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チームハウスと今後の予定

 戦闘が終わり、小型の輸送船でネオシティへと帰還する。

 この少しの時間は、チームメイトと交流する時間となっている。

 報酬の確認と分配が、主な目的だろう。

「ミリオンパズルのかけらは、スイカに渡す事でいいかな?」

 年長者の先輩が、この場を仕切っている。

「かまいませんが、出来れば少し俺にもください。少しの間、ソロになりそうですから、無強化は厳しい」

「はい」

 そう言う俺に、スイカからプレゼントBOXが送られてきた。

「ん?」

 あけてみると、ミリオンパズルだった。完成度25%未満。2面が揃っている。

 ミリオンパズルは、完成度と、6面のそろい具合で強化される能力が変わる。この時点で、これだけ揃っているパズルが出来るとは、この子の才能は凄いと思う。

「これは?」

「今の戦闘中に入手した部品を集めてみた」

「それだけで、こんなに出来るものなのか?」

「ランクは低いと、パズルのかけらは大きい。2面揃える愚意は簡単」

 それなりに堪能したのか、彼女は凄く誇らしげだった。

「これがもらえるなら、こちらも助かる。いいのか?」

「私は。次は3日後までログインできない。それでも、パズルだけは出来るから、報酬のパーツが欲しい」

「それなら、その間に集めたパーツは、チームハウスの倉庫に入れておこう」

「ありがとう」

 にっこりと笑う顔を見てしまうと、頑張ろうと言う気持ちになってしまった。久しぶりに、色々な事にやる気が出てきた事を感じる。この感情は、良い事だと思う。


 俺たち3人は、チームを結成している。チーム名は”ナインテール”。旗印は、可愛らしい九尾の狐。

 他のゲームだと、クランとかギルドに該当するのが、チームと言う物になる。

 このゲームは、複数のチームに所属する事できる。ただ、メインのチームは一つになる。

 ログイン時間が長いという理由で、チームのマスターは俺がなった。チームメンバーの募集もやる予定だ。

 チームの機能として、ネオシティにチームハウスを設置できる。既に、数多くのチームが成立していると聞く。複雑な条件はなく、申請すれば出来るので、既にハウスは完成している。

 チームの交流スペースの充実は後回しで、便利機能の拡張はそれぞれ協力して行った。

 お互いに、それぞれの大会での賞金があったので、遠慮なくつぎ込んでしまった。

 共有倉庫は、現状での最大数まで拡張している。

 メンテナンス機能や、EPへの変換機能向上など、色々と役立つ物がある。

 交流スペースは、お互いに自由に物を設置すると言う事になっている。俺は当初の目的の、1万クレジットと言う破格の商品を購入してしまう。チームハウスに行くのが楽しみである。


「これは、ムラサメが持っていたほうがいいな」


・初期武装配給券 S 3枚

・戦闘強化服配給券 A


「先輩は?」

「私とスイカも、同じ物を分配した。ただ、武装に関してはSランクのを君に全部渡そう」

「いいのですか?」

「私が持っていても、意味がない。指揮官が最前線に出るような事態では駄目だろう」

「そうですね。戦国時代でもあるまいし、総帥が最前線で一騎打ちとか、何を考えているんだって、思いますから・・・」

 配給券は、ネオシティでそれぞれの物と交換できる。チュートリアルの報酬としては、破格の物だと思う。確か、二人の試練が難易度を上げる代わりに報酬がよくなる物だったので、その効果が出ているのだろう。

「先輩は、次のログインはいつぐらいになりそうですか?」

「スイカと一緒で、3日後に少し時間を作る。その後は1週間後の予定だな」

「では3日後にチームハウスに集合と言うことでいいですか?」

「そうだな。それまでに、ムラサメには色々とやって欲しい事がある」

「何でしょう?」

「まずは、チームの宣伝。確か動画配信に関しては問題ないのだよね?」

「一応、プロを目指していますからね。その辺は大丈夫です」

「なら、動画を数本作成してもらいたい」

「スイカは参加してもいいのですか?」

「私は、いいよ。手伝う」

 そう言いながら、報酬のパズルで遊んでいる。その横には、完成した物が数個転がっている。いつの間にやっていたのだろう?

「その代わり、報酬が欲しい」

「パズルでいいの?」

「違う、私は見た。ずるい、卑怯、鬼、悪魔」

 手を止めて、じっとりと睨んでくる。

「私は、報酬を自由に使えない。1万クレジットは大金・・・」

 この子も、同じ物がほしかったのだろう。確かに、クレジットは現金に買える事は出来る。現在のレートは1クレジット100円。1万クレジットの現金的価値を考えると、あれを買うと言うのは物凄く、高価な物と言える。

「こっそり、購入して、自分だけ楽しもうとしている、だから、鬼、悪魔」

 こちらの行動を、読まれていた。ここで、次の予定を聞いたのは、粉のまま解散と言う流れにしたかったから。

「なるほど、私さえも欺こうとは、中々酷い事をするのだね」

「そう言うつもりは、多少ありましたけど、何の事か、解るのですか?」

「課金要素で、1万クレジットの商品はただ一つ。確か、君は他の電子ペットを持っているのではなかったのな?」

 電子ペット。電脳空間に存在する、データの生き物。本物そっくりな動物から、空想の生き物まで多種多様なペットが存在する。

「俺が持っているのは、猫が5匹だけですよ。現実ですと、アレルギーが酷いので、飼えないから集めているんです」

「5匹も持っているなんて、ずるい」

 スイカからの謎の圧力が強まる。

「6匹目かな?」

「違います。これ以上は難しいので、バージョンアップを適用しました」

 脳研の電子猫なので、既存の猫の存在を、火星大乱仕様に改良するツールを購入した。電子ペットも、日々進化していて、しぐさから、色々なお役立ち機能など、変わっている。作品ごとに、新しいのを購入すると、過去のペットを粗末にする人もいるので、バージョンアップツールが存在する。

 5匹全部をバージョンアップするのに、1万クレジット必要だった。

「報酬は?」

「もふらせて」

「・・・お手柔らかに」

 あいつらは、色々とデータを調整してかなり高性能な猫になっている。目の前にいる飢えた存在でも、大人の対応をしてくれると思いたい。

「私も、この後はログアウトするつもりだったが、予定を変更しよう」


 5分と言う時間は、長いと持ったけど、終ればあっという間だった。

 色々と、決まってない事が多かったので、そのままチームハウスへと向かう。

「にゃふふふふふふふふふふふぅ」

「何でこの子は、こんなテンションなんですか?」

「スイカも、アレルギー持ちだね。電子ペットに関しては、開発者と姉が犬猿の仲でね。家では禁止されているんだ」

「そ、そうなのですか・・・」

 これは、後で問題なるかも知れない。

「ちなみに、俺の事は?」

「大丈夫だともうよ。君が、榎本博士の息子と言うのは、姉も知っている」

「そうですか・・・」

 電子ペットの第一人者の榎本博士と言うのは、俺の母親である。

「もしかして、精霊猫がいる?」

 俺たちの会話を聞いて、スイカが問い詰めてくる、

 精霊猫と言うのは、榎本ブランドの猫の最高峰。実際の猫の再現度だけでなく、人と会話が可能で、色々とサポートもしてくれる超高性能の電子ペットのブランド。開発者の榎本博士が作成した5匹しか今のところ存在しない。その全ての所有者は俺になっている。

 同じ系列の会社だから、火星大乱用のバージョンアップを、普通にやってもらえると思っていたけど、有料だった背景は、親の関係にありそうだ。

「にゃふふふふふふぅ」

 チームハウスに近づくごとに、ご機嫌になっていく。あいつらの受難を考えると頭が痛い。

 別のゲームの電脳空間に、移動させようかとも思ったけど、チームハウスの準備をしていると返事があった。それはそれで、頭が痛い。

 1万クレジットのバージョンアップの結果も気になる。次は擬人化とか恐ろしい事を言っていたから、こちらも覚悟をしておこう。

 チームハウスといっても、巨大な建物の一室に過ぎない。ネオシティ総合ビルの一区画に、専用のゲートがあり、そこから転送する仕組みになっている。

 システムを操作して、転送ゲートを起動する。巨大なチームフラッグが表示される。それを見て、周りの日とがざわついた気もするが、気にしている余裕はない。

 俺たち三人は、静かに注目を浴びながら、チームハウスへと移動した。



 1週間に2話ぐらいのペースで更新予定です。


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