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余計なお世話だわ


「──という様子で、王太子殿下もアリサ様をとてもお気に召している様子ですな」


「そう、良かったわね」


「元の世界へ戻る方法も見つかる保証はありませんし、いっそこのまま城で囲ってはいかがでしょうか?」


「必要ないわ」


「そうおっしゃらずに。王太子殿下の御心に寄り添い配慮をなさるのも、王太子妃の務めでございますぞ」


 ……う・ざ・い!!


 朝っぱらから珍しく私の執務室にやってきては、延々とアリサの愛らしさやらレイモンドとの仲睦まじさを語ってくるのは、この国の宰相であるラングレス宰相だ。


 私、この人苦手なのよね。

 何度言い返してもやたら話を続けてくるし、話の落とし所が掴めない。


 いつもニコニコとした優しそうな顔と穏やかな口調だけど、なかなかしつこいお方だわ。

 父とはあまり仲が良くないみたいで、そんなに話したことはなかったけれど、聖女が召喚されてからやたらと私に会いにくるようになった。

 そしてやってきては必ず、ご丁寧にレイモンド達の報告と、『側妃にしては?』 という打診をしてくる厄介な方だ。


 なんなのこの人。

 ご丁寧にメモにレイモンドの聖女との記録を綴って聞かせにきて!!

 レイモンドのこと好きなの?

 暇なの?

 いい迷惑だし余計なお世話だわ。


「王太子妃様、夫の真の願いに気づき、先に行動して差し上げるのも、良き妻というものです」

「そうね。でもあなたに言われる筋合いはないわ」


 とりあえず、他人は口出ししないでほしい。

 あぁもうイライラする!!


 コンコンコン──。


 私の怒りが拳になって出てきそうになったその時、執務室の扉が叩かれた。


「どうぞ」

「失礼します」


 あら、サリーだわ。

 どうしたのかしら?

 入ってきたのは私の侍女頭のサリー。

 先客として宰相がいたからか、どことなく表情が固い。


「王妃様が妃殿下に、これから中庭で、二人でお茶会はいかがかと……」

 王妃様が?

 あぁでも助かったわ。

 これを口実にでもしないと延々と夜まで聞かされそうだもの。

 レイモンドと聖女の話。


「すぐに行きます、と、伝えてちょうだい」

「わかりました」

 私が返事をするとサリーは私に向けてお辞儀をしてから、再び部屋から出て行った。


「さぁ、聞いていたでしょう? 私はこれから王妃様のお茶会に行くから、お引き取りくださいな。ラングレス宰相」


 グッドタイミングだわ王妃様!!


 ラングレス宰相は悔しそうにギリリと奥歯を噛み締めてから、「わかりました。また伺います」と言って、部屋から出て行った。


 もう来なくていいわ。


 ……ゼルに宰相お断りの看板持って立っててもらおうかしら。


 入れ替わりに入ってきたゼルは、「お疲れ様でした」と言って持ってきたワゴンのティーセットで紅茶を入れて、私の前へと置いてくれた。


「ありがとうゼル」

「これから王妃様のところへ?」

「えぇ。一緒に来てくれるかしら?」

「はい。もちろんです」


 と、その前に──。


 私はくいっとゼルが淹れてくれた紅茶を飲み干した。

 なんだか喉が渇いていけないわ。

 しゃべりすぎたのかしら?


「ぷはぁ〜〜っ、生き返る!!」

「……妃殿下……」


 何も言わないでゼル。

 本当、疲れたのよ。



皆様いつも熱心に読んでいただきありがとうございます!!

感想も、そうして熱心に読んでいただいているからこそだと思っております、本当にありがとうございます、とともに、なかなかお返事できず申し訳ない( ; ; )


もうすぐ最後の方まで書き上げられるので、二日ほど、感想欄を閉めさせていただき、この物語の結末に向けて走らせていただきます。

物語それぞれに進行や結末があります。

彼らの幸せな未来のために頑張っていきたいと思いますので、これからも応援していただけたら嬉しいです(*´ω`*)

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