組。

 我が兄ながら面白いわね、この顔。


「い、良いのか? 無断で家に帰って……」

「あれ、一応王太子だぞ?」

 一応でもそれわかってたのね、意外だわ、ライン兄様。

「いいんです。王妃様には許可をいただいているので。それに──……」


 すん──……と冷めた目で私は虚を見つめる。


「あちらは何も言わずにいるというのに、なぜこちらが言わなければならないのでしょう?」


 もうね、ぐじぐじ考えてたら、イライラしてきたのよね。

 なんで私がこんな扱いを受けなければいけないの?

 何かあるなら言ってくれなきゃわからないのよ!!

 説明すらないんだから、あっちがその気ならこっちだって同じやり方で行かせてもらうわ!!


「あまり甘く見てもらっては困りますわ。それに、ゼルもいるし、大丈夫でしょう。何かあればうまくやってくれるはずです」

「わぁ……ロザリアがキレてる……」

 私だって大人しくやられてばかりでたまるもんですか。

 少しゆっくりもしたかったし、ちょうどいいわ。


「それより、突然お邪魔することになってごめんなさい。ミハイル兄様、ベル義姉様たちは大丈夫でしょうか?」

 結婚式前で忙しいでしょうに、迷惑をかけてしまって申し訳ないわ。


「大丈夫だよ。ベルも父上も母上も、ロザリアが帰ってきてくれて嬉しいんだから。ついでにラインハルトも久しぶりに帰ってきたし、賑やかになって良い。それにな──立場は変わっても、お前も、それにラインハルトも、俺の大切な妹と弟なんだ。だからまた一緒に過ごせるなら、それは幸せ以外の何者でもないんだよ」


「お兄様……ありがとう、ございますっ」

 ミハイル兄様の優しい言葉に、つい涙腺が緩む。

「俺も、可愛いロザリアと、優しいミハイル兄さんがいて、幸せだなぁ。もうずっと3人で暮らそ?」

 ライン兄様……。

「お前なぁ。俺はもうすぐ結婚して、ベルと仲良く暮らすの。3人だけじゃダメだろ」

「え〜」

「ふふっ」

 久しぶりの兄妹の会話に花を咲かせながら、私たちはあっという間にクレンヒルド公爵家へと到着した。



「ロザリア!!」

「お父様!!」

 馬車から降りるなり、外で待ち構えていたお父様が私をぎゅっと抱きしめ歓迎してくれた。

 王太子妃としてではなく、娘としていられる久しぶりのハグに、私の頬も自然と緩む。

 大きくて暖かい。

 それに、久しぶりのお父様の匂い。


「ロザリア、おかえりなさい」

「おかえりなさい、ロザリア」

「お母様!! ベル義姉様!! ただいま戻りました。お忙しいところ申し訳ありませんが、一日、お世話になります」


 屋敷から出てきてくれたお母様やベル義姉様に挨拶をすると、二人ともにっこりと微笑んでくれた。

 あぁ、なんだか安心するわ、やっぱり。

 生まれ育った我が家の存在って偉大ね。


「うんうん。ゆっくりしなさい。お前の部屋はそのままにしてあるから」

「ありがとうございます。じゃぁ少し部屋に荷物を置きにいって参りますね」



 私は18年間住み慣れた生家へと、数ヶ月ぶりに足を踏み入れた──。



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