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絶対に誰にも渡さない〜SIDEレイモンド〜


 ロザリアが早速、孤児院の教師を見つけてきた。

 ゼルもいたとはいえ、他の男と二人でロザリアの執務室で会話をしていたのはどうにも()せんが、彼女のおかげで山積みだった仕事の一つがすぐに片付いた。


 俺の仕事はものすごく多い。

 病で片目が見えなくなってしまった父上の仕事を、少しずつ俺が引き継ぎ始めたからだ。

 忙しいのは仕方ないと覚悟を決めて一つずつ挑んではいるが、やはり疲れもする。


 そんな時、結婚してよかったと心底感じている。


 なんてったって、夜に寝室に行けば超絶可愛い俺の妻であるロザリアが迎えてくれ、触れることはなくとも同じベッドで眠ることができるんだぞ!?

 まぁ、毎日が理性との戦いではあるが、それでもロザリアと一緒にいられることは俺の癒しでもあり喜びでもある。


 今日は孤児院で、教師として働き始めたラウルの様子を見にきたんだが……。


 ラウルのやつ。

 俺より先にロザリアの姿に気づいて飛んで来やがった。

 こいつ、まさかロザリアのことを……?


 ラウル・クレンス、25歳。

 婚約話も、自分には学問が1番だからと断り続けてきた変わり者。

 ロザリアとは話が合うようだし、俺は気が気でない。

 なんてったって俺の妻は超絶可愛いからな!!


 ったく……俺のライバルはゼルだけで十分だってのに……。


 ゼル・スチュリアス、23歳。

 俺やロザリアとは昔からよく一緒に遊んだ幼馴染だ。

 無表情で無口だが、子どもの頃からずっと俺やロザリアには優しく面倒見が良い。

 公爵家嫡男でありながら、俺が7歳、奴が10歳の時、突然騎士の道を目指しはじめ、メキメキと頭角を現して俺の専属護衛騎士にまで昇り詰めた。


 にもかかわらず、俺たちが結婚するにあたってロザリアの専属護衛騎士を決める際、「自分が護衛騎士を務めたい」と珍しく自分の意見を述べ、ロザリアの専属護衛騎士になってしまった。


 ……何だこの長年のパートナーに捨てられた気分は。


 多分あいつも、ロザリアが好きだ。

 あいつが騎士を目指し始めたのは、ロザリアと俺の婚約が決まったあたりだったからな。

 でもあいつは絶対にロザリアに手を出すことはない。

 根が真面目すぎるからな。

 ロザリアが危険に陥る前に、身を挺して守るだろうほどに忠実だ。

 だから俺は、その思いを見て見ぬふりをする。


 ロザリアは俺の妻だ。


 絶対に誰にも渡さない。


 馬車の中で少し言い合いになってしまったが、子どもが好きらしいロザリアは二人は欲しいのだという貴重な情報を得た。


 二人か。

 まぁ、後もう一人ぐらいいても良いかもな。

 いや、いくらいてもいい!!

 きっと超絶可愛いロザリアに似て、超絶可愛い子ども達に違いない!!


 俺が脳内花畑状態で未来の想像(妄想)をしていた間、ロザリアがボソリと何か言った気がしたが、俺は聞き返すことなくその未来予想図を脳内で広げ続けるのだった。


 

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