この秋葉原はフィクションです
UDXの一番古い思い出が「らっきー☆ちゃんねる」
多分その前にも行ってる気がするけど……
春だった。
暖かみをました風は、穏やかに春眠を誘い、
緑が芽生え、
新しい季節という形容が相応しい春……
だが、現実はどうだろう……
暖められた空気はビル風となり、強風を吹き下ろす。
芽生えた緑は関東圏全域に発情期を自己主張。
高尾の山から吹き荒ぶオレンジ色の花粉たちの強襲に、
人々は目を真っ赤にして涙を流す……
強風によるラッキースケベ?なにそれおいしいの?
それどころじゃない!
そんな春に一人の青年がその地に立っていた。
彼の名前は神坂はじめ。
1000円カットで「適当に短く」と頼む無造作ヘアー、
ひょろっとしてそうで実はぷよぷよの腹回り、
母親といった眼鏡市場で「これでいいんじゃない?」と買った無難な黒縁メガネ、
オシャレよりもとにかく安さと積載量を優先したリュックサック、
ユニクロで買ったジーンズという名のソフトジーンズ、
商店街で適当に買った履きつぶしたスニーカー、
赤と紺の大きいチャック柄のシャツ……
まぁ、典型的なヲタク、それも出てきたばかりのヲタクさんだった。
唯一の抵抗はシャツをズボンに入れてないこととくらいだろうか?
昨年度、つまり先月となる3月に高校を卒業し、
4月よりゲーム制作系の専門学校に入学した18歳。
東京郊外に住んでいたが、高校ではオタクだったことを隠してたため、
行きたかったくせに、
「オタクじゃないから秋葉原とか行かないし!」
などというよくわからないプライドで、今日が人生初のアキバデビュー。
ゲーム制作系の専門学校に入学したのを期に、アルバイトを探していた彼が、
たまたまググってたどり着いたそのサイトには、
『あの秋葉原で暮らしながら稼いで見ませんか!
ちょっとしたゲームプログラムのデバッグをするお仕事です!
寮もありますヨ!』
なんともはや、あまりにも黒い匂いのしそうな文言がデカデカと綴られていた。
しかし彼は、
「郊外の実家より学校近くなるし、プログラミングスキルも磨けて、憧れの秋葉原で働ける!」
と、そんな思考が優先し、そのままエントリーフォームポチって今に至るというわけである。
若さって怖い……
彼はこのあと学校で新聞奨学生の現実を目の当たりにするがそれはまた別のお話……
さて、そんな彼も御茶ノ水で乗り換えた黄色いボディの電車に揺られ、秋葉原の駅に到着、
スマホ片手に電気街口に降り、土曜日の混雑したホームを抜けつつ、
アトレのオサレ感に『ここアキバ?』と思いつつも右手に折れ曲がり、
ダイビルとUDX前の広場にたどり着いたのが <-今ココ である。
ダイビルとUDX前の広場、ふと足を止め、思わず見上げてしまうのは自分だけではないだろう。
UDXへとつながるエスカレーターとその先に見える電光掲示板、
そして近年のアキバ作品ではよくよく登場するUDXのビル。
彼もポカンと口を開け、青い空をバックにしたUDXを見上げ、こう漏らしらのである。
「アキバは人が飛ぶんだなぁ……」
んな、わきゃない!
この秋葉原はフィクションです。
実在の人物や団体・歴史などとはちょっと違うのでそのへんは雰囲気でお察しください。
ノリと勢いで丁寧に書かないようにしています
週末に2・3話アップしていく予定です