帰還
暗黒の世界に差し込む一条の光。懸命に手をのばしてそこを目指す。
泡につつまれ水面が見えずヴィヴィアンは溺れるかと思ったが、彼女の体をシャナトリアがしっかりと抱き支えていた。そんな力強いシャナトリアの姿がヴィヴィアンには人魚のように見えた。
ヴィヴィアンは胸元の黒猫を決して離すまいと、ぎゅっと抱きしめた。
揺れる光。もう少しで手が届く。
「ぷはあっ!」
ヴィヴィアンとシャナトリアが水面から浮上すると、すぐに声があった。
「も、戻った! 戻りました!」
「おお! 来おったか!」
「ようやくか! 待ちくたびれたぞ!」
自然と手が伸びた。誰かの手がそれを掴み、力強く引っ張り上げた。
そこにいたのはアイシャだった。
アイシャの手がヴィヴィアンとシャナトリアの腕をしっかりと掴んで引き上げる。
ルーシィもいた。それに仲間たちも。もう一人の声の主はネロだ。
ネロから手渡されたタオルでルーシィがヴィヴィアンをもみくちゃに包みこんできた。
「ビビちゃ〜、おかえり〜っ!」
にゃーん。
「はぶぶっ……、ルーシィちょっと……」
先に到着していたルーシィから熱烈な歓迎を受けるヴィヴィアン。そこにスプリーも飛びついてきた。
ソルフィスとシャナトリアも抱き合ってお互いの到着を喜び合う。
びしょ濡れの妹をソルフィスが大きなタオルで優しく包んであげた。
「アイシャさん、おじいちゃん……どうして……? ここは?」
「おかえり。ここはミスラ聖殿よォ。ようやったな、お前たちは無事に帰ってこれたんよォ」
ヴィヴィアンはあたりを見回した。
カイトとロゼッタも無事に到着していた。ダルハラジムは隅で拘束されたまま、見知らぬ護衛の魔導士の監視下に置かれている。
その場所は洗礼の泉の間だった。異世界へ旅立つときに飛び込んだ泉から帰ってきたのだ。
「これで全員、そろったかの?」
「ええ……、そのようです」
アイシャが静かに応えた。
ネロ爺さんの視線は新たな二人の人物に注がれている。ソルフィスとシャナトリアだ。
「聖殿の乙女よ――」
ネロはおもむろにソルフィスとシャナトリアの前にひざまずいた。
「よくぞお戻りになられました」
アイシャもそれに倣い、ネロの傍にひざまずく。
「……?」
反応がない。
ソルフィスとシャナトリアは不思議そうに首をかしげるだけだ。
「……あのぅ、ソルフィス様、シャナトリア様?」
姉妹はこくりとうなずく。
「この場所……ミスラ聖殿に、見覚えござらんか?」
「……」
「……?」
反応がない。
ソルフィスとシャナトリアは再び不思議そうに首をかしげる。
ネロ爺さんもちょっと困って首をかしげた。
ささっとカイトのところにスライドして小声で囁く。
(お、おい。どうなっとんじゃ、このお二方は確かに聖双の魔導士さまなんよな?)
(そりゃあ、うん。そうだよ……)
「ていうか、おじいちゃん! なによ急にかしこまっちゃって。そんなにあのお姉さま方は偉い人なの?」
「こ、これっ! 前にも話したろーが。聖殿の乙女は、わしらのご先祖、大大大大先輩にあたるんぞ! ちったぁお前たちも礼義正しくせんかい!」
「えーっ?」
ソルフィスとシャナトリアは相変わらずぽゃーんとしている。
「先ほどからお二人の反応が……。そうか、これは召喚酔いみたいなもんじゃろか」
「なにそれ?」
「お二人は、復活してまだ間もない。記憶も曖昧ですぐには思い出せず、肉体と精神が本調子ではないというこっちゃ」
ネロは再び姉妹の前でかしこまった。
「これから魔導学院にご案内いたしますでな。準備出来次第ここを発ちます。それまでゆっくり、くつろいどってくだされ」
姉妹は促されるままにコクリとうなずいた。
アイシャはヴィヴィアンの胸元で眠っている小さな黒猫に歩み寄った。
「ティノ……」
「あ、あの、アイシャさん」
「うん。話はカイトから聞いてる。……これがティノなんだな?」
ヴィヴィアンはうなずく。
アイシャの声は穏やかだが、彼女の顔は深い安堵と悲しみが入り混じっていた。
「こいつが帰ってきたら、いっぺんシメてやろうと思ってたんだ」
決して無事とはいえないが、今は生きて帰ってきてくれたティノにアイシャは感謝を捧げたい気持ちでいっぱいだった。
「ごめんなさい、アイシャさん……」
「いいんだ、ありがとう。こいつが帰ってこれたのも皆のおかげだ。みんなも無事に戻ってきてくれて嬉しいよ」
そんな師と弟子の再会を、ネロ爺さんも無言で見つめていた。
* * *
ヴィヴィアンとシャナトリアの濡れた体を拭き終わると、アイシャは暖かい毛布で二人を包んであげた。
裸足の姉妹には用意してきたサンダルを履かせた。石畳を直に踏むよりはよっぽどマシだ。
促されるままに洗礼の泉の間から大広間に移動すると、組み上げられた炉の上に篝火が焚かれてあった。毛布にくるまったカイトとロゼッタがそこに座っていた。
ヴィヴィアンは今になって寒気を感じてきた。すごく気温が低い気がする。
「こっちきて火にあたりなよ」
「うう〜、なんだかすごく寒いわねぇ」
ヴィヴィアンとルーシィも並んで火の前に座った。同じ毛布にくるまったソルフィスとシャナトリアもやってきた。
ソルフィスがしきりに「ティノ、ティノ」とおねだりするので、ヴィヴィアンは胸元の黒猫をソルフィスに差し出す。姉妹は大喜びで黒猫ティノを抱っこした。
まわりを見るといくつかテントがたっている。野営生活用品が無造作に置かれていた。
ヴィヴィアンはなんとなく周囲の様子に違和感を感じていた。妙に生活臭がするのだ。
不良たちもいなくなっていた。
この場所にはロゼッタが倒したザッツとリーバーが、そして外にはグリエンが倒れていたはずだ。
「ねぇ、アイシャさん。そういえば、ここに倒れてた奴らはどこいったの?」
「不良の三人か? あいつらはとっくの昔に連行したよ」
「ふぅん」
何気なく石柱の間から見える外の景色に目が留まった。
ヴィヴィアンはそこで信じられないものを見た。
世界が白いのだ。
「は?」
ヴィヴィアンは立ち上がって駆け出した。
「なんで雪降ってんのー!?」
大広間から見える外の景色が真っ白だった。
見渡す景色一面に雪が積もっているのである。どおりで寒いわけだ。
あんぐり口を開けたまま放心のヴィヴィアンが可笑しかったのか、カイトは薄ら笑いを浮かべた。
「ね。ビックリだよね。僕も最初は目を疑ったよ」
「どういうことなの、カイト!?」
ロゼッタが苦笑気味に応えた。
「もうすぐ季節は冬なんだって」
「はぁ、なにいってんの? だって昨日は――」
「ヴィヴィアン、あのな」
すべてアイシャが教えてくれた。
「お前らが居なくなってから、今日で35日目なんだ」
「え?」
どういうこと?
間を置いてから、ロゼッタが補足してくれた。
「薄々、察しがついてるかもしれないけど、あっちの世界に滞在していた間に、こっちの世界では一ヶ月以上も経ってたみたいなんだ」
「なん……」
ヴィヴィアンは思考が停止した。
「嘘っソォ! 向こうじゃ数時間くらいしか経ってなかったわよ!?」
「本当だ。今、世間じゃお前たちは失踪扱い。ひと月以上も行方不明ってことになってんのさ」
「発見は絶望的。とっくに捜索は打ち切られて、もうボクたちのお葬式もあげたって話なんだって」
「ハハッ、まいったね」
「な、なんてこと……」
ショックだった。こいつはどえらいことになっている。"幽霊"の自分たちがこのまま普通に帰ったら大騒ぎになりそうだ。
「ん? でも待って、アイシャさん。ここでお爺ちゃんと待ってたんだし、あたしたちのこと知ってたんでしょ? 学院にあたしたちのこと伝えてないの?」
「ああ、それはだな……」
アイシャは手招きしてヴィヴィアンに篝火の前に座るよう言う。そしてみんなの前で急に小声になった。
「いいかよく聞け。今、お前たちの事情を知っているのは、学院でも上層部のごく一部の限られた人物だけなんだ。これがどういうことか分かるか?」
ヴィヴィアンはふるふる頭を横に振る。
「お前たちはな、ウチの最上位機密事項に足突っ込んじまったんだよ」
そう言ってアイシャはソルフィス・シャナトリア姉妹をみる。
姉妹はルーシィといっしょに黒猫とスプリーの可愛さに夢中になってはしゃいでいる。
聖双の魔導士――
なるほど、最上位機密事項とはそういうことか。ヴィヴィアンは愕然とした。
「マジで……?」
「マジだ。あたしも本当はこの場所には居ないことになってんだ。お分かり?」
「……」
「だから学院に帰ったあとも、この件については他言無用だ。後でお前たちの処遇は学院長が決定する。しばらく不自由な生活を強いられるかもしれんが、今言ったことは覚えといてくれ」
「はうぅ……」
想像以上にどえらいことになってた。ヴィヴィアンはしおしおと消沈してしまう。
「ふにゅぅ……」
ロゼッタなんてヴィヴィアン以上に暗い顔だ。気持ちはわかる。家族にどうやって説明したらいいのか困惑しているのだろう。
それを察してアイシャがロゼッタの肩に手を置いた。
「君たちの関係者にも学院側から説明するよ。君たちが責められることがないようにフォローするさ。心配するな」
それからアイシャはこれまであった事を話してくれた。
ティノたちが行方不明になった次の日からアイシャは聖地入りし、ネロと合流してカイトたちを追跡した。
当時、残されていた痕跡からティノたちが最後に消息を絶った場所が洗礼の泉だと目星をつけたアイシャは、ネロと交代でミスラ聖殿内で皆の帰還を待っていたそうだ。
二日ほど前に洗礼の泉に異変が起こった。
泉の中からとめどもなく水が湧き出してきたのだ。それでティノ達の帰還が近いことを予感したアイシャは、最後の二日間は付きっ切りで張り込みを行っていたそうだ。
「ま、お前らは運が良かったよ。あたしらも確信はなかったんだ」
任務期間は一ヶ月だったそうで、日数超過していた。
あきらめて撤収するところを「もう一週間だけ」と延長してくれたのだそうだ。
「その間にお前達が帰還しなかったら、あきらめてここを放棄する予定だった」
「ふえぇ……」
本当に運が良かった。
アイシャたちが待っていてくれなかったら、雪原の中に取り残されていたところだ。
* * *
「ところでアイシャさん、どうやって学院に帰ったらいい? 僕たち夏用の装備なんだ」
カイトが質問した。さすがに冬入りを迎えることは想定していなかったので、実に困ったことになった。
「そうよそうよ。お姉さま方は薄着に裸足なのよ。あんな雪山越えて帰るなんてムリよ」
「いい意見だ、二人とも。だがそいつはなんとかなるらしい」
「そうなの?」
「ネロ爺さんの話だと、このミスラ聖殿が甦ったから、なんとかなるんだと」
「甦った?」
ちょうどそのときネロが声をかけてきた。
「撤収の準備ができたぞい。アイシャ、例のもの用意してくれんか」
「あ、はい。ただいま」
アイシャは懐から箱型のオブジェを取り出してネロ爺さんに手渡した。
「ウン、ヨシ」
泉の正面の排水溝が伸びた先に、少しせり上がった台座のようなスペースがあった。台座の中央は小さな祭壇になっており、丁寧に清められていた。
「これはな、近世の魔導士が築いた転移装置よ」
ネロ爺さんは祭壇の中央にある凹みに、立方体のオブジェをぴったりとはめ込んだ。
周囲が興味深そうに見守る中、ネロ爺さんはオブジェに念を入れた。
魔力が注がれたオブジェの表面が光を放ち、超立方体の幾何学的な変形を経て、ガコンと重々しい音がした。
機械仕掛けのフタが閉じてオブジェが祭壇内部に取り込まれる。そして石が擦れるような細かな音が鳴り始めた。
「なにがはじまるの?」
カイトが訊ねる。
「この聖殿に仕掛けられたカラクリを起動するのよ。見てみぃ」
ネロは洗礼の泉を指差した。
水がこんこんと湧き出している。前に来たときはこんな様子ではなかった。
「二日前からあの状態よ。湧き出た水が、下の枯れ果てた湖に流れよる。いずれ元の湖の姿を取り戻すだろうよォ」
二日前といえば――
心当たりがあるのは、ちょうどソルフィスが大樹を引っこ抜いた頃なのだろうか。異世界と現実世界との時の流れはずいぶん違っているのでなんとも言えないが。
重ね合わせの世界で起きた現象が、対面の世界へと作用しているのかもしれない。
「おまえら、感じるか? 実はあの泉、水だけじゃなくて魔素も湧き出しとるんよ」
「えっ、そうなの?」
隣にいたカイトが問い返した。
魔素は魔力の元となる元素のことを科学的に表現したものだ。
魔素は大気中や無機物、有機物とわず自然界のあらゆるところに遍在しており、媒質となる物質の元素と結びつくことで魔力を生み出す。
この物質と結びつく過程での構造的バリエーションによって、様々な魔力効果を発生させるといわれている。
しばしば魔素と魔力は混同され、同じ意味合いで用いられることもある。
「ってことは、あの泉って天然の魔力の源泉なの?」
「ほうよォ。"境界"の近くでは魔素が湧く場所がたまに存在する。太古の昔からここはパワースポットちゅうことやな」
「ほえぇ〜」
ネロ爺さんが設置した立方体のオブジェには、あらかじめ転移魔術の仕掛けが封印されている。湧き出た魔力を利用して、半永久的に転移魔術の魔導機巧が動作する仕組みのようだ。
祭壇から唸るような衝撃音と共に、青白い閃光がほとばしった。
台座の左右にある突起物から電弧のような光線が飛び出し、複雑に絡み合って楕円体のグラデーションを作り出した。
「もしかして、これは転移門ではないのか?」
「嬢ちゃん詳しいのぅ。そうよ、これは人工的に作り出した"扉"よォ。もっとも異世界には行けんがの」
「すごい! こんな仕掛けがあるなんて」
誰もが物珍しそうに"門"を囲む。青白い光に照り返されて、みんな異種族みたいな顔だ。
「どことつながってるの?」
「言うまでもなかろう、アゼル魔導学院よ。これでスパッと帰れるぞい」
ヴィヴィアンは大口を開けて驚いた。
「ひぁー、こんな便利なのがあるんなら早く言ってよね!」
転移門と呼ばれる楕円体の光に、人が十分に通れるほどの暗い穴ができあがった。やがて水面のように波打つ光の中に、向こう側の景色がぼんやりと見えるようになった。
「向こう側とつながったようじゃの。さあ、行くぞい」
ネロ爺さんが先導し、一行は転移門に進入した。
カイトたちが"扉"をくぐるのは、これで三回目になる。もはやベテランな気分であった。
* * *
転移門の中に入った時は不思議な感じだった。
昔、かくれんぼでクローゼットの中に隠れたときと同じような感覚を思い出す。
ただし、クローゼットの中から出ようと扉を開けたら世界が変わっているのだ。
カイトが"扉"の反対側から顔を出すと、真っ暗な空間だった。
「どこだここ……?」
「ほれほれ、前へ進めや。後からどんどん来よるぞい」
カイトがロゼッタの手を引いて出口から転がり出ると、すぐにソルフィスとシャナトリアも扉をくぐり抜けてきた。その胸にはティノを抱いている。
スプリーを抱えたルーシィとヴィヴィアンも手をつないで現れた。
拘束した幻術士の男を引き連れた護衛二人が入ってきて、最後にアイシャが門をくぐり抜けた。
一行がたどり着いた場所は、薄暗い室内だった。
壁に灯された燭台でその場所が円形の部屋だとわかる。その部屋の壁一面に、いくつもの扉の枠組みが並んでいた。
カイトたちが出てきた出口は、その中のひとつの扉だったようだ。
そして彼らの到着を待っていたかのように現れた人物がいた。
魔導学院長リノーだった。彼女は数名の従者と衛士を伴って現れた。
リノーが手で合図をすると、衛士たちがダルハラジムをどこかに連行していった。
「が、学院長さま……」
ヴィヴィアンはヤバイと思った。
まさか学院長直々に出向いてくるとは。
こっぴどく怒られるんじゃないかと思っていたが、実際にはそうはならなかった。
「お帰りなさい。みなさんよくぞ無事で戻られましたね。もう大丈夫よ、安心なさい」
そう優しく声をかけられた。
言葉どおり、ヴィヴィアンはほっと安心したかと思うと、とたんに疲労が押し寄せてきた。
「あ……」
考えてもみれば、ネロ爺さんのキャンプ地を発ってからずっと休みなく、緊張で気を張り詰めっぱなしだった。
今まで気力で体を動かしていたのだ。自分で全然気がつかなかった。もう本当に安堵してよいのだとヴィヴィアンはそう思った。
体は泥のように重たくなり、強烈な眠気で瞼が閉じてゆく。
両手で杖をつき、くずおれるように倒れるヴィヴィアンをリノーが抱きとめた。
カイトも、ロゼッタも、ルーシィもその場に倒れ伏していた。
「本当に、よく頑張りましたね……。みんな今はゆっくり、お休みなさい」
リノーの従者たちが四人を担架に乗せて、部屋の外に運び出していく。
ソルフィスとシャナトリアはぼんやりとその様子を見送っていた。
にゃーん。
スプリーがネロ爺さんの元に身を寄せてきた。
「猫ォ、お前、もうええんか?」
ネロ爺さんの足元でスプリーはごろごろと喉を鳴らしてくつろいだ。
「ホンマ、きまぐれなヤッちゃのう」
リノーはソルフィスとシャナトリアの前にひざまずく。
「ソルフィス様、シャナトリア様。まずはお二人の復活をお慶び申し上げます。わたくし、アゼル魔導学院の代表を務めております、リノーと申します」
ソルフィスとシャナトリアは「またか?」という顔で、不思議そうに首をかしげた。
「アゼル魔導学院に、ようこそお越しくださいました。歓迎いたしますわ」
リノーは立ち上がると、ネロ爺さんとアイシャにも声をかけて頭を下げた。
「ネロ長老、それにアイシャも。本当にお疲れさまでした」
「……はっ」
アイシャは姿勢を正す。
「ウン。お二人を丁重に、もてなしてあげて」
ネロ爺さんは真剣な目つきで、さらにつぶやいた。
「リノーはん。わかってると思うが、後戻りはできん。これから忙しくなるで」
「ええ……覚悟はできています」
リノーはうなずいて、姉妹を振り返った。
ソルフィスとシャナトリアはキョトンとしてリノーを見つめている。
眠り続ける小さな黒猫を大事そうに抱いて。
「この子たちは、アゼルの希望ですから」
大変おつかれさまでした。第三幕の完了です。
旅も終わり、ようやっと帰ってくることができた……いや、長かったなぁ。
書くのって大変ですね。ほんと大変。みんなすごい。
次の第四幕が最終になると思います。
ガラッと雰囲気かえて学院生活チュートリアル的なものになってゆきます。
頭あったかくしていきたいとおもいます。




