俺の妻が可愛すぎてつらい〜SIDEレイモンド〜
俺の名前はレイモンド・フォン・セントグリア。
俺には最愛の妻がいる。
それはもう超絶綺麗で可愛い最高の妻だ。
ロザリア・クレンヒルド。
俺の幼馴染で、俺が7歳、彼女が5歳の時に婚約を結んだ。
いつしか顔を合わせれば喧嘩ばかりの間柄になってしまったが、俺はロザリアが好きだ。
ロザリアしか見てないしロザリアしかいらない。
あぁ、「いつしか」というのは違うな。
あの時からだ。
「そんなに聖女が良いのでしたら、聖女と婚約したらいかが?」
そう言われて、俺がどれだけお前が好きかわかってんのか、と苛立ちを覚えた俺は、つい言ってしまったんだ。
「あぁ……。もし聖女がいたならな」と。
それからロザリアは、俺の前で柔らかい表情を無くした。
会えばトゲのある言葉を使うようになり、売り言葉に買い言葉ですぐに喧嘩になってしまう。
俺は後悔した。それはもう激しく。
だが誤解を解くきっかけもないまま、時間だけが過ぎ、婚約から13年経ったこの日、俺たちは結婚式を挙げた。
美しく着飾った最愛のロザリアがそこにいるのに、思い描いていたような式にはできなかった。
誓いの口づけなどぶっ飛ばした、本当に形式だけのような式。
俺はこんな無機質な式をあげたかったわけじゃない。
ロザリアの笑顔が見たかったのに。
初夜は、まぁ本当、楽しみにはしていたんだ。
でも、ベッドの上で己の腕を抱き締めながら物憂げに俺を待つロザリアの姿を見て、初夜を行わないと宣言をしてしまった。
何であんなことを言ってしまったんだ俺の馬鹿野郎!! と、これまた後悔した。
いつもそうだ。
俺は勝手にこうだと決め込んで、後先考えず心にもないことを言ってしまう。
そして後悔を重ねてしまう。
いやでも、これからはずっと同じベッドで寝るんだよな。
俺は朝の出来事を思い出す。
初夜用の薄い寝巻きを身に纏い、俺が指摘すると恥ずかしそうに布団を被った可愛い妻。
……俺の妻が可愛すぎてツラい。
あれは本当にヤバかった。
危うく夢の続きをしてしまうところだった。
よく耐えたな、俺。
婚約してからずっと、己の理性と戦い、耐え続けた13年間。
その結果がこれだ。
俺はこれから一生、耐え続けなければならない。
いや、耐えてみせる。
ロザリア以外はいらない。
どんなに女性に声をかけられても、あいつじゃないとだめなんだ。
いつか分かり合える日が来ることを願いながら、俺は今日も執務に励む。
がんばる。
耐える。
だから、時々今朝の可愛いロザリアを思い出してニヤニヤするぐらいは許してもらおう。
めちゃくちゃ好きなのに空回ってるレイモンドが好きです( ´ ▽ ` )
ヘタレなレイモンド君、略してヘタレイモンドの苦悩はまだまだ続く。